万二郎はおせきに、藤田東湖が地震で母を庇おうとして、家屋敷の下敷きになり亡くなったこと、「陽だまりの樹」も倒れたことを話し、今後の幕府を憂える。しかしその後、藩家老の佐伯から連絡が来て、父の千三郎共々藩邸に向かう。その後万二郎は佐伯に伴われて登城するが、ここでも融通の利かなさを佐伯に指摘されてしまう。
江戸城では老中阿部正弘から、芝浜での一件について評価され、下田奉行所勤めとなる。当初は、黒船相手に斬り込むのかと意気揚々たる万二郎だったが、実際はアメリカ領事のハリスと、その通訳のヒュースケンの護衛だった。面白くないといった顔をする万二郎だが、同僚から、自分たちが異人どもを監視して、下田の民を守っているといえばいいと諭される。
大坂では、良庵が適塾に入塾したものの、塾生たちの汚さや、良庵の刀を奪い合う姿勢に呆れる。そして師の緒方洪庵に挨拶をした良庵は、先の腑分けのことについて問われた後、医学は民のためにある物で己のためにある物ではない、「医者の意地」などというのはよくないと窘められる。
その後、ヅーフ・ハルマが置かれたヅーフ部屋を案内してもらった良庵は、悪臭に顔をしかめる。塾生たちが庭先でアンモニアを作っていたのだが、一人が立ち上がったはずみで、それを良庵の袴にかけてしまう。その一方で、中津藩の福沢諭吉という男と懇意になった。しかし良庵の遊郭通いは直らず、授業にも遅れて出て来る有様だった。
ある日、古手町の種痘所にいた洪庵と良庵の元へ、植木職人が飛び込んでくる。呉服問屋蜷屋の主人が、疱瘡を患っているというのだ。2人は早速蜷屋に行くが、主人は自分にはかかりつけの漢方医がいると耳を貸さない。やむなく2人は、蜷屋の人間で、病気で休んでいる者はいないかを訊きだし、おゆうという女中が風邪で寝込んでいると聞く。そこを訪ねた良庵は、彼女が疱瘡であり、しかもある男と関わりがあったことを知る。
良庵はその男の元に行き、殴るけるされながらも、すぐに種痘を受けないと疱瘡に罹ると説得し続け、何とか種痘所まで連れて来たものの、顔を見た洪庵から、この男は既に疱瘡に罹って免疫が出来ていると言われてしまう。その夜、良庵は福沢と話し、江戸に種痘を広めたいと自身の希望を語る。一方福沢は、公費で洋行したいという夢を良庵に話す。
さて下田では、とある事件があった。ハリスやヒュースケンが、万二郎たちのことを、護衛でなく監視のようで息が詰まると言い出し、ある日ヒュースケンが一人で外出してしまう。しかしある浪人者が彼をつけ狙う。その浪人者こそ、かの丑久保陶兵衛だった。危うしヒュースケン。しかし、ヒュースケンを追って来た万二郎により、かろうじて救われる。
実は陶兵衛は、下田奉行が、日本側の警護を嫌がるアメリカ人へのいわば見せしめとして、金を出して襲わせたのだった。しかし単なる脅しでなく、万二郎とのつばぜり合いになったことからこの目論見は失敗したと見て、陶兵衛に金を渡し、自分の前から去るように言い渡す。
その後万二郎が、ヒュースケンが現場に落とした手帳を届けたのをきっかけに、2人の間には交流関係が生まれる。日本語を教える万二郎と、英語を教えるヒュースケン。ヒュースケンはさらに地球儀を見せ、アメリカはここで日本はここだと教える。日本の小ささに唖然とする万二郎。次第に彼は開国へと考えが傾き、良庵にそのことを手紙で知らせる。
そんなある夜、仙三郎の屋敷に良仙が訪れる。互いに息子のことを語り合い、これが親というものなのだと確信しあう2人。しかし、その直後に万二郎に知らせが届く。それは、父仙三郎の訃報だった。
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