仁は、長崎の精得館(養生所)で、ペニシリンの製造方法の講義を行っていた。この長崎行には、ひょっとしたら龍馬に会えるかもしれないという目論見もあった。仁は龍馬に、暗殺のことを事前に知らせたかったのだ。しかし精得館のボードウィンは、素性がはっきりしない仁を快く思わなかった。
そんな折、仁は龍馬に出くわし、トーマス・グラバーがまぶたを負傷したことを知る。そこでボードウィンは、素性を明かそうとしない仁の、医師としての腕を見たいといい、グラバーの手術をさせる。仁は、拡大鏡を準備して手術に取り掛かった。しかも癒着を防ぐ処置までやってのけ、ボードウィンはやっと仁を信用するようになる。
一方龍馬は、貿易の仕事をやっているというものの、何かを隠しているような印象があった。その後、昆布を輸送すると見せかけて、実は大量の兵器を梱包の中に詰め込んでいたのを、仁に見られてしまう。龍馬は、長州藩が武器の輸入を禁じられているための苦肉の策であると仁に説明し、更にこうもいう。
「シークレットで頼むぜよ」
その後仁と龍馬は一緒に記念撮影をし、酒を飲んだが、その時ペニシリンは携帯するより、各地で製造所を作った方がいいと仁は切り出す。龍馬は、ペニシリンは高価だが、すべての患者に広まるかと懸念する。そこで仁は、保険の制度を教え、龍馬もこのシステムに大いに感動する。その後仁は暗殺の件を切り出そうとするが、また例の頭痛が起こり、結局伝えることはできなかった。
龍馬は長州の四境戦争で、大量のペニシリンが必要になると見越して仁を誘う。そして長州の負傷兵にペニシリンで治療をし、製造所を作らせるつもりだったが、陣中で出会った桂小五郎は、幕府に勝つつもりなのでその必要はないとすげなく断る。
その後幕府方の敗残兵を見つけた龍馬は、彼らに斬りかかろうとする。仁はそれをやめさせようとし、暴力は暴力を生むだけだというが、龍馬は、やられたらおしまいだと返す。結局仁は彼らを治療し、先に進んでいた龍馬は、急に踵を返して、ある農家の扉を開ける。そこには仁に治療を受けたものの、結果的に長州によって狙撃された3人の遺体があった。
仁は長崎に戻り、講義を続ける。その講義を聞いていた岡田という男が仁に近寄り、岡田とは偽名で、実は田中久重という者だと打ち明ける。田中は無尽灯も手掛けており、これは後に仁の手術に役立つことになった。その田中に仁は、暗い所もよく見えるといって、未来から持ってきたペンライトの中の豆電球を渡す。田中はそれに驚き、どこで手に入れたのかを尋ねるが、仁は軽くそれをいなす。
一方江戸では、橘恭太郎が、老中から坂本龍馬のスパイ役をいい渡されていた。
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