大河ドラマには、無名の主人公が登場することがしばしばあります。これは今年もそうですし、視聴率の不振はそれが原因という指摘もあるようです。その他はやはり女性主人公とか、近現代の人物などに多く見られるという特徴があります。ドラマそのものはそう悪くなくても、主人公の知名度が低くて割を食うということもまた、往々にしてあるものと思われます。
歴代大河の架空の主人公、または歴史好きや時代小説ファンを除いて、さほどに知名度が高くなかったと思われる主人公をピックアップしておきます。
(青文字架空人物)
むら、るい、雪 (三姉妹)
原田甲斐(樅ノ木は残った)
柳生宗矩(春の坂道)
斎藤道三(国盗り物語)
柳沢吉保(元禄太平記)
大村益次郎(花神)
呂宋助左衛門(黄金の日日)
平沼銑次、苅谷嘉顕 (獅子の時代)
天羽賢治 (山河燃ゆ)
川上音二郎、貞奴(春の波涛)
高原未希 (いのち)
啓泰 (琉球の風)
藤原経清(炎立つ)
山本(川崎、新島)八重(八重の桜)
杉文=楫取美和子(花燃ゆ)
井伊直虎(おんな城主 直虎)
金栗四三、田畑政治(いだてん)
大河ドラマ史上初の、架空の主人公が登場したのは1967年の『三姉妹』でした。幕末が舞台となっていて、実在の人物も登場してはいたものの、平均視聴率はその当時で19パーセント台でした。しかし翌年の『竜馬がゆく』はそれよりも低く、それを考えると一概に有名人だから高いともいえないようです。その後1970年代に放送された『樅ノ木は残った』は、オリキャラではないものの、仙台藩の伊達騒動の中心人物原田甲斐を主人公としていました。こちらも視聴率は平均21パーセントと、当時としてはそう高くありませんでした。全国的な知名度は恐らく今一つだったのかもしれません。但し、ドラマそのものへの評価は高かったようです。翌年の、柳生宗矩が主人公の『春の坂道』も、平均視聴率は21パーセント台でした。
やはり大河には、わかりやすい人物が求められるという傾向があるのかもしれません。ただし『国盗り物語』も、平均視聴率は22パーセントでした。斎藤道三があまり馴染みがなかったこと、半年単位で主人公が入れ替わるという編成(これは今年も同じ)も関係しているでしょうか。ただこの主人公交代は、舅から婿への世代交代的な意味合いのものでした。その意味で『葵 徳川三代』と通じるものがあります。その後『花神』とか『獅子の時代』はそう高くなく、また近現代もの、90年代半ばで編成が変わった際の大河も低めの数字でした。特に90年代半ばは、今まで取り上げられなかった人物を取り上げた点は評価できましたが、やはり著名な人物に比べると、求心力に乏しかったように思われます。
知名度が低いからとか、近現代だからよくないというわけではないし、視聴率が低いからよくないとも一概にはいえません-ただし視聴率は指標であり、NHKが公表する限り、何らかの形でマスコミも取り上げます。本当は総合視聴率が一番いいのでしょうが。それから近現代は大河よりもむしろ朝ドラの守備範囲であるうえに、知名度があまりないとか功績が知られていないと、やはりドラマの展開が見えにくく、途中からでも観ようという気が起きにくくもなります。またドラマの構成も大きく関係しています。「挑戦」するのは別にいいのですが、あまり変則的な作り方をしない、近現代は2クールなどにして、本来の大河とはまた違った形で取り上げるといった方法もあるのです。NHKの本音を知りたいところです。
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