薩摩では、お由羅騒動のため遠島になっていた次右衛門が戻り、正助は久光に働きかけるようになります。そして江戸では、紆余曲折を経たのちに篤姫の輿入れが決まりますが、家定のこと、慶喜の将軍擁立のことをすべて聞かされた篤姫は、覚悟していると斉彬に答えます。しかしその直後、思いがけない天災が江戸を襲うことになります。
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安政2(1855)年3月、島津斉彬はお由羅騒動で処罰された人々を赦免し、大久保次右衛門は久々に薩摩の土を踏んだ。次右衛門は子供たちの成長を喜ぶものの、遠島前に相撲を取った吉兵衛も、その妻満佐も他界したことを悲しむ。そして息子の正助は、島津久光が異国との戦に関心を寄せているのを知り、それに関した書を借りて、久光宛てに、赦免に尽力してくれた礼状を忍ばせておいた。その一方で江戸では、篤姫が江戸に来てから2年も経つのに、未だ輿入れの具体的な話が来ていなかった。
篤姫は幾島の指南もあって、御台所にふさわしい教養をすべて身につけていた。幾島は、世継ぎを産むことこそが大事と考えており、変装して磯田屋へ行って飯盛女たちに酒を振舞い、諸藩の内情を探る。さらに彼女は家定の実母本寿院と、家定の乳母歌橋に目通りし、篤姫は体が丈夫で運が強いことを売り込む。そして吉之助もまた多くの金子を受け取り、旗本の家老たちを遊郭に招いて、接待を行う。最近夜遅くに、しかも酒のにおいをさせて帰って来る吉之助を、大山格之助や有村俊斎は怪しく思うが、吉之助は知らぬ顔を決め込んでいた。
本寿院は家定に御台所を決めさせるべく、候補となる姫たちの肖像画を並べ、その中から選ぶように諭す。しかし家定が指さしたのは、阿部正弘と共にその場にいた井伊直弼だった。しかも池のアヒル(カモ?)が死んだことを知った家定は、なぜ皆余を残して死んでしまう、余は死なない御台所がほしいと言う。本寿院は、命には限りがあるものの、丈夫で運の強い姫ならいると離し、家定の足元にある絵を指さす。それは篤姫の肖像画で、家定はそれを見て篤姫を迎えることを決める。井伊は不満げだったが、本寿院に家臣の分際でといわれ、返す言葉が見つからなかった。
これにより、その年の末に婚礼が挙げられる運びになったが、吉之助の脳裏には、斉彬の「於篤は不幸になる」が渦巻いていた。婚礼のことを聞いた篤姫は、吉之助にも礼を述べて去って行くが、斉彬と吉之助が家定について、篤姫が何も知らずにいる件で話しているのを、幾島が耳にしてしまう。その後彼女は枕絵を燃やし、その後は、篤姫を強くするべく薙刀の稽古でしごく。吉之助が見るに見かねて、幾島に進言しようとするも、口出し無用と言われて下がらざるを得なくなる。
その後斉彬は篤姫に自ら茶を振舞い、家定が虚弱で、子を成すことは難しいと言って聞かせる。要は彼女の役目は、大奥に、次期将軍は慶喜を擁立するよう働きかけるというものだった。篤姫はそんな斉彬に、自分は不幸になっても構わぬ、薩摩の姫となれただけでも本望だと気丈に答える。そして10月を迎えて間もない雨の夜、江戸市中を安政の大地震が襲った。吉之助はすぐに斉彬の許へ駆けつけ、無事を確認した後篤姫の寝所の方へ向かう。
篤姫の部屋では、倒れそうになっていた柱を吉之助が渾身の力で支える。そんな吉之助に篤姫は、父上も公方様もいない遠国へ、一緒に行ってはくれないかと頼み、吉之助もその気になる。しかし篤姫は立場上、それはできないことを知っており、逃げ出す気配は見せなかった。ただ吉之助がその気になってくれたことが、彼女には嬉しかったのだった。その後幾島がやって来て、2人はその場を去り、篤姫は御台所となる身を守ってくれた吉之助に、礼を述べるのだった。
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まず大久保次右衛門が遠島から戻って来ます。吉兵衛と満佐が既にいないのを寂しく思いますが、息子の正助はそれなりの働きをしていました。この際の赦免に尽力してくれたことで、久光に礼状を送るのですが、この辺りが正助らしいそつのなさと見るべきでしょう。しかし江戸ではまだ御台所が決まらないこと、そして本寿院が、半ば無理やりといった感じで篤姫に決めさせたことに対し、井伊直弼が面白く思わなかったのは、無理からぬことでした。これがその後の安政の大獄への伏線となって行くわけです。
そして磯田屋であれこれ工作しまくる幾島と吉之助ですが、幾島が輿入れの真の意味を知らなかったのは、いささか疑問でもあります。何かでこのことを知っていて、そのうえであのような行動に出たのかと思っていたのですが…。事実を知った時から、彼女は篤姫に対して厳しくなりますが、その時「ひとりで戦う」 と口にしているわけですから、恐らく篤姫もそのことは感づいていたかと思います。ただそれならそれで、感づくのを窺わせるシーンがあってもよかったかと。
それと最後の、篤姫の寝所で2人きりになるシーンですが、いくら何でも将来の御台所と警護役の下級武士が、地震のどさくさで駆け落ちというのはちょっとありえないでしょう。恐らく篤姫は2人きりになったことで、吉之助の本心を聞き出したかったのでしょう。しかしここで吉之助が
「姫様、いくら何でも御台所になるお方と左様なことは、恐れ多いことにございもす」
とでも言うのならともかく、真に受けてしまっているというのは如何なものか。無論篤姫がしごかれ、しかも女としての真の幸せを得られないことで、ついつい同情したとも考えられますが、彼がそんなことをやってしまうと、一番窮地に立たされるのは斉彬なのですが…。この大河では、現時点では吉之助は善人なのですが、その辺にいささか疎い設定になっているようです。 結局御台所となる体をよう守ってくれたと言い、篤姫が幾島と去って行くことで何とか救われた気がします。実際に駆け落ち紛いのことをしては、スイーツになってしまいますので。
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