このブログのテーマであるパペットホームズ、そしてもちろんその原作の他の映像化番組、あるいはポワロとかミス・マープルに加え、時代劇の捕物帳や刑事ドラマなど、日本人は推理小説の映像化や捕物番組が好きだなと思います。謎解きだけでなくその周辺、あるいは背後の人物関係が面白いという側面もあります。特に、レギュラー出演者が登場するテレビ番組は、シリーズごと、あういはエピソードごとにどのような変化があるのか興味津々という人も多いでしょう。私もこの夏の『シャーロックホームズ 推理(ミステリー)の部屋』を楽しみにしています。
ところで、なぜ時代劇は捕物番組が多いのでしょうか。これは推測ですが、江戸時代に独自の治安組織が存在したためではないかと思います。そのため、様々な役職の人物を主人公にした小説が生まれ、彼らを主人公にしたドラマが出来たともいえます。一番多いのはやはり同心、特に町方同心と、彼らの下で働く岡っ引きを主人公にしたもので、これは町中の生活に馴染みやすいことも理由の一つです。特に彼らが、番屋にいることが多いせいもあります。
与力になると、公用の外出時は馬を使い(与力を一騎、二騎と数えるのはそのため)、供を連れるということもあって、なかなか市井の人々と親しく交わるというわけにも行きません。『御宿かわせみ』の主人公、神林東吾の兄通之進は与力で、恋人のおるいはかわせみの女将であるものの、元々は同心の娘です。ドラマの中でおるいが、神林家に年賀に行く場面がありますが、この両者の身分の違いがよくわかります。
しかしここで思うのは、なぜ江戸時代に複雑な構造の治安組織が出来上がったのかということです。これは恐らく、戦国時代の後に出来た幕府というのも、関係しているのではないかと思います。徳川幕府というのは、戦国時代の教訓を踏まえて、二度とあのようなことがあってはならないと、強固な地盤固めをしています。将軍の後継者選びに備えて、御三家を設立したのもそのためです。また、戦国時代に軍人として活躍していた武士たちが、太平の世の到来と共に活躍するべき合戦がなくなり、彼らのための職を作る必要もあったかもしれません。
むろん時代劇でも、捕物でない作品も沢山あります。まず大河ドラマ、これは捕物ではありません。NHK木曜時代劇も、捕物とそうでない物とに分かれます。BS時代劇もしかりです。他に『水戸黄門』も、事件解決に関わるものの捕物ではありません。『三匹が斬る!』シリーズなども同様でしょう。実は個人的に、あのシリーズ結構好きでした。それ以外にはいわゆる股旅物(『木枯し紋次郎』など)も捕物でない作品です。しかし今は、全体的に時代劇の割合が少なくなっているなと思います。それこそ時代劇版ホームズも含め、もっと増やしてほしいものではあります。
もちろん、現代も捕物、刑事ドラマはかなりあります。むしろ多すぎて、現在何が放送されているのか、すべてを把握できないほどです。中でも『相棒』なんて長く続いていますし、面白いと思います。海外の刑事物も面白いのはありますが、日本のドラマにみられる阿吽の呼吸的な感覚、特にアメリカの物に比べると、同じ刑事ものでもマイルドな感じなどもまた捨てがたいです。
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