では『真田丸』第37回とパペットホームズに共通するシーンについて。今回は何と言っても、「生き地獄をたっぷり味わえ」と昌幸に告げて去って行く家康の高笑いです。あれに何を連想するかというと、やはりこれは生活委員ベインズでしょう。べインズが初登場する「生真面目な証人の冒険」でも、サディ・ショルトーが何をしているか、当てることができなかったホームズに対し、ベインズは肩をそびやかして去って行きますが、「バスカーヴィル君と犬の冒険」の「踊る人形」のシーンでは、それが更にパワーアップします。
学校内に「踊る人形」の暗号文、それも、ホームズも自分にはかなわないという、挑戦的な暗号文を貼りまくっていたベインズですが、結局アガサが暗号を解いてしまい、面目丸つぶれのホームズに、ベインズはこう言い放ちます。
「ま、惜しいところまでは行っていたのですけどね。あっはっはっは、あっはっはっは…」 しかも『真田丸』では、その次のシーンが廊下での片桐且元との出会い→寧の居室となり、更にそこに小早川秀秋が入って来ます。この小早川秀秋を演じている浅利陽介さんが、パペットホームズではベインズの声での出演ですから、三谷さん、第20回の正に推理劇である「前兆」同様、この辺も人形劇ファンを念頭に置かれて書かれた気が、なきにしもあらずです。
尚、浅利さんによれば、ベインズの演技は「子どもっぽさを残しつつも、声は太くして、台詞の節節や語尾にその頭脳明晰さゆえのいやみったらしい感じを入れて演じました」(メモリアルブックP63)とのことです。
それから、すえに十何年ぶりかで会った信繁が、「すえに取って父上は一人」と言われ、瞬間ちょっと期待するような表情を見せるのには、「まだらの紐の冒険」で、ロイロット先生が恋をしているとホームズが指摘し、瞬間「わたし…?」と口にするストーナー先生をちょっと思い出します。実際の意中の女性はシャーマンで、その責任を取って先生は辞職することになるわけです。
そして昌幸、信繫父子の蟄居には、ホームズが校則を破って、モリアーティ教頭から謹慎を言い渡されたのを思い出しますし、何があろうとそばにいなければならない!と使命感に燃える大井殿には、レストレードがダブります。尤もホームズは、人形のホームズ2号を置いて、校長脅迫事件の捜査をしていたわけなのですが、流石に真田父子はそれはやりませんでしたか。むしろ、九度山から信繁が抜け出して大坂城に入ることになれば、それこそホームズの謹慎破りと重なるといえそうです。
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