『はたらく細胞BLACK』第6巻その2です。尚、先日の第6巻その1で、単に『はたらく細胞』としていました、失礼いたしました。修正しています。それと、FC2にまた障害が出ているようで、あるいはアクセスしづらくなっているかも知れません。
<うつ、覚悟、万事休す。>
アイドルたちは悩んでいた。AA2153と一緒にいたSS1404は、上の連中は何してるんだ、さぼるなと怒りをあらわにし、2人で脳に酸素を届ける。厳重なチェックの後、2人は脳神経細胞課の部屋へ入るが、そこで目にしたのは、衰弱した神経細胞の姿だった。そしてグリア細胞は、ノルアドレナリン催促の電話に対応に追われていた。神経細胞は、ノルアドレナリンを届けるための非常事態宣言(コルチゾール)のおかげで、プレッシャーがかかり続け、すっかり憔悴していた。この有様を見かねたSS1404は、これではβ細胞の時と同じだと言い、ぶん殴ってやると、AA2153と2人で中枢部へ向かう。
相変わらず冷静な脳の司令官に対し、SS1404は身体中が大変なことになっていると直訴するが、司令官は取り合わない。そこでA2153は、体内で何が起こっているのか知っておきたいと言い、司令官はストレスに対してコルチゾールを出させた結果、うつを引き起こしたと話す。ノルアドレナリン以外にドーパミンやセロトニンなども伝わりにくくなっていた。ストレスを軽視するSS1404を司令官は叱責し、ストレスに対してこの身体は「闘争」か「逃走」かの選択肢しかない。どちらもエネルギーが必要なため、大量の糖分とノルアドレナリンを準備したと話す。エネルギーがないとオーバードーズの二の舞になりかねない。ストレスは見えざるところで身体をむしばむ、そのためならば多少の犠牲はやむをえないと言った時、SS1404の右フックが彼を襲った。
司令官はQJ0076が糖化で犠牲になったのを彼は知っており、他の赤血球たちの名前や働きぶりもチェックしていた。またうつを招いたのは自分の責任だとも言いつつ、謝ることはできない、もし同じことがあれば同じ決断をすると断言する。恨みたければ恨みなさいと言う司令官に対し、今度はAA2153が言った。
「こっちは毎日死にそうな思いをして身体中駆け回ってんだぞ!!モニター越しなんかじゃなく実際現場に来てみろ!!首から上の連中なんかにこの大変さがわかってたまるかっ!1」
しかし司令官は無駄に時間を使った、遅れを取り戻すようにと答え、2人は部屋を出た。AA2153はアイドル達に神経細胞とうつについて話す。ほっといて治るものでないのは事実だが、だからといって、赤血球たちにできることはもう何もなかった。
<薬、禁煙、恐怖。>
体内は依然としてうつ状態だった。脳の神経細胞はコルチゾールで委縮しており、ノルアドレナリンのみならず、快楽をつかさどるドーパミンも、全身に行き渡っていない有様だった。しかもそこで喫煙が始まる。ニコチンのおかげでドーパミンは増加したが、リスクの高い喫煙にまたも救われた形になった。体内はまるで活気がなく、しかも赤血球たちは新しい薬を運ぶように言われる。その時脳では、神経伝達物質が伝わり始めていることがわかる、そしてAA2153たちは、新しい薬を脳の神経細胞へ届けた。マイクとパラボラアンテナを合体させたような、変わった形のその薬は、神経細胞の洩れてしまう声を無駄なく拾い、ノルアドレナリンの伝わりをよくする(SNRI)のが狙いだった。
しかし神経細胞は衰弱し、苦しそうなままだった。そもそものストレスの原因が解決されない限り、根本的な部分は変わらないのである。しかも一般細胞たちは、これ以上薬を入れるなと、薬を体内に運ぶ赤血球たちに抗議していた。赤血球も仕事である以上やむを得ないのだが、外の力に頼るのはリスクがあり、またオーバードーズのようなことが起こるかもしれないとAA2153は思う。しかしそんな彼らが、翌日運ぶように言われたのは多量の酸素だった。喫煙が過去最長やんだままであり、その分酸素が必要になっていたのである。
しかし脳の司令官も、またSS1404も、禁煙がいつまで続くかを危ぶんでいた。そのSS1404はAA2153と、ドーパミン系の神経細胞の部屋へ酸素を運んだが、ドレッドヘアとサングラスの神経細胞は、ニコチン依存となっていた。そこへお馴染みの、あのもわっとした煙が流れ込んでいた。やはり喫煙をやめることができなかったのである。ドーパミン系神経細胞は、これで曲が書けると嬉しそうだったが、AA2153はニコチンをはじめ、様々な種類の薬に頼っているこの身体が気になっていた。そして、また抗うつ剤を運ぶことになるが、最早AA2153は、薬か毒かもわからない外部からの薬を運ぶことに、恐怖感を抱いていた。
<迷走、薬効、使命。>
AA2153は、自分は酸素と栄養素しか運ばないと仲間たちに伝える。そこへ一般細胞たちがなだれ込んで来て、薬を運ばせないように妨害しようとするが、DA4901はそんな彼らをはねのけ、AA2153はまたも脳の神経細胞のもとへと薬を届けた。神経細胞は相変わらず苦しそうで、AA2153はたまりかねて、その薬(マイク)を床に叩き落とし、必要ないと言い捨てて、今度はドーパミン系の神経細胞へ酸素を運ぶ。ここでまた喫煙が始まったため、神経細胞がハイになるのを恐れるAA2153だが、しかし何も起こる様子はなかった。
ドーパミン系の神経細胞は、バレニクリン(チャンピックス)を咥えていた。これは喫煙による快楽を得られないようにする働きがあった。神経細胞は酸素を深々と吸い込んでうまいと言い、ニコチンなんてなくたってドーパミンを出してやると意気込む。そのAA2153は外でDA4901と出会う。神経細胞の部屋で暴れたそうだなと彼は言い、薬だろうが酸素だろうが栄養素だろうが、配達先に運ぶのが赤血球の仕事だ、この体内の様子を見てみろと言って、サボってんじゃねえよとAA2153の襟をつかむ。さらに彼は、AA2153に
「君は何度裏切られようとこの身体がよくなることを信じてきた。だったらこの身体が必要としている薬のことも信じてあげたらどうだ」
「僕も信じてみたい…」
と言い、去って行く。
その後体内には活気が戻り始め、アイドル達のコンサートも行われた。そして、白血球1196は意識を取り戻す。
自分が眠っている間のことをAA2153から聞いた白血球は、
「きっとこの身体もお前と同じなんだ。迷って間違えて…間違えてまた学習して」
と言い、
「信じようこの身体を」
と言い聞かせる。その彼を仲間たちが待ち構え、DA4901が脳の神経細胞の部屋へ連れて行く。そこにはかなり元気になった神経細胞が、曲をアイドルたちに届けていた。神経細胞の回復は、グリア細胞のおかげでもあった。AA2153は先日の非礼を詫び、神経細胞は彼を励ます。そのころ肺では、あの未分化細胞だったK-9999が一人前の胚細胞となるために、面接を受けていた。面接官の評判は上々だったが、彼はその場でせき込み、緊張しているせいでと説明する。しかし彼の手元に届いたのは、不採用通知だった。
うつ状態、それによる免疫低下、さらに体内に持ち込まれてくる薬などなど、今回も様々なことが赤血球たちを悩ませます。無論赤血球だけではない一般細胞、アイドル達(交感神経)もしかりでした。
AA2153とSS1404は、直訴のため脳に向かいますが、脳の司令官は、ストレスに打ち勝つだけのエネルギーが必要なため、糖分とノルアドレナリンを準備したと言います。無論これは、赤血球たちに取ってはリスクの大きなものでした。司令官は、コルチゾールを出してうつを招いたことは自分の責任だが、今後もし同じことがあれば同じ決断をすると断言します。
これに対してSS1404は司令官に殴りかかり、AA2153は現場の大変さを司令官に訴えます。それでも司令官は冷静そのもので、仕事に戻るように言います。実際問題として、脳もこれ以上どうすることもできないのです。また薬を入れても、神経細胞の状態は改善せず、ノルアドレナリンを届けることもできず、一般細胞からはこれ以上薬を入れるなと言われ、さらに悪いことには、ストレス解消のために喫煙が始まってしまいます。正に万事休すでした。AA2153は、次第に薬を運ぶことに抵抗を覚えるようになります。
その後禁煙、また喫煙と繰り返されますが、ニコチン依存のドーパミン系神経細胞は、これで曲が書けると大喜びです。何がいいのか、あるいは悪いのかもわからないまま、薬を運ぶのを拒むAA2153ですが、この身体が決めたことだから、この薬のことも信じてくれとDA4901に諭されます。幸いその後、ドーパミン系神経細胞のニコチン依存は止み、脳の神経細胞もグリア細胞のおかげで、元通り曲を作れるようになりました。そして白血球は意識を取り戻し、やはりこの身体を信じようとAA2153に言い聞かせます。
一方で例の肺の細胞ですが、面接結果は不採用となりました。彼自身に何かしら異常があるようです。
それから「闘争」と「逃走」については、別の投稿でご紹介します(長くなってしまうので)。