では第42回「味方」あらすじです。この回、大坂編は牢人衆のもめごとあり、しかも秀頼があまり頼りにならないこともあって、何かもやっとした雰囲気だったのですが、一方で徳川編と信之編は楽しめましたし、大坂編も信繁(幸村)と又兵衛、毛利勝永の会話とか、相部屋でストレスがたまるという描写は、如何にも三谷さんらしさが出ていました。しかし一人部屋と二人部屋の違いとか、パペットホームズかと突っ込みたくなります。ちなみに明石全登が唱えていたのは「主の祈り」ですね。
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14年ぶりに対面した茶々と信繁。とうとう戦になったと言う茶々に、信繫は、しないに越したことはないが、やるならとことん、勝つつもりだと答える。一方で茶々の叔父、信長の末弟である織田有楽斎は、秀頼こそ天下人と言い、更に真田も持ち上げるが、その実はおだてで、豊臣方は真田をあまり信用していなかった。そして大野修理は、信繫が提案した堺を抑えて米を独占する件、そして徳川方の米を奪う件も手配する一方で、牢人たちの部屋割りも自分で行っていて、いささか手に余るようだった。
信繫は一人部屋に案内され、家族にも別途部屋を与えられた。更に秀頼の意向で、寝室も別になっていたが、自分には必要ないと修理に訴える。さらにその時信繁は、廊下でこちらを窺っているような男を目にするが、修理は自分の弟の主馬だと紹介する。その後信繁は御文庫に入り、治部と刑部を偲び、大助に大坂城の天守閣を見せ、太閤は大きな人物であったと話す。その頃きりは春に、木曽義昌の人質としての自分の経験を語って聞かせ、春は共感する。
そこへ後藤又兵衛と毛利勝永が姿を現す。明石全登と相部屋の又兵衛は、信繫が一人部屋を与えられているのが気に入らないようだった。しかも元大名であった勝永も一人部屋と知り、牢人になる前の身分で差をつけられてはかなわないと憤り、さらに信繁に大きな顔をするなと睨みをきかせる。結局信繁は相部屋を申し出、修理もそれによってより多くの牢人を確保できるため、ほっとした様子だった。信繁は長宗我部盛親と同じ部屋になる。
駿府では家康が信繫の大坂入りを知り、父か子かと恐れおののいていた。既に安房守は他界していると答える本多正純。そんな家康に、薬湯を作っていた阿茶局は、豊臣家をどうしたいのかと訊く。遠国に遣ると答える家康に対して、それは生ぬるい、信長も秀吉もかなりひどいことをした、先の不安の芽は今摘んでおくべきとばっさりと言う。慶長14年10月11日、家康は駿府を出立した。江戸では秀忠が、その知らせを聞いて不満げだった。自分たちの駿府到着まで、家康は出陣しない予定だったのだ。
本多正信はそんな秀忠に、これは大御所様の仕事の総仕上げと言うものの、秀忠は自分の総仕上げだと返す。また正室の江からは、姉たちと千姫の無事を保証するように言われる。江も最早、徳川の勝利を疑っていなかった。そこに信之が、息子たちを連れて挨拶に来る。信吉と信政は、それぞれ小山田茂誠、矢沢三十郎や兵たちと共に大坂に向かった。その直後、佐助が文を持って現れる。それには信繁の大坂入城が記されていた。もしもう少し早く知っていれば、自分も病を押して出陣したものをと信之は苛立つ。
そして堀田作兵衛は、大坂方に付くべく、すえと十蔵に仮祝言を挙げさせた。それが信之にばれ、信之は刀を抜いて、作兵衛に思いとどまらせようとするが、作兵衛も槍で応戦する。信之は見事な剣さばきで作兵衛を追い詰めるが、その時例のしびれに襲われ、その隙を見て作兵衛と与八、そして佐助は大坂へ向かってしまう。その大坂では、信繫が総大将を秀頼から命じられていた。しかし豊臣家に、戦が間近という緊張感はあまり感じられず、秀頼も、側近や兵たちをうまくまとめられていないようだった。
軍議の席で、又兵衛は信繁の総大将に異を唱える。そもそも牢人になる前の身分で、すべてを図るものではないという主張する又兵衛と、徳川相手の戦功を怪しむ勝永。長宗我部盛親が指名されるも辞退し、大野修理は重要案件を、一旦預かりにしたいと繰り返すのみで、牢人たちは業を煮やし、今すぐ決断をと要求する。そこで信繁が、まず兵を5つの軍に分け、それぞれを自分、勝永、全登、盛親そして又兵衛が率い、総大将を秀頼にすることを提案する。先が思いやられると言う内記に信繁は、牢人たちは将来に望みを持っているから、無理に駆り出された徳川兵とは違うと答える。
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信繫がやっと大坂城入りするも、又兵衛が部屋割りだの、牢人になる前の身分にこだわるなだのとあれこれ申し立てるのみならず、仕事をうまく捌ききれない修理、更に危機感があまり感じられない豊臣家トップなどに、かなりの不安要因が窺えます。しかも織田有楽斎が軍議の席で事の成り行きを見守る様子、これも何やら怪しげです。信繁入城の日に宴でもと誘ったのは、あるいは徳川絡みだったのではないでしょうか。どこかまとまりを欠いた大坂城を目の当たりにして、信繫が最後のシーンに放つ「十分勝てる」が、現状を把握したものというより、自分を奮い立たせるもののようでした。
一方で徳川家康、ボケているように見えるのは、真田の名に対する拒絶反応のようです。出陣を早めたりと、肝心な時には判断を下せるわけですから。更に阿茶局、彼女の言葉がまた鋭いところを突いて来ます。将来の不安となる芽は摘み取っておくは、平清盛の教訓ですね。彼女といいきりといい、この大河では女性が男性の背中を押す、それも戦に行きなさい、相手を倒しなさいと勧めるところが、今までの何作かと決定的に違うところで、それゆえ新鮮味を感じます。そして余談ながらこの『真田丸』、やはりスピンオフか続編ができるのではないかと思います。詳しくはまた後ほど。
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