少し前に、手塚治虫氏の作品に登場するキャラ、ロック・ホームに関して
ロック・ホームとシャーロック・ホームズと三谷氏 という記事を書いたことがあります。その後、この人物について書かれた『華麗なるロック・ホーム』という本を読んでみました。
画像Amazon.co.jpより
初期の登場作品から、最後の登場作品(ブッキラによろしく)までの何十年かをアンソロジー的に追ったものです。前出記事にリンクを貼らせていただいた、「
アリトホシクズ 」様の記事にあるような、ズボンの長さとキャラ設定に関しては、まだわからないことが多く、今後また関連作品を読んで行こうと考えています。しかしその記事にもありますように、このロック・ホーム、初期は如何にもヒーロー風の美少年探偵がメインなのですが、それが『バンパイヤ』の間久部緑郎で豹変します。美形悪役で、しかもこの中では女装までしています。正にホームズを思わせる変装の巧みさであると同時に、
こちらの記事 に書いたような、ホームズとモリアーティの表裏一体性をも感じさせます。この『バンパイヤ』は、かつてアニメと実写を織り交ぜたTVドラマが放送されていて、水谷豊さんが主演しています。個人的にはこの作品に、多少『バスカヴィル家の犬』と似た物を感じます。
米沢嘉博氏によるこの本の解説には、無国籍でかっこいい役を与えられたがゆえに、少年物の主人公たりえることが出来ず、その後悪の美学に酔うキャラクターとして変貌を遂げる旨のことが書かれています。少年の頃から、素朴な少年のキャラではなく、どこか大人であり、手塚氏の作風が複雑な物へと変化するにつれて、より複雑なキャラへとなって行くわけです。生みの親たる手塚氏も、かつては同じような立場であったケン一、さらにはアトムと比べると、冷たくてドライな感じと言っておられるだけに、元々少年でありながら、少年の枠を超えた特異なキャラであるともいえます。
ちなみにこの中の『化石島』という作品に、シャーロック・ホームズが登場します。ルパンにしてやられる、ホームズとしては損な役回りですが、ルパンが仕掛けてルパンが盗むという点で、『怪盗紳士ルパン』の、「悪魔男爵の盗難事件」を連想します。
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