3月5日放送の『おんな城主 直虎』は、桶狭間がテーマでしたが、あくまでも井伊目線の桶狭間ですので、戦闘シーンは少なめでした-とは言っても、予想したよりは多めでした。昨年の『真田丸』でも触れましたが、関ヶ原の戦いが殆どなかった点についても、真田目線なのだからそれは構わないと思います。
その代わり、大坂の陣で、関ヶ原残党が参加した時に、その有様を語るところがあってもよかったかと思いますし、何よりも、これこそ主人公の見せ場である大坂の陣を、もう少し戦闘中心に描いてほしくもあったのですが。
井伊家の場合は、直政がメインになってから合戦シーンは増えるのではないかと思われます。大河は合戦がなければという声もあります。無論予算の関係もあるでしょうが、かつて三英傑や、武田信玄などの有力大名が主人公だったころは、戦抜きでは語れないので、それなりに合戦シーンも多かったとは思います。無論スタジオ撮影も結構ありました。『徳川家康』の大坂の陣も、多分スタジオだったと思います。
それと小説を脚色していた頃は、小説に合戦シーンが詳しく書かれているため、合戦の比重も比較的大きかったと思われます。しかし三英傑や大名などが主人公でない場合は、戦国時代であっても、合戦の割合は比較的小さくなるでしょう。
特に今年の場合、最初は完全に今川家の支配下にあるわけですから、今川が動かない限り、合戦の機会はそうそうありません。下手に戦支度などしようものなら、謀反の疑いをかけられるのがいいところです。
『真田丸』の場合は、戦闘はないものの甲冑をつけているシーンが結構ありましたが、あれは真田家が主君を持たず、自分であれこれ策を講じて、自領を守らざるを得ない状態だったこともあります。むしろ井伊家は、義元の戦死で今川のタガが緩み、駿河や遠江、三河が混乱状態に陥ってからこそが、策をどう講じるかになって来るわけで、そうなって初めて、これまで描かれて来たものが意味を持ってくるのでしょう。
井伊目線といえば、この『おんな城主 直虎』では、三英傑であっても、井伊と接点がない場合は登場しないか、描かれてもごくわずかということが多いようです。これは『真田丸』も同じですし、過去の大河でも似たような描写はありました。
先日信長役が、市川海老蔵さんであることが発表されましたが、無論今回の桶狭間では、まだ信長は登場しません。恐らく登場は、井伊と徳川のつながりができるようになってからでしょう。徳川(松平)も現時点では、次郎の旧知の瀬名を通して、あるいは新野左馬助や小野政次といった、井伊家の目付を通してのみの描写というのは好感が持てます。
また井伊家が、昨年の豊臣家そっくりと書いたことがありますが、トップが身内で固められてしまい(*)、外部の人間にいい思いを抱かないという点などは、まさにそっくりです。片桐且元が、大蔵卿局や大野治長から目の敵にされたのを思い出します。
今年の場合は、その立場に立たされるのは小野政次となりそうです。ただ、どう見ても政次の方が、片桐さんより切れ者といった印象ではあります。恐らく今後、小野との溝が離れる一方なのではなく、紆余曲折を経ながら、ある時期で分断されてしまうように思います。
(*)奥山、中野といった家は元々井伊とは親類筋といわれています。
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