すみません、今回もラグビー関連投稿は1日遅れになります。先日の武者さん関連の続きです。
その後ラザロの最後を描かなかった『いだてん』には魂があるとか、司馬遼太郎氏の作品は高度成長期にはよかったが、今はそんな時代ではないといった記述があり、さらにこうあります。
しかし、そんな時代を見てこなった年齢層は、辛い歴史に翻弄される人物の方が、共感を持って受け止められるようになって来ました。
2011年『平清盛』
2013年『八重の桜』
2016年『真田丸』
2017年『おんな城主 直虎』
こうした作品は、評価が割れました。
言いがかりのような、ひどいバッシングもあったものです。(原文ママ)
まず疑問なのですが、大河の主人公になるほどの人物はどういう形であれ、多くが辛い歴史に翻弄されています。何もこの4名に限ったことではありません。この4作品が自分の好きな作品であるから、リストアップしているだけなのではないかと思われます。そしてその言いがかりのようなひどいバッシングということですが、
「日本はもっと綺麗であったはずだ! 武士が汚らしいとはけしからん!」(『平清盛』)
→源平時代に清潔感を求めてどうするのよ。
「負けた側の話なんて見たくない!」(『八重の桜』)
→じゃあ勝利した側はおもしろかったの? 『花燃ゆ』と『西郷どん』が面白かったって?
「俺の知っている歴史となんだか違うぞ!」
「負けた武家の女は自害しろ!(※それは幕末の話っしょ……)」(『真田丸』)
→あの考証担当者チームに挑むって、何の罰ゲームですか?
「女が城主! ウギギギギギギ!」(『おんな城主 直虎』)
→女が上に立つからってバグを起こしなさんな。
さて、こういうのは「ひどいバッシング」でしょうか。
普通に観ていても、こういう疑問を呈する人も中にはいるでしょう。しかもここに出て来る批判というのは、武者さんが、嫌いな作品に対して投げつけているのとそもそも変わらないのではないでしょうか。それへの突っ込みも何だか幼稚に見えます。『平清盛』はこのブログの関連記事(平清盛タグ)でも書いていますが、リアリティを出そうとして汚し過ぎた感は確かにあります。そして『八重の桜』に対しての『花燃ゆ』と『西郷どん』ですが、無論私は『西郷どん』は楽しんでおりました。『真田丸』に関しては、武者さんは考証の先生方によほど敬意を抱いているのだろうと申し上げておきます。そして『おんな城主 直虎』の「女が城主! ウギギギギギギ!」(笑)。私もこの大河の批判を何度か目にしましたが、生憎こういうのは見たことありませんね。そして、
まぁ、要するに、大河のオールド視聴者層の中には(あるいは大半?)って、歴史ものを見たいわけじゃないんだな。
・時代劇のコスチュームを着ている
・女は良妻賢母のみ、女城主は許さない
・ラストは一国一城の主になってスッキリしたい
要するに、高度経済成長期サラリーマンが没入できる、コスプレだったわけです。
そんなものはいらない。
日曜8時にまで、上司接待飲み会ノリなんてうんざりだ。
こんなこと書いてるけれど、過去の大河の出演者や制作に対して随分失礼ですね。 しかも
「そういう視聴者が主流となれば、もう大河は終わりです。」
とありますが、そういう視聴者(武者さんが考えているよりもう少しまともだと思います)がかつての大河を支持していたわけであり、その人たちが視聴者の主流であった時代は、大河はずっと続いていたわけです。この辺も何だか矛盾していますね。しかしコスプレとか他にもキャバクラとか、ご本人は揶揄しているつもりなのでしょうが、もう少し言葉に気をつけた方がいいと思います。恐らく改めないだろうとは思いますが。
そんな上司接待に疲れ果てた世代は、むしろ『いだてん』の暗い世相に向かい、翻弄される姿がグッとくるはずです。
それよりも先日ここでご紹介した『山河燃ゆ』の方が、初めからより暗い世相に向かっていて、より重い展開になっていますが、そういうのを観たことがないのでしょうか。これに限らず武者さんのコラムには、ある時期より前の作品を観ていないと思われる記述が見られますが、いやしくも大河を語る以上、DVDが出ている作品には目を通しておくべきでしょう。 そういうのは「高度経済成長期サラリーマン」が没入できるコスプレだから嫌なのでしょうか。しかし高度成長期というのは、70年代前半頃までの話ではないかと思われます。『山河燃ゆ』などは1984年の作品なのですが。
その後にも、恐らくは武者さんの妄想が多分に入っていると思われる大河視聴者への言及、さらに例によって例の如くの動画紹介が続きますが、もう突っ込みたくないので省略します。
しかし他にも日本がなぜアメリカに宣戦することになったのか、これも理解できていないように思えます。恐らく戦前とか、高度成長期の残滓のように見える現象が嫌いでたまらず、それへのアンチテーゼとしてポリコレやジェンダー論、さらにはテレビに対する動画を「新しい感覚」として持ち込んでいる感じがします。『まんぷく』への過剰とも思える批判も、それが根底にあるように思えます。 さらに他のコラムでも書いていましたが、所謂MeTooとか、フランスの黄色いベスト運動に共感するなどと書いており、少なくともネット上では、そういう人物なのだということを印象付けたいようにも見えます。
私は武者さんが、実際はどういう人物なのか無論知りません。ただネットの片隅のアフィリエイトブログ(恐らく)で、好きな作品は持ち上げる一方で嫌いな作品はけなし、さらに上記のような発想から、大河ドラマにまでジェンダー論的な発想を持ち込む人であるのは事実です。しかし歴史に詳しいとか、ミスリードしない文章を書けているかといえばそうでもない。この武将ジャパン自体、あるいは文章に批判的なツイを目にしたことがあります。これは歴史サイトの部分を言っているのだろうと思いますが、ドラマ関連に至っては、とにかく自分の理想を判断基準としているわけで、その意味では歴史サイトよりもっと批判されるべき存在ではあるでしょう。
2日の投稿で、「嫌いは好きの裏返し」といったことを書いています。嫌いなものは叩きまくる武者さんですが、好きなものは反対に徹底的に持ち上げます。しかしあまり持ち上げるのも、かえって不自然な賞賛に見えてしまいます。
ところでこのコラムではありませんが、『まんぷく』関連で『半分、青い』について書いている部分で、岐阜県恵那市が来年の大河ゆかりの地でもあり、おすすめといった記述があります。しかし来年の大河は、期待しないといった意味のことを大河コラムで書いていた記憶がありますが、どうなっているのでしょうね。
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