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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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『きのう何食べた?』レシピブックそしてインタビュー

『きのう何食べた?』レシピブックについて少し。
このレシピブック、「シロさんの簡単レシピ」なるサブタイトルがついていて、アマゾンの売れ筋ランキングで(本 簡単レシピ部門)1位にもなっています。レシピブックではなくガイドブックという感想もあったようですが、ちゃんと「公式ガイド&レシピ」とありますし、約3分の1がガイドブック(出演者と原作者のインタビュー付き)、それ以外がレシピで、シロさんこと史朗のレシピのみならず、賢二のサッポロ一番味噌ラーメンや、史朗が病気の時に作った出汁巻きや雑炊のレシピも掲載されています。

レシピブック
(Amazon公式サイトより)

出演者インタビューの、作品についての感想では、史朗役の西島秀俊さんも、賢二役の内野聖陽さんもずばり
「人の心の機微の描き方が丁寧」
実際ドラマでもそれは活かされていていて、そのためゲイカップルという、個人的にはかなり未知の世界であるにも関わらず、かなりすっと入り込めますし、また2人の関係がぎくしゃくしても、料理がうまく仲立ちしているというのは好感が持てます。

この2人は硬と軟の正反対の立場を取っており、史朗が弁護士で物堅い雰囲気があるのに対し、賢二は彼の心を癒す立場です。内野さんが、「ケンジよりシロさんの気持ちの方がわかる」というのもむべなるかなです。
その賢二は、同居していながら食費を史朗から要求されない点で、いわば居候(内野さん談)でもあります。ある意味賢二は精神面での奥さん的存在なのですが、実際に家事の多くをやっているのは史朗の方であり、これが男性カップルであるがゆえの面白さと言えそうです。

あと史朗が賢二に「家へ来い」というシーンは、史朗が一生分の勇気を振り絞るシーンであり、その後賢二が荷物を持って転がり込んでくるところは、内野さん曰く「新妻の初夜のつもり」だったようで、どちらにしてもこれは人生の分岐点であり、同時にスタート地点となっています。
他にもこのインタビューでは料理がとっつきやすいこと、2人の男性が同居する内で年齢を重ね、家族という形を築いて行く点などが挙げられており、このどちらもポイントが高く、ゲイであることがポジティブに描かれた作品ではあります。

尚作品中に出て来る料理は、原作者のよしながふみさんが、すべて自分で作った物ばかりということで、作り方や仕上がり、盛り付けなどが具体的に描かれているのも、自分で経験したがゆえの賜物と言えそうです。
尚主演の西島さん、内野さんに関しては
「豪華すぎる組み合わせ」
とのことで(同感です、それに山本耕史さんもプラスされていますし)、こういうキャスティングもまた、このドラマに味わいを添えていると言えるでしょう。

飲み物-ビール2種類
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[ 2021/01/31 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

大河ドラマ雑考-43(『青天を衝け』ガイドブックを見て思ったこととは)

まず、先日の『どうする家康』関係投稿で、徳川家康の嫡男の信康を、信勝としていました。失礼いたしました。訂正しています。

まだ放送にはもう少し間がありますが、「今年の」大河ドラマ『青天を衝け』のガイドブックが書店の店頭に並んでいます。構成としては、まあ従来通りではあります。それとこの大河、やはり過去の幕末大河の出演者が結構多いですね。
ところで『麒麟がくる』もそうでしたが、NHK出版のガイドブックには「大河プレイバック」なるページがあります。『麒麟がくる』のNHK出版の分は、『国盗り物語』が紹介されていました(ちなみにNHK出版の分は前編しか購入していないので、後の2つは生憎見ておりません)。
この大河プレイバック、要するに、その年の大河と同じ時代背景の作品を紹介しているわけで、この前編の分は『獅子の時代』が紹介されています。この他にも大河ドラマ年表などもあり、つまるところプレイバック共々、大河はこれだけ歴史があるのですよと言いたいのかも知れません。

しかし見方を変えれば、大河は一部の作品を除けば、かなりの作品が同じような時代に集中しており、同じ時代の同じような人物を何度もなぞって来た経緯があります。戦乱や歴史上の大きな出来事がドラマの中心になるためです。これは一巡目か二巡目まではいいのですが、それ以上になるといくら手法を変えてみても、どことなく似た印象になりがちです。また前の同時代の作品との比較もされるようになります-無論、前の作品の方がいいとは必ずしも言えないでしょうが。それを意識してのことなのか、近現代物を入れたり、放送フォーマットを変えたりという試みもなされましたが、あまりうまく行きませんでした。
そもそも過去を振り返るということ自体、方向性としてあまり前向きとはいえません。逆にこのような企画を始めたということは、やはり大河も、あと何作かで終わらせるのかと思われても不思議ではないでしょう。その場合、今まで描いてない人物や時代を中心にやることも考えられます。

しかしその「歴史のある」大河、その制作を支えてきたのは、言うまでもなく視聴者の受信料です。これも先日の『どうする家康』絡みの投稿で触れましたが、制作統括や脚本がこうしたい、ああしたいと言っていても、とどのつまり、何十億もの受信料があるからこそそれが実現可能なのです。にもかかわらず、NHKの制作サイドは、視聴者の受信料のおかげで大河が作れていますなどと、しおらしいことを言ってくれたためしがありません。
元々公共放送の目的は、一般人を利するための報道であり放送であって、ドラマ制作ではないというのは前にも書きました。今NHKのスリム化、受信料の値下げが叫ばれていますが、公共放送としてやって行くのであれば、1世帯500円程度でいいのではないでしょうか。2020年の日本の世帯数は約5700万ですが、仮に受信料を500円としても285億円は確保できるのです。ニュース、気象と災害のみであればそれで十分でしょうし、それより安くする(職員を減らす)こともできるでしょう。
ドラマはスポンサーを付けて作ればいいだけの話です。もちろんNHKの職員が、スポンサーに頭を下げてお金を出してもらうことになりますし、数字が悪ければ打ち切りの可能性もあります。

数字と言えば、これも以前書いたことではありますが、『独眼竜政宗』と『武田信玄』は双璧です。一方で『独眼竜政宗』、『武田信玄』の舞台は出羽と甲斐という「東国」であり、それも数字に大きく影響しています。一般に公表される視聴率は関東の数字だからです。寧ろこの場合、関西はどの位だったのかを知りたいとも思います。無論『麒麟がくる』も、東海地方であればもう少し高くはあるでしょう。そもそも地元、あるいはそれに近い地域では高く出るからです。
このようなことから、せめて大河は東西の数字を公表するべきではないかと思われます。しかしそうなると、今年の大河は関東ですから、それなりに高い数字が出てしかるべきとはなるわけですが。

飲み物-ワインと暖炉
[ 2021/01/31 00:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

2021年1月ラグビー情報その4

ラグビー関連情報です。

緊急事態宣言で1月16日の開幕が見送られたトップリーグは、現時点では2月20日の開幕が予定されています。この日程に従うと、第1ステージは16チームが2組に分かれて総当たり戦を行い、4月11日に終了です。第2ステージは、下部リーグであるトップチャレンジリーグの上位4チームを交えてトーナメントが行われ、決勝は5月23日となります。

ラグビーTL、2月20日開幕の新日程発表 決勝は5月23日

尚チケット販売は2月13日からです。日本協会メンバーズクラブ会員対象の先行販売は、2月6日から申し込み開始です。

ラグビーTL、チケット販売2月13日から 延期の開幕戦

それから来シーズンからの新リーグに関して、他のプロ競技と比較したうえで、プロチームの誕生を期待する論旨の記事があります。本来は清宮克幸氏の構想のもと、完全プロ化の方針ではあったのですが、一部チームの反対の声もあり、一応来シーズンはプロとアマの選手が混在する形での発足となります。完全プロ化できるかどうかは、先行プロ化チームが如何に模範を示せるかにもかかっているでしょう。プロ化のメリットが大きければ、他チームにも少なからず影響するでしょうから。

22年開幕のラグビー新リーグ 〝プロクラブ〟誕生に期待

記事はすべてnikkei.comより。

飲み物-パブのビール1
[ 2021/01/29 23:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

『きのう何食べた?』に見る男性の「乙女心」

『きのう何食べた?』(最近これと大河の話題ばかりになっているようです)の第7回に関しては、今まで何度か書いていますが、ドワンゴのニュースサイトでしたか、「神回」などとも呼ばれていました。多分他にも、この回が好きという人は結構多いのではないかと思われます。

この回とその1つ前とは、1クールのシリーズの折り返しのエピソードでもあり、今まで小日向大策しか登場していなかったのが、彼の恋人でジルベールこと井上航(実際はまるで雰囲気が違う)という、いささか面倒くさい人物が新たに登場することになります。またこの回は、3部構成になっています。

  • 史朗と賢二が、小日向そして航と出会う。史朗は小日向が芸能事務所勤務であること、しかも、自分が好きな三谷まみのマネージャーを務めていたことを知り、ファンであることを打ち明けてしまう。それを聞いていた航から、史朗はゲイらしくないとずばずば切り込まれる
  • 小日向と航に会った帰り道、雨に降られて史朗が風邪を引く。賢二はいそいそと史朗の看病をし、慣れない手つきで史朗のために夕食を作るが、如何にも段取りが悪そうなのが窺えて、史朗はゆっくり休むどころではなく、雑炊に鶏もも一枚を使ったのにも不満げだが、食べてみるとそう悪くない。そんな自分にとかく世話を焼きたがる賢二を、史朗は不思議に思う
  • 風邪がなかなか抜けない史朗は、小日向から生姜湯を貰う。同席していた航は、史朗の好みのタイプでなさそうな賢二となぜ住んでいるのか不思議がるが、要は賢二の一目ぼれだった。その後史朗は小日向へのお返しにバナナケーキを焼くが、そのお返しは生姜湯ではなく、小日向から貰った三谷まみのショーのチケットへの返礼ではないか、やはり史朗はバイセクシャルなのかと賢二は疑う

この回は賢二の乙女心全開が描かれると同時に、史朗が、小日向大策が三谷まみのマネージャーであったことを知り、大ファンだとカミングアウトしたり、井上航がその辺りがゲイらしくないと言ってみたり、様々な人物の様々な思いが登場します。特に賢二の「乙女心」ですが、この辺りの人情の機微はガイドブックにも詳しく書かれているので、後日ご紹介できればと思います。

しかし当たり前といえば当たり前ですが、この「乙女心」、男性同士のカップルで、男性が演じているからいいわけです。これを尽くす女性と受け止める男性という、ベタな男女カップルが主人公のドラマで、この乙女心全開キャラを女優さんが演じるとなると、設定にもよりますが、どんなに演技力があってもくどくなりがちです。何よりかによりこのドラマのコンセプトは、それとは全く異なっているわけですから。

飲み物ーホットワイン
[ 2021/01/29 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』のコメントに突っ込んでみます その5

突っ込みもいよいよ今日が最後です。今回は主演の松本潤さんに関してですが、関連ページの動画を見る限り、正直言って松本さんのコメントが一番まともに感じられました。
(尚NHKのyoutubeページでは確認できませんでしたので、1つ前の投稿のリンクからアクセスしてください)

このページにはコメントの概要がアップされていますが、それ以外にも1人の人物と向き合うことへの不安などもあり、今後頑張ってやらせてほしいという意気込みが感じられました。
これで思ったのですが、制作発表の場合、主演である松本さんのコメントと動画がメインなのはわかりますが、脚本家と制作統括のコメントはここまで要らないと思います。このページを見る限り、やはり脚本家、そして制作統括が喋り過ぎなのではないでしょうか。

無論、大河そのものの意思決定に関わるのはプロデューサーであり、ディレクターでありそして脚本家です。ですから、彼らのコメントもまた無視はできません。
ただ、今までの関連投稿でも書いたように、古沢氏の
「今さら大河ドラマでやるのがちょっと恥ずかしいくらいの超ベタな偉人」
「カリスマでも天才でもなく、天下取りのロマンあふれる野心家でもない」
といったコメントや、制作統括の磯氏の
「ワクワクドキドキするお話」
「ピンチピンチの連続」
「ものすごい強敵たちの登場」
などという表現は、果たして必要なのでしょうか。

先日もちょっと触れましたが、これらの言葉は視聴者に向けられていると言うより、制作サイドがそれに酔いしれ、舞い上がってしまっているような印象を与えかねません。それ故に、こういう人たちには、もう少し言葉を選んでほしいところです。寧ろ松本さんの方が、主演と言うこともあり、言葉を選んでいたように見えます。スタッフも、せめてこの位のコメントができないものでしょうか。

「今までの英雄としての家康とも、タヌキ親父的な家康とも違う、若いであるが故に迷い傷つき、しかし頼れる家臣たちと共に、何が起こるかわからない乱世をチームで切り開いて行く、そういう家康像を松本さんに演じてほしいと思います。最終回間近の『麒麟がくる』に続き、『青天を衝け』、『鎌倉殿の13人』と言った、今後も目が離せない作品が続きますが、そういった作品に負けない大河にしたいと思いますので、どうぞお楽しみに」

それから磯氏のコメントに、「まだ放送は先ですが」とありますが、実際これは再来年の放送であり、それどころか今年の大河もまだ始まっていません。
これが今年の春か夏の放送であれば、新しいフィールドを目指すマツジュンを近日中に見られるわけですが、2年後まで待つというのは、少々つらいものはあります。大河の制作発表はせめて1年前位に持って来られないものでしょうか。

飲み物-シナモン珈琲
[ 2021/01/28 23:14 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』のコメントに突っ込んでみます その4

再び「突っ込み」です。
まずこの紹介ページ(何度も登場しますので、今回は下にリンクを貼っておきます)の最初の、いわばドラマの紹介の部分について今回は触れたいと思います。

2023年大河ドラマ(第62作)
〈古沢良太 × 松本 潤〉令和版 NEW “徳川家康”!
(NHK ONLINE)

まずは竹千代が
「今川家の人質として、ひっそりと生涯を終えると思っていた。しかし──」
という形で始まり、
織田信長、武田信玄という化け物が割拠する乱世に飛び込み、計算違いの連続やガマンの限界が待っていたものの、三河武士の熱意に動かされ、そして
「どうする家康!」となるわけです。
さらに後ろ盾もなく豊かな国もない、いるのは家臣のみ、秀吉、官兵衛、真田昌幸や石田三成など強者たちが現れると続いて行きます。

正直言ってこれだけでは、ストーリー展開がかなり単純に見えて仕方ありません。
確かに突き詰めればそうなるのかも知れません。
そして、後世の我々の目から見れば、家康は確かに若い頃は人質で、岡崎城を取り戻しても不安定で、信長と同盟し、しかしその後も次々と強敵が現れるのは事実です。
しかし何も、そこまでサスペンス風に家康の生涯を追わなくても、家康という人物の普段の生活、戦場を離れて母や妻たち、子供たちのことでの悩みや家臣のことなども描き、その時々で主人公がどのような判断を下すのか、そのような構成でもいいでしょう。
ただそのような描写であれば、本職の俳優さんがふさわしいと思われます。松本潤さんが主演ということであれば、やはりスピーディな展開がいいという結論に達したのかも知れません。
あと「乱世に飛び込み」より、「乱世に生き」の方が正しいかと思うのですが。

それにしても
豊臣秀吉
黒田官兵衛
真田昌幸
石田三成
というのは、2010年代の戦国大河に出て来たお馴染みの名前なのですが…要はわかりやすい名前を列挙してみたということでしょうか。
家康は他にも一向一揆を相手にしてもいますし、信長と共にではあるものの、甲州征伐で勝頼とも戦い、また築山殿と信康の悲劇もあったのですが、そういうのがここでは出て来ませんね。

ちなみにこの紹介分の後の方には

希代のストーリーテラー・古沢良太の手による、
ハラハラドキドキ、スピード感あふれる波乱万丈のエンターテインメント

とありますが、何だか必要以上にテンションが高くなっている感があります。

そして締めくくりが
「一週間の始まりにふさわしい、夢と希望にあふれた第62作大河ドラマ」
とあります。
以前佐怒賀氏のコラムに関してという投稿で、昭和48(1973)年当時の『グラフNHK』で、この方のコラムをご紹介したことがありました。そのコラム本文によれば

土曜の午後から始まった解放感が、ずっと続いて、それもようやく終わりに近づこうとしている。さあ!あすからまた仕事だ!と日常性への予備運動を開始するのが、日曜日の夜の一般家庭の姿だろう。いうならば解放感と緊張感の谷間に於けるもっとも充足した生活時間といえる。

とあります。
尚こちらのコラムの方では、土曜日から日曜日に続く、つまり日曜日がしめくくり的な形で書かれているのですが、この『どうする家康』の紹介分では、日曜日は
「一週間の始まりにふさわしい」
とあります。
どちらが正しいかはさておくとしても、昭和48年当時ならいざ知らず、今の時代、大河視聴とは別の方法で日曜日の夜を過ごす人も多いでしょうね。それに1週間の始まりと言えば、やはり月曜日から始まるレギュラー番組の方を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
それと「夢と希望にあふれた」などとありますが、これがまたどうも具体性を欠いています。と言うか、表現の仕方がどうも通り一辺ですし、全体的に自分たちだけで盛り上がっていると言っては言いすぎでしょうか。

飲み物-コーヒーとチョコレート
[ 2021/01/28 00:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る織田信長 7

ここで信長について少々。岐阜へ戻った信長は、その夜久々に濃姫と寝所を共にします。濃姫は千種越の一件について訊こうとしますが、信長は、お前はつまらぬ事をいう女子になりはてたとだけ言います。まだ35なのに「はてた」はないだろうと思う濃姫ですが、要は、信長は人生には色々なことがあると言いたかったようです。近江絡みで信長は、寝物語の里の話をします。美濃と近江の国境をはさんで、近江側にある小さな村落のことです。濃姫は、何とも艶やかな名前だと言いますが、元々の名前の由来は、そう色っぽいものではありませんでした。

その村の民家には長屋が多く、壁一枚で隣家と仕切られているため、寝ながら隣人と話ができたというのがどうやら本当の意味であるようです。またこの時代より少し後に、千家の当主が近江と美濃、それぞれの竹で茶杓を作り、それを一本の竹筒に納めたところ、同じ筒の中で仲良く寝ているために「寝物語の里」という名が付いたという話もありました。しかし茶道具にそのその名はあまりにも艶やかすぎ、寧ろ美濃と近江のそれぞれの竹で作った、寝物語の里にちなんだというのが実情のようです。

またこの村落からは、街道沿いの山の高さが左右同じに見えるため、旅人がどちらが高いかを見比べながら歩いて行くという意味で、長競(たけくらべ)という名もありました。しかし、信長に取ってはこのような悠暢なことを考えている暇はなく、浅井氏が築いた2つの城砦をどう攻め落とすかに心を砕いていました。尾張ほど豊かでない北近江の浅井の兵は、それ故に強く、一対一では勝負にならないことも信長は熟知しており、結局調略を使うことにします。その役目を命じられたのは秀吉でした。

一方戦場では光秀を使うことにしました。信長に取ってこの2人は「道具」であり、如何に彼らを使いこなすかという点のみを考えていました。人物を見る目、そしてその人物を如何に使うかに関しては、信長は抜きんでており、岐阜城でも、菅屋九右衛門という人物を庶務の担当として使っていました。この菅屋は庶務には長けていたものの、合戦には向いていないことを信長は知っており、だからこそ秘書としての職務を与えていたわけです。ある日その菅屋に、御賄頭の市原五右衛門という人物が、料理人の坪内石斎のことを切り出されます。

この石斎はかつては三好氏に仕えており、信長が三好氏を駆逐した際に捕虜となって、そのまま牢暮らしをしていたのですが、実は京料理、特に将軍家の料理の達人でした。このまま牢に入れておくのは如何にも勿体ないということで、菅屋は信長にこのことを伝えます。信長は如何に将軍家の料理に秀でていようが、特に驚きもありがたがりもせず、旨ければ使ってやると言い、早速石斎は食事を整えます。その膳の吸物を口にした信長は、一瞬妙な顔をしたものの、その後すべての食事をきれいに平らげ、菅屋にこう言います。
「あんなものが食えるか。よくぞ石斎めは食わせおったものよ。料理人にて料理悪しきは世にある理由なし-殺せ」

石斎はそれを聞き、もう一度だけ料理を作らせてくれと頼みます。そしてその翌朝の食事で、信長は再び吸物を口にし、またも妙な表情を浮かべますが、その後膳の上の物を平らげてから、石斎を許すように言います。石斎の最初の料理は京風の薄味でしたが、2度目は調味料をたっぷり使って濃い目の味付けでした。石斎のいう「田舎風」ですが、信長自身都の薄味を嫌悪しており、それ故石斎の最初の薄味に腹を立てたも道理だったのです。しかし味を変えたことにより、この人物は使えると見たわけで、信長とは万事そのような人物であると言うことができるでしょう。

飲み物-キャンドルとワイングラス
[ 2021/01/27 23:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『青天を衝け』第3次キャスト発表

今回は『どうする家康』コメントへの突っ込みはお休みです-あまり連日突っ込むのもどうかと思いますので。その代わりと言っては何ですが、26日に発表された、『青天を衝け』の第3次キャストをご紹介したいと思います。

様々な俳優さん、タレントさんが紹介されています。
生憎、私もすべての人をよく知っているわけではありませんので、取りあえず知っている人を中心にざざっと。
板垣李光人さんや石丸幹二さんは、『花燃ゆ』にも出演していますね。石丸さんの周布政之助は好きでした。そして博多華丸さん(あさイチ枠?)が「西郷どん」ですか。
私に取っての西郷といえば、やはり鈴木亮平さんです。華丸さんの場合、現存の肖像画(本人であるという確証はない)をベースにした、ちょっとベタな西郷さんのイメージです。
『西郷どん』といえば、あの中では山田為久役で、殿の写真を取っていた徳井優さん、今度も同じ薩摩藩士ではありますが、こちらは兵学専門の折田要蔵の役ですね。

しかしこの中で一番目を引いたのは、トップに登場する磯村勇斗さんです。
あの「ジルベール」が、徳川家茂?
残念だなあ…「大ちゃん」は『鎌倉殿の13人』の三浦義村なのですよね。
こうなったら磯村さん、2作品連続して出演してほしいです。
無論内野聖陽さん、西島秀俊さんも「鎌倉殿」に出演してもらえたらなおよし。

あとこちらも『きのう何食べた?』にゲスト出演していた菅原大吉さん、『おんな城主 直虎』に井伊谷三人衆の一人で登場していました。この三人衆がそれほど描かれなかったのが残念でしたが、今回は伊達宗城公ですか。確か蒸気船を作った殿様ですね。
しかし考えてみると、『きのう何食べた?』はテレ東の深夜30分ドラマとはいえ、キャストは大河レベル、かなり豪華だったのだなと改めて思います。
それと言っては何ですが、あの渡辺徹さんが出演とはかなり意外でした。

飲み物-クリームとココア
[ 2021/01/27 00:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』のコメントに突っ込んでみます その3

『どうする家康』への突っ込みその3です-毎日似たような内容ですみません。それから、先日投稿分のタイトルで、「コメントへの突っ込み」の「コメント」の部分が落ちていました。失礼いたしました。

今回は脚本担当の古沢良太氏に関してです。この人は『リーガル・ハイ』や『相棒』シリーズ、そして松本潤さん主演の『花より男子』など数多くの作品を手がけています。ですから、脚本家としてのキャリアはそこそこであるはずなのですが、今回のコメントに関しては、やはりこれはどうかと首をかしげたくなる点もあるので、該当部分をいくつかご紹介しておきます。

1. 今さら大河ドラマでやるのがちょっと恥ずかしいくらいの超ベタな偉人。なのに信長や秀吉に比べてなぜか人気がないような。ずるがしこく立ち回ったあげく棚ぼたで天下が転がり込んできたイメージだから?

「大河ドラマでやるのがちょっと恥ずかしいくらい」なら、もうやらない方がいいのではないかと思います。無論NHKの意向としては、先日も書いたように
「新時代を切り開いた人物だからやりたい」
ということなのでしょうが。
また、「というイメージだから?」と一言断っているとはいえ、
「ずるがしこく立ち回ったあげく棚ぼたで天下が転がり込んできた」
とは如何なものかと思います。この人は秀吉没後、大名たちを自分の側に引き付けるのにかなり苦労しているでしょうし、関ヶ原で勝ちはしたものの、その後がまた大変だったはずです。家康という人物への敬意があまり感じられませんね。

2. カリスマでも天才でもなく、天下取りのロマンあふれる野心家でもない、ひとりの弱く繊細な若者が、ただ大名の子に生まれついた宿命ゆえに、いやが応にも心に鎧よろいをまとわされ、必死に悩み、もがき(中略)命からがら乱世を生き延びてゆく。それこそ誰もが共感しうる現代的なヒーローなのではないか。

まず気になるのは、
「カリスマでも天才でもなく」
「天下取りのロマンあふれる野心家でもない」
などと、のっけから過去の家康像の否定に入っていることです。
無論家康という人物に対しては、人それぞれの考えがあり、古沢氏にも古沢氏なりの発想があるでしょう。しかし家康は、本当にカリスマでも天才でもないのでしょうか。戦国時代のサバイバルから天下取り、さらには徳川体制のおおもとを作り上げるに至っては、ある程度の才能と、運をチャンスに変える力がないとできないのではないかと思いますし、カリスマであるか、天才であるかは別としても(信長は天才肌だと思いますが)、無能で凡庸な人間であるのなら、江戸幕府を築くなどはっきり言って無理でしょう。
また
「天下取りのロマンあふれる野心家でもない」
と言うよりは、家康も最初から天下を取ろうと思っていたかどうか疑問ですし、『真田丸』の時の三谷氏(すみません、また引き合いに出させていただきます)によれば、「『天下取り』とは実は後付け理論で、武将たちは参日を必死に生きていた」などとも言われているのです。
それから「誰もが共感しうる現代的なヒーロー」などとありますが、乱世を生き延びるのは「現代的な」ヒーローなのでしょうかね…無理やり現代にリンクさせている印象をぬぐい切れません。

3. 主演の松本 潤さんは、華やかさと親しみやすさを持ち合わせ、私の描きたい主人公像「ナイーブで頼りないプリンス」にまさにピッタリ。

この箇所を見ていると、あの『花燃ゆ』の
「幕末男子の育て方」ならぬ、
「戦国男子の育て方」というフレーズが頭に浮かんできます。
何かこう、お花畑な大河になりはしないか、それが気になりますね。
私としては、そのナイーブで頼りない家康に、オリキャラの女性があれこれ絡む、そのような展開をつい思い描いてしまいますし、同時に『麒麟がくる』で母親の許へ戻りたがっていた、ピンクの水干を着た竹千代を思い出します。あの竹千代は子供というのを差し引いても、農民である菊丸と農民に扮した光秀に気軽に口を利いたり、あまりそれらしくない雰囲気でした。
この大河、まだどちらも始まっていないのにこう書くのも何ですが、何か『青天を衝け』と相通じる物があるように見えますし、一方で戦国という時代背景が共通するせいもあってか、『麒麟がくる』ともどこか似ているようです。

飲み物-ホットカフェオレ
[ 2021/01/26 00:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『きのう何食べた?』原作を読んでみて 3

『きのう何食べた?』原作を読んでみて 2の続きです。小日向大策と井上航(ジルベール)のカップルですが、とかく憎まれ口を叩きがちな航に、小日向がそれとなく注意をし、史朗と賢二も段々とそれを受け入れて行くような形で、物語は進んで行きます。無論賢二も時々嫉妬して史朗を困らせたり、またその反対に、史朗が賢二を見習ったりもするわけですが、さてその賢二と史朗が小日向、航と初詣に出かけようとしたものの、賢二が風邪で寝込んでしまいます。その代わりに鍋パーティーをやろうということになり、史朗が博多式の水炊きを準備するのですが、航がこれにかなり気を良くしたようです。

航曰く、小日向が作る鍋は良質の素材を使った
「小洒落ていて」
上品な物が多く、しかし本人は様々な食材が入ったのを食べたがっているわけです。小日向は、特に原作ではこわもて風な外観(史朗の好きなタイプ)ですが、わりといい育ちのようでしかも収入もあり、食事も上質の食材を使うのですが、もっと普通のおかずが食べたいと言う航の希望に、いくらか添いかねるところがあるようです。そんなこんなで、航は史朗の手料理を喜ぶところもあるのですが、一方で史朗はゲイらしくないという見方は相変わらずで、史朗も自分はゲイ本流ではないというのは理解しているようです。いずれにしろ、このもう1組のカップルを出したことで、展開が面白くなっているのは確かでしょう。

飲み物-冬のティータイム
[ 2021/01/25 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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