では今回のあれこれです。
次郎と直親としの 井伊家の後継ぎを巡る展開ですが、女性2人は結局言いたいことを言ったわけですから、意外とすっきりした結末でした。むしろ、そこへやって来た直親が、ため息をついて他人事のような態度を取るため、次郎が諌めることになるわけです。
無論、しのが次郎を疑ってかかるところ、次郎が、井伊の姫であることを嵩に来たような物言いをする点は、共にほめられないのですが、最終的には夫婦の問題であり、直親も井伊の後継ぎとしてもう少し自覚的になるべきでしょう。この人の場合、悪気はないと思われますが、それが逆に災いしそうです。またしのの場合、第7回で既に、次郎が自分たちの領分に入って来ているのを快く思っておらず、それが積もり積もったとも考えられます。
小野夫妻と傑山 その一方で、松平家もそうですが、小野玄蕃夫妻にも子供が生まれました。子ができる秘訣を訊きたがる次郎に、玄蕃は「愛」などとのほほんと答え、妻のなつがフォローします。「愛」などと言うと『天地人』を思い出しますね。小野兄弟はかなり性格が違うようです。
一方で、最近人気上昇の傑山、この人は諜報部員的なところもある一方で、ボディガードの役割もきちんと話しています。今回は次郎の話を立ち聞きするのではなく、しのが懐剣を振るったところを、身を挺して救います。第2回が「おとわ危機一髪」というサブタイでしたが、このシーンこそ正にそれであったかと思います。しかししのも自害すると見せかけて、重心を落として次郎を狙いに行くというのは、なかなか怖いものがあります。
如才ない政次 一方で、鼓を売ってそのお金で麝香を買ってほしいと、政次に頼む次郎。政次は、ならばその薬を自分で飲んで、直親の子を産めばいいではないかと、相変わらず皮肉めいたことを言います。しかしこの当時の鼓の値段は、どのくらいの相場だったのでしょう。中古品とはいえ、それなりの値段で売れたのでしょうか。時代は違うものの、『応天の門』などにも登場しますが、唐渡りの薬は結構な値段で、麝香もそれなりに値の張る物ではあったようです。
しかし奥方様に扇を買ってくるとは、流石にこの人は如才がない。この辺りが、人はいいけどあまり気が回らない直親と違うところと言えるのかもしれません。
元康は「これで」戦上手 父義元に比べると、あまり出来がよくなさそうな今川氏真のセリフです。「これで」だけ余計な気もしますが、やはり今の元康の雰囲気からすれば、その余計なひと言も出て来ようというべきでしょうか。実際松平元康、後の徳川家康は、戦経験がかなり豊富なのは事実です、何せ70過ぎても、大坂の陣で采配を振るっていたのですから。その基本は、恐らく駿府でのこの時代に培われたものでしょう。
このシーンで気になるのは「三河守」です。後にこの元康=家康自身が三河守を名乗ることを考えれば、なかなか意味深に思えます。それと元康が「朝比奈様」と言っていますが、これは朝比奈泰朝のことでしょうか。この人物もまた、井伊家に決定的な影響を与えますね。
『おんな城主直虎』に見る真田丸その2 その元康、妻の瀬名の手紙によれば、相変わらず一人二役で碁を打ち、時に癇癪を起して碁石を払ってしまうとの由。南渓和尚が面白そうな男だと言うのには、さて如何なる意味があるのか。碁石を払うといえば、昨年の『真田丸』の真田昌幸も、刀の鞘で碁石を払っていたことがあります。これはかの人物のことゆえ、自分に不利な状況の時ににわざとやっていたのですが、彼の生涯のライバルともなる元康の場合は、攻めと守りのかみ合わなさゆえでしょうか。
それと、しのが次郎を止めようとした時に「重い」というセリフがありますが、これも、細川屋敷に火をつけて、小笠原少斎に自分を討たせようとする玉を、きりが引っ張って行くシーンをちょっと思い出します。
今回は側室や漢方薬、そして桶狭間の戦いなど色々登場しますが、それに関しては別にアップしたいと思います。
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