信康事件、家康はあの手この手で、何とか信長の機嫌を損じずに、ことをうまく運ぼうとします。しかし瀬名が、武田への内通の証拠と思われる文を残し、石川数正と共に行方をくらまします。家康の計画に、暗雲が立ち込めることになります。
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おとわは瀬名に会うために岡崎城に行くが、そこで信康を捕える徳川の家臣たちを目の当たりにする。その中には万千代と万福もいた。家康は、信康を幽閉するための城をくるくると変えて時間稼ぎをし、その間に今川氏真を立てて、北条と密約をかわそうとする。しかし瀬名は、自分が武田と内通したという証拠を残すと、石川数正だけを連れて姿をくらませてしまう。井伊谷に立ち寄った二人はおとわと会い、更に家康の策を伝えに来た万千代と万福に会う。そこで二人は、家康の策を知らされる。おとわは二人を匿おうとする。
さらにおとわは、瀬名が疑いを掛けられ、家のために命を捨てることをなじるが、既に瀬名は覚悟を決めていた。そして数正と龍潭寺を後にし、途中で数正と別れると、徳川の兵に捕らえられ、斬首される。その後氏真は、北条と話が付いたことを報告に来るが、既に家康の許には瀬名の首級が届いていた。家康も万千代も、それぞれが自らの責任であると主張する。瀬名の内通は酒井忠次によって織田信長に知らされ、信長は好きにせよ、余も好きにすると酒井に伝える。そして信康は、天正7(1579)年9月15日、自害して果てた。これにより岡崎城は混乱する。
おとわは例の井戸の側で、武家の世はこういうことばかりだと嘆く。南渓はそんなおとわに、ならばそなたがやってみろと言い、おとわは浜松城へ向かって万千代と面会し、ここでもまた戦に関して繰り言を述べる。その頃家康は、皆の意見を聞いた結果がこれだと言い、最早誰の指図も受けない、自分ですべて決めると言い張る。しかし万千代は、負け戦は間違いを正すことが肝心と言い、おとわが持って来た、瀬名の紅入れを家康に渡して、御方様が見ておられますと家康に忠告する。その紅入れは、龍潭寺で瀬名がおとわに贈ったものだった。
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今回の気になった点です。
北条との密約云々、実はこの大河に登場しないことが絡んでいて、それを描かないので何かおかしくなっている。詳しくは後述 井戸での出会いが偶然すぎで噴飯もの おとわが自分より身分が上であるはずの瀬名に、タメ口を利くのもおかしい 例によってはおとわが、武家はこうだの、家のために命を捨てるなだの、この当時としてはありえないであろうことを平気で言う。これも後述 どう見ても瀬名の犬死。こんな設定でなく、きちんと自害をさせた方がよかった おとわが浜松に行って、しかも一万石取りの万千代と立ち話というのも変
まず北条と密約というのは、要は御舘の乱絡みですね。 先日の田中城攻めでも触れましたが、この時北条は養子に出した上杉景虎(長尾景虎ではありません)が、家督を巡って景勝と争い、間に立った武田勝頼が不在の時に、景勝が景虎を討ち取ってしまいます。このため北条は武田との盟約を破棄し、徳川について武田を攻めることになるのですが、それが全然描かれていないので、家康が信康を延命させるために打ち出した、苦肉の策のようになっています。
それからおとわですが、彼女の目つきがまたすさまじい。ちょっと某野党の議員を思わせるのですが、それはともかく。まず瀬名へのタメ口に始まり、龍潭寺ではこう言います。
死んでいく奴は皆左様なことを言う!
お家のために命を捨てるは己の本懐。
そんなことばかり言いよる!
残される者のことを考えたことはあるか。
助けられなんだ者の無念を考えたことはあるか!
もう二度と私はあのような思いはしとうない!
徳川殿を大事というなら、どうか左様な思いはさせないでくれ
さらに井戸端でも、南渓にこう言います。
理不尽に命を差し出せといわれ
差し出す方は本懐などと笑い
この時代、こういう発想はまずないでしょう。むしろ瀬名の考えの方が普通であったと思われます。 仮におとわがこういう考えであったとしても、物言いが下品すぎる。特にこの点に関しては、以前から何度か触れていますが、『風林火山』にぶつけている感があります。これに関しては、改めて書きたいと思います。しかし戦がどうこうと言う割には、万千代もその後何度も戦で手柄を立てますし、徳川家に至っては、大坂の陣で豊臣家を滅亡させてしまうのですが。
それにしても、龍潭寺で徳川が運が強い云々と言っていますが、瀬名が助かったのは人質交換がうまく行き、なおかつ石川数正が馬を飛ばして駆けつけたからです。しかし、それに関する数正への言葉がないのですね。あの時おとわもいたでしょうに。それと例の碁石、あれは『花燃ゆ』の「ボタオ」を連想させます。同じ無名の女性主人公の大河同士で、似たシーンが登場です。
あと石川数正の「お方様ほど美しい人はいない」、結局何を言いたかったのでしょう。要は、瀬名と数正が駆け落ちでもしているような雰囲気にしたかったのでしょうか。この大河は、どうもこういうシーンが目につきます。さらに人物設定も、これも以前も触れましたが、通り一辺で深みに欠けるなと思います。それから菜々緒さん、初めての大河で頑張ったと思いますが、残念ながらこの人は今一つ奥方という感じではありません。
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