『ラジオ・デイズ』という映画があります。1980年代後半のウディ・アレン監督の作品で、第二次大戦頃の、ニューヨークに住むジョーというユダヤ人の少年と、その家庭が舞台となっています。恐らくこれはアレン自身が、自らの少年時代をダブらせたものでしょう。この時代、ラジオは一般の人々の娯楽であり、それによって様々なシーンが描かれています。いささかうろ覚えですがこんな感じです。
泥棒がジョーの近所の家に入り、電話に出てしまう。その電話はラジオでヒットしている曲のタイトルを答えるもので、泥棒は全問正解し、後でその家に景品が送り届けられて住人が驚く ジョーはラジオの『覆面の騎士』がお気に入りである。その頃学校で、パレスチナに新しい国家(多分イスラエル)を作るため募金をするようにいわれる。しかしジョーはその募金をくすねて、「覆面の騎士指輪」を買ってしまい、両親共々校長先生に叱られる 有名な天才少年が、ジョーと両親が行った動物園に現れ、ラジオ局のインタビューを受ける ジョーは両親だけでなく祖父母、母の姉のシールとその夫エイブ、娘のルーシー、母の妹のビーと同居している。ビー叔母さんは帳簿係として勤めているが、ラジオで音楽を聴くのが大好きである そのビー叔母さんは理想の男性との結婚を夢見ていて、美人なのになぜか男運がない。一度デートに出かけた時に、カーラジオで宇宙人が来たというニュースが流れ、その相手は叔母さんを放って逃げてしまう 家族全員ユダヤ教徒で、安息日には断食を行う。しかし近所の家が、安息日なのに音楽を聴いているためエイブ伯父さんが抗議に行く。その家は共産主義支持の家庭で、伯父さんは断食にもかかわらず食事をして戻って来る。おまけに神を「想像上の産物」と言い、皆を驚かせる ビー叔母さんが他の男性とデートをする時に、ジョーも連れて行ってもらったことがある。その時ラジオの魚の名前当てクイズで、全問正解し、賞金をもらって、3人でちょっとした贅沢を楽しむ。ジョーはほしがっていた化学実験セットを買ってもらう。実はエイブ伯父さんがいつも河岸の友達から魚をもらっており、ジョーの家族は魚に関してはひとかどの知識があった 家庭のラジオでももちろんニュースが流れる時がある。ある日音楽を楽しんでいた一家は、臨時ニュースで井戸に子供が落ちたことを知る。子供は助け出されたが息絶えており、その場は重い沈黙に包まれる 一方でサリーという女性が、レストランの店長の殺害現場を見てしまう。サリーも殺されそうになるが運よく助かり、その後歌手を経て、有名人のゴシップ関連のラジオ番組を担当する ラジオが壊れ、修理に出したのをジョーが受け取りに行く。タクシーに乗るようにいわれたが、ジョーはタクシー代を浮かそうとラジオを抱えて歩き出す。しかし無理だと悟てタクシーを呼び止めるが、その運転手は彼の父親だった
その他にラジオ絡みではないものの
ルーシーは隣近所の話を盗聴することがある(その当時の電話機はそうなっていた) ニューヨークの近くに日本兵が出没するという噂が流れる(当時は太平洋戦争中)
如何にもその時代を反映した流れとなっています。そして作品中で流れる音楽も、それらしい雰囲気のものが選ばれています。その中の一曲を、近いうちにまたアップしようと考えています。
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