この第4話では、遠心分離器が登場します。もちろん仁の手作りで、手動で分離させるものですが、これによって血液を分離させ、血液型を特定することに成功します。もちろん実際は、この当時遠心分離器は存在しませんでしたが、開発は行われていたようです。そんな折、仁は川越藩の藩主夫人、恵姫の腫瘍の治療を行うために出発します。しかし、その途中に泊まった宿の娘おはつの存在が、仁のみに不思議な現象をもたらし、その先も大きく影響することになります。
その娘、おはつのために咲は折り紙を折って遊んでやります。先生もと誘われますが、仁は折り紙といえば、紙飛行機くらいしか折ったことがありません。そこで紙飛行機を折って飛ばそうとしたところ、咲とおはつは何とも怪訝な表情を浮かべます。それも当然の話で、この当時は飛行機が存在しないため、子供が紙でそれを折って飛ばすということもありません。仁は咲に飛行機のことを説明してやります。一方おはつはこの紙飛行機が気に入ったようですが、これが後に悲劇をもたらすことになります。
さて川越藩主夫人恵姫ですが、実は夫の川越藩主は婿養子で、恵姫に実子が生まれなければ、違う血筋の子が跡目を継ぐことになります。しかも、夫と側室の間に子が生まれたため、恵姫の心中には穏やかならざるものがありました。そこで咲の出番です。咲は和宮から拝領した櫛を取り出し、腫瘍隠しの頭巾を脱いだ恵姫に見せて、御髪をお直しくださいと勧めます。それによって、仁は和宮から認められるほどの名医であることを暗に示そうとしたわけです。元々恵姫は漢方医たちを嫌っており、すんなり仁の診察を受けました。
しかし恵姫には貧血の気があり、手術前に輸血の準備をしておく必要があったわけですが。この当時、献血や輸血などという発想はもちろんありません。しかも、この当時としては卓越した技術を持つものの、素性がよく知れない医者に、奥方を任せるわけには行かないと周囲は反対しますが、うち一部で了解が取れたこと、そして恵姫が、全快した暁には夫とよりを戻し、子を儲けたいといったことから、血縁者の賛同を得るに至ります。幸い良性であったこと、しかも、遠心分離器を持ち込んで輸血の準備をしたものの、その必要はなかったことなどで、万事が滞りなく終わり、恵姫は藩にペニシリンの製造所を設けたいと、仁と咲に話します。
江戸への帰途、仁と咲は例の宿にまた泊まります。将来について語り合ううちに、つい言い合いになる2人。しかしそこへ、おはつが重傷だとの知らせが入ります。紙飛行機を追っていて、腹部に灌木の枝が刺さり、大変な出血をしていました。手術を始めた仁と咲、しかし仁にあの頭痛が再び襲い掛かります。歴史を変えようとした時に必ず出てくる頭痛が、なぜこの時出て来たのか。おはつを助けることで、歴史に狂いが出てしまうのか。仁の姿が段々と消えて行き、おはつを助けることは困難になります。
その頃長州では、坂本龍馬が薩長同盟成立に奔走していました。この同盟が成立すれば、仲介役の土佐も名を上げるわけですが、薩摩が頑なに動こうとしません。長州の身にもなれという龍馬。その後龍馬は、寺田屋で賊に襲われ、楢崎龍の機転で何とか危機を脱します。そして江戸では、橘恭太郎の謹慎が解けました。しかしその後、この恭太郎と龍馬の間が険悪なものとなって行きます。
一応この回では、川越藩主夫人恵姫を治療するのがメインテーマですが、それ以外にも薩長同盟やおはつのことなど、今回もかなり伏線のある内容となっています。特におはつのことは、仁の身に直接降りかかってくるものとなりそうです。
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