赤毛の持ち主ジェイベズ・ウィルソンは、赤毛クラブなるものに誘われて、活動を始めます。これは、
ダンカン・ロスの「赤毛クラブ」 に書いている通りです。活動と言っても何の変哲のない物を、ただ赤く塗って行くだけです。しかしロスは、赤毛クラブの総本部がロンドンにあると言い、メンバーは全員赤毛だから実に壮観だとウィルソンに教えます。しかし赤毛クラブなるものが、そもそも美術クラブのロスが、ウィルソンに邪魔されずに絵を描くために作ったものなので、総本部なる存在はもちろんありません。結局ウィルソンに邪魔されずに絵を描き上げたロスは、赤毛クラブを解散してしまいます。そしてウィルソンもロスも、また別のエピソードに登場することになります。ウィルソンは「愉快な四人組の冒険」で、メアリー・モースタンから髪の色がトマトみたいといわれ、大いにむくれて部屋に引きこもってしまいます。その時はちょい役でしたが、それとは別に、結構重要な役で登場することもあります。それが「青い白クマの冒険」です。このエピソードは『三破風館』と『青いガーネット』が原作になっています。
「赤毛クラブの冒険」のウィルソン(中央)とダンカン・ロス
(シャーロックホームズ公式サイトより)
アーチャー寮のガルシアとヘンダーソンが221Bに飛び込んで来ます。ウィルソンを探しているようですが、ここにはいないとホームズは2人を追い返します。そして隠れていたウィルソンに出て来るように言いますが、そもそもの発端はぬいぐるみでした。袋に入ったそのぬいぐるみは、青いけれど白クマらしく、ウィルソンはある時上から落ちて来たというこれをすっかり気に入っていました。そこでホームズとワトソンは、掲示板に張り紙をして元の持ち主を探し出します。すると、このぬいぐるみが意外に多くの人の手を渡って来ていたのに驚きます。しかも『青いガーネット』も原作であるように、このぬいぐるみの中には仕掛けがありました。何だかんだで、ウィルソンはぬいぐるみを手放さざるを得なくなり、代わりにハドソン夫人がトマトのぬいぐるみを作ってくれます。そのハドソン夫人が髪からトマトスープを連想したり、メアリーにトマトみたいなどと言われつつも、ウィルソンはトマトが好きなようです。トマトというか、赤いハートにへたをつけたような感じではありますが。エピソードそのものについてはまた後日。
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