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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  2021年02月

大河ドラマ雑考-46

「『国盗り物語』に見る明智光秀」という投稿で、司馬遼太郎氏の原作に描かれた光秀を追っています。昔の大河のように52回で終わらせる予定でしたが、多少オーバーするかも知れません。無論この半分ほどは創作と思われるし、昭和30年代の執筆当時の史料がベースになっていますが、それでも光秀がどのようないきさつで信長に仕え、なぜ反りが合わなくなったかというのが、きちんと描かれているのは評価できます。『国盗り物語』の大河そのものは総集編しか観ていませんが、一応はこの原作に則った描き方をされています。


『麒麟がくる』で、池端氏が何を描きたかったのかはともかくとしても、大河で、しかも光秀の生涯を追うのであれば、この位のストーリーをやはり作るべきだったかなと思います。無論途中休止が入ったため、当初の思惑通りに行かなかったのは認めます。しかしだからと言って、休止のみを言い訳にもできないわけで、それ以前から感じられた「パシリ」的あるいは諜報部員的な光秀の設定はどうにかするべきでした。それとやはり、本能寺後の細川藤孝、筒井順慶は描くべきでしたし、この点は未だに不完全燃焼の感があります。


昔は原作付きが当たり前だった大河ですが、だからと言って今の大河に原作をとなるとこれも難しい。司馬遼太郎、吉川英治、山岡荘八といった大河の常連組の原作は、前述のように古い史料がベースになっているところもあり、脚本執筆時点で考証を新しくする必要に迫られます。場合によっては『功名が辻』のように、原作をかなり改変することにもなりかねません。ほぼ原作通り、あるいは多少創作を交えて大河を制作できたのは、やはり昭和から平成のはじめ頃までだったのかとも思われます。


ところで『青天を衝け』で、渋沢栄一の子供時代を演じた小林優仁(まさひと)君がTVで紹介されていたようです。大河の場合、特に子役さんは大人の俳優さんに雰囲気が似ていて、しかもそれなりに演技ができないといけないため、人選が難しいかと思いますが、反面うまくその役にはまれば、その子役本人の人気が出るということもしばしばあります。『天地人』の加藤清史郎さんは正にその代表でした。


しかしその『青天を衝け』、第1回と第2回が27日の深夜というか28日の未明、『今夜も生でさだまさし』が終わった後に再放送されていたらしいのですが、ちょっと先行放送と再放送が多くないでしょうか。あるいは天災等何らかの事情で再放送ができなかった地域向けなのでしょうか。ならばその地域限定でいいのではないかと思います。


飲み物-アイリッシュコーヒー


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[ 2021/02/28 23:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る明智光秀 44

叡山の虐殺は凄惨なものでした。元々信長は非合理的なものを嫌うたちで。僧侶たちも彼に取っては、いわば手足のついた怪物と言うべき存在でした。
「神仏どもは怠慢にして彼等を地獄に堕すことをおこたった。神仏・坊主、ともに殺せ。信長がかわって地獄がどういうものかを見せてやらんず」
信長の命令は常に具体的で、洞窟の中もくまなく探して、逃げ込んだ僧たちを殺すうように命じます。またあちこちで猛煙が上がり、光秀も呼吸することさえもが困難になる有様でした。

信長に取って、叡山は正に「戦場」でした。光秀も信長の家臣として命令に従ったものの、女や、高僧たちをも殺せと命じられます。高僧の中には光秀の知り合いの僧もいたため、光秀に取っては信長があたかも魔神のように見え、この時ほど信長を憎んだこともありませんでした。しかし信長にしてみれば、彼ら高僧の存在こそが、僧たちの堕落を覆い隠していたと言うべきものでした。ついに元亀2(1571)年9月12日、叡山は完全に焼き払われ、僧侶を含む男女2,000人が殺されてこの「虐殺」は幕を閉じます。

この後、光秀は信長から
「坂本城主になれ」
と命じられます。坂本は叡山の近江側の山麓にあり、信長は光秀に旧叡山領を管理させ、南近江と京の守りを任せようとしたのです。また領地としては、石高の高い滋賀郡を与えました。秀吉でさえ当時はこれほどの待遇を受けておらず、異例の大抜擢であり、信長は光秀とは反りが合わないながらも、その能力を高く評価していました。光秀は琵琶湖が湖賊の巣窟であることから、この城を水城にして制「海」権を得ようとしたのです。

建築材料は、坂本にあるかつての叡山の旧寺院の物を利用することにしました。元々は僧侶たちは延暦寺に住むべきでしたが、山上の湿気が強く体によくないことから、里坊と呼ばれる坂本の住居に住んでいました。工事中、光秀は家族を呼び寄せて坂本に住まわせます。光秀は何と言っても妻のお槇を愛しており、そのお槇は里坊に住んでみて、まるで大名の館のようだと言います。光秀は苦笑します。今となっては、彼は既に城と領地を持つ大名なのですが、所謂守護大名でもなく、また新興の戦国大名でもない上に、戦国大名の信長の家来でもあり、お槇は夫が大名である実感がわきませんでした。

お槇は言います。
「弾正忠(信長)さまが上にいらっしゃるかぎり、あなた様はお大名ではありますまい」
光秀はこの言葉を耳にして複雑な気持ちになり、お槇に、滅多なことを他人の前で言うなとたしなめます。お槇は無論そのようなことはないと言い、光秀も信長は、将軍の次に位置する准将軍のようなものだと言って、ならば我らも准大名であろうと言います。無論別に本物の大名でないとしても、長年苦労した末に得たこの地位を、妻と共に喜びたいというのが光秀の本音でした。

しかし光秀は多忙でした。無論将軍義昭のもとにも伺候せねばならず、また工事の進捗を見て回る必要もありました。そんな折、琵琶湖畔の唐崎にある、古歌にも歌われた松を植えたいと思い、松探しにかなりの情熱を注ぎます。このため人数を割き、いい松を得ようとするも、彼らの一部が浅井軍に襲撃されてしまいます。しかし光秀は諦めるどころか、秀吉に頼んで兵を出して貰うことにしました。秀吉も、このような状況下なのにと驚くのですが、結局100人ばかりの兵を貸してくれます。その松を運び出そうとした時、要塞でも作られると思ったのか、浅井の部隊が銃撃を加えて来ます。

叡山の焼き打ち、この日は宣教師が「聖ミッセル(ミカエル)の日」と記録し、この焼き打ちを喜んでいます。これは9月29日の祭日のことでミケルマスなどとも呼ばれています。それを信長が知っていたかどうかはともかく、彼に取っての一大戦争が終わり、この地を明智光秀に任せます。信長という人物は、自分と相性が悪くても、能力のある人物なら取り立てて使うところがあり、無論光秀もそれを喜びます。そして城の設計に取り掛かり、またお槇や子供たちを呼び寄せて坂本に住まわせます。

しかしお槇の何気ない一言、
「信長の下にいる限り大名ではない」
といった意味合いの言葉に、光秀は過剰に反応します。元々この人は、いささか小心過ぎる嫌いはありました。その一方でこちらもやはり変人と言うべきなのか、城に植えるための松を探させ、ついには浅井軍との小競り合いまで起こしてしまいます。信長の家臣である以上、不本意ながらも叡山焼き打ちという「中世」を滅ぼす行為に出た光秀ですが、その後、それとは対極にあると言うべき、唐崎の松に代表される復古趣味への思いに、何らかの癒しを求めていたのでしょうか。

飲み物-バーのカクテル
[ 2021/02/28 00:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

スポーツ中継が専門チャンネル化する理由

JSPORTSからメールが来ていたので見たところ、ジロ・デ・イタリア(ジロ・ディタリア)を再び放送するようになったとの由。この自転車レースは、一頃DAZNが配信していたのですが、結局撤退してしまったようです。
ちなみにDAZNのコンテンツは、日本ではサッカーが中心ですが、ラグビーも一部トップリーグと、イングランドのプレミアシップをやっています。シックスネーションズ(6か国対抗)が配信されるのであれば、加入を考えなくもないのですが…尚ヨーロッパの一部の国では、シックスネーションズがライブ中継されています。

スポーツのライブ配信というのは、観る側に取ってはエキサイティングではあります。しかしそのためには、完全中継できるだけの枠が必要になり、とどのつまり専門チャンネル、専門局化する必要が出て来ます。
かつては地上波でプロ野球中継が行われていた時代もありました。しかし野球は制限時間がなく、どう考えても放送枠の確保がしづらいと思われるスポーツです。野球ファンであればともかく、そうでない場合は、わざわざレギュラー番組を削ってまで放送するべきかという疑問も当然出て来ます。
局側としてもこれでは編成に影響するわけで、結局今は地上波での野球中継はかなり数を減らし、BSに移行するようになっています。スポーツを完全にライブで楽しむには、それなりの経費も必要であるということでしょう。

ここでまたNHKの話になりますが、2019年のワールドカップの中継のオフィシャルブロードキャスターはJSPORTSで、一部の試合が地上波で-NHKと日テレ-とで放送されることになりました。正に「ラグビー観るならJSPORTS」です。そしてスコットランド戦、日本の決勝トーナメント行きに歓喜の声を上げた人は、同時間帯の大河の視聴者数を遥かに上回りました。
NHKが自らを公共放送であると言いながらも、今一つその実感がわかないのはこういう点にも表れているかと思います。自国でのワールドカップの完全中継に、名乗りを上げないというのは如何なものでしょうか。仮に枠が取れないにしても、せめて日本の試合はすべて放送するべきでした。
それでもかつて間にCMを入れて、ラグビー中継をぶつぎり状態にしてしまったテレ朝よりはいいかとは思います。一体どのような事情であのようにしたのか、未だに謎ですし、またそれを許したラグビー協会の姿勢も大いに疑問でした。


飲み物-ギネススタウト
[ 2021/02/27 00:00 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

2021年トップリーグ第1節

トップリーグ第1節の結果です。(赤文字勝利チーム)

NTTコム 41-13 Honda
パナソニック 55-14 リコー
クボタ 43-17 宗像サニックス
トヨタ 34-33 東芝
神戸製鋼 47-38 NEC
キヤノン 24-26 NTTドコモ
サントリー 77-5 三菱重工
日野 17-52 ヤマハ発動機

やはり強豪チームが順当勝ちといったところですが、東芝は惜しかったですね。あとNECグリーンロケッツも、神戸製鋼の前によく立ちふさがりました。最後のコンバージョンが入らず、ボーナスポイントをゲットできなかったのが痛いです。そしてバレットを擁するサントリー、三菱重工に圧勝です。

ところで今シーズンは、すべての試合がJSPORTSを中心に中継されていますが、トヨタと東芝の試合はNHK(愛知県限定)で放送されています。尚ABEMAやDAZNでも配信されたようです。次節は以下3試合がJSPORTS以外に、カッコ内の放送局で中継されます。

東芝-クボタ(NHK BS1)
NTTドコモ-NEC(朝日放送-近畿広域圏)
神戸製鋼-キヤノン(BS日テレ)

それから既にご存知の方も多いでしょうが、パナソニックの福岡堅樹選手が順天堂大学に合格し、今後は医師としての道を歩むことになります。彼のラストシーズン、雄姿を目に焼き付けて置きたいですね。

飲み物-ポーターとクルミ
[ 2021/02/26 00:00 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

『青天を衝け』第2回に関して

今回も、ナビゲーター?家康公からスタートです。そういえば北大路さん、『神様のカルテ』では大狸先生と、まるで家康のような呼ばれ方をされていますね。ちなみに、天皇陛下と同じお誕生日だそうです。

さて栄一は9歳になったとありますが、演じているのは前回と同じ子役さんですね。ともあれ多少は大人になっているわけです。
村祭りが近づいて来ましたが、村の男たちは藩命で人足に駆り出されてしまいます。これでは祭りができません-この「祭りができない」という設定に、何やら昨今の事情とだぶるものがあります。しかし栄一は一計を案じ、父たちが戻って来た後に、自分たちで祭りの獅子舞を披露します。

栄一が踊っている内に、いつの間にか吉沢亮さん演じる青年期の栄一となって行くのですが、子役が出る大河の場合、この子供→大人への移り変わりをどうするか、今まで多くの作品で様々な趣向が凝らされて来たと思います。個人的には『独眼竜政宗』の、部屋に入ったら大人になるシーンとか、『おんな城主 直虎』で、子供と大人のおとわ(次郎法師)がすれ違うシーンなどは面白いなと思いました。

一方七郎麻呂こと慶喜は、水戸から御三卿の一橋家に養子として迎えられますが、本人はどうやら水戸の方がいいようです。尚こちらも能を演じていて、面を外すと草彅剛さん演じる大人の慶喜が現れるのですが、願わくば少年時代の慶喜が舞っていて、面を外すと草彅さんだったという設定にしてほしかったですね。

また役人に対して低姿勢の父に栄一は怒るものの、農民だから仕方ないと諭されますが、『龍馬伝』の上士と下士の関係や『西郷どん』のふきの身売りなど、身分制度に疑問を持つ描写がなされ、それが明治への原動力となるというのは幕末物にありがちですね。

それからこの大河ですが、

いだてん
麒麟がくる

に比べると、まず現時点では時代劇らしさはあります。演出への疑問も、今のところあのCGの蚕のみです。

サブタイも恐らくは「栄一、○○する」といった形でまとめられるのでしょう、過去の映像作品のタイトルを使ったりしないのには好感が持てます。そして、何よりも着物がやたら派手派手しくないのには救われます。栄一が来ている着物には麻の葉の刺繍がされていますが、子供の着物によく使われる図柄ですね。『鬼滅の刃』の禰豆子も、麻の葉模様の着物です。

一方で、江戸の描写が今の所幕府と水戸家、一橋家に限定されているふしがありますが、今後のことを見据えて、薩摩や長州、越前などもそろそろ出していいのではと思います。それと、やはり小松帯刀を出してほしいです。
(2021年2月26日一部加筆修正)

飲み物-冬のティータイム
[ 2021/02/25 23:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

受信料に関するNHKの傲慢さ

昨年、NHKが受信できない装置(イラネッチケー)をTVに付けた女性が、一審ではNHKに勝訴したものの、東京高裁での二審ではその判決が覆りました。当然というか、弁護側は上告を検討するようです。

そもそも装置を取り付けたという時点で、NHKを受信する意志はないと考えられますが、それにもかかわらず受信料徴収に及ぶというのも妙な話です。これならBBC同様、受信を希望しない希望者には電波を止めればいいのですが、それはやりたくないようで、結局はやはり受信料欲しさなのだなと思われます。


NHKの大河にしても朝ドラにしても、看板番組であるのは事実です。中には面白い物もあります。しかし受信料で制作している以上、作らせていただくという謙虚さも必要ではと少し前に書きました。特に大河は何十億も使うと言われている以上、当然その一言があってしかるべきでしょう。

しかし今に至るまで、何らそれらしきセリフを聞いたことがありません。場合によっては、プロデューサーが視聴者の意を汲んでくれることもありますが、それでもNHKトップがこれに類する言葉を口にしたためしはありません。


かてて加えて、大河の中身やフォーマットの改革が、視聴者に対して打診されたためしもありません。朝ドラは40年以上前に半年のフォーマットに代わっていますが(つまりその前は、1年間続いていたということです)、大河はいっかなその姿勢を変えようとせず、言うなれば、そのために視聴者が、たとえNHKが視聴不可能な状況であっても、受信料を払えと言わんばかりの姿勢です。いくら何でもこれはない。聴者がNHKのためにいるのではなく、NHKが視聴者のためにいるのですが。


こういう姿勢を見る限り、NHKは未だTVの全盛期から抜け切れていないのでしょう。そろそろポストTVを考えていいのではないかと思います。そもそもPCやスマホ経由であっても、TVのコンテンツを観ない人も増えているのに、これでは時代錯誤と言うべきです。

大河の1年放送を変えないというのも、「まだ観てくれる」という思い込みがそうさせているのではないでしょうか。確かにまだ観る人はいます。しかしその数は恐らくは減少の一途であり、大河の視聴率が下がっているのはそれも一因でしょう。


受信料はいわば左うちわであり、視聴者の脛かじりであるというのも書いたことがあります。この期に及んで、なぜ受信料の不払いが増えるのか、NHKは真剣に考えたことがあるのでしょうか。かてて加えて、不払い世帯への徴収が、聞くに堪えないような言葉を投げつけているとも言われているのを、どのように考えているのでしょうか。

無論NHKを甘やかして来た我々にも責任はあると思いますし、日本人はもっとNHKに対して怒っていいのではないかと思います。


電波を止めるか、最低限の受信料にして課金制にするか。今の所この2つが選択肢としてあげられます。もう電波を止めるのが、一番手っ取り早い方法であると思われます。

それと前出のBBC、これも5年前に1,000人の職員をリストラしていますが、何かと言えば世界情勢がどうこうと言いたがるNHKは、こういう世界の動向をも見習ってみてはどうでしょうか。大河が面白いものであったとしても、NHKがごねて(と言うべきでしょうか)徴収した受信料で作られているという事実が頭をかすめると、何とも言い難い気分になります。


飲み物-暖炉とウイスキー

[ 2021/02/25 01:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『応天の門』菅原道真、遊行する比丘尼と会う事三

『応天の門』、道真と業平は、怪しげかつ妖しげな比丘尼の青海尼と出会います。彼女が超人的とも言えるからくりを村人たちに披露し、道真がそのからくりを解き明かした時、早馬がやって来て、宮中での諍いを知らせます。

*************************

源融が重傷を負ったとの知らせを受け、業平は融の屋敷へ駆けつける。門前のものものしさは只事ではなく、業平は屋敷の中へ入るが、実は融は鼻から多少出血しただけだった。右大臣清原定成の笏が当たったせいだったが、そもそもは定成が融につかみかかったのが原因だった。なぜつかみかかったのか、それは融が、かの大師に宴で舞うように所望したためで、大師に入れあげてた定成は融を中傷し、屋敷の門前に牛糞を積み上げていたのである。門前が騒がしいのはそのためだった。

定成は謹慎となったが、融の怒りは収まらず、融の兄信(まこと)から、大事にならぬよう取り計ってくれと依頼された業平は検非違使庁へ向かう。一方落馬した道真は、青海尼の例の手品のような行為が気になっていたが、その青海尼は既に菅原家の別荘を出て行ってしまっていた。道真は柏木に、かつて彼女が見たことのある青海尼は、本当に昨日の青海尼と同一人物だったのかと尋ねる。柏木はその当時の、二人の童女を連れていた青海尼と同じであったと答える。

道真は下男と共に鷹の鋼丸を空中に放してやる。折しも青海尼は村人たちといたが、たちのよくない男たちに絡まれていた。鋼丸がその男たちを襲い、青海尼は事なきを得て道真に礼を言う。その時菅原の若様と青海尼が口にしたため、村人たちは一斉に驚く。しかし道真は、この尼がどうしても不老不死の仙女とは思えないだけでなく、なぜわざわざ手品のようなことをするのかを問いただし、さらになぜ寺を持たぬのかと言うが、青海尼は自分はいやしき身の上だからと答える。

しかしその割にはかなりの砂金を村人に与えたり、言うことと行うこととがかなり矛盾しており、そこが道真の腑に落ちない点だった。さらに道真は、青海尼は貴女で何人目なのだと尋ねるも、青海尼は曖昧な答え方をするのみで、その場を立ち去ってしまう。その頃都では清原定成が、謹慎中であるにもかかわらず、大師をしきりに求めていた。しかも贅の限りを尽くした品を贈り、節会の舞を三条の姫君に教えると言う大師の言葉にも耳を貸さず、彼女を独り占めしょうとする。

その後こっそり屋敷を出て行った大師を、定成は無理やり引き止めようとする。定成は大師を無理に連れ帰ろうとし、挙句の果ては彼女の首に手を回し、橋げたに押し付ける。その時大師の体が宙を舞い、川の中に落ちてしまったのを見て、定成は大いにあわてるが、それ以上は何もできず、屋敷に帰らざるを得なくなる。しかしそばを通っていた業平が水音に気づき、女の死体を発見する。それは言うまでもなく大師だった。

************************

宮中での諍いは、源徹が宴席で大師の舞を所望したのに対する、清原定成の嫌がらせが発端でした。定成は謹慎処分となります。一方で道真は、例の青海尼がどこか怪しいとにらんでいました。彼女が砂金を出す方法などは、昭姫の手品そっくりであり、しかも柏木がかつて見た青海尼と、目の前の青海尼が同一人物なのかも不明でした。しかし青海尼ははっきり答えることもなく、その場を去って行きます。

一方で謹慎中にもかかわらず、定成は大師を屋敷に呼ばせ、睦言を交わしていました。しかし定成が寝入った隙に大師は出て行き、定成は驚いて後を追います。そして意地でも大師を我が物にせんと思うのですが、大師は橋げたから川へ落ちてしまい、助けようとするものの定成は屋敷に連れ戻されてしまいます。その時近くにいた業平が見たのは、大師とおぼしき女の死体でした。

[ 2021/02/25 00:30 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

大河の視聴率について少しばかり

『青天を衝け』関連投稿、今回も週後半になることをまずお断りしておきます。

ところでまた数字の話を出すようで何ですが、『青天を衝け』の第2回の視聴率は16.9パーセントでした。第1回の20パーセントはやはりご祝儀であったと言えるでしょう。無論関東が舞台であるとは言え(つまり地元の数字がそのまま公式発表されるとは言え)、幕末から近代にかけての大河としてはいい方です。しかし、第1回から3.1パーセント落ちたというのは、かなり下げ幅が大きいのではないかと思います。

一応2010年以後の大河を例に取ってみますが、これ以外に第1回と第2回で3パーセント以上の差がついたのは

花燃ゆ(第1回16.7、第2回13.4で-3.3)
いだてん(第1回15.5、第2回12.0で-3.5)

この2つだけです。どうもこの2作の平均視聴率が芳しくなかっただけに、今後がやや心配ですが、無論これからどのようになるかはまだわかりません。(それでも『花燃ゆ』の場合、面白いシーンもいくつかはありました)

また第1回と第2回のギャップだけでなく、最終回とその1つ前との差が大きな作品もあります。
『龍馬伝』、『江』、『八重の桜』、そして昨年の『麒麟がくる』がそれに該当します-ところで『麒麟がくる』の総集編をやっていたようですが、生憎観ていません。

龍馬伝(第47回17.6、第48回21.3で+3.7)
江(第45回15.6、第46回19.1で+3.5)
八重の桜(第49回12.2、第50回16.6で+4.4)
麒麟がくる(第43回13.9、第18.4で+4.5)

尚『龍馬伝』と『江』は、12月に『坂の上の雲』が放送されたため放送日程は短く、また『江』は3月13日の放送が休止となったので、さらに短くなっています。『麒麟がくる』は最早言うまでもありません。

これらの作品の数字を見て思うのは、最終回の少し前まではやや落ちていたのが、恐らくは最終回だからということもあって、数字が跳ね上がっていることです。特に『龍馬伝』や『麒麟がくる』は、最終回の内容はほぼわかっているわけですから、この時だけリアルタイムで視聴した人もいるでしょう。ただし『龍馬伝』で、テロップでニュースが流れたのは興ざめでした。

大体において最終回の数字は高めに出るものですが、『花燃ゆ』や『真田丸』の場合は低くなっています。特に『真田丸』は、第49回と第50回が14パーセント台となっています。明らかに昌幸が退場してから数字が落ちた印象があり、その意味であれはやはり『大河真田昌幸』でした。

飲み物-ホットワイン2
[ 2021/02/24 00:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る明智光秀 43

さらに光秀に下された命令は、

「堂塔伽藍を焼き、人という人は生ける者を無からしめよ」

というものでした。これには光秀は大いに驚きます。古来日本では王法は天子に仏法は叡山にと言われていました。しかも精神世界の支配者のみならず、天子や貴族たちとも深い関わりがありるこの場に火を放ち、僧を殺すとはどういうことであろうと光秀は思い、信長を諫止しようとします。光秀のような人物から見れば、信長の所行は野蛮人に等しいものでした。


信長は隊列を外れ、児小姓に日傘をさしかけさせて餅を食べていましたが、その生々しさは、光秀の目には蛮人と映りました。光秀は目の前に膝をついた光秀を見て、眉をしかめます。信長にしてみれば、既に光秀が何を言いたいかは察しがついており、わかりきったことをくどくどと言う光秀の癖は、信長には堪えがたいものでした。案の定光秀は、叡山の歴史について語り始めますが、信長は呆れたようにこう言い放ちます。

「十兵衛、汝は坊主か」

さらに信長は、悪人に加担する気かとも言います。


この悪人とは、叡山の僧たちのことでした。現実の僧たちは槍や刀を携え、魚や鳥を食するうえに女を寄せ付け、学問も本尊を拝むこともせず、破壊三昧の暮らしをしていることは、京でもよく知られていました。しかも女と同居している僧もいると言われ、

「そういう奴らが国家を鎮護し、玉体を冥護し、かつは天子の玉体のご無事を祈祷したところで験のあるはずがないわ」

と信長は断言します。光秀は法師どもはともかく、叡山の三千の仏には罪はないと言うものの、信長はにべもなくこう答えます。

「左様な無頼の坊主どもを眼前に観ていながら仏罰も当てずに七百年このかた過ごしてきたというのは、仏どもの怠慢ではないか」


その仏どもに大鉄槌をくだすと譲らない信長に光秀は、仏の代弁者のように説得を試みます。信長はそんな光秀に、本当に仏を信じているのか、あれは金属(かね)と木で作ったものであると言い、他人の尊ぶものを尊ぶべきであるということであると力説する光秀の言葉に、耳を貸そうともしません。どころか

「木は木、かねはかねじゃ。木や金属でつくったものを仏なりと世をうそぶきだましたやつがまず第一等の悪人よ。つふぎにその仏をかつぎまわって世々の天子以下をだましつづけてきたやつらが第二等の悪人じゃ」

光秀はさらに、古き世より伝わりきたりしものであると言いますが、信長にしてみれば、その「古きばけものども」を叩き壊しすり潰して、新しい世を作ることこそが使命でもありました。信長は続けます。

「そのためには仏も死ね」


ならばと光秀は、それでは評判が悪くなるとして、悪僧たちを追い払うのみで片付けると進言しますが、信長にしてみれば、これ以上光秀との会話を続けるのはひどく煩わしいものでもあり、光秀の頭のてっぺんを掴んで振り回します。

「百年、汝と話していても決着はつくまい」

信長がやりきれなく思うのは、光秀自身は俗世間の人間であるにもかかわらず、学のあることを誇り、もったいぶった態度で、自分を説得したがる点でした、

「阿呆っ」

信長は、光秀を力任せに転がし、光秀は髷の元結まで泥まみれになります。


しかし、信長を長々と説得しようとした光秀よりは、この場合、信長の方が遥かに高邁な志を持っていたのもまた事実でした。信長は多くの言葉を語ることはあまりなく、そのため雄弁とはほど遠い存在でしたが、彼がもし言葉を操ることに長けていたならば、恐らく日本史上最初の無神論を光秀に展開し、光秀の中世的な教養主義を嘲笑することもできたはずでした。また、中世的な魑魅魍魎を退治し、自らが掲げる世を実現するための革命思想をも、光秀に対して説くことも可能であり、実際そうするべきだったでしょう。


いよいよ叡山の焼き打ちですが、その前に信長と光秀の意見に齟齬が生じます。光秀にしてみれば、叡山を焼くことなど思いもよらぬことでしたが、信長はそうでもしない限り、自分が望む世は作れないと考えていました。実際、当時の叡山の風紀は荒れ果てていたのも事実と言えました。光秀はこのような荒療治でなく、穏やかにことを済ませたいと信長に申し出るものの、信長がそれを聞き入れるはずもなく、また信長は言葉で自らの意志を表現するのが不得手でもあり、光秀の頭を掴んで泥の上に転がしてしまいます。


この『国盗り物語』に於いては、これが光秀が信長に敵意を持つ、その一因ともなったともいえます。創作と思われる部分も多々ありますし、また今の考証では不自然に感じられもしますが、信長と光秀という2人の人物の、それぞれの違いを描くのであれば、こういう方法もまたありでしょう。『麒麟がくる』で、本能寺から逆算しないという描き方に私は疑問を持ちましたが、光秀の人生のクライマックスが本能寺である以上、どこかに本能寺の伏線を張らねばならず、その意味では信長との反りの合わなさ、矛盾といったものを、比較的早い内から示しておくのも1つの方法であると思えたからです。

飲み物-キャンドルとワイングラス

[ 2021/02/23 00:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

221の日に思うホームズ関連作品と映画とハリネズミ

2月21日は221ということで、ツイッター上で「#221Bの日」というタグを何度か目にしました。今までのホームズシリーズで、一番好きなのはグラナダ版というのを前にも書いていますが、所謂変人で面倒くさいホームズを描いたのは、これが最初であると言われています。この傾向はその後も、映画やTVシリーズに受け継がれています。
但し『エレメンタリー』の場合、少々扱いづらいホームズではありますが、やはりアメリカの刑事ドラマの乗りです。またパペットホームズの主人公も、朝大慌てで宿題をやっているワトソンにあれこれ言う一方で、自分は宿題をやっていないにも関わらず、

宿題をやる苦痛を10とすると、
叱られる苦痛は6だ。
僕は軽い苦痛の方を選ぶ。

などと言ってしまうわけで、ま、こちらも面倒くさい子ではあります。

BBC版は第3シーズンまでは観て、それから観なくなりました。私としては、ミステリーとしての面白さからはちょっと外れたかなと思っているせいですが、無論このコンビが好きな人は観続けているでしょう。
ベネディクト・カンバーバッチを有名にしたシリーズでもありますが、この人は本国の第1シーズン放送とほぼ同じ時期に、『僕が星になる前に』という映画に出演しています。この映画は所謂ロードムービーで、癌で余命いくばくもない主人公が、仲間3人と連れ立って旅行に出る話です。ラストシーンが如何にもというか、イギリス的であると書いておきます。

なぜこの映画のことを書いたかと言うと、『Supernova』という映画が日本でも公開される予定だからです。この映画は20年来のパートナー同士であるゲイカップルの話で、一方が認知症を発症し、2人で家族やかつての友人を訪ねる旅に出るのですが、将来のことを巡って対立することにもなります。旅を通してそれぞれの生き方が描かれるという点では、この映画もまた然りです。
コリン・ファースとスタンリー・トゥッチが主演ですが、コリン・ファースもこういう年代を演じるようになったのだとしみじみ思います。一応URLだけ置いておきます。
https://theriver.jp/supernova-us-trailer/ (THE RIVER)


ゲイカップルといえば、『きのう何食べた?』の2020正月スペシャルのあらすじをざっと書いているので、またちょっと掘り下げてみようかと思っています。
そう言えば前出BBC版、シャーロックの相棒のジョン・ワトソンを演じたマーティン・フリーマンが「ハリネズミ」と渾名されていたことがありましたが(髪の色からでしょうか)、最近ハリネズミというと、この『きのう何食べた?』のジルベールこと井上航を連想するようになっています。例の「針ネズミ」Tシャツ以外にも、彼の部屋は動物関連グッズだらけで、本物のハリネズミ関連のももちろんあります。何せ履いているスリッパもハリネズミですからね。

飲み物-スノーアンドテル
[ 2021/02/22 00:45 ] シャーロック・ホームズ | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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