2005年に、フランス人のジャン=ピエール・エリサルド氏がヘッドコーチとして招聘され、これでやっと強い代表ができるかと期待しましたが、1年目は、当時行われていたパシフィック・ネーションズカップをはじめ、さほどの結果は見られませんでした。そしてその翌年、エリサルド氏が日本代表のヘッドコーチでありながら、古巣のバイヨンヌのディレクターに就任したことが問題となり、エリサルド氏は解任、かつて日本でプレイ経験もある、元オールブラックスのジョン・カーワン氏がヘッドコーチに就任することになりました。
その当時の代表ディレクターの太田治氏とカーワン氏は、かつてのNEC(現・グリーンロケッツ)のチームメイトでした。ニュージーランド出身のカーワン氏は、意欲的にコーチングに取り組み、その傍ら、ラグビーのプロモーションにも余念がありませんでした。しかし2007年のパシフィック・ネーションズカップの成績は、日本は唯一トンガに勝ったのみでした。それがその年のワールドカップで、日本はフィジーに大接戦し、カナダと引き分けたため、代表への期待がかなり高まることになりました。
またパシフィック・ネーションズカップではこれといった結果ではなかったものの、アメリカやカナダといった北米勢、ロシアなどにはきちんと勝利していて、次のワールドカップでは、久々の勝利が望めるとファンも期待していました。実際、次のワールドカップイヤーである2011年、パシフィックネーションズカップではフィジーを下し、1位となりました。しかし本大会では、開催国ニュージーランドやフランスはもちろん、本来破るべき相手であったトンガにも負け、そして二大会連続の対戦相手となったカナダにはまたも引き分けという結果に終わりました。
このカーワン・ヘッドコーチの時期には、IRB(国際ラグビーボード、現・ワールドラグビー)の創設当時の8ユニオン、つまりイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、フランス、そして南半球三か国のニュージーランド、オーストラリア、南アフリカとの対戦がありませんでした。所謂ティア2、世界の二番手相手であればそれなりの試合ができて、勝利ももぎ取れるのですが、その上のチームとの試合が足りない点も指摘されていました。その後、元オーストラリア代表監督で、サントリーサンゴリアスのアドバイザーもしていた、エディ・ジョーンズ氏がヘッドコーチと決まりました。
外国出身選手の比率が高かったカーワン氏のチームとは異なり、ジョーンズ・ヘッドコーチは日本人選手を多用しました。そして2013年にはホームでウェールズと対戦、秩父宮の試合で勝利を納めるに至ります。IRB(ワールドラグビー)創設国からの勝利は、1989年のスコットランド戦以来となりますが、その時はスコットランド側が、この試合をキャップ対象とみなしていなかったため、互いにキャップ対象のテストマッチとしては、このウェールズ戦が初勝利となりました。翌2014年には、イタリアに初めて勝利します。
イタリアに勝利した年のパシフィックネーションズカップは、好成績に終わりました。この年はジョージアに負けるまで、テストマッチ11連勝という偉業も成し遂げました。そしてその翌年、イングランドでのワールドカップイヤーに、日本はパシフィックネーションズカップこそ芳しくなかったものの、ワールドカップ前のウルグアイとジョージア相手の試合にはきっちり勝ち、そしてあの南アフリカ戦を迎えるに至ります。1991年大会以来の、しかも優勝候補相手の勝利でした。スコットランドには負けたけどサモアとアメリカにも勝ち、なのに予選リーグ敗退となったのは実に残念でした。
そしてジョーンズ・コーチが退任、イングランド代表監督となり、2016年のスーパーラグビー後に、ジェイミー・ジョセフ氏がヘッドコーチに就任します。夏のウィンドウマンスは、スコットランドに勝てそうでいながら勝てない試合でした。ジョセフ氏就任後の秋のウィンドウマンスは、まずアルゼンチン代表に敗北、そしてジョージアにアウェイで勝利、ウェールズを追い詰めるところまで追い詰めての惜敗、最後にフィジーに敗北となりました。あの時ウェールズに勝っていたらと思いますが、それはそれ、今年の6月の試合はきっちり勝てるようになってほしいものです。
そして今年のテストマッチは以下のリンクのようになっています。6月はルーマニアとアイルランドですね。
日本代表 2017年テストマッチスケジュール (日本ラグビーフットボール協会公式サイト)
次回から「ラグビー代表と平尾氏」を始めたいと思います。
(この項終わり)
スポンサーサイト