さて、徳川慶喜擁立に動いた島津斉彬、篤姫、そして吉之助たちですが、その前に斉彬の父、斉興が立ちふさがります。この斉興とお由羅への憤りは、薩摩でも激しくなっていました。そんな急進派の藩士たちを、大久保正助は止めようとしますが、有馬新七や有村俊斎(海江田武次)は納得しようとしません。そして西洋列強との戦を視野に入れていた、斉彬の異母弟久光に近づくことにします。
篤姫輿入れ後切子のグラスで酒を酌み交わす斉彬(渡辺謙、右)と吉之助(鈴木亮平)
無論これは急進派にしてみれば、裏切られたようなものでした。篤姫が輿入れしたのはその後のことで、輿入れを祝って斉彬から切子のグラスで酒を振る舞われます。集成館で新しい技術で作られる様々な物が、民の暮らしを変えるに違いないと吉之助は考えていました。吉之助は斉彬に同行して薩摩へ戻る途中、今日の近衛家で初めて月照と面会します。この月照もまた、吉之助の人生に大きな影響を与えることになります。
その後薩摩に戻った吉之助は、正助の縁談を知り、祝言に招かれるものの、にわかな登城命令で祝宴に出席できませんでした。登城が命じられたその理由は、阿部正弘の訃報でした。これは斉彬に取って大きな痛手となります。その後大久保家を訪れた吉之助は、正助にも藩の外に出る機会を与えたいと、斉彬に願い出たことを話します。しかし正助にしてみれば、吉之助が上から目線でいるようで面白くありません。吉之助が江戸へ発つ日になってようやく腰を上げ、途中で向こうから吉之助が来るのに気づきます。吉之助は言います。
「忘れ物をした。おはんじゃ、大久保正助を忘れて来た」
後を追って来た大久保正助(瑛太、右)と会う吉之助
その後篤姫も家定に、慶喜を擁立するように申し出るものの、彦根藩主井伊直弼が、徳川慶福を推すように家定の生母本寿院を抱き込みます。そして相変わらず将軍になるのを渋る「ヒー様」こと一橋慶喜ですが、吉之助は彼を救おうとして、生まれて初めて人を殺めます。この前に吉之助は、直弼にいわば脅されて薩摩の内情を洩らせと迫られていたのですが、吉之助は一蹴していました。人の命を奪った吉之助は、慶喜にあの男の命もあなたの命も重さは同じだと言い、慶喜はこれに意を決して井伊屋敷へ赴き、将軍となるほぞを固めます。
「大久保正助を忘れて来た」
このセリフというかこのシーンそのものが、最終回でも登場します。こうやって慶喜の将軍就任は現実化するかに見えたのですが、最終的には安政の大獄で慶喜は謹慎、さらに吉之助と親交を深めた橋本左内も刑死、主君斉彬は急病でほどなく亡くなるという、吉之助に取ってはいうなれば受難の時期が待ち構えています。そして吉之助が何とか薩摩まで連れて来た月照も、結局助命されることはなく、吉之助と共に海に身を投げることになります。
(画像は『西郷どん』公式サイトより)
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