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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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『国盗り物語に見る明智光秀』番外編と大河に原作があった頃

「『国盗り物語』に見る明智光秀」を折に触れて投稿していますが、ほぼ3分の2程度が終わったところです。尤も、美濃に於ける光秀についてはほぼ触れておらず、牢人としての光秀の諸国放浪から始めています。明智光秀を描くに当たって最も大事なのが、この諸国放浪であろうと思います。

『麒麟がくる』を大河化するに当たって、なぜ医者としての光秀を描かなかったのか、これは未だに疑問に感じています。無論制作統括や脚本家が、それをよしとしなかったからなのでしょうが、せっかく、今までと異なる光秀を描くチャンスではあったのですが…。しかも越前で医者をやっていたという設定なら、東庵も駒もうまく絡ませられ、この2人が殊更に出張るようなこともなかったでしょう。

さらに『国盗り物語』では、この放浪時代に朝倉家の食客となり、足利義昭を脱出させたことが、彼の出世の糸口となっています。無論創作ですが、こういった創作ならストーリーを面白くする効果がありますし、光秀が自力で自分の道を切り開いたこと、弥平次光春が相談相手であること、織田家に仕官するいきさつなどが見えて来るわけです。本人の記録がないというデメリットを、うまく逆手に取っているなと思います。

これからは徐々に信長、そして秀吉との軋轢が表面化し、また義昭が、無謀にも信長包囲網を敷いたことで追放されてしまう様子が描かれています。光秀も次第に信長との考えの相違、さらには信長の下にいることの重苦しさ、情け容赦のないやり方にわが身の危険を感じるようになって行きます。彼自身が秀吉のように立ち回れていたら、また別の道が開けたのでしょうが、如何せんそのようなことができる人物ではなく、寧ろそういう立ち回り方を軽蔑する人物だったことが、彼の将来を決定づけたとも言えます。

ところで先日、『春の坂道』という大河で、作者の山岡荘八氏が主演を指名したこと、しかし作家がこういうことに関与するのが、いいとは思わないと言ったことを書いています。正直越権行為ではないでしょうか。恐らくその当時の大河の原作者の力は、かなり強かったのではないかと思われます。これは他のドラマでも似たようなものだったかもしれません。しかし当時は天下の大河ドラマであり、それに原作が使われるのは光栄であること、もっと言えば、この原作あってこその大河というのが、作家の方にも自負としてあったのでしょう。

前出『国盗り物語』も含め、1970年代が終わるまでは大河の原作は存在し続けました。80年代に入ってから、脚本のみの作品も登場し、2000年以降は、2005年から2009年の時期を除けば、原作があったのは『武蔵 MUSASHI』と『西郷どん』位です。大河の原作が必ずしも必要でなくなった理由は様々ですが、書籍の売り上げの推移もあるでしょうし、原作のベースとなる史実が古すぎ、発表される新説との間に、齟齬が生じて来たことも挙げられるでしょう。

飲み物ーホットワイン
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[ 2020/11/30 00:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

エンヤ『久しく待ちにし主よとくきたりて』/"O Come, O Come, Emmanuel" by Enya

毎年恒例となった、アドベント第1節の『久しく待ちにし主よとくきたりて』。今年はエンヤのヴァージョンです(ラテン語歌詞あり)。



As Advent has come, I upload the video of ”O Come, O Come, Emmanuel” as usual. This year's tune is by Enya. 

[ 2020/11/29 23:15 ] その他/others | TB(-) | CM(0)

今年もアドベントの季節

さて、今年も29日からアドベント(待降節、降臨節)です。
コロナ禍に揺れた2020年もいよいよクリスマスの時期、そして師走を迎えるのですね。ちなみに正教会ではアドベントの概念はなく、代わりにピリポ(フィリポス、フィリポ)の斎が行われます。元々この時期は悔い改めの時期でもあり、昔は断食をしたり酒を断ったりしたと言われています。この点、今の正教会のレント(四旬節)中の行事に近いものがあります。尚このブログも、背景の色を変える予定です。

行事-アドベント
[ 2020/11/29 00:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る明智光秀 29

お慶を得た足利義昭ですが、自分に幕府を開かせない信長に、次第に不満を募らせるようになります。そして義昭は閨の中で、信玄や謙信などは信長より強く、しかも将軍を心から尊敬していると言い、しかも強い犬=武将も弱い犬もいて、どの犬を引っ張って来るかは自分次第であると大言壮語します。しかし義昭の言葉は、どこか泣き言のようでもありました。その信長は、将軍館ができあがると、伊勢攻略のためすぐ戻ると言い出します。義昭は都の花は済んだが、葉桜もひとしおと言うのにと信長を引き止めますが、信長は風流を楽しむために上洛したわけではありませんでした。

何だかんだ言いつつ信長を当てにしている義昭は、信長を門前まで見送るという、将軍としては異例の行動に出ます。また何事か起こりはしないかと、不安でたまらないのです。そういう義昭を、光秀は一種の哀しみを帯びた目で見つめます。恐らくこれと似た気持ちを持ちうる人物は、他には細川藤孝位でした。自分たちが担いだ義昭という将軍は、あまりにも頼りない存在に映ったでしょう。

一方で信長が京を去る時、京都守護職を残しておく必要があり、それには当然光秀がなるのであろうと、公卿や幕臣たちは噂していました。実際光秀は文武両道にひいでており、それが京の人々に受け入れられているため、こういう光秀待望論が出て来ても不思議ではなかったのです。信長も自分の家臣への期待は喜ばしいことでしたが、元々信長は光秀のような人物を好まず、
「からりとした性格の、粗野ながらも実直で律儀な武辺者」
を好んでいました。

光秀はこのことについて、義昭に口添えして貰うつもりでした。信長はそれを義昭の口から聞き、さらには朝廷からも、王城守護の任に堪えうる者をとどめるように言われており、確かに光秀はこの場合適材ではあるものの、一方で、あまりに京の人々に愛され過ぎており、これはリスクが大きいと言えました。かつて源義経が朝廷に愛され過ぎ、鎌倉幕府と対立した例もあったことから、いっそのこと光秀とは違ったタイプの人物を置く予定で、その人物は既に信長の意中にありました。

信長はまず朝廷にその人物の名を知らせ、ついで義昭にも代官を決めたことを伝えます。その人物の名は
「木下藤吉郎秀吉」
でした。氏も素性も知れぬと不満げな義昭に、信長は、秀吉の実力を自分は知っていると言い、義昭の口を封じてしまいます。しかしこの人選は、実に意外なものではありました。仮に光秀が選ばれずとも、織田家譜代の者が選ばれていれば、それはそれで義昭も納得できるものだったのです。

もちろん光秀に取ってもこれは意外でした。無論秀吉の軍才や機略は評価していましたが、それでも自分以上のものであるとは思わず、自由闊達な性格も、光秀には好ましいものとは映らなかったのです。光秀に取ってこのような秀吉の性格は、無知かつ無教養を象徴するものでした。また秀吉の意を汲むことに長け、抜け目なく、追従を言うこともいとわない点も、光秀の目にはよからぬことと移っており、宿陣に戻ってから、弥平次に不快なことがあった旨を告げます。

第十五代室町幕府将軍、足利義昭は閨の中では大それたことを言いますが、その実何もかもを信長に頼りきっていました。皮肉なことに、光秀もその後妻のお槇にのみは、大言壮語を吐くようになります。信長の管理下でなければ動けないという点で、両名はかなり似通っています。そして義昭は信長を討とうと包囲網を築き、この人物を追い詰めようとしますが、返り討ちに遭ってしまいます。光秀に関しては、最早言うまでもないでしょう。

そして秀吉の、京都守護職への抜擢です。光秀でもなく、織田家の重臣でもない、兵卒上がりのこの人物が選ばれたことについて、義昭や他の京の人物がどれほど驚いたかは想像に難くありません。しかしこの秀吉こそ、光秀とも織田家譜代の家臣とも違う面を持ち合わせており、それゆえ信長が最も信頼する人物でもありました。しかし光秀も頭では理解しても、彼のプライドが秀吉の人選を認めるはずもなく、気が晴れぬまま宿陣に戻ります。

飲み物-ウイスキーロック
[ 2020/11/28 23:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『青天を衝け』第2弾キャスト発表

『青天を衝け』のキャスト第2弾が発表されました。しかしついこの間、『鎌倉殿の13人』の一次キャストを脚本家自ら発表したせいもあって、正直どちらがどちらかわからなくなりそうです。

2021年大河ドラマ「青天を衝け」
出演者発表!<第2弾>
(NHK ONLINE)

とはいえ私としては、未だに『西郷どん』の
徳川家定-又吉直樹
井伊直弼-伊武雅刀
橋本左内-風間俊介
(敬称略)
のキャストのイメージが強いです。
特に井伊直弼は、岸谷さんの雰囲気とはちょっと違うような…。それとキャストそれぞれのコメントがないのが残念。

あと、制作統括の菓子浩氏が
「新しい大河ドラマが生まれようとしています」
とコメントしていますが、どういう風に「新しい」のか不明。さらにこれも先日の三谷氏のインパクトが強すぎ、こちらは特に新しいなどと言っていないにかかわらず、何か期待させる雰囲気となってしまっています。

それと篤姫が発表されている割に、島津斉彬や薩摩藩関係者はまだのようですね。上白石さん、『西郷どん』では西郷従道の奥さんでしたね。

それにしても2月14日スタートという時点で、既に例年より5回分は遅れています。それにオリンピックの分を3回分差し引くと、47回-8回で39回、40回に満たないわけで、脚本も変更を余儀なくされたでしょうね。

一方『麒麟がくる』で、堺正章さんと門脇麦さんが視聴率低迷の「戦犯」呼ばわりされていたようですが、一番の「戦犯」は制作サイドではないのでしょうか。

さて2021年は、どのような大河になることやら。

飲み物-ロックグラスカクテル
[ 2020/11/27 23:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

2020年11月ラグビー情報その2

まず、元フランス代表のクリストフ・ドミニシ氏が亡くなられました。転落死だったようで、48歳でした。99年ワールドカップのNZ戦でのトライは今も覚えていますが、この時オールブラックスで同じ11番をつけていたジョナ・ロムー氏も、既に鬼籍に入ってしまいました。
それからサッカーのレジェンドである、ディエゴ・マラドーナ氏も亡くなられました。こちらは持病を抱えていたようです。例の「神の手」に代表される天才的プレイヤーで、反面スキャンダルも多い人でした。先月60歳を迎えたばかりでした。お二方のご冥福をお祈りします。

それとスポーツついでで、日本シリーズはソフトバンクが巨人を4タテで優勝しました。しかし巨人の得点力がなさすぎるように思います。

そしてラグビー関連ニュースをいくつか。(記事はnikkei.comより)

故・マラドーナ氏の母国アルゼンチンのラグビー代表、ロス・プマスがオールブラックスを下しました。

アルゼンチンがNZに初勝利 ラグビー南半球4カ国対抗

プマスはこの後豪州とも対戦しましたが、こちらは引き分けに終わりました。それから来年の女子代表のワールドカップで、アジア代表はアメリカ、カナダ、ヨーロッパ予選の勝利チームと同じ組です。アジア代表と書くのは、コロナのせいで予選が延期されており、日本がまだ代表の座をつかんでいないせいです。

ラグビー女子W杯、アジア代表は米国と同組 1次L組み合わせ

あと『ラグビーマガジン』1月号(25日発売)が、アマゾンで売り切れの由。なぜかというと、今年の2月号同様、トップリーグ開幕が特集されているためです。今後トップリーグ開幕に合わせた号は、多少の増刷をするか、あるいは増刊号的な物を作るべきかと思われます。要は、如何に皆がトップリーグを待ちかねているかということでしょう。

飲み物-注がれるビール
[ 2020/11/26 23:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

大河と紅白に思うNHKの姿勢

殆ど昨日の続きのようになりますが、大河の視聴率を発表するのであれば、総合視聴率を検討するべきかと思います。これだと特にシニア層がまだ観ていることもあって、昔と互角な数字もあり、そこまで大河は落ちぶれていないという証明にもなるでしょう。無論私にしてみれば、もう大河は終わってもいいと思うし、総集編を観た限りでは、昔の大河が必ずしもずば抜けていいとは言えないようです。

無論中には素晴らしい描写もあるのですが、こういうのはありかと思われるようなシーンも見られたし、その意味では、意外と昔と今の大河は共通する部分もあるのではと思われます。それとこれは何度か書いていますが、同じ時代設定や同じような登場人物であっても、脚本もキャストもスタッフもばらばらで、一貫性を欠いています。寧ろ、これは作者が同じだから当然ですが、日曜劇場の池井戸作品の方がよほど一貫性があります。

もちろん違うキャスト、違うスタッフで描くからいいとも言えなくはありませんが、結局のところ、受信料に物を言わせて同じような作品をいくつも作ってしまった、その結果とも取れます。もう少し系統立てて作るべきではなかったのでしょうか。紅白にせよ大河にせよ、かつてTVが娯楽の中心だった時代は、それでもよかったのかも知れません。昨年ユーミンが『ノーサイド』を歌った時点で、紅白もノーサイドにならないかと思ったものですが、今年も歌合戦の形は維持したまま、無観客でやるようです。

特に無観客にしてまでやる必要はないとは思うのですが-大泉洋さんの司会は観たいとは思いますが。ならばここが節目ということで、フォーマットを大幅に変えるなり、同じ無観客であっても、いっそ嵐のラストライブをやる方がいいのではないでしょうか。この辺がやはり前例踏襲の悪しき見本と取れます。テレ東のドラマを見習ってはどうかとさえ思います。受信料と言えば、橋下徹氏が、受信料で紅白は作らなくていいと発言していたことがありました。橋下氏のすべての発言に同意はしませんが、これはうなずけます。

結局TVが勢いを持っていた時代というのは、そのコンテンツがどのようなものであれ、皆もっと興味を持って観ていたでしょうし、その一つ一つが新鮮ではあったでしょう。しかし年月が経つにつれて、それも薄らいでいき、てこ入れをしてブームを起こしてもやがて終わりが来ます。ましてネットと言う発信ツールを一般人が手に入れることによって、TVと一般の世界の間の垣根は低くなっています。TVというのは、そう特別な存在でもなくなっています。無論番組作成はプロに任せる必要はありますが、それでも他に時間を潰す手段、関心を惹く存在はいくらでもあるのです。

飲み物ーホットワインとくるみ
[ 2020/11/26 23:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

戦国大河と視聴率

「困った時の戦国頼み」に関して、あまり数字だけで判断するのも何ですが、視聴率と絡めてもう少し。1967年と68年に幕末大河を放送(恐らく明治維新から100年というのを踏まえて)したものの、68年の『竜馬がゆく』でそれほど数字が取れず、翌年から連続して戦国~江戸初期が舞台の大河を放送したことは、前にも書きました。しかしながら、そこまで視聴率が上がったのかというと、そうでもなさそうです。ビデオが普及していない時代ですが、この頃から民放が、大河を意識した番組を流すようになったせいもあるのでしょうか。ちなみにウィキによれば、平均視聴率は

天と地と 25パーセント
樅ノ木は残った 21パーセント
春の坂道 不明

となっています。25パーセントと言えば、幕末物ですが『篤姫』とそう変わりませんし、21パーセントと言えば、『功名が辻』とあまり変わらず、また『利家とまつ』より低いです。これから見るに、NHKは戦国大河にいくらか活路を見出していたものの、まだそこまで数字が取れていたわけではなく、無論大河を観ていない層も多かったかと思われます。

戦国大河のブレイクと言えば、やはりバブル期の『政宗』と『信玄』で、NHKが戦国頼みになるのは、やはりこの頃からではないでしょうか。そのせいか、『秀吉』も30パーセント台を記録したとされています。逆の見方をすれば、大河は20パーセント台が普通であり、30パーセント台後半と言うのは、時期限定の特殊な現象であったとも考えられます。『秀吉』後は、戦国といえども30パーセント台の視聴率は影を潜めるようになりますが、ある意味元に戻ったとも言えますし、この頃からTVに代わる娯楽が登場し始めたせいもあるかも知れません。

その後戦国大河は、2000年代は20パーセント台を記録しますが、2010年代になると20パーセント割れを起こすようになります。個人的には楽しめる作品もあったのですが、大河を観ない、あるいは8時からの本放送を観ないという傾向が反映されているようです。そのため頼みの綱の戦国も、『軍師官兵衛』で15パーセント台、『真田丸』で16パーセント台となり、『おんな城主 直虎』に至っては12パーセント台と、戦国大河最低記録となりました。『麒麟がくる』も現時点の平均視聴率が14パーセント台と、戦国大河としては苦戦が続いています。色々事情はあるにせよ、切り札と言うべき戦国も数字を取れなくなっているわけで、NHKの今後の出方が注目されます。無論総合視聴率をチェックすれば、場合によっては20パーセント台と、過去の大河に引けを取らない数字ということもあるのですが、如何せんこれがNHKから発表されることはありません。しかし本当に数字を意識しているのであれば、リアルタイムでなく総合視聴率を発表するという手もあるでしょう。

ところで『春の坂道』で、原作者の山岡荘八氏が主演として、中村錦之助(萬屋錦之介)さんを指名したとのことですが、その当時は原作者の権限がそこまで強かったのでしょうか。近年も原作がある場合は、原作者がコメントすることはありますが、流石にキャスティングにまでは口出ししないでしょうね。こういう部分にも時代の流れを感じます-無論、作家がそこまで関与することがいいという意味ではありません。

飲み物-ホットココア
[ 2020/11/26 00:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『応天の門』菅原道真、遊行する比丘尼と会う事ニ

『応天の門』、この間の投稿から2か月以上経ってしまいました。長岡京を訪れた道真と業平ですが、そこで、青海尼と名乗る尼僧に出会います。

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指の間から黄金や米を出し、村人に施す青海尼に業平は見覚えがあるようだった。そんな業平に道真は、まさか尼にまで手を出しているのかと気色ばむ。しかし業平は、彼女の香の匂いに覚えがあっただけだった。青海尼は業平の牛車の牛まで自由に操り、2人に背を向けたままその場を去る。やがて菅原家の別荘では、桂木(菅原家の女官柏木の姉)と下男が出迎えてくれた。業平は下男に馬を準備させ、水を飲ませた後門前につないでおくように命じる。

道真は、業平の鷹狩は翌日の予定であると聞いていたため、このことを不審に思う。そして業平と道真はまたも連れだって出かけるが、その場に猪が現れる。このため道真は落馬し、腰を打った上に、馬が走り去ろうとする。するとあの青海尼が現れ、馬を鎮めて一同を驚かせる。青海尼は道真が指摘した通り、吉草根(カノコソウの根)の香りで馬を落ち着かせていた。業平からどこの寺にいるのか尋ねられた青海尼は、自分は遊行の身だと答える。

そこで道真は、この辺りは野生動物も多いことから、自己紹介をし、菅原家の別荘にお泊めしたいと申し出る。青海尼はそれを承諾し、業平はいつからそんなに信心深くなったと訊かれる。しかし道真の真意は信心ではなく、なぜ遊行の尼僧にふさわしくない高価な吉草根を持っているのかということ、そして、馬を鎮めた時の身のこなしが普通の尼僧ではないこと、この2つの理由を知りたかったのだった。

柏木と下男は、青海尼をまるで仏でもあるかのように迎え入れ、道真は傷の手当てをして貰いながら、柏木にその理由を尋ねる。柏木は青海尼は御仏の化身、生き神様であると言う。実際下男も、青海尼が起こした不思議な出来事を業平に話して聞かせる。また年齢は二百歳とも言われ、道真がそれを否定すると、柏木は本気になって腹を立てた。

青海尼は元々仙女の血を引くと言われ、1人の時もあれば、御仏の守りの化身である、瓜二つの童女を連れている時もあった。さらに村が危機に瀕している時には、必ず現れるとも言われていた。青海尼は薄粥と白湯を口にしただけで休んだと柏木は言い、物は食べるのかと道真は納得する。さらに彼女が神仏であれば、この傷も治してほしいと言う道真に、柏木は、御仏のお力があればこそこの程度で済んだと答える。結局尼の前で殺生はできないと、業平は鷹狩を延期し、また青海尼が不老不死の美女であることから、かの国師と尼とがだぶって仕方ないようだった。

その後業平は道真の許を訪れるが、道真は急にこれを見てくれと右手を突き出す。道真は多少手こずっていたようだが、やがて指の間から砂を出して見せた。道真によれば、要は青海尼は固めた穀物や砂金を握り、指でほぐすことで、あたかも米や黄金が出て来るように見せているのだと言い、かつて昭姫が同じようなことをしていたと話す。しかも芸として見せるのではなく、単に貧しい者に施すなら、何もこのようなことをしなくても、米や金を与えればいいわけで、道真はその点に引っ掛かっていた。

その時京から早馬が来た。宮中で諍いがあり、源融が重傷を負ったと言う。一命は取り留めたものの、すぐ業平に戻ってきてほしいという知らせだった。

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さて青海尼、如何にも霊験あらたかといった振舞いで、村人の尊敬と信頼を集めています。別荘の柏木と下男に取っては、この尼はさながら生き神に等しい存在のようですが、それが道真は気になって仕方ないようです。しかも尼が行っていた「奇跡」は、昭姫の手品と似たようなものでした。なぜこのようなことをするのか、そして高い吉草根をなぜ持っているのか、馬の扱いに慣れているのはどうしてなのかと疑問に思う道真。

そして業平もまた、この尼と国師が似ていることが気になるようです。以前嗅いだ香りと似ているというのは、国師の香と同じであるとも考えられます。さらに道真が、恐らくは青海尼が使っている手品のからくりを見せた時、京から早馬がやって来ます。源融が宮中の諍いで、重傷を負ったということでした。何やら血なまぐさい事件のようですが、このことと青海尼、そして国師は何か関係があるのでしょうか。

[ 2020/11/25 00:30 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『義経』に見る義経と大姫

「『ヴィンテージ大河』に関して再度」に書いていることですが、『鎌倉殿の13人』がまだ放送されてもいないのに、『草燃える』の方が一方的にいいと決めつける姿勢には、少々違和感を覚えはします。こういう書き方は、過去(のよさ)をアピールするために、今現在の作品をディスっていると取られがちなので、やはり一度観てから言ってほしいなと思います。また『草燃える』は、登場人物が現代語であったのはマイナス要因でした。

ところでこの大河に出て来た大姫は、『鎌倉殿の13人』にも、そして『義経』にも登場します。後者の方では義経が義高助命を言い出し、兄頼朝と対立することになります。しかもその後大姫が、義高の死がもとで病を得た際、義経を慕っていたことから、母の政子が、義経に会わせれば多少は癒えるかも知れないと言い、義経を鎌倉に入れられないかと考えます。しかし義経一行は、既にこの時は腰越に足止めされていて、鎌倉へ戻ろうにも戻れず、頼朝の命に背くことに対して、義経自身にもためらいがありました。

そのため鎌倉の大倉御所ではなく、別の場所で会おうと政子は言うのですが、やはり義経はそれを受け入れませんでした。しかしこの義経の義高助命嘆願ですが、正直これはどうでしょうか。つまり頼朝との対立の遠因が、ここにあるという形に持って行きたいのでしょうが、義高を生かしておいたことのデメリットが、いずれ義経自身の身にも降りかかってくることになる以上、普通に考えて、やや不自然に見えます。

また大倉御所でなく別の場所で会ったからと言って、その後義経が大姫の、いわばカウンセラー的な役割で鎌倉に留まれるはずもありません。どう考えても政子のこの案は、娘可愛さとはいえ、一時的なものでしかなさそうです。それとこの『義経』の、後白河法皇の愛妾である丹後局、『平清盛』同様、天然パーマ風な髪で、異色な存在であることを表現しようとしているように見えます。しかし、この丹後局様はちょっと怖いですね。

大姫の描写に関してはちょっと前にも書いていますが、戦国物に見られる女性たち、とりわけ信長の妹お市や光秀の娘ガラシャのように、悲運に弄ばれる女性という描写が目につきます。そのような中で、『真田丸』のガラシャは異色でした。その『真田丸』を手がけた三谷氏のことですから、やはり今回も多少違った雰囲気になりそうです。私も、この大姫が両親と対立して屋敷を出、敵である義経の家来というか残党の子を身籠って、その後自害する設定にしてはどうかと書いていますが、あまりありきたりな描写でないことを望んでいます。

飲み物-ホットカフェオレ
[ 2020/11/25 00:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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