確か昨年の今頃は、『花燃ゆ』群馬編が始まった頃でした。しかし脚本がころころ変わり、主人公の設定も変わって、時系列もいじっているため、終盤に向けての盛り上がりも感じられず、早く『真田丸』が始まらないかと、待ち望むようになっていました。その『真田丸』にここまで嵌るとは、正直な話、思わなかったのですが…。実際、近年まれに見るパンチ力のある作品だとは思います。
無論三谷さんの脚本はコント的なところもありますし、合戦が少ないとか、本格大河ではないなどともいわれてはいます。しかし、要所要所は押さえられてはいますし、キャストが非常にいい。これは今までの大河でも屈指といえるかもしれません。結構キャストで観る観ないを判断する人もいるでしょうから、この点でも貢献しています。合戦は、屋外セットが作られている大坂の陣関連エピで楽しめそうです。
来年は脚本は期待できそうです。ただ制作側はどう考えているのでしょうか。そこの部分がかみ合わないと、やはり女性大河は面白くないということになりそうです。しかしそれよりも、問題と思えるのは再来年です。せっかく西郷どんを主役にするのなら、しかも本人没後140年、明治維新150年という節目の年であれば、もう少し重厚さを持たせるべきではないかと思います。そもそもなぜ西郷隆盛(吉之助)に女性視線が必要なのか、前にも書きましたがよくわかりません。
あるいは、『天地人』以来10年間続いた、大河不毛といえる時期にこれで終止符が打たれるのでしょうか。この間は部分的に面白かったものも含めて、楽しめた大河は『龍馬伝』、『八重の桜』、『軍師官兵衛』、そして『真田丸』くらいです。あと『平清盛』を今ちまちま観ていて、いくらか楽しめてはいます。主人公を男女交互で現代感覚にした結果、質の面で、大河とは言い難いものもまた作られてしまったわけなので、言ってはなんですが、もう少しまともな路線に戻ってほしくはあります。
個人的に、戦国から江戸初期の東日本を舞台にしたものを、もう少し観てみたいものです。現在「北の関ヶ原」をアップしていることや、『真田丸』の上杉主従や伊達政宗(宴会部長的政宗ですが、気に入っています)が結構好きなこともあるので、彼らとその周辺の武将、佐竹とか最上といった大名たちの群像劇が観たいものです。これだと、単独では50話は難しいという人物でも登場させられます。事情が許せば1年でなく、シリーズにしてもいいでしょう。無論『真田丸』のスピンオフができればベストですが。
実際、伊達、上杉、最上が揃って、そこそこ活躍した大河は今まで殆どありません。『独眼竜政宗』は上杉不在、『天地人』は最上不在でしたし。『天地人』も、長谷堂城の戦いまで描くのであれば、最上義光をきちんと出すべきでしたね。結構東北の雄ではあると思うのですが。本家関ヶ原が、俗説も含めてあまりにも広く知られているのに比べると、北の関ヶ原は多少マニアックで、それゆえ探求のし甲斐があると思われます。
如何せん今後しばらくの大河は、『真田丸』と比較されると考えて間違いないでしょう。それほどこの大河のインパクトは大きいです。そのためにも、脚本やキャストでもっと魅せる大河が出て来てほしいものです。本格大河といっても、過去のシーンの焼き直しになっては面白くないので、様々なアングルから脚本を書ける人にも出て来てほしいし、本来大河は主人公を男女交互にするのではなく、楽しめる本格大河と、三谷さん脚本のような変化球大河とが交互に出てくるべきものでしょう。
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