まず、先日投稿分で意味が通りにくい箇所と、後述しますが、あらすじと感想2に誤りと思われる点があったので、修正しています。それと「平均」がなぜか「平家院」となっていました。失礼いたしました。
では『武将ジャパン』大河コラムに関する疑問点、後半部分(+MVP)です。
鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第27回「鎌倉殿と十三人」 - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)
https://bushoojapan.com/taiga/kamakura13/2022/07/18/169673
1.子供を産んで、手間ひまかかると愛おしさが増す!
子供は日に日に顔が変わる!
まるで自分がすべて面倒を見ているようで、実際は、誰かに子供を任せているからこそ、ここへも来れるワケで。
2.かといって、つつじはどうか?
義母の言うことを聞く優等生で、これまた子を欲しがる始末。
こんな調子じゃ恋も楽しめず、いずれ、日が沈んだらいそいそと、愛する女の元へ通い始めるかもしれませんね。
3.梶原景時が入っていることは気に入らないから、自分も入れて“6”人衆にしろと言い出します。
4.それでも引き受けて“10”人衆となり、さらに畠山重忠の名が挙がると、義盛がやめておけと言います。重忠が祖父の三浦義明を攻め殺して以来、反発心がある義盛です。
5.なんでも武蔵の者同士として事前に比企から釘を刺されていたとか。
時政は娘婿に断られてオロオロし、りくは重忠が他のことで北条に協力すると言っても「結構だわ!」と冷たい態度を取っています。
りくって、自分が軽んじられたとなると怒りと恨みを募らせる性格のようですね。
1、「まるで自分がすべて面倒を見ているようで、実際は、誰かに子供を任せているからこそ、ここへも来れるワケで」
この当時、将軍の側室などそういうものでしょう。それにしても、日に日に顔が変わるのセリフがあるのに、武者さんは、義時も八重も引き合いに出さないのですね。
2、「これまた子を欲しがる始末」
これが意味不明なのですが。側室であるせつに男児が生まれている以上、御台所である自分も男児を産まないわけにはわけでしょう。そのへんの気持ちをわかっているのでしょうか。
3、能員は「梶原が入っているのに、なぜ比企が入っていないのだ」と言ってはいますが、気に入らないとは言っていません。気に入らないのならまず景時排除を考えるでしょう。そしてこの時も「さもなくば比企は今後一切力を貸さぬ」と言っており、比企に連なる人物は幕府に加担しないぞといった意味のことをつけ加えていますね。
4、義盛はやめときましょうとは言っていますが、祖父を殺された件は言っていません。
5、と言うより、りくの今までの比企への対抗姿勢を見ていると、重忠が比企に釘を刺されたことがいまいましく、また情なく思われたのではないのでしょうか。
6.義村が「もう爺さんは止めとけ!」と言い切りました。それはそうだけど、義村って敬老精神ってもんを取り繕うことすらしませんよね。
7.鎌倉時代の書籍を読んでいると、武士の姿が脳裏にパーッと浮かぶことがあります。
日々の風景の中に田んぼがあるのが当然だと思って私たちは生きていますが、そもそもは誰かが開拓したからこその景色です。
8.比企はシンプルな手を使いますので、文官には美女にお酌をさせた宴会三昧をしているようです。大江広元は全く嬉しそうではありませんが。
広元が上機嫌で酒を飲んでいた宴会は、上洛を果たした時のこと。
なぜ上機嫌だったか?
というと己の策が当たったからでした。関東の暴れ馬のような武士を手懐け、自分を見下してきた京都の連中の鼻をあかせた。
9.政子もリストを見ます。
そして足立遠元もいると告げられ、どこか誇らしげな遠元。
武蔵ならば畠山重忠が載りそうなのに、あえて自分が載っていることが嬉しいようです。
政子が一徹なところがよかったのではないかというと、誇らしげにこう言います。
「一徹。よく、言われます」
ほんとにぃ?
安達盛長とセットにして、比企を多くしたいから選ばれたのでは?
10.逃げ出せないように外堀を埋められ、引き受けるしかない義時。
こんな役目からスルッと逃げた義村。
キッパリ断った重忠にはなれない。
しかし、こんな後ろ向きな大河主人公ってありですか? いいですね、ありです!
6、なぜここで「敬老精神」?そして昔からの御家人が幕府のシステム、ましてや訴訟の判決という仕事に馴染みにくいからということはあるでしょう。
7、「開拓した誰か」のことを書きたいのであれば、まず荘園の話、そして武装農民→武士のことを書かないと意味が通じにくいと思います。元々開墾された農地が荘園となって行き、それが貴族のものとなり、有力者が武士団を統率するようになったわけですね。で、平安時代半ばには、既にこの組織は存在していました。
8、能員が文官たちの接待作戦に出たことと、広元が面白くなさそうのは理解できますが、それから後の部分はこの回と直接関係ないと思われます。
9、この足立遠元、安達盛長と血縁関係にあると言われてはいますが、比企と直接関係はなさそうです。寧ろ遠元の娘が、重忠の側室となっています。あと「比企を多くしたい」とありますが、遠元は「北条殿に呼ばれた」と言っていますね。
10、後ろ向きより何より、北条の人間で頼家にも近い以上引き受けざるを得なかったでしょう。実姉政子の推薦もありますし。それに立場上役目から逃げられない大河の主人公なら、『峠の群像』の大石内蔵助とか、『葵 徳川三代』の徳川秀忠などは正にそれかと思いますが、10年ルールがあるから武者さんは観ていないでしょうか。
11.尼御台(政子)の考えだと言っても、聞く耳を持ちそうにない。
義時が粘り強く新しい鎌倉を築いていこうと語りかけ、13人まで増えたけど、少数に力が集中するよりはよいかもしれないとフォローします。頼朝もそこを心配していたと。
頼家は、景時から聞いていた話と違うと察知。
つまりは、どちらかが嘘をついている。
もう誰も信じられなくなりそうで、実際、情で丸め込んだつもりでもほだされぬと突っぱねる頼家です。
12.ちなみにこれは不思議な面子とされます。
『吾妻鏡』では“5”人とされるのに、名前は“4”人しか載っていない。このリストで言うと、上から4番目までで、5人目が不明なのです。
本当に5人か? 5人目は誰か? 実はもう一人いたかも……でも『吾妻鏡』は意図的に減らした。
そんな時代考証をふまえた想像力で上記の6人になっていると。
ともかく劇中の時政は、それでも息子の時連と孫の頼時がいるから、ホッとしています。
って、そういう問題でしょうか。
義時と頼時父子は、“北条”ではなく“江間”として扱われます。
それからMVPが頼家となっており
13.彼にはビジョンがない。
それこそ『貞観政要』でも熟読していれば違ったかもしれない。
14.中途半端にやる気を出す頼家を見ているとそう思えてきます。
彼は非効率的で、わざと相手の神経を逆撫でするようなこともしてしまう。ピュアなところが全部跳ね返るようになっていて、肝心の中身がない。
15.『麒麟がくる』の光秀と比較してみましょう。
光秀は「こんなことでは麒麟はこない!」と初回からずっと絶望を繰り返していました。
彼の中にある「麒麟とは?」という発想は、儒教の教えがあればこそ。
朱子学を熱心に学び、どういう世の中がよいのか、光秀にはビジョンがありました。
11、ここのところですが、順番がおかしいです。
まず頼家が、景時から5人と聞いていたが何人になったかと尋ねる
↓
13人になりましたと義時が答える
↓
不満そうな頼家に、鎌倉殿がやりやすい形を探っていると説明する義時
↓
お前はその中には入っていないのだなと頼家は訊くが、義時の態度ですべてを察する。義時は尼御台の考えであることを話す
↓
頼家は怒りをぶちまけるが、お父上もそうやって支えて来た、我ら御家人をお信じくださいと義時は言い、さらにその後、少ない者に力が集まればよからぬことが起きるとも言う
録画を観る限り、この順番です。従って「どちらかが嘘をついている」のではないし、また「情で丸め込んだつもりでもほだされぬ」は、13人のお披露目の時に口にしています。この、義時と2人きりでの会話の時ではありません。
あと冒頭で書いていますように、この会話の部分で私もミスっていたところがあります。頼家は、義時だけは13人に加わらずに、自分の側にいてほしいと言ったわけですが、その意味を取り違えていました。あらすじと感想2の当該部分、書き直しています。
12、4人しか載っていないとありますが、『吾妻鏡』建久十年(1199)の、頼家の近習に関する記述では「小笠原弥太郎、比企三郎、同弥四郎、中野五郎等從類者」とあり、その後で「且彼五人之外」とあり、この近習が5人であったと書かれています。尚上記4人以外には、和田義盛の子朝盛や細野四郎が入っていたとされています。
あと時政は、時連と頼時がいるからホッとしているわけではなさそうですが…ただ能員が比企が2人入っておったと言ったから、北条だって(2人だ)と言っています。
13、また『貞観政要』ですか…武者さんらしいですね。
14、最初の方で頼家は「父を超える」と言っている以上、頼朝を超えたい気持ちはかなりあったようです。ただ経験不足のため空回りしてしまったということでしょう。
15、また『麒麟がくる』。これも武者さんらしいことです。第一戦国時代と、鎌倉時代を同列に論じてどうなるのでしょうね。それと他の戦国大河の主人公でも、信長などはビジョンを持っており、何と言っても自分が覇者となっていますが。
この後はまた次の投稿にて。しかし一度、武者さんがこの大河を叩くところを見てみたいです。そっちの方が似合う作品ではないか、そう思いますので。