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ベイカー寮221B/Baker House 221B

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北の関ヶ原 2

まず、「真田丸あれこれ38」で触れている「豊臣方」と「徳川方」の使い分けについて、NHKにメールで尋ねてみたところ、わかりやすさを重視して、総合的に判断しましたという回答が来ました-この「総合的判断」というのは、NHKのメールによく使われますが、何か明確さを欠いた印象なので、あまり使わない方がいいように思うのですが…。しかしわかりやすいのはともかく、やはり正確さにはは欠けるような気がします。この場合公儀軍は、家康の会津征伐軍のことだからです。従って、豊臣軍(徳川軍)と石田軍、あるいは石田・大谷軍とした方がより正確ではあります。

恐らくNHKとしては、その後の豊臣三奉行(増田、長束、前田)が石田・大谷についたことにより、こちらが豊臣軍となったという形にしたいのでしょう。で、名前をくるくる変えるとわかりにくい、ならば最初から、こっちを豊臣軍にしておこうではないかという理由だと思われます。この三奉行の寝返りは、この慶長5年の7月17日に出された「内府ちかひの条々」、『真田丸』で登場する弾劾状によるものですから、厳密にはその日までは公儀軍は家康軍と見てもいいかと思います。家康がこの弾劾状について知るのは、恐らくは7月23日、会津に向かっている真っ最中のことです。これは同日付の、最上義光宛ての手紙に、会津征伐の中止に言及しているためです。

つまり23日の段階で、家康は石田・大谷の挙兵と三奉行の寝返りの情報を手に入れていました。また細川忠興が7月21日に家臣宛てた文でも、毛利と石田の同盟について触れられています。元々は、7月25日に家康は下野国小山でこれを知り、所謂小山評定の後西進が決定し、兵を退却させたことになっています。しかし、実はこの小山評定にも異論が出ています。慶長5年7月25日に、家康が小山にいたことを決定づける史料が無く、7月28日付の家康の書状で、小山にいることが触れられているだけです。しかも25日後も、家康の家臣榊原康政は、家康と三奉行の関係がまだ良好であるかのような書状を出しています。

恐らく家康は、弾劾状が来ることで、せっかく引き付けた諸大名の信頼を失うのはまずいと考えたわけです。そのため、まず一部の大名を先に西へと送り、残った大名にだけこの弾劾状のことを打ち明けたと思われます。またそれ以前に、会津征伐を目的として大名を関東北部に集結させながら、ごく身近な家臣にだけは、三成が挙兵することを見据えて、対三成作戦のみを練っていたともいわれます。そのため、会津征伐といいながらも、その中止もまたかなりの確率で視野に入っていたことになります。もちろん家康は、上杉周辺の大名たちには、既にかなり手を回していました。

これを踏まえると、第35回で上杉景勝が、徳川軍を「多い」と言ったのも、単なる弱気というよりは、むしろ周囲の大名たちの多くが徳川寄りで、しかも領内の軍事インフラが未整備であったことも一因でしょう。また家康が公儀軍として東下し、上杉は秀頼への謀反人となったわけですから、その前後の直江状や上杉の対応もかなり違った見方になって来ます。何せ家康のことですから、会津征伐というのは壮大な法螺で(直江状の最初の写本を見ればそれもありかと思われます)、それにかこつけて大名たちを集め、三成と対決したという見方もできるかもしれません。何せ「上杉景勝許せん!」もパフォーマンスだったといわれているのですから。

白峰旬氏の『慶長5年6月~同年9月における徳川家康の軍事行動について(その1)』(PDF)を一部参考にしています。

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[ 2016/09/07 01:30 ] 日本史 | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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