蕃書調所 が開設され、多くの洋書を目にする万二郎。その中には良庵が飛びつきそうな医学の書物もあった。そんな折、外国人を狙う浪士を追う中で、万二郎は西郷吉之助という薩摩人と出会った。万二郎は、西郷とひそかに接触する。西郷は、将軍家定の御台所が、藩主島津斉彬の養女篤姫であることから、幕府への介入を図っていた。
また、芝浜の件で、商家の娘お品が、手縫いの着物を持って万二郎の家を訪れる。どうやらお品は万二郎を想っているようだったが、武家である以上、武家との縁組しかできないと母のおとねは言う。一方良庵の元には、相変わらずおせきが手伝いに来ていた。おせきといる時に嬉しそうな顔を見せる良庵に、おつねは嫉妬する。
善福寺の住職旦海は、アメリカ総領事の役所として寺を使いたいという申し出を受けていた。しかし檀家が納得せず、万二郎に、相手方の通訳であるヒュースケン、そしてハリスを通じて老中へ断りを入れさせてほしい、事がなればおせきを嫁にやるとまで言う。万二郎は、娘を取引の道具に使う旦海の依頼を断り、おせきに、アメリカ人が来ても、自分もいるし何の心配もないと言って去って行く。
道場で小野鉄太郎に、アメリカと戦争すれば、アヘン戦争に負けた清国の二の舞だといわれる万二郎。さらに迷いがある時は汗を流せと言われ、小野を相手にけいこをする。一方でお品は、万二郎と一緒になりたいがあまり、武家の家系図を買おうとする。その相手は、丑久保陶兵衛だった。陶兵衛は武士など浮き草のようなものだと言いつつも、お品に家系図を売り渡す。しかし相手が万二郎だと知り、お品をつかえまえて手籠めにしてしまう。
その万二郎は、井伊大老の進める水戸派排除政策のとばっちりを受け、蕃書調所に立ち入ることが出来なくなり、蟄居を命じられる。後に安政の大獄に発展する弾圧が、このような所にまで影響していたのである。そして良庵は、父良仙、義弟大槻俊斉と共に伊東玄朴に呼び出されていた。
そこにいたのは意外にも奥医師の多紀玄迫だった。将軍家定が重度の脚気と疲労に加え、まぶたの裏や口蓋に黒い斑点が出ているが、奥医師では対処が出来ないと言う。良庵は、やはり蘭方医の戸塚静海から書物を借り、寝食を忘れて調べ物をするが、当該の症状は見当たらず、訪ねて来た万二郎には、流行り病について調べていると話す。
万二郎は蕃書調所の医書を見せようとするが、今は出入り禁止の身であった。その時ふと、次期将軍も決まったと口にしたため、良庵は、上様はそこまで悪いのかとうっかり口を滑らす。万二郎に口外無用を言い渡した良庵は、結局はアメリカの医書を見たいと言って、蕃書調所に2人で忍び込む。しかし良庵は英語を読めず、ヒュースケンが翻訳をしてくれ、ようやく腎上体(副腎)の病気であることがわかる。
しかし玄迫は、蘭方医に依頼したことが発覚して、蟄居となった。また、玄朴や良仙が奥医師に採り立てられるとのことで呼び出されるが、結局それも立ち消えとなった。しかし、種痘所の開設は認められ、これによって江戸の人々が種痘を受けることが可能になり、良庵の望みもかなえられた。
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