fc2ブログ

ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  2021年05月

『はたらく細胞BLACK』第2巻

本編の第2巻の前にBLACKの第2巻の紹介という、ちょっと変則的な方法を採っています。尤もこのBLACKも、本編と並ぶ主流作品ではあるので、それはそれでいいかと。

<異変、水虫、働く意味。>
喫煙とアルコール摂取で、体内の環境は相変わらずよくなかった。肝臓も機能が弱る中、頭頂部では毛穴に皮脂が詰まって髪が育たなくなり、陰茎・海綿体も勃起させる機会がなくなっていた。精子も数が減り、養育を請け負うセルトリ細胞の髪は白髪交じりだった。ストレス続きの体に侵入する抗原と戦うため、多くの白血球が動員されて数が減り、白血球も仲間を探していた。

これは赤血球も同じで、どこかで出血が起きていて赤血球が減少している可能性もあった。そんな中足底部に白癬菌が発生し、白血球は駆除に向かうが、ここは湿度が高く不潔で、いわゆる水虫の症状を呈しており、しかも多くの白癬菌を相手に、白血球たちは苦戦していた。そこへ突如水が流れ込む。ブテナフィン塩酸塩が外部から投入され、殺菌が進められていた。

しかし白癬菌は陰部、頭部、爪にも発生しており、数少ない白血球は方々に駆り出されていた。しかもストレスで血圧が上昇し、赤血球に酸素を運ぶように指示が下る。そんな時AA2153の仲間のAC1677が彼を引っ張って行き、さぼるように勧める。
「たまには息抜きしとかないと大事なときに働けなくなっちまうぜ?」
の言葉に、彼は働くことの難しさを思うのだった。

<胃潰瘍、友情、喪失。>
AA2153とAC1677の2人は胃に来ていた。ここは食物からエネルギーを取り出す高炉であり、危険な場所だった。しかしその胃に潰瘍ができて粘膜層を突破し、これ以上の悪化を防ぐためにも、血流をよくして消化活動を行う必要があった。どうやら赤血球が足りないのも、彼らが胃に落ちているからではないかとAA2153は思う。勘弁してくれよとAC1677。しかしその時胃酸による亀裂が入り、彼らも被害を受ける。

主細胞は副細胞に胃粘膜の修復を命じ、血小板は傷口を修復した。アルコールや脂っこいもの、喫煙やストレスによって胃は荒れ放題だった。ここじゃろくな死に方はしないと主細胞が言うのを聞き、AC1677は逃げ出す。そこへ白血球たちがやって来る。胃粘膜が保護されなくなり、炎症が進んでいた。その時逃げたと思っていたAC1677が戻って来る。例によってさぼっていたのである。しかし胃壁の破壊が進み、逃げ出したAA2153は足を傷め、庇おうとしたAC1677が胃の中に落ちてしまう。

その時胃の中から現れたのがピロリ菌だった。白血球たちはピロリ菌に襲い掛かる。AA2153は血小板たちの傷口修復を、仲間が戻ってきてないからと止めようとするが、主細胞はここでは日常茶飯事だと怒鳴る。その後胃の付近はさらに慌ただしく、メガネを落としたAA2153は号泣する。外部からのクラリスロマイシン投与で何とか事態は収拾され、白血球は持ち主のいないメガネを拾う。主細胞は、体が変わらない限り環境も変わらないと言う。そしてAA2153は連絡が来ても仕事に出なくなり、引きこもり状態にあった。

<自暴自棄、痛風、反乱。>
AA2153は尚も仕事に出ようとしなかった。体のあちこちには血管内で処理できなかった廃棄物がたまり、脂肪細胞たちは肥大化し、休みを取っていない体の中で、細胞たちの間に動揺が広がっていた。白血球もそれを懸念していた。その時左足親指の付け根付近に、棘の多い未知の細菌が発見される。記憶細胞の記録にもない細菌で、白血球は目標を貪食し、マクロファージは抗原を突き止めるよう指示が出るが、いずれも正体を突き止められないまま攻撃が開始される。

しかしAA2153はそれにも関心がなく、脾臓で処分して貰おうと考えるが、まだ若くて働けるからと拒否される。ここの審議官は、無事に役目を務めあげた赤血球が一生を終える場所であり、自分は役立たずなどと格好をつけるなと語気を荒げる。また脳の方では、奇妙な最近の正体は尿酸ではないかという結論に達した。プリン体摂取で溶解し切れない廃棄物が、尿酸として結晶化していたのである。白血球はこの攻撃で体を傷めつけていたことにショックを受けるが、そこでAA2153がやって来て、こんな体どうにかなれと金属パイプで地面を叩き始める。

白血球は彼にメガネを渡し、自分を責めるな、一人で背負い込むなと言い聞かせる。涙を流すAA2153。その後コルヒチンが投与され、白血球の攻撃もなくなって症状は治まるが、長年の不摂生、それを引き起こしたストレス、本当に悪いのは誰なのだろうかと脳細胞の一人はつぶやく。そして赤血球たちは、相変わらずでこぼこだらけの道を酸素を運ぶが、その時誰かの帽子が落ちているのに気づく。実はプラークが崩落し、赤血球たちが巻き込まれていたのだった。

<復帰、心臓、終焉。>
赤血球たちは今日も酸素の運搬に追われていた。彼等には休みはなく、もしあるとすれば、心臓が止まった時位のものだった。赤血球他たちが、以前にも増して悪くなった血管内の状況を嘆いていると、そこへ彼らの話題になっていたAA2153が現れる。先輩たちに謝る彼に、もうお前は一人前だと言われるものの、彼自身はまだこの仕事の意義をつかめずにいた。

後輩を連れて、でこぼこだらけの道を行く彼は冠動脈へ入ろうとするが、そこで大規模な崩落事故が起きて、赤血球たちが巻き込まれているのを目にする。血小板の道案内で何とか空いたスペースを通るものの、崩落が相次ぎ、血圧が上昇して狭心症の症状が出ていた。

その後冠動脈が完全にふさがれ、心筋梗塞の様を呈しており、このままでは心臓に酸素を運べず、心臓が壊死してしまうことになる。脳細胞たちはこの体が死を迎えることを伝え、細胞たちは怒号を浴びせる。これには白血球もなすすべなく、体の機能が次々と停止し、辺りは暗闇と化してしまう。しかしAA2153は、一人望みを捨てられずにいた。

<心筋梗塞、蘇生、変化。>
冠動脈のプラークは、動かそうにもびくともしなかった。その時奇妙な音が聞こえ、肋骨を始め、あちこちできしみが生じてくる。所謂胸骨圧迫で、心臓部の照明が、その動きに合わせて点滅していた。望みを捨てずにいるAA2153は、仲間からこの体に飼いならされたのかと揶揄されるが、彼は、働きたいから働くと堂々と答える。その後心臓が動き出すが、心室細動であり、正常な心拍が戻るにはしばらくかかった。

しかし未だ冠動脈への道は閉ざされており、赤血球たちが悪戦苦闘していると、そこに奇妙な紐状の物が入り込んで、プラークの中に突っ込み、膨らんだ後去って行った、新種の細菌かと不審がる赤血球たちだが、よく見るとその紐が残して行った金網が膨らみ、プラークを押し広げて道が作られていた。これで心臓をはじめ、体のずべてに酸素を届け、さらに毛母細胞にも酸素を届けることができた。

AA2153は、口うるさい細胞のおばさんからもありがたがられ、初めて自分の仕事に誇りを持つようになる。暗闇であった世界が徐々に明るくなり、白血球たちは梗塞部の死滅箇所の除去に向かった。体内に平和が戻り、働きやすくなった環境で、AA2153は白血球と出会う。環境が変わったことを喜ぶ彼に、白血球は一番変わったのはお前だと言う。その彼は、今度は後輩の指導に余念がなかった。


依然として体内はトラブル続きで、細胞たちの力だけではどうにもならず、外部からの薬剤投与が必要になります。そしてAA2153は、かつて自分に仕事を教えてくれた先輩、肝臓に連れて行ってくれたベテランの赤血球に続き、親友であるAC1677を胃で失います。彼の喪失感は大きく、その後仕事にも行かなくなってしまい、脾臓で処分して貰おうとするも断られ、結局仕事に戻ることになります。

彼が仕事をさぼっている間、体内は尿酸に見舞われていました。これを細菌と思い込み、攻撃していた白血球は、自分たちの仕事が逆効果であったことにショックを受けます。そこへAA2153がふらふらとやって来て、地面を金属パイプ様のもので叩き始めます。自分たちのことをちっとも考えてくれない、この体への怒りでした。そんな彼に白血球は、自分だけで背負い込むなと声をかけ、胃で落としたメガネを彼に渡します。その後彼は仕事に戻りますが、まだその意義がつかめず、仕事の価値を本当に知るのは、この体の心臓が停止した時でした。

その後冠動脈でプラークが崩壊し、大勢の赤血球が巻き込まれてしまいます。AA2153に取っては、またも仲間を失うことになってしまいますが、それでも気を取り直して、心臓が壊死しないように酸素を運ぼうとします。しかし道は通れず、この時も外部からの胸骨圧迫、AEDによる心室細動、そしてステント治療によって、ようやく酸素を運搬できるようになります。そしてこの時彼は、一時は真っ暗闇になった世界に、少しずつ灯りが戻ってくるのを見て、初めて自分の仕事に誇りを持つようになります。

実際このBLACKには、細胞たちだけではお手上げ状態になり、結局外部の力(投薬、医療)を借りることになった時に安心感を覚えつつも、一方で細胞たちが抱く空しさも描かれています。また主人公は仲間を次々と失い、特に親友だったAC1677が胃酸の海に落ちた時には、すべてに絶望します。そんな彼を支えてくれたのは白血球でした。本編にはない過酷な世界であるからこそ、細胞たち、特に赤血球たちの間にも、本編とはまた違った、常に生死を賭けた雰囲気が強く感じられると言っていいでしょう。

ところでピロリ菌、正確にはヘリコバクターピロリ菌ですが、本編では乳酸菌がやっつけたという設定でした。そしてこちらでは、抗生物質が投与されて胃が落ち着いたことになっています。その後の尿酸の原因になっているプリン体も、本編では乳酸菌がむしゃむしゃ食べていましたが、この時は痛風の薬であるコルヒチンによって治まっています。この辺りに、様々な意味での両者の違いが窺えます。胸骨圧迫やAED、ステントに関してはもう既にご存知でしょう。しかしこの体、かなりあちこちが傷んでいるようで、心肺停止状態になるのもやむなしと言えますが、我らがAA2153は使命感を捨てずにいました。

この後もBLACKでは、赤血球や白血球が別の体内に移動させられ、次なる試練も待ち受けています。両者のすべてを照合しているわけではありませんし、まだ先にもなりますが、がん細胞の回などは、BLACKの方が正直面白く感じられました。これもまた、シリウスとモーニングの違いではあるのでしょう。無論BLACKにも疑問がないわけではありませんが、本編がどちらかと言えば事件発生→対処→完結といった流れであるのに比べ、BLACKは慢性的にトラブルを抱えているため、いざ「事件」が起こった時の重篤さや、細胞たちに及ぼす影響はやはりかなり違っています。


飲み物-アイスティー
[ 2021/05/26 01:15 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

『鎌倉殿の13人』今後の登場人物続き

既に、『鎌倉殿の13人』キャスト一部予想と今後の登場人物その他でも書いていますが、『鎌倉殿の13人』のキャストでは平家の人物が、現時点であまり発表されていません。普通源平大河ともなれば、平清盛と宗盛に加えて、以下のような人物も登場しています。

二位尼(平時子)
平時忠
平経盛
平頼盛
平忠度
平知盛
平維盛
平敦盛

そして
高倉天皇
建礼門院(平徳子)

他に源氏として
木曽義仲
巴御前

このすべてが登場するかどうかは無論わかりませんが、恐らく二位尼や建礼門院などは出て来るのではないかと思います。尤も三谷さんの脚本ですから、一般的な源平大河のように、二位尼が安徳天皇と共に入水などという描写はなしということもあり得ます。その代わりに義経の八艘飛びとか、那須与一の扇の的などが出て来るのでしょうか。

なお私としては、義経と梶原景時の険悪な対立を多少期待しています。このせいもあって、その後梶原景時は悪人視されたようですが、どう考えても悪いのは義経の方(ただし最大の黒幕は後白河法皇)でしょう。また北条メインなので、平敦盛と熊谷次郎直実の一騎討ちなどは、可能性としては低いかも知れません。

一方で、北条氏と比企氏の対立などは尺を取って描かれそうです。ちょっとえぐい描き方になりそうですね。ちなみに頼朝の乳母の比企尼は、比企能員の義母に当たります。

無論、誰でもかれでも出せばいいと言うわけではありません。実は今年の大河にもそれに似たものを感じてはいます。やたらに多くの人を出すのではなく、本当に必要とされる人物が出てくればそれでいいのですが、節目節目に登場する人物は、やはり出してしかるべきかと思われます。


飲み物ーアイスカフェオレ

[ 2021/05/26 00:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

気づいたことあれこれ 24 イギリス海軍作品その続き

先日投稿した分の続きです。久々に『マスター・アンド・コマンダー』と、『ホーンブロワー 海の勇者』について書いたのでもう少し。前者はラッセル・クロウ主演の映画ですが、このマスター・アンド・コマンダーというのは、イギリス海軍の階級の1つで、映画自体はナポレオン戦争が舞台となっています。

この作品で描かれる軍艦での日常-海戦とそれによる犠牲者、私掠戦の拿捕と、それを行うための船の偽装、軍医マチュリンがガラパゴス諸島で、様々な動植物を採集したり、また自分の負傷を自ら手術するシーンなどなど、如何にもこの当時らしさが窺えます。あとこのマチュリン先生はアイルランド系でカトリックであり、戦死者を水葬する時の、聖公会及びプロテスタント諸派の「主の祈り」を唱えないなどのシーンも出て来ます。この辺は如何にもイギリスというか、当時の大英帝国らしさを感じさせます。

一方『ホーンブロワー』ですが、こちらも時代的にはほぼ同じです。全8話のドラマであるため、その時々でテーマが異なります。私が特に好きなのは、この前の投稿の第2話そして第5話です。ちなみにこの第5話と第6話は、軍法会議をテーマに一続きになっています。

第5話では、ホレイショが配属された艦の艦長が疑心暗鬼にかられ、おかしな行動を取るため、彼を始め海尉たちがそれを止めようとして、その結果艦長が負傷してしまいます。軍律違反ということで、結局その後軍法会議が開かれるのですが、この時は罰せられそうになったホレイショに代わって、重症のため余命いくばくもない親友アーチ―が、自ら罪をかぶります。

他にも第1話で所謂矯正徴募が出て来たり(尤も、いたずらに誰もかれもを連れて行ったわけではなさそうです)、ホレイショが制服をあつらえるものの、予算オーバーで靴の飾りを銀でなく銀メッキにしたり、戦争が終わって宿屋暮らしを続けていた時に、お金に困って剣を質入れしたりと、その当時の海軍士官の様々な面が出て来ます。無論これ以外にも海軍関係は色々な作品があり、観終わり次第こちらで紹介できたらと思います。


飲み物-お洒落なランプとウイスキーグラス



[ 2021/05/25 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る明智光秀番外編-本能寺の変と信長の「甘さ」

「『国盗り物語』に見る明智光秀」もそろそろクライマックスですが、まず織田信長の光秀観について。

この作品での信長は、原作と大河の総集編から判断する限り、正に光秀をはじめ家臣を「道具」のようにこき使い、功績を立てた者にはそれに応じた見返りを与えています。ただ功績を立てられなかった者、あるいは自分の待遇に不満を洩らしたり、自分に刃向かおうとした者には、かなり容赦ない姿勢で臨んでいます。この意味で合理主義という表現は当たっています。しかしながら、自分のそのやり方にも限度があるということを、見定めていたかどうかについては不明です。

本能寺の変の時点では、信長の天下統一計画はまだ途上段階にありました。このままこのやり方で皆がついて来るかどうか、そういった懸念を、いくらかでも抱いたとも考えてもおかしくはないのですが、原作にはそういう、信長が今後の自己への評価を気にして思い悩むような記述は見当たりません。


しかし大河では、この先は気が狂うかもしれないとか、この信長にもわからぬなどと言っていますので、少なくとも脚本では、この状態をそのまま維持できるかどうかは不明だという、漠然たる不安をのぞかせるように描いたとも考えられます。無論本能寺の時点では、信長はまだ天下人として揺るがぬ存在であり、光秀に取ってその点はマイナスでしたが、この時を逃せば、彼に取って二度とこのような好機は巡ってこなかったでしょう。


実際少ない手勢で京に滞在しており、その意味では家臣たちを信用していたと取れますが、そこにまた彼の「甘さ」があったとも考えられます。この辺り、やはり二条館を城郭のようにしていながら、暗殺された足利義輝を思わせます。


信長が暗殺された、その原因はいくつもの説があり、どれが正しいとは言い切れません。坂本龍馬と並んで乱世の風雲児であり、しかも海外の勢力ともつながりがあったことを考えると、竜馬暗殺にするのと同様に、様々な説が登場してもおかしくはないからです。


私としては、光秀が信長に対して、考え方の違いからくる私怨、あるいは諫めたいという気持ちを抱いており、それがこのような形で具体化したかとは思っています。この原作の場合、光秀は荒木村重一族の悲惨な最期を熟知しており、無論弔い合戦が起こる事も察知してはいたものの、それでも自分の前に立ちはだかる、信長という恐怖を討たずにはいられなかったとは言えそうです。しかしこの巨大な「敵」を討ったその代償も、かなり大きなものではありました。


飲み物―アイスコーヒー5

[ 2021/05/25 00:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

キラーT細胞班長についてのあれやこれや 1

このキラーT細胞(後にメモリーT細胞になるが、ここでは便宜上一応キラーT細胞で統一)、『はたらく細胞』本編で一番好きなキャラであることは、前にも書いています。どのような点にどう惹かれるのかについて、ぼつぼつ書いて行きますが、その前に『はたらく細胞フレンド』番外編その2で挙げた、以下の点をもう一度挙げておきます。

  • 出動命令を受けて、部下を率いるリーダーとして駆け付けなければならない
  • 本来は一般細胞であるウイルス感染細胞の撃退を主に請け負う
  • 若い頃は、寧ろ弱々しくて鬼教官にしごかれていて、ヘルパーT細胞と対立していた

彼のこのような立ち位置は、他の免疫細胞とはかなり異なるものです。似たような仕事を任される白血球と比べた場合も、白血球は自然免疫であり、特に命令を待つ必要はなく、自分の意のままに行動できます。

またキラーT細胞の場合、ウイルス感染した一般細胞を相手にする以上、一般細胞への気持ちを押し殺す必要も出て来るでしょう。彼と白血球とは他の細胞への見方が異なりますが、それもむべなるかなと言えます。寧ろ立ち位置が違うのに、同じである方が不自然とも思えます。

そして原作/アニメの胸腺学校回、この当時は寧ろ、現在は緩めキャラであるヘルパーT細胞のみならず、制御性T細胞よりも劣ったところがあり、鬼教官にしごかれる毎日でした。このようないきさつもあり、過去の弱さを封印するようになったと考えられます。卒業アルバムに対して抵抗感を覚えるのはそのためと言えます。荒ぶる一面もありますが、意外と心の内は繊細で優しいのかも知れません。ちなみにアニメで、この鬼教官の声を担当していたのは小山力也さんです。

つまるところ班長は、部下の前では心に鎧をまとっており、それから解放された姿が、『はたらく細胞フレンド』で描かれているとも言えそうです。

この作品のキャラで個人的に好きなのは、このキラーT細胞と樹状細胞です。樹状細胞もなかなか食えない人物で、そこに魅力を感じます。しかもナイーブ細胞を活性化するため、キラーT細胞とは切っても切れない関係にあるとも言えます。後はヘルパーT細胞、白血球、マクロファージなどと続きます。

あとリンパ球であるキラーT細胞は抗原撃退に、貪食という方法を用いません。パーフォリンというたんぱく質を使います。これは、キラーT細胞とNK細胞のみが使える方法です。

正確に言えばまずパーフォリンで相手の細胞壁を壊し、グランザイムという物質でアポトーシスを誘導します。班長が使っていたパーフォリン・キャノン・パンチも多分これに基づいています。ただ普段から既にパーフォリンを使っているはずですから、それがより強力になったとこの際理解するべきでしょうか。なおこれによって死滅した抗原は、マクロファージが始末します。

パーフォリンと言えば、がん細胞の回を思い出すと言う人もいるでしょう。ただ私としては、この場合のがん細胞のセリフがやや長いきらいがあり、ちょっと気になりました。キラーT細胞の活躍は色々ありますが、中でも風邪症候群回は結構好きです。

それから先日の『はたらく細胞BLACK』に関して、白血球が右目を見せないキャラであること、それから主人公の髪関連で多少補足をしています。あと第1巻の第5章では、円形脱毛症でステロイドが投与されますが、現在インドでは、新型コロナウイルスの治療に使われるステロイドで、感染症(ムコール症)が問題になっていると言われています。ステロイド自体に、免疫細胞の機能を抑える働きがあるためですが、こういう点からも、ステロイドの副作用の大きさを感じずにはいられません。

飲み物-アイスコーヒー5

[ 2021/05/24 01:00 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

『鎌倉殿の13人』は、どのように描かれるのか。それを考えてみると

来年放送予定の『鎌倉殿の13人』、これまで何度かキャスト発表がされて来て、どのような人物が主に登場するのかも大体わかって来ました。これまでのところを見ると、源氏の方が当然ながら多いかなとは思います。

一方で平家はと言えば、平清盛が松平健さん、平宗盛が小泉孝太郎さんというのがわかっているのみです。こういった点から判断すると、平家の人々はあまり登場しないか、出て来てもそこまで重要なキャラではないのかとも思ってしまいます。ただ頼朝挙兵から壇ノ浦に至るまでは、平家の人物がそこそこ出て来る必要があります。そこは三谷さんも、戦闘シーンを少なくして、寧ろ鎌倉重視で描きたいと考えているのかも知れません。

ただ『真田丸』では関ヶ原をショートカットできたものの、この場合壇ノ浦を描かないわけには行かないし、それより前の一の谷や屋島の戦いも一応は触れておいた方がいいかと思います。あるいは未だ、俳優さんの事務所と交渉中なのかも知れませんが。

それと三谷流のアレンジという点を考えた場合、源頼朝をあまりかっこよく描かないのではないかと思っています。頼朝といえば鎌倉幕府の創設者、つまり日本における武家政権の創設者ではありますが、意外と妻である政子に歯が立たず、北条家の人々の中で色々悩んだという描写もありでしょう。これは頼朝を演じる大泉洋さんが、前回は真田信幸(之)役であり、あれこれ悩む人物であったのと関係しているのかもしれません。

またこの場合、主役は北条家の人物で初代執権でもあるわけですから、北条側の視点が中心になると思います。前に、頼朝は操り人形的になるのかと書いたことがありますが、その線ももちろん考えられます。主人公は義時で、頼朝がいなくなった後は義時の思惑に沿って人々が動き、北条による体制が確立して行くわけで(これは『草燃える』総集編の最終章も同じ)、その過程をどう描くかで面白さが決まりそうです。

ところでこの大河は、昨年の11月からキャストが発表されていますが。最近、特に『麒麟がくる』などは放送予定年の2年前に制作発表され、その後定期的にキャストが発表されるようになっています-ただ『青天を衝け』は発表9月、またコロナ禍もあってか、第一次キャスト発表が翌年7月と比較的遅めでした。

それで行くと、『どうする家康』の第一次キャストも、あと半年ほどで発表となりそうです。無論三谷さんはあて書きをする人なので、その意味もあっての早めの発表でもあるとは思いますが。

飲み物-ランプと水とウイスキー

[ 2021/05/23 11:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

気づいたことあれこれ 23 英語スラングと海外ドラマとイギリス海軍作品

ネット上の英語、さらに海外ドラマや映画について、とりとめもなく書いて行きたいと思います(既出の話題も含みます)。まずbitchという単語があります。元々は雌犬とか、他にもイヌ科の動物の雌の意味ですが、最近はあまりこういう意味では使われないようです。今は主に「性悪女」、「不愉快な状況」、また女性同士で「みんな」という呼びかけで使われたりもします。その他にも「不平を言う」、さらには「女、彼女」という意味で使われることもあるようですが、あまり乱用するのはちょっと抵抗を覚えます。

以前BBCの“SHERLOCK”で、SHERLOCKEDとかCUMBERBITCHなどという言葉が、特にファンの間で使われたりしましたが、後者に関しては、私としてはやはりちょっと抵抗がありました。この言葉、もちろん主演のベネディクト・カンバーバッチに引っ掛けた表現です。

ついでにもう一つ。ネット上で女性から見た恋人、彼氏や男性アイドルのことをdaddyと呼ぶ風潮があります。似たような表現として、元々sugar daddyなる言葉が存在します。若い女性に貢いで言い寄る中年男性のことで、所謂援助交際に近いものがあります。またゲイのスラングで、中年層のゲイ(若者からおじさん呼ばわりされる)を指す言葉としても使われます。仮にそれとはまた別であっても、男性が女性を支配している意味などとも言われていて、これもちょっと抵抗を覚える表現ではあります。

さて前出のベネディクト・カンバーバッチが出演した『パレーズ・エンド』(BBC)というドラマがあります。第一次大戦を通じて、貴族の没落と女性の参政権獲得、社会進出を描いた作品ですが、かの『ダウントン・アビー』も、この時代を描いた作品でした。ちなみに『ダウントン・アビー』は、第一次大戦後のシーズン3辺りまでは観ていました。ところでカンバーバッチがやはり出演した『僕が星になる前に』の中で、主人公の男性4人組の前に奇妙なおじさんが現れるシーンがありますが、そのおじさんの中の人が、『ダウントン・アビー』のグランサム伯爵の中の人ですね。

それからイギリス海軍を描いた作品として、以前『ホーンブロワー 海の勇者』について書いたことがあります。海尉心得(士官候補生)のホレイショ・ホーンブロワーが、一人前の士官として成長する姿を描いた作品です。このシリーズの第2話でペストが流行し、ペストが発生した陸地に降り立ったホレイショと船員たちが、隔離されることになったり、また裏切り者の船員が脱走しようとして、ホレイショが初めてピストルを彼に向けて撃ったり、海尉試験で火船が艦に接近し、艦長でもある試験官たちが慌てふためき、ホレイショが身の危険を冒して火船を引き離して、晴れて海尉となってハッピーエンドを迎えます。

ところでやはりこの第2話の中で、海尉試験に向けて勉強中であるにも関わらず、船員たちが騒いで勉強できず、彼は一人デッキに出て本を読みます。その時ページが一枚はがれ、それを掌帆長が拾ってくれるのですが、その人はホレイショに、彼らもまた(ペストが)不安なのだと言い聞かせるところがあります。ちょっといいシーンです。

他にも映画『マスター・アンド・コマンダー』で、海戦が始まると被弾を避けるために帆を巻き上げ、血で滑らないように床に砂を巻き、手術道具(と言っても手足を切断するもの中心)を揃えて行く様が描かれています。この中で若い海尉心得の1人が、腕を切断することになり、ラッセル・クロウ演じるオーブリー艦長が、彼自身が敬愛するネルソン提督の本を彼にプレゼントします-ちなみにネルソン提督は、隻眼隻腕でした。隻眼といえば、先日『はたらく細胞』とBLACKの白血球について書いていますが、彼らのキャラデザインと何か関係あるのでしょうか。

手術といえば、『炎の英雄シャープ』の手術風景も凄まじいものです。弾丸を浴びて倒れた主人公のシャープ(平民出身将校で、貴族階級の将校と折り合いが悪い)を、教会の戦死者の安置所で見つけた仲間たちは、彼の弾丸をまず取り出そうとしますが、これが麻酔なし、しかも焼け火箸のようなもので弾丸を取り出し、その後ひどい熱を出した彼を水風呂で冷やすという荒業に出ます。その当時の医療としてはそんなものだったのでしょう。幸い彼は一命を取り留め、次なる戦線へと向かうことになります。

飲み物-ポーターとクルミ

[ 2021/05/23 01:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る明智光秀 61

光秀の軍勢は東へと進みます。このことへの疑問が士卒の間に広がりますが、京で信長の閲兵を受けると知って皆納得します。真実を知っているのは光秀、弥平次、斎藤利三以外には3人の重臣のみでした。狭い道が続き、やがて亀山盆地が尽きて軍勢は森林に入ります。頭上は晴天でした。
やがて老ノ坂を越え、京都盆地に入ります。時刻は日付が変わった頃でした。この時の光秀は革命家でも武将でもなく、一人の暗殺者でしたが、ただ大勢の兵を従えているという点で、普通の暗殺者とは異なっていました。やがて沓掛という集落が見えて来ます。宿駅としては古く、一同はここで休止し、全軍腰兵糧を使い、光秀は古い神社の境内で、物頭の矢野源五右衛門にすべてを打ち明けます。

源五右衛門は先兵隊長として一軍の先を進むように命じられます。軍の中から、光秀の意図に気づいて駆け抜けようとする者を防ぐためでもあり、また在郷の者がこの行軍を怪しんで、本能寺へ速報するのを阻止する意味もありました。やがて桂に出た時、光秀は馬の沓を切り捨て、徒歩の者は新しい草鞋に履き替えるように命じます。この辺り如何にも光秀はそつがない司令官でした。
さらに
「鉄砲の者は火縄を一尺五寸に切って五本を手に持て。五本とも、火をつけよ。火の消えぬよう、さかさにさげよ」
との命令が下り、戦場が近いことが誰にもわかりました。

一同が桂川を押し渡った時、士卒は驚くべきことを知らされます。それは
「敵は本能寺にあり」
でした。あまりにも予想外の攻撃目標ではありましたが、斎藤利三はこのめでたさを喜べと皆を励まします。
この利三の隊が京都市中に入ったのは午前5時頃で、市中の町々の木戸の押しあけ方まで指示し、大軍で動くのではなく、隊を構成している組ごとで分進し、闇の中での本能寺の見分け方、樹木が多いこと、サイカチの大木があることまで教えます。

信長は頻繁に上洛する割には、京に城館を作りませんでした。常に寺を宿とし、最近はもっぱら本能寺を利用していて、その本能寺を城郭式に改造していました。元々合理主義に貫かれたこの人物は、建物の建造費や維持費に金を使うのなら、天下を取るために使う方が得策であると考えていたようです。
6月1日の日中、右大臣である信長は公卿衆の訪問を受け、夜は嫡子の信忠がやって来ます。信忠は、かつて信長が宿所としていた妙覚寺に、手勢500人と滞在していました。ちなみにこの時本能寺に於ける人数は、わずか200人ほどでした。

この信長は過去を回想することなどあまりなかったのですが、この夜に限り、自分の前半生を回顧したり、その中に登場する人物の品定めをしたりしていました。信忠の他には、文官の村井貞勝などがこの話の相手でしたが、彼らはこの夜の信長をどこか不審に思っていました。
夜が更けて信忠は妙覚寺に戻り、信長も寝所に入ります。次室の宿直(とのい)の小姓の中には、数えで18の森蘭丸もいました。斎藤道三の家臣であった森可成の遺児で、未だ信長の命で童形でありながら五万石取りであり、加判(上意を執行する際に、署名や押捺をできる権限を持つ)奉行でもありました。

6月2日の夜明け前、信長はどよめきと銃声を聞いて目を覚まします。恐らくは足軽の喧嘩であろうと考え、蘭丸を物見にやらせますが、蘭丸に見えたのは、暁天を背に押し寄せてくる水色桔梗の旗でした。信長は既に寝所に火をつけており、蘭丸は
「謀反でございます」
と知らせます。
この時側にいた堺の商人で茶人の長谷川宗仁は、信長が騒がず、両眼を光らせているのを目にします。
「相手は、何者ぞ」
「惟任光秀に候」

ついに光秀は決行します。亀山城を発ち、閲兵という理由をつけて京へ向かい、京都盆地に入って桂川を渡る前に、兵たちに細かい指示を与えます。つまり、戦場がそう遠くないということでした。そして桂川を渡り終えた兵たちに、敵は本能寺であると伝えます。
この時、裏切り者や地元民の抜け駆けを防ぐため、矢野源五右衛門を先兵隊長にするという念の入れようでした。また斎藤利三も隊で動くのではなく、組単位で兵を進ませ、闇の中で見る本能寺の特徴について教えます。このようにして、光秀の軍が本能寺を取り囲んだのは、6月2日の早朝でした。

大河ドラマでは、この前夜に信長が『忍び草』を歌うシーンが出て来ます。
「死なうは一定、しのび草には何をしよぞ、一定かたり遺すよの」
(人は誰でも死ぬもの、自分が生きたその時を忍ぶものとして、生きている間に何をしておくか。人は、そのことを思い出して語り草にしてくれるだろう)
また原作中での信長の昔話など、この時から半日も経たないうちに果てる彼を、示唆するような描写が出て来ます。『麒麟がくる』の池端氏がやらなかった「本能寺からの逆算」ではありますが、信長に取っても光秀に取っても、人生のクライマックスである以上、それを盛り上げるためには、逆算もまた選択肢の1つではあるでしょう。


飲み物-ショートカクテル
[ 2021/05/23 00:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『はたらく細胞BLACK』第1巻

<喫煙、細菌、終わりの始まり。>
疲労蓄積、睡眠不足、暴飲暴食…新人赤血球のAA2153の職場は、そんなブラックな体内だった。酸素を運ぶ血管はでこぼこだらけで足場が悪く、LDL、悪玉コレステロールがストレスによって増えたコレステロールを不法投棄もしていた。また一酸化炭素により、仲間の赤血球たちが次々とこれと結合してピンク色になり、仕事ができなくなってしまっていた。

しかも免疫力の低下で肺炎球菌が入り込む。この菌には溶血性があるので赤血球たちは要注意であり、そこへやって来た白血球(1196)のおかげで難を逃れる。AA2153はこんな仕事はまっぴらだと言うが、先輩のAD6614は、赤血球は細胞核もミトコンドリアもなく、9割がヘモグロビンの酸素運搬に適応した進化をしており、酸素運びしかできないと言い聞かせる。そのAD6614は敢えて危険度の高い、一酸化炭素の多い道を通り、彼を肺の方へと行かせてくれた。

その肺で、一酸化炭素の発生は10年ぶりの喫煙によるものだったことがわかる。アセチルコリン受容体に作用したのはニコチンだったのである。ニコチンは依存性があり、今後も同じ事態になることが予想されたが、それはまだほんの序章に過ぎなかった。

<肝臓、アルコール、誇り。>
ブラックな労働環境の中で、赤血球たちは今日も働いていた。この日はストレスが強く血圧も上がり、ベテランのJJ4141は、こんな日は降るぞと言うが、案の定アルコールの雨が降って来たため、彼らは肝臓に行って「ヌいて」貰うことにした。キャバクラと思しき店で、美しい幹細胞からまずアルコールを分解するADHを飲まされる。AA2153は自分が仕事をほったらかしたことで愚痴るが、JJ4141は誰もが通る道だと言う。

その後段々皆愚痴るようになり、黒い煙が出て来た。その正体は強い毒素を持つアセトアルデヒドで、皆が荒れているのもそのためだった。しかる後にALDHが出され、これで完全にアルコールが「抜けて」しまう。幹細胞は自分たちの仕事に誇りを持てというが、赤血球たちにはそれが皮肉のように聞こえた。しかしJJ4141は、この世界に楽な仕事などないと彼らを窘める。実は肝機能自身もアルコールによるトラブルに悩まされていたが、客の前では黙っていた。

皆はALDHを煽り、それを見届けたJJ4141は眠るように息を引き取り、ベリイダンスを踊っていたクッパ―細胞に貪食される。ある赤血球の死、しかし悪い死に方ではないと若手たちは言う。AA2153は幹細胞から見送られていたところを白血球に見つかるが、白血球は脂肪肝の見回りに来ていたのだった。油断するなよと声を掛けるが、翌日その意味がわかる。アセトアルデヒドが分解し切れておらず、彼らは二日酔い状態で、しかもまた迎え酒が降って来ていた。

<勃起、射精、虚無。>
これよりこの体は興奮状態に入るとのアナウンスが響く。それはすなわち、勃起そして射精を意味していた。白血球に取っては戦の日である。赤血球たちは陰茎にある海綿体を血液で満たし、勃起させるようにとの指示が下る。ここは細かい糸状の血管が多く、興奮時に放出される一酸化窒素に反応して、サイクリックGMPが放出され、これによって血管が緩んで血液が流れ込む。

彼らは中に入ったら壁を押し広げ、圧力を高めることになる。しかもその圧で静脈が閉じ、出ようとしても出ることは不可能である。手順としてまず入口の螺行動脈を押し広げ、奥へ進むのだが、AA2153は誰よりも先に突入した。彼はかつて睾丸に酸素を届けた時、赤ちゃん精子である精原細胞を見て、養育係であるセルトリ細胞にも会っていた。しかしストレスが原因で、サイクリックGMPがうまく放出されず、赤血球たちが押し返されてしまう。所謂EDだった。

しかし外部よりシルデナフィルが投入され、体は勃起状態に入る。尿道括約筋が収縮され、精子たちが放出されてAA2153はほっとするが、この場合、必ずしも生殖が目的ではないと聞かされて虚無感に襲われる。しかも悪いことにその時、白血球から淋菌が体内に入ったとの報告があった。

<淋菌、襲来。>
白血球たちは死闘を繰り返すが、淋菌の増殖スピードはかなり速い。ヘルパーT細胞はリンパ節で、このまま放っておくと淋病の危険があると檄を飛ばし、白血球は捨て身の覚悟で戦いに臨む。赤血球たちは白血球を頼らざるを得なかったが、しかし彼らが酸素の運搬中に見たのは、膿となったおびただしい白血球の死骸だった。しかも淋菌はすぐそこに迫っていた。マクロファージは、尿道より先は戦場だと警告する。

「淋しい」を連呼する淋菌たちは執拗に白血球たちに絡みつき、あんたらも本当は皆から疎まれて淋しいんだろう言う。しかも彼らの細胞壁はかなり頑丈だった。そんな中でもAA2153は酸素を運ぼうとする。そんな時、口からペニシリンが欧入されて食道を通っって尿道へ向かい、淋菌たちの細胞壁が壊れて行った。

その少し前、白血球は何をやっているんだと赤血球が言ったことでAA2153は謝るが、白血球は仕事とはそういうもの、互いに肩代わりはできないと言う。思わず目をそむけたくなる殺戮が続くが、それは赤血球が酸素を運ぶのと同様、白血球の仕事だった。淋病は治まり、死んだ白血球たちは膿として尿道から排出された。

<過重労働、錯乱、脱毛。>
仕事中に白血球と出会った赤血球は、これからも一緒にいい体(せかい)を築いて行こうと握手を交わす。するとヘルパーT細胞からの連絡があり、頭頂部付近で問題が発生したとのことで、キラーT細胞が動員されていた。赤血球たちも頭頂部に向かっていたが、相変わらず足場が悪い。しかも頭頂部にたどり着いたら、毛根が炎症を起こしていた。

異物排除に向かったはずのキラーT細胞だが、なぜか攻撃しているのは毛母細胞や色素細胞だった。恐らくはヘルパーT細胞が、活発に増殖を行う毛母細胞をがん細胞と取り違えての判断であり、樹状細胞がそれに抗議していた。精神面でのストレスが原因で、このため円形脱毛症が起きてしまう。

赤血球は何とか酸素を毛母細胞に運ぼうとするが、ヘルパーT細胞はキラーT細胞を活性化させるため、サイトカインを出そうとする。しかしそこに送られて来たステロイドにより、ヘルパーT細胞の働きが抑えられ、頭頂部の炎症も治まった。それぞれがそれぞれの働きをしただけなのだが、かなりおかしなことになってしまったのである。そして白血球は、仲間たちがいないことを不審に思っていた。


『はたらく細胞BLACK』第1巻です。『はたらく細胞』本編の大人バージョンで、流石に大人の体と思われるトラブルが、のっけから次々と出て来ます。ただこれは最早スピンオフと言うよりは、本編と並んで、このシリーズのメインとなる作品と言ってもいいでしょう。

本編が比較的若い世代の体を舞台にした、入門書的な意味合いがあるのに比べると、こちらは不健康な大人の体を舞台としており、不摂生が人体にどのような影響を与えるかが読み取れますし、それだけ腰が入った作品であるとも言えます。

恐らくこの企画が立った時、本編とは違った路線で行くことが決まったとも考えられます。特に主人公の赤血球と白血球の男女逆転、免疫細胞以外の体中の細胞の描写、過酷な環境下での細胞たちの死と主人公の憤りなどなど、かなりリアルです。人によっては、ちょっと怖いという印象を受けるかも知れません。ただ大人であれば多かれ少なかれ、その人自身にも関わってくることではあります。

肺炎球菌とかステロイドが出て来るところなどは、本編の最初の方を踏まえているようです。ただ肺炎球菌が溶血性で、赤血球がやられてしまう描写などは、このBLACKならではのものです。

またAA2153がこんな仕事はまっぴらだと言いますが、先輩から俺たちは赤血球で、ミトコンドリアも核もなく、酸素を運ぶのに適している、つまりそれしかないと諭すところに、赤血球の宿命と言うべきものが窺えます。なおこの先輩は、自ら進んで危険な道を進んだ時帽子を落とし、AA2153は、その帽子を形見として取っておくことになります。

特に赤血球が男性、白血球が女性というのは面白い組み合わせだなと思います。本編の場合は赤血球は男女いますが、主人公は女性、白血球は男性となっていて、2人の間にほのぼのした雰囲気が生まれるような設定もありました。しかしこのBLACKでは、両者はどちらかと言えば、困難な状況を打破して行くパートナー同士のイメージです。

それから環境のせいもあってか、他の細胞も一様にあくが強めでキャラが立っています。特に赤血球が何人かいて、それぞれが個性的というのは、赤血球を主人公にするうえでの工夫とも言えます。

実際この赤血球は、本編のキラーT細胞の部下並みのタフさがあると思われますし、白血球に至っては、本編のNK細胞レベルの強さではないかと思います。ただ白血球は女性なので、戦闘の際に服がぼろぼろになったりした場合、ちょっと心配にもなりますが何とか踏みとどまっています。

この白血球なら、「くの一」の格好をさせても似合いそうです。実際刀を背負っていますし。

それにしても白血球は、本編でもBLACKでも右目が隠れていますが、敢えて両目を出さないキャラデザインなのでしょう。『風林火山』の山本勘助に向けた言葉ではありませんが、「見えざる目で何を見ている」と問いかけたくもなります(右目が『見えざる』ものかどうかはともかくとして)。それと主人公がいずれも赤毛で、右側の髪が一部アホ毛のように突っ立っている点、これも共通していますね。
(2021年5月22日加筆)


飲み物-アイリッシュコーヒー

[ 2021/05/22 00:45 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

『若い人』その6

かなり月日が経ってしまいましたが、『若い人』という小説について、昨年から何度か投稿して来ました。その間に新しいテーマの投稿も始めたこと、さらにこの本の真の面白さを語るには、少々手に余るかも知れないと思ってもいることから、ごくざっと、前回の投稿後のことを書いておきます。

学校では、寮にいる生徒の一人が小為替がなくなったと言って来たことから、寮の部屋を先生たちが探し回り、生徒たちの反発を買いますが、江波恵子は相変わらずでした。間崎も話が合う女性教師橋本に惹かれつつ、江波のこともまた気になっていました。そんな中、江波が妊娠しているという噂が流れたり(実際は違っていた)もします。

その後冬期休暇に入り、江波は正月を含めて3度間崎の下宿にやって来ます。最後は如何にもいわくありげで、しかも間崎の下宿で寝てしまい、最終的に橋本が彼女を連れ帰ります。それからしばらく経って、今度は橋本の家に行った間崎ですが、共産主義に感銘している橋本の家に、1年生の増井アヤ子が遊びに行ったりしているのに気づいたりします。アヤ子の父は警察官で、間崎はそのことを懸念します。橋本の家を出た間崎は飲食店を経営する江波の家へ行き、そこで夕食をご馳走して貰いますが、その間崎の前で江波の母は酔っ払い、かつて娘と心中しようとしたことまで口にします。

間崎はその後小競り合いに巻き込まれ、大けがをします。そのまま江波の家で養生していましたが、このことは学校に知られることとなっていました。橋本が見舞いにやって来ますが、江波の母はどうもこの人と相性がよくありません。また江波が帰って来て、2人は一緒の部屋で休み、肉体関係ができます。間崎が学校に出られるようになって後、江波はストーカーのように彼について回りますが、橋本が非合法活動で逮捕されたことから、江波は間崎との別れを感じ取り、実際別れてしまいます。卒業式当日、釈放された橋本と間崎は東京へ向かい、江波は卒業式で『蛍の光』を謳うのでした。

とまあこんなふうなのですが、何せ昭和の初めの頃の文学のことです。文学はまだ一部の人たちのものであり、「知」を語る一方で、人々の心情、内なる思いもまたあれこれ書き込まれていて、それについ引きずられそうになり、結局のところ、要所と思われる部分のみを拾った結果、かなり端折った読み方になってしまいました。本当はまだ色々と伏線と、その回収もあったかと思います。また共産主義がエリートのものと言うのも、この時代らしい描写です。

しかし当時としては、この小説を貫く男女関係は一線を越えたものだったでしょうし、今の時代であっても何とも中途半端な感じです。この間崎と言う男性教師がいささか優柔不断であり、また江波がどこかあざとい雰囲気で、それゆえ魅力的であるがために、どちらにも惹かれてしまったというところでしょうか。

結局卒業が2人の関係に最終的にピリオドを打ち、どこか危なげな雰囲気の江波は、思いをかなえることもなく(かなえられそうな雰囲気でもなく)、ある意味自己犠牲的に、そのまま母と二人の生活に戻って行くことになります。

またこの本の解説によれば、この作品はアンドレ・ジッドの作風と共通したものがあり、実際『狭き門』に見られるような贖罪の意識も感じ取れます。とはいえジッドは実は同性愛者であり、それを後に自伝で暴露することになってしまうのですが。ともあれ、この小説についてはこれで終わりにします。


飲み物-注がれる紅茶
[ 2021/05/21 11:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

TopNTagCloud