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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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二つの大河記事それぞれへの疑問

すみません、またも大河関連です。先日もご紹介した歴史ポータルサイト(最近トップページは歴史サイトと表記されています)関連です。私もコメントを頂いて、久々に見てはいたのですが、やはりレビューをはじめコンテンツに疑問が残るので、これでもう終わりにします。コメントを下さった方には感謝しています。もうこのサイトは見ませんが、他の大河関連やラグビー、ホームズ関連のコメントは受け付けています。ちなみに先日このサイトについて話していたところ、
「見ない方がいいですよ。多様性と言いながら、要は仲間内だけで盛り上がっているんでしょう」
と言われたことを付け加えておきます。

ところでここの今回のレビュー、最後の方だけ見たのですが、庄内藩関連の記述がありました。例の江戸薩摩藩邸焼討事件です。これに関しては、

>SNSで検索をかけたら、「幕末の庄内藩はひどい」という、庄内藩は悪いと言う書き込みを見かけて頭を抱えてしまいました。
庄内藩の名将・酒井玄蕃は、戊辰戦争でも正々堂々と戦いました。占領された場所ですら、庄内藩将兵の振る舞いがあまりに人道的であったため、喜ぶ民がいたと伝わるほどです。そんな庄内藩をダークな悪役にしおった本作。

とありますが、実際庄内藩はこの焼討に関与したようです。これに関しては、まず庄内藩士で新徴組の隊員である安倍藤蔵が、狼藉を働いて薩摩藩邸に逃げ込んだ賊徒を、引き渡すように薩摩藩邸側と交渉したといわれています。しかし交渉が難航し、庄内藩の藩兵が発砲したわけです。その前に、薩摩藩邸の留守居役であった篠崎彦十郎が、庄内藩側から槍で刺されて死亡しています。この時の犠牲者は、薩摩側が篠崎を始め数十名、庄内藩側は砲兵隊長の中世古仲蔵となっています(諸説あり)。これらに関しては「安倍藤蔵」で検索すると、関連サイトや資料の検索結果がヒットします。この資料(鶴岡市史資料編 荘内史料集16-1(明治維新史料幕末期))は生憎ネットで公開されていないようですが、焼討に関する報告があるところから、恐らくこれに関わっていたと見るべきでしょう。無論これは薩摩が焚きつけたことで、いわば幕府側は乗せられてしまったわけですが。

一方で酒井玄蕃は名将であり、病身でありながら兵たちを指揮し、敵の遺体をもきちんと埋葬してもいたようです。また美男子でもあり、大山格之助が後に会って、あの鬼玄蕃と呼ばれた指揮官がこんなに美しいとはと驚いたともいわれます。薩摩藩もこの庄内藩には寛大な措置を取り、武器を撤収しただけで、治安の点はすべて庄内藩に任せています(後に庄内藩の菅実秀は西郷吉之助を尊敬し、『南洲翁遺訓』を書いています)。ただしこの話と、薩摩藩邸焼討とは分けて語られるべきでしょう。

それと
「煽るだけ煽ってコントロール出来なかった西郷の責任も大きいでしょう。」
と書かれていますが、吉之助にしてみれば挑発しまくって、戦のきっかけを作り出すのが目的だったのではないかと思うのですが。

それからこれも以前ご紹介したことがある、『ビズジャーナル』の吉川織部氏の記事です。ドラマを叩く傾向のあるライターであり、しかもメディアがメディアではありますが、これも疑問に思えますので一応書いておきます。リンクは貼りませんので、興味のある方は「吉川織部 戦の鬼」などで探してみてください。

この中で吉川氏は
「まあ、いくら西郷がダークになったからといって、夫を亡くしたお龍に向かって「龍馬が死んでせいせいした」とは言わないだろう。だが、それだけでこの場面が終わってしまったのは残念すぎる。本当にブラック化した西郷を描きたかったのなら、お龍が去った後に『さすがに奥さんには言えなかったけど、ぶっちゃけ死んでくれて良かった』とでも言わせるべきだった。」
と書き、さらにその後で、邪魔者が非業の死を遂げたのを嬉しがるくらいではないと鬼ではないと書いてもいます。

しかしここで疑問です。この大河での龍馬は、本当に吉之助に取って邪魔な存在だったのでしょうか。どう見ても前回の終わり、龍馬に会って物別れに終わるところに始まって、お龍が藩邸に来るまでを観る限り、吉之助が龍馬を邪魔者のように見ていたとは考え難いのです。むしろ吉之助に取って邪魔なのは慶喜の方ですし、また吉之助が龍馬を邪魔者扱いしていると言っているのは、ほかならぬお龍です。さらに「龍馬の死を少しでもラッキーと思わない方がおかしい」ともありますが、それは吉川氏の意見でしょう。恐らくこの大河の吉之助であれば、もう一度龍馬と会って話したいと考えていたのではないでしょうか。もし龍馬が邪魔であったなら、わざわざお龍に藩邸に留まれと言うでしょうか。

そして薩摩藩邸焼討事件に関して、実際に彼らを挑発したところがないと言っていますが、吉之助は自室に藩士-恐らく相楽、伊牟田、益満-を呼んで、浪士を江戸で集め、商家に火をかけろと命じています。しかも江戸城二の丸で火の手が上がったことを、慶喜も板倉勝静から聞いています。これらのシーンをきちんと観ているのであれば、江戸で集めた浪士たちがやったことくらいわかるでしょう。

またこういう記述もあります。

>浪人を集めて江戸で破壊工作を行わせる、いわゆる「薩摩御用盗」の実行を西郷が指示したまではよかったが、実際に彼らが江戸で暴れる場面は一秒たりともなかった。その一方で、庄内藩が薩摩藩邸を砲撃した「薩摩藩邸焼き討ち事件」はナレーションでしっかりと紹介。一応、「度重なる薩摩の挑発」が理由だと述べてはいたが、その「挑発」が放火・強盗・殺人などのテロ行為だったことは、ほぼ隠していた。どうも視聴者に「薩摩は一方的な被害者」という印象を与えたいように見える。

浪士たちのテロ行為を描かない代わりに、焼討事件を描くというのは、薩摩を一方的な被害者という印象を与えたいように見えると結論づけていますが、ちょっと無理がないでしょうか。確かに浪士たちの火付けその他はなかったのですが、焼討事件も砲撃と炎上のシーンが10秒余り登場しただけです。焼討の様子が延々と描かれていたわけではありません。しかも浪士たちの「挑発」が放火・強盗・殺人などのテロ行為だったことは、ほぼ隠していたなどとも吉川氏は書いていますが、ドラマでは放火であることは隠してはいません。また慶喜も薩摩の誘いに乗ってはならぬと言っており、普通に観ていても、これは薩摩が戦を仕掛けるために挑発している=黒幕は薩摩と気づくはずです。ただ吉之助は士気の鼓舞もあり、焼き討ちされた件だけを兵に伝えています。要するに、テロ行為をあまり描かないのが不満なのも知れませんが、揚げ足取りのように見えます。

そして「脚本がブレブレ」などという形で締められていますが、吉之助が龍馬を憎く思っているかどうかもわからないのに、邪魔者だと思っているとか、吉之助が藩士3人を呼び、江戸で浪士たちを集めて放火しろと命じているのに、薩摩を一方的に被害者に見せたがっているなどと書く方が、失礼ながら如何なものかと思います。特に焼討の件は、薩摩を一方的な被害者云々などと書かず、薩摩の悪行ももう少し描けばもっとわかりやすかった位の表現であれば、まだ納得できるのですが。

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[ 2018/09/20 01:00 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)
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Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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