先日の相撲関連投稿でも触れましたが、ラグビーも独自性が結構あるとはいえ、スポーツである以上、一応はフェアプレイの精神が、世界共通となっています。しかし日本ラグビーフットボール協会(以下、協会)において、どこか世界と違ったものがあったのも事実です。かなり前のことですが、イングランドが来日した際に、試合中の給水ができないというハプニングがありました。これは諸外国では、その当時既に常識になっていたのですが、なぜか日本では給水ができなかったのです。無論その後改められましたが、この協会の姿勢に疑問を持つ声もありました。
そして代表監督選びも、特定の大学(早慶明同)から順番に選ばれていました。無論中にはそこそこうまく行った監督もいましたが、本人のコーチング経験、特に代表に準じたチームのコーチ経験もないままに選ぶというのも、わけがわからないことであり、要は協会に取って、大学ラグビーが如何に大事であるかを窺わせるものでした。つまり協会サイドでは、あくまで大学ラグビー主体、そして社会人(現トップリーグ)、代表といった感じで、口ではワールドカップの勝利云々と言いつつも、それにふさわしいだけのチームを作れているのか、これも疑問でした。
平尾氏が選ばれたのも、その二代前の小藪氏でニュージーランドに145失点し、山本氏は監督としての期限が切れたため、ここでテコ入れを考えたのはわかります。ただコーチ経験が、自らが率いたことのある神戸製鋼のみという平尾氏に、いきなり代表監督というのも無理な話でした。いくら本人にやる気があったとはいえ、まずその一つ下、今だとU20とか、高校代表レベルから始めてしかるべきだったのです。しかも当時の専務理事だった白井氏の「やる気がある限り続けてほしい」も、監督の契約内容としては無理があるものでした。
そもそもこの当時、監督は協会と契約を交わすのではなく、協会がお願いしてやってもらう存在でした。これは当時の会長の発言で明らかになっています。そのため実際は解雇に値しながらも、勇退ということで退いた監督もいました。こういう体制では、協会サイドが監督に厳しく言えるわけもありません。また代表強化について、協会と監督の間でどのくらい突っ込んだ話し合いがなされたのか、それも無論よくわかりません。平尾氏の監督辞任、実質上の解任は、協会にも大きな責任があるものでした。
そして平尾氏は、監督というよりは、子供の頃から楕円球に親しませ、自分の判断でプレーをさせる組織のまとめ役の方が向いていました。確かに子供にラグビーの何たるかを教えて行く存在よりも、代表監督の方が知名度が高く、マスコミの取り上げ方が大きいのも事実で、だから有名選手をとなったわけですが、代表監督というのは、そういう選び方をするものではありません。平尾氏も代表キャプテンとして、宿沢監督との二人三脚でチームを引っ張って行くのには、確かに向いていたとは思うのですが。
その当時、今から20年ほど前に比べると、協会も変化が見られましたし、代表監督は外国人が当たり前になりました。ましてやスーパーラグビーに参加できるなど、その当時は考えてもいなかったでしょう。実際外国人監督(HC)選出や海外に出て行くことで、ネットワークが大きくなるのはプラス要因です。しかし個人的には、もっと監督選びや試合の組み方に欲を出してほしいと思います。無論今のジョセフ氏も、国際試合ではそこそこ結果を残しているのですが、2015年のワールドカップが終わった時点でエディー・ジョーンズ氏に再契約を迫れなかった、その辺りがまだ弱いようです。
今現在、ラグビーをやっている国、WorldRugbyに名を連ねている国は結構います。しかしその中で、ナショナルチームを本気で強化している国がどのくらいいるかというと、恐らくはそのごく一部でしょう。無論中には機材や人材が揃わないというケースもあるでしょうし、ラグビーそのものの人気が低く、強化しようにも選手が限られるというケースもあると思います。我が日本がどのくらい本気で選手を集めて強化をし、質の高い試合をしているか、それは数々の国際試合で答えを出すしかありませんが、その大きな山は恐らくは来年やって来ると思われます。
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