先日の投稿の続きです。
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光秀は美濃を出て堺へ向かった。途中乱取りにされた人々を見たり、比叡山越えで15文を取られたりっしながら西へ向かい、垂井の宿で教えてもらった、宗次郎の辻屋へ入った。そこには将軍家の側近である三淵藤英がいた。藤英は鉄砲の試し撃ちをするが、戦には不向きだと不満を漏らす。その藤英は、明らかに光秀を美濃の田舎者とさげすんでいた。また宗次郎も、鉄砲を調達するには日にちがかかると言う。そこへ派手な服装の男が現れる。その名を松永久秀といい、三好長慶に仕えていた。
久秀は将軍家からは敵視されていたが、宗次郎が常に2,3丁は準備している鉄砲を、光秀のために都合するつもりでいた。その夜久秀は光秀と酒を酌み交わし、山城守(斎藤道三)は大した人物であると言い、光秀に京の情勢を教えた。光秀は美濃も統一されておらず、野盗が出没していることを話す。酔いつぶれた光秀が翌日目を覚ますと、道三から預かって来た金がなくなっており、その代わりに鉄砲が置かれていた。光秀は大喜びし、鉄砲を背負って京へのぼる。
京の町は相次ぐ戦乱で荒れ果てており、戦で家をなくした者の巣窟となっていた。その京で粥の炊き出しをしていた僧に、光秀は名医がいないかと尋ねる。その僧に教えてもらった望月東庵なる医師を尋ねて行くと、若い娘が出て来て先生は不在だと言う。駒というその娘は光秀を胡散臭げに見つめつつ、蚊帳を持って質屋へ向かう。東庵は、その日の暮らしにも困る生活をしていたのである。にもかかわらず、それなりの報酬が出るであろう美濃行きを東庵は渋り、駒はその東庵を説得する。東庵は犬の診察を頼まれたことがもとで、公家や大名の診察を断っていた。
そんな折、ある軍勢がやって来て町を焼き払い、周辺の家々が火に包まれる。そして酒屋の娘ウメが逃げ遅れてしまう。ウメは東庵と双六をして遊ぶ仲だった。光秀は水をかぶって火の中へ飛び込み、ウメの父親と2人で彼女を救い出す。そんな光秀を見て、駒は自分の身の上話を始める。駒は3歳の時に親を戦で失い、東庵の許に引き取られて養育され、今は助手のようなことをしながら身の回りの世話をしていた。
駒は親を戦で失った時、立派な武士が大きな手で自分を助けてくれたと話す。その大きな手の武士が誰であるのかは謎だったが、光秀はウメに取って、大きな手の武士になったのだとも言った。その武士は戦を終わらせる人が出て来る、その人は麒麟を連れてくるんだ、麒麟は穏やかな国にやって来ると言っていたことを話す。この言葉は光秀の心に焼き付いた。一方東庵は家を焼かれてしまい、結局美濃へ向かうことになる。その美濃では戦が始まろうとしており、道三の娘帰蝶は戦の手伝いをしたいと、婚家の織田家から戻ってくる。
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先日の分に続いて、かなり鮮やかな着物をまとった人々が登場する傍ら、光秀は供も連れない旅でありながら、途中で出会った山賊のような連中を難なく倒したりしながら琵琶湖を渡り、京へ向かいます。そしてまず鉄砲を手に入れようとしますが思うように行かず、松永久秀が助け舟を出します。無論久秀にしてみれば、藤英のような将軍家の家来に好感を持つはずはありませんでした。こうやって念願の鉄砲を手に入れ、次は医師を探しますが、この望月東庵がどこか変人で、金がないにも関わらず美濃行きを否定します。光秀は亡父の、誇りを失うなという言葉を持ち出し、お気持ちはわかると言いますが、しかしこの東庵は赤がつくほどの貧乏で、駒は蚊帳まで質入れする始末でした。
それにしても鉄砲を巡るシーン、よくよく考えてみれば、この両名の中の人がそれぞれ
明智光秀-『八重の桜』の川崎尚之助
松永久秀-『風林火山』の津田監物
で、鉄砲作りのプロを演じているのですね。そういえば『風林火山』でも鉄砲の納品が遅れて、勘助が越後で処刑されようとしていましたね。また藤英役の谷原章介さんも、こちらでは今川義元役で、駿河の浜で試し撃ちをして、甲斐には鉄砲がないだろうと、こちらも上から目線のシーンがありました。しかしこの当時、鉄砲が連続して敵を倒せないのは当たり前です。連発銃が出て来るのは幕末なのですから。
ところで光秀が火の中に飛び込むシーン、これで思い出したのが『功名が辻』の、一豊が千代を助け出すシーンです。どちらも演出を大原拓氏が担当しているうこともあるのでしょうか。あの時は稲葉山城が焼け落ちる中、火の中で、千代の伯父不破市之丞に千代殿を好いていると言い、その後2人は晴れて夫婦に、市之丞は織田家に仕えることになるという設定でした。
しかしこう言っては何ですが、何となく平坦で、セリフがいささか説明的な印象を受けるには受けます。その中で1人、松永久秀役の吉田鋼太郎さんの演技が光っていた感があります。今回は如何にもヒールといった雰囲気がありますね。あと大塚明夫さんの登場ですが、なぜ大塚さんだったのかはよくわかりません。『西郷どん』でも第1回に、吉之助が肩を斬られた後、山下洋輔さんが医師の役で出演していましたが、山下さんは紀行の音楽担当だったのでこれは納得できます。
また京の子供たちもそれなりに汚れているというか、「汚している」感じなのですが、どこかこのために準備しましたといった感もあります。それも『龍馬伝』や『平清盛』の汚し方とは、またちょっと違う気もします。
それと大河の第1回というのは、どのような主人公でどのようなテーマであれ、何かしら主人公が試練に遭うことが多いのですが、この大河はあまりそれは感じられませんでした。火事でウメを助け出すのがそうだったのかも知れませんが、それもどこか違うような気がします。それがなぜなのか、これはまた機会があれば書きたいと思います。
次は戦が登場するので楽しみです。ただ帰蝶が里帰りして参戦したがるというのは、いくら何でも創作でしょう。元々この人は最初は信長の正室ではなく、土岐氏に嫁いでおり、夫たる土岐頼純が亡くなったため実家に戻り、改めて織田家に輿入れしたという説もあります。しかし、こういう帰蝶の登場シーン、当然すべて撮り直したのでしょうね。その意味では、スタッフにはお疲れ様と言いたいです。
実はこの大河の堺に、『真田丸』の安土城下を連想しました。そういえば矢沢の叔父上こと、頼綱を演じていた綾田俊樹さん、今度は質屋の主人の役で登場です。
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