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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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炎のランナー

1978年、ロンドンではハロルド・エイブラムスを追悼する礼拝が行われていた。アンドリュー・リンゼイ卿は、胸に希望を抱き、かかとには翼をつけていたとオリンピックに出場した頃を振り返り、今はオーブリーと自分だけになってしまったと語る。

1924年パリ五輪を前に、イギリスの陸上代表チームは合宿を行っていた。海岸を走って行く選手たちを、犬を連れた父子が見ていた。その後エイブラムスは自室で手紙を書いていたが、チームメイトから室内でのクリケットに誘われる。

1919年10月、エイブラムスとオーブリーはタクシーに相乗りし、ケンブリッジ大学のキーズ学寮(カレッジ)に到着した。エイブラムスは入寮の手続きを済ませ、後からやって来たオーブリーは寮の職員から、彼の専攻は反体制哲学か、少なくとも聖歌隊員ではないなと皮肉めいた言葉を聞かされる。その後晩餐が行われた食堂では、第一次大戦で戦死した卒業生たちの名が刻まれていた。学寮長は演説を行い、祖国のためという言葉を強調する。

エイブラムスたちは各クラブの新入生勧誘を見て回り、陸上競技のクラブに入る。そしてカレッジ・ダッシュに挑戦し、同じ学生で貴族のアンドリュー・リンゼイと競り合った末勝負をものにする。その様子をキーズとトリニティ両学寮の学寮長が窓から見ていた。2人はエイブラムスについて話し、父親は金融業であること、学業は問題がないが、自己保身のためには攻撃的になると結論付ける。さらに勝利したエイブラムスを見てこうも言った。
「やはりユダヤ人は神に選ばれし民なのか」

一方スコットランドでもスポーツイベントが行われていた。この時賞品を授与する役目となっていた牧師のエリック・リデルは、中国生まれで、演説で故郷スコットランドのすばらしさに触れる。さらに自身も200ヤードのレースに加わって優勝した。そして日曜日、リデルは礼拝の司会をした後、ラグビーをしている少年たちを見て、今日は安息日だからいけないと諭す。牧師であるリデルに取っては、走ることは神のためであり、いわば信仰と同義であった。しかしレースで勝利するということは、伝道にも役立つことであった。そのためレースに出る時は、自身の説教も加えることにした。

エイブラムスの父はユダヤ系のリトアニア人であり、いわばイギリスには何の縁もなかった。反骨心旺盛なエイブラムスは、兄が医学の権威であり、自分がケンブリッジで学んでいることから、自分はイギリス人だという信念を強く持ち、それをオーブリーに力説していた。エイブラムスはスコットランドとフランスの競技会を観に行き、他の選手から倒されても走り続けて勝利したリデルに衝撃を受ける。その時競技を観に来ていたサム・マサビーニに、コーチになってくれるよう頼むが、マサビーニは申し込みはコーチからするものだと言う。マサビーニはアマチュア規約にとらわれず、競技を果たし合いとみなす人物だった。

エイブラムスは仲間たちとオペラ『ミカド』を観に行き、主演女優のシビルに夢中になって食事に誘う。シビルの弟はエイブラムスのファンだった。そのことを聞いた仲間たちは一斉に驚く。エイブラムスはなぜ走るのかを尋ねられ、ユダヤ人であるという自分の敵に対する武器だと答える。そして1923年、エイブラムスとリデルが直接対決する日がやって来た。これでエイブラムスは僅差でリデルに敗れ、マサビーニがコーチにつくことになった。マサビーニは有名選手とそれぞれのタイム、走り方の癖などをエイブラムスに叩き込み、フォームを変えさせ、焼石の上を走るつもりで走れと言う。

リデルも練習に余念がなかった。妹のジェニーは、兄が伝道に乗り気でないことを懸念する。リデルは学位を取り、さらにオリンピックにも出た後中国へ戻る予定で、それまでは妹に任せていた。またシビルもエイブラムスのことで、仲間であるリンゼイの屋敷を訪れていた。リンゼイは、エイブラムスはトップを目指しているからと彼女を励まし、その後庭にハードルを並べさせて、グラスを上に置いてシャンパンで満たす。シャンパンをこぼさないように跳ぶつもりだったが、最後の最後でグラスが揺れ、シャンパンがこぼれた。

エイブラムスはキーズ、トリニティの学寮長たちと食事をする。2人はマサビーニについて尋ね、彼がイタリア系でアラブの血が入っていることを知る。そしてコーチをつけること、エイブラムスの勝利至上主義はプロの考えだと言い、学生はアマチュアの道に徹するようにと言う。しかしエイブラムスは学校のため、家族のため、そして国のためと言い、紳士的敗北が理想ですかと尋ねる。学寮長たちは金の栄光よりはいいと主張するが、エイブラムスはこう答えた。
「お2人とも神の無作為の如き勝利を望んでいる。そんなのは子供の運動会で言うことです」
2人たちは、神が違えば人生の目標も違うと顔を合わせる。

そんなエイブラムスに、オリンピック出場の知らせがもたらされた。エイブラムスは100メートルと200メートル、そして仲間のリンゼイは400メートルとハードル、ストラードは1マイル、オーブリーは障害物で、もちろんリデルも名を連ねていた。選手団はパリへ向かう船に乗るが、エイブラムスは見送りに来てくれたシビルに会っており、出航ぎりぎりに船に飛び乗った。選手たちを追っていた記者の一人は、リデルに予選は日曜日だと告げる。リデルは初めてそのことを知り、安息日に走ることでひどく悩んで、このことを団長に相談する。オーブリーは船内の陽気な雰囲気を母への手紙に書き綴っていた。

他国の選手団もパリに向かっていた。アメリカはプロのコーチをつけ、全員がコーチの指示に従って練習をしていた。エイブラムスたちは映画館で、彼らのライバルであるアメリカ選手団の到着映像を観る。いよいよオリンピックが始まったが、リンゼイはハードルで敗れてしまう。一方リデルは王太子に招待され、ラグビーの話を振られる。彼がいたスコットランド代表はイングランド代表から2トライを挙げていたが、今度は味方でよかったと王太子は話す。

安息日にレースをやらない主義のリデルは傲慢だと言われるが、他人の信仰に立ち入ることこそ傲慢だと言い返す。その場へリンゼイがやって来て、自分が出場する木曜日の400メートル走をリデルに譲る。そしてエイブラムスは100メートルの予選に出るが、アメリカのパドックに敗れていた。エイブラムスはマッサージを受けながら、部屋に来ていたオーブリーに、自分は何を求めているのかわからない、今は勝つのが怖いと言う。ほどなく決勝だが、マサビーニはグラウンドへは行かなかった。

マサビーニは6本針のスパイクを使えという手紙と、お守りをバッグに入れてくれていた。そしてその決勝でエイブラムスは勝ち、金メダルを獲得する。マサビーニは大喜びするが、エイブラムスは1人静かに競技場を去る。リンゼイは仲間たちに、メダルを取ると必ずその空しさに気づくと言う。そしてケンブリッジのキーズとトリニティの学寮長たちもこれを知った。その夜カフェでマサビーニは、君は君自身とマサビーニに勝ったのだと言い、後はシビルの許へ戻れと促す。

リデルは400メートル走に出場した。アメリカのコーチは短距離の選手だからと高をくくっていたが、選手であるショルツの方は、油断できないものを感じ取っていた。そして次の文句を書いた紙をリデルに渡した。
「私をたたえる君を私もたたえよう」
決勝が始まり、リデルは優勝する。リデルをイギリス代表選手たちが取り囲んだ。

彼らは意気揚々と凱旋したが、エイブラムスは1人後から駅を出て、シビルと再会した。

リデルは第二次大戦末期に中国で亡くなり、エイブラムスは1978年1月に他界した。追悼礼拝後、アンドリューとオーブリーはエイブラムスを懐かしむ。

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[ 2019/02/24 23:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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