あらすじ&あれこれでも触れましたが、『直虎』と『江』、『花燃ゆ』の共通点です。
主人公が歴史に関わろうとする 目的地に瞬間移動と言うべき速さで到着する 目的達成のためになりふり構わない 3番目の目的達成云々というのは、たとえば『花燃ゆ』の文(美和)が、椋梨藤太邸に押し掛けて泣きわめく、あるいは今回のおとわが、瀬戸方久から無理やり金を奪い取るというような感じでしょうか。相手の立場を考えずに、強引に従わせるパターンです。その一方で、自分をありがたがってくれる人には、かなり献身する。この3作の主人公は、とりわけこの両面性が強いように見えます。キャラ設定といえばそれまでですが、感情で動きたがる主人公を、殊更に持ち上げるが如き傾向があります。
この『おんな城主 直虎』は『江』、『花燃ゆ』よりいいという意見もあるでしょう。しかしどの部分がどのようにいいのか、どうもよくわからない。何よりも制作陣がこの2作から何も学んでいないし、更に悪くしてしまった感もあるわけです。生首などを入れたがる点で、ストーリーとどこかそぐわなくなっているというのは既に書いていますが、何よりも史実に縛られない大河を目指したために、登場人物がなぜそう行動するのか、その辺りの描写がまるであやふやになっています。
今回や『花燃ゆ』などは、史料があまりない女性(直虎=女性は井伊家伝記のみですが)が主人公でしたが、それでは史料がある女性なら50話作れるかというと、そうでもなさそうです。ここでちょっと女性大河全般の話になりますが、女性が主人公の一人である群像劇ならまだしも、その人だけを主人公にして50話はやはり無理がありそうです。どうしも歴史に関わる時期が限られるため、いくら創作部分を面白くしても限度があるでしょう。
次にもし女性大河を作る場合、最右翼候補と思われる寿桂尼でさえ、今川氏親の代から始めたとしても、20回もあれば十分ではないでしょうか。しかもその多くは義元、雪斎、氏真が絡むわけです。もちろん武田、北条も絡んでくるので、過去の作品とダブらない描き方が必要です。無論半年×2で1年を消化し、本格的な物は1年という手もあるでしょう。この2つを交互にしてもいいかと思います。半年なら、少々マイナーな主人公でも何とかなり、各地の大河化要請にも応えられるのです。
もちろん女性の中には、その20回程度でさえ物語を作りにくいこともあります。そういう人は、やはりBS時代劇で、6回から8回ほどで描くのがベストです。というより、多くの歴史上の女性はこれに該当するでしょう。実在と思われていてかつ有名でも、実は殆ど史料がない人もいます。そういう人は、創作をまじえてBS時代劇にすれば、さほど批判も来ないでしょうし、戦闘シーンがあまりないことも多いので、予算もそうかけなくてすむのです。
女性大河ではなく、一般的な大河関連でまた書こうと思いますが、主人公をある程度決めてしまい、各地から大河化要請がある人たちに関しては、準主役程度で絡ませるという方法もできるでしょう。何よりも過去の大河で、一度または二度ほどしか出ていない人物を、違った角度から描くこともできますし、変な創作だらけの女性大河を作るのであれば、もう一度太平記や忠臣蔵、さらに奥州藤原氏を取り上げた作品を作ってほしいものです。忠臣蔵や奥州藤原氏は半年でもいいでしょう。
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