それとこれも先日ご紹介した、NHKアーカイブスの「大河60」の「大河ドラマとは」なる冒頭の文章について。
この文章、やはりおかしいので突っ込ませていただきます。特に指摘したい箇所はゴシックにしています。
https://www2.nhk.or.jp/archives/taiga/about/
1963年、その後“大河ドラマ”と呼ばれる大型時代劇の第1作『花の生涯』がはじまりました。4月7日の日曜夜8時45分から45分番組として放送されました。番組が1月開始になるのは第2作『赤穂浪士』からです。放送時間は試行錯誤しましたが、夜8時開始となるのは1970年の『樅ノ木は残った』からでした。
大河ドラマも戦国時代ばかりではと、1984年から『山河燃ゆ』『春の波濤』『いのち』の近代大河路線をとりました。4年ぶりに戻った時代劇が、1987年の『独眼竜政宗』、平均視聴率は、39.7%と歴代最高となりました。
大河ドラマで最初にカラー化されたのは、第7作『天と地と』。ハイビジョン撮影の導入が決まったのは2000年39作の『葵 徳川三代』。高画質に耐えるセットや衣装、メークアップが必要でしたが、もっと大きな変化は画面サイズが「ヨコとタテの比率が4対3から16対9へ」と横長サイズになることでした。そして、2019年58作の『いだてん』からは高精細な4Kでの撮影になりました。
2021年放送の「青天を衝け」で60作目の節目を迎える大河ドラマ。
毎週ごとの1年周期という新しいテレビスタイルのドラマ形式を作りあげ、茶の間に映画に負けないテレビによる娯楽を届け続けています。
まず「大河ドラマも戦国時代ばかりでは」とありますが、1984年より前の大河は
平安時代中期
平安時代末期(源平)
戦国
江戸時代初期
江戸時代中期(赤穂大河)
幕末
と、かなり時代背景がバラエティに富んでいます。どう考えても「戦国時代ばかり」(戦国の比率が高いのは事実でしょう)ではないのですが、なぜこのような表現になるのか不可解です。
それから「4年ぶりに戻った時代劇」、「なぜ」4年ぶりに戻ったかに関して何の説明もなし。恐らくこれは視聴率の低迷に加え、視聴者からの声、さらにはこの時期放送されていた「新大型時代劇」(『宮本武蔵』、『真田太平記』、『武蔵坊弁慶』)の影響もあったかと思われます。こういうのはちゃんと書くべきではないのでしょうかね。
そして
「高画質に耐えるセットや衣装、メークアップが必要でしたが」
ですが、日本語がおかしいです。これ、ハイビジョンになったからこうなったと言いたいわけですから、
「ハイビジョンの高画質に耐えるセットや衣装、メークが必要とされ、大きな転機が訪れました」
と書き、その後でサイズの変化に持って行くべきでしょう。
さらに
「2019年58作の『いだてん』からは高精細な4Kでの撮影になりました」
ですが、4Kは『麒麟がくる』ではなく『いだてん』からだったのですね。第6回でギブアップしたため、その辺はよく覚えていませんでした。
最後に
「毎週ごとの1年周期という新しいテレビスタイルのドラマ形式を作りあげ、茶の間に映画に負けないテレビによる娯楽を届け続けています」
先日も書いていますが、これも日本語がおかしく感覚が古いです。毎週ごとの1年周期というのも何かもどかしい。「毎週日曜放送で1年単位の」とでもすべきでしょうし、「新しいテレビスタイルのドラマ形式を作りあげ」も変。それを言うなら
「新しいドラマの形式を作り出し」
とでもしてはどうかと思います。また
「茶の間に映画に負けないテレビによる娯楽を届け続けています」
映画に負けないとあるのは、その昔、TVは映画と張り合っていたらしいのですが、そのことを言っているのでしょうか。しかしどう考えても、今の感覚ではありませんね。それと茶の間、正確には「お茶の間」でしょうが、これもどこか感覚がずれているように思えます。
「かつて映画と張り合う形で始まった大河ドラマですが、今はテレビならではの娯楽を毎週ご家庭にお届けしています」
とでも書けばいいのに。そのテレビならではの娯楽も、どこか時代と噛み合わなくなっていますが。
大河とは、一応看板番組のはずなのですが、どうにもこうにもこういうところの文章がお粗末だと思います。
あとこの大河関係とか、特に「大河新時代」などという言葉がそうですが、かなり自己満足というか自画自賛的なものを感じずにはいられません。つまるところ、こういうのにも辟易するのですね。