藤原良相の娘で、常行の異母妹の多美子の入内が決まります。一方高子の入内を押す藤原宗家の良房に取って、これはただならぬ事態でした。さらに多美子は妙な物音を耳にするようになり、これらの件に関して高子が行動を起こします。
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菅原家では是善が白梅を呼びつけ、藤原高子の文が届いたと知らせる。高子は物忌中で、退屈を紛らわすため『李娃伝』を借りたいと言って来ていた。書庫の蔵書を把握している白梅は、どこにそれがあるのか見当がついたが、その手紙に不審な点があるため、道真にそれを見せる。手紙には途中まで文字が書かれていたが、後は余白で、しかも柚子のような香りがしていた。道真はそれを火にかざしたところ、あぶり出しで文字が浮き出て来た。
それには入内する多美子が気になると書かれていた。しかし道真は、厄介ごとにに乗るつもりはないと思いつつ、さらに読み進めて行くと、唐物の陶硯に傷をつけたとあり、その処分方法をどうすべきかと書かれていた。手紙を持つ道真の手が震えたが、その場を何とか取り繕い、白梅に高子の許へ行くように命じる。そして高子は白梅に、藤原家の内紛を嘆き、さらに多美子に出来るだけ近づいて、もし何かあった時は、道真への連絡役を務めるように白梅に頼む。
道真は今更ながら、高子が自分を何とかして、多美子入内に関する問題の解決に巻き込む魂胆であることを知る。とりあえず白梅は多美子に漢学を教えに通うことになるが、髪もぼさぼさで目つきがぎょろりとした白梅は、女官たちの反感を買う。しかし吉野という、多美子付きの女官が、藤原家に仕える者ということで間に入ってくれた。多美子に初めて対面した白梅は、こんな可愛らしい少女が、身の危険にさらされていることを気の毒に思う。
白梅が不在がちということもあり、道真は陶硯の修理の件で昭姫の店へ行く。するとそこには在原業平がいた。さぼっていていいのかと問う業平に、ちゃんと仕事をしていたのですねと皮肉交じりに言い返す道真。業平は入内に関することで、市井の怪しいうわさがないかを尋ねに来ていたが、取り立てて妙な話はなかった。昭姫は百鬼夜行の件も聞かなくなったが、あれは何だったのだろうかと言い、また自分たち下々の者には、お貴族様の輿入れ合戦などどうでもいいと付け加える。
藤原常行はあの百鬼夜行の正体は、藤原宗家の手下の渡来人であることに気づいていた。そこへ基経がやって来て、多美子の入内を巡り言い争いになる。一方白梅は漢学を教えている多美子から、床下の物音について聞かされ、明日は自分が床下を調べると大見得を切ってしまう。多美子がいる邸の警護状況を調べるため、邸の前に業平が訪れ、その日から漢学教師の女官が来ていることを知らされる。しかもそれが白梅であることに業平は驚く。
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高子は道真に、何とかして多美子の入内に関わるいざこざを処理してほしいと思っているようです。しかし道真は藤原氏のことにだけは、首を突っ込むわけには行かないと思っていました。そこで多美子の役に立ちたいと言う白梅の望み通り、彼女を漢学教師として多美子の許へやります。その一方で多美子の異母兄常行と、藤原基経の関係が一触即発といった雰囲気になります。また例の百鬼夜行の件に関しても、常行は不審に思います。
そして昭姫もまた、百鬼夜行の騒ぎがすっかり落ち着き、あれはいったい何であったのかと口にします。常行と昭姫の二人が百鬼夜行に言及したことにより、何やらこの入内を阻もうとする黒幕が見えてくるようです。
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