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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  2020年09月

2021年正月時代劇

『青天を衝け』のクランクインについて先日投稿していますが、正月時代劇もクランクインのようです。

中村七之助・永山瑛太 W主演!正月時代劇「ライジング若冲 天才 かく覚醒せり」制作開始
(NHK ONLINE)

主演は中村七之助さん、そして永山瑛太さん(かつての瑛太さん)です。主人公は江戸時代の絵師、伊藤若冲で、彼を取り巻くほかの絵師たちや僧大典顕常が登場します。中川大志さんが丸山応挙の役ですね。しかし「駒」がまた登場ですか-無論今度は全く違った役どころですが。

こういう江戸時代の芸術とか文化人などは、もちろん大河化するのは難しいので、正月時代劇またはBS時代劇にするのが正解でしょう。しかし『胡蝶の夢』のドラマ化、随分前からリクエストを出しているのですが、未だ実現せずです。あれも時代劇版医療ドラマとして描くと面白いはず、なのですが。

BS時代劇といえば、『赤ひげ』がまた放送されますね。それから『小吉の女房』の新作の制作が発表されています。

しかし今はBS時代劇と言っても、地上波でも放送されることもあり、両者もさほど違いがなくなって来ています。ならばいっそ、一本化するという方法もあるかとは思います。

飲み物ーアイスカフェオレ
[ 2020/09/23 00:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『草燃える』の義経と人物描写 3

『草燃える』総集編第5編に行く前に、先日のラグビー関連投稿で「ブリストルの奇跡」などと書いておりましたが、もちろん「ブライトンの奇跡」です。失礼いたしました、訂正しています。

では第5編ですが、既に頼朝や頼家、大姫も退場しており、実朝が将軍を継承しています。そして政子や義時の父時政は、この実朝の暗殺未遂の疑いをかけられて鎌倉を追われ、二代目(初代は時政)執権となった義時は和田義盛を滅ぼし、子供のいない実朝の継承者選びに乗り出します。その頃鎌倉を僧形の伊東祐之が訪れ、養女の小夜菊を自分の側女にほしいと義時が申し出ます。この小夜菊は遊女ながら、かつての義時の妻で、壇ノ浦に沈んだ茜と瓜二つでした。

しかし祐之は義時との確執から両目をつぶされてしまい、小夜菊と鎌倉を去ることになります。しかも出家して京で修行を積み、鎌倉に戻って来た頼家の子公暁は鶴岡八幡宮寺の別当を任されるも、本来ならば将軍職を継いでもおかしくない身であるため、それが面白くありません。そして三浦義村が公暁を焚き付け、実朝暗殺を計画させます。建保7(1219)年1月27日、大雪の中を参拝に向かった実朝は公暁に暗殺されますが、これを事前に察知していた義時は仮病を使ってその場を離れていました。しかしその公暁も三浦に裏切られ、殺されます。

源氏三代の将軍が途絶えた後、頼朝の遠戚に当たる藤原頼経を将軍として迎え入れるものの、実質は執権政治が行われることになり、これによって朝廷との軋轢が生じて承久の乱が起こります。この時政子は初めて尼将軍として御家人の前に立ち、檄を入れます。これは鎌倉方の勝利に終わりますが、政子は改めて失ったものの大きさに呆然とします。その後鎌倉を、琵琶法師となった祐之が訪ねて来ますが、政子は会おうとはせず、義時の前で祐之は琵琶法師であると繰り返すのみで、自分の素性を明かそうとはしませんでした。

大体こういった内容ですが、個人的にはこの第5編=最終回が一番大河らしく感じられました。無論、それ以外が全く大河らしくないとは言いませんが、武家政権の樹立、土台固めに付き物の血なまぐささ、武士たちの処世術が一番描かれていたのではないかと思われます。

いずれにしても、この大河は北条政子という女性の視点から描かれており、そのため婚礼をすっぽかして頼朝の許に走ったこと、夫婦関係と子供たち、特に大姫のことや、義経の愛人静への視線などに尺をかなり取っていますが、この回では大部分が武士同士の駆け引きが中心となっています。元々頼朝の頃から、こういう駆け引きはあったわけですし、人質の義高を討たせるのもその一環なのですが、そういった部分の女性視線の描写が、私としては、やはりどこか情に訴えているように見えました。

また政子が実朝の暗殺計画を、参拝に向かった後に初めて知るという設定になています。要は彼女は、実朝にどのようなことが起こっているかは、何も知らされていなかったわけです。

そもそも政治にも関与していないため、知らないところで意外な出来事が次々と起こり、政子はそれ故にむなしさが募る設定になっています。この大河の方向性がそうである以上仕方ないのですが、ただ最後の最後で尼将軍として出てくるのですから、何が起こっているかを多少は知りつつも、敢えて目をつぶっていたという設定でもよかったでしょう。

あと伊東祐之、この人はオリキャラですが、実在の人物との絡ませ方は『元禄太平記』の柳沢兵庫よりはいいと思います。と言うか、あの大河ももう少し総集編の回数を増やしていれば、それなりに納得の行く展開にはなったのかも知れません。それと現代語のセリフには、やはりどこかもやっとしたものを感じます。そのせいもあるのでしょうか、この後近現代を舞台にした大河以外は、すべての登場人物が現代語を使う設定にはなっていません。

さて三谷幸喜氏の『鎌倉殿の13人』まで、あと1年3か月となりました。その前の『青天を衝け』はクランクイン済みですし、NHKの公式サイトにも「ただいま制作中」となっていることから、脚本のための取材、リサーチは進んでいるのでしょう。しかし三谷さんといえば遅筆でも有名ですが、今回はどうなることやら。それと今までこの人は『新選組!』、『真田丸』と2つの大河を手がけていますが、本物の大河よりも、実は『新・三銃士』の方が大河らしいのではないかと思っています。実際これは、人形劇の大河などと言われてもいたようですし。

飲み物-ロックグラスカクテル
[ 2020/09/22 00:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『草燃える』の義経と人物描写 2

順序が前後しますが、『草燃える』のDVD第1巻を観た感想です。まず義経の描写についてですが、やはりちょっと単純かつ荒っぽい印象を受けます。兄頼朝が自分と会った際に、涙を流したと言って喜ぶ義経を、同母兄である全成が、自分の時もそうだったと言って牽制するシーンもあります。実はこれを観る前に、『義経』の壇ノ浦の回前後を観たのですが、この場合は流石に主人公ということもあり、壇之浦は早まったと反省しています。

ともあれ、この大河的には義経は短慮で先っ走りな人物という設定ですが、そもそも鞍馬を抜け出して弁慶と対峙する時も、一対一ではなく、京の盗賊団に取り巻かれる描写になっていました。それはともかく、平安から鎌倉に移行する時期が舞台である以上、頼朝、全成、義経そして梶原景時それぞれの思惑をもっと見たかったなと思います。ただ政子もまた主役であり、むしろ彼女の物の見方がこの作品の方向性を決定づけているとも取れます。

そのせいもあってか、男女の絡みの場が比較的多い印象があります。頼朝と政子はともかく、頼朝が義時の妻となっていた茜を手籠めにしてしまい、その後生まれた茜の子(後の北条泰時)が、どちらの子であるかわからないという描き方になっています。これに従うと、北条氏は実は源氏の血を引いていたということになるのですが、それはともかく。

そもそもこれは、茜が父大庭景親の命乞いに頼朝と会ったのが裏目に出たともいえますが、命乞いをしても恐らく景親は処刑されたでしょうね。無論義時と、この茜が密会するところも登場します。こういったシーンとか、この間も書きましたが、木曽義高の面影をいつまでも引きずる大姫などに、やはりかなりの尺を割いています。ところでその大姫ですが、義高の死を知って病に臥すも、ふくよかすぎてあまり病み衰えた雰囲気がないのがちょっと残念です。

それから頼朝が執務中に政子が来てあれこれ話すシーン、これはかつての大河では割と見られたのではないかと思いますが、意外なことに、女性の描写が多い最近の大河の方が少なくなっているようです。2010年代に入って、リアルタイムですべて観た男性主人公大河、すなわち『軍師官兵衛』、『真田丸』そして『西郷どん』では、あまりこのようなシーンはなかったと思います。実際に夫婦がプライベートな会話を交わすのは、寝所であったのではないでしょうか。

また政子が冒頭の方で着ていた赤の衣装、『武田信玄』で南野陽子さんが演じていたおここ(湖衣姫ではありません)の衣装と何となく似ているのですが、こちらの気のせいかもしれません。あと頼朝の住まいが流人としては立派な感じもしますが、これも恐らく『平清盛』のイメージが強いせいもあるのでしょう。あの頼朝の家というより「小屋」はかなりひどかったですね。監視役である北条時政が、時々野菜を持って来ていましたし。

しかしこの大河、伊東祐之がとにかく貧乏くじを引いています。政子が山木兼高と結婚させられそうになったため、彼女を愛するあまり頼朝の許へ逃がす役目を負うのですが、これは単なる「パシリ」役でしかありませんでした。その後も不利益を被り続けた挙句、彼は琵琶法師となって最終的に義時と対面します。これにより、苦難の中で受け続けた負の感情が昇華されたようにも取れますが、それについては総集編の最終話を観てからにしましょう。

飲み物-カクテルとオイルランプ
[ 2020/09/20 00:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

9月19日に思うこと

週末恒例の「『半沢直樹』のざっとした感想」は、都合により少し遅くなりますので、悪しからずご了承ください。

ところで5年前の9月19日は、かの「ブライトンの奇跡」が起こった日です。つまり、ラグビー日本代表が、南アフリカ代表をワールドカップで破った日です。またこの9月19日、正岡子規の命日でもあります。子規といえば、『坂の上の雲』でこの役を演じた香川照之さんの、あの演技が忘れられません。子規の退場は2年目、つまり2010年の放送でしたが、この年はちょうど『龍馬伝』の放送年でもあり、あの中でやはり香川さんが演じていた岩崎弥太郎と、少なからずダブるところもありました。どちらも正に怪演というべきでしょう。それを言えば、大和田暁の演技も似たようなものですが。

しかし『坂の上の雲』、如何に大河ドラマが豪華キャストといわれても、このシリーズの豪華キャストをしのぐものではないと思われます。またこういうシリーズを、今度は大河の代わりに制作して、シリーズとして何年かかけて放送すればいいかと思います。ただこの場合、舞台や時代背景も重要になって来るので、何でもいいというわけではありませんが、同じお金をかけるのなら、いっそこの位やってもいいのではないかと。

飲み物-カウンターとカクテル
[ 2020/09/19 23:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る明智光秀番外編と川中島大河

『国盗り物語』の明智光秀関連の投稿をしていて思ったのですが、美濃時代、そして越前にいた頃に比べると、光秀の物の考えが明らかに変化しつつあります。これは織田家の家臣という、安定した地位を得たことによって、不遇をかこっていた牢人時代や朝倉家の客分の頃よりも、自分の力を発揮できる環境にいることがまず一因でしょう。無論濃姫に目通りして、昔のままの十兵衛として見られることに反発した、いわば強がりのようなものもあると思われます。自分は濃姫と結婚できず、どころかその夫となった人物に仕えることになり、何とかして一目置かせたいという気持ちも少なからずあるのでしょう。

ところで過去の大河での明智光秀のキャラ設定は、大きく分けて2通りあるかと思われます。ごく大ざっぱではありますが、
陰のある、いわば敵役としての光秀
二枚目の要素が強い光秀
この2つのタイプでしょうか。たとえば『利家とまつ』の光秀は前者と思われますし、逆に『信長 KING OF ZIPANGU』や『秀吉』の場合は後者の雰囲気が強いようです。それとは別に、陰のある二枚目という設定の光秀も存在し、この『国盗り物語』や『功名が辻』で坂東三津五郎さん(十代目)が演じた光秀像がこれに該当します。いずれも司馬作品であり、司馬さんの描く光秀というのが、すなわちこういう人物であると言えます。この三津五郎さんもそうですが、近藤正臣さんの光秀が嵌っていると思われるのは、この『国盗り物語』の、謹直である一方でどこか屈折した光秀を、かなり再現できているせいもあります。

そもそも大河の主人公や主要人物の場合、その人に取って一番インパクトの大きな作品で描かれる人物像が、すなわちその人物を代表する傾向があるようです。例えば私の場合、今では徳川家康は内野聖陽さんか西田敏行さん、上杉謙信はGacktさんの印象が強くなっています。これはあくまでも推測ですが、大河の初期の頃に描かれた主人公は初登場ということもあり、よくも悪くも正統派主人公として、英雄として描かれることが多いものの、2作目や3作目辺りになると、最新の研究によって設定が変わったり、また場合によっては、マイナスの面を強調されたりするようになるからでしょう。

謙信と言えば、川中島物も最近は作られなくなりました。私の場合『武田信玄』以後の作品しか知りませんが、江戸時代物と同じで、登場人物やストーリー展開が似たような感じになるせいでしょうか。ならば上杉景勝、伊達政宗、最上義光の三者を描く方法もあります。これは寧ろ『天地人』でやってほしかったところです。その『天地人』では阿部寛さんが謙信を演じていましたが、甚だ失礼ながらどうも阿部さんより、『風林火山』のGacktさんの印象の方がやはり強いです。逆に阿部さんは『テルマエ・ロマエ』のイメージです。『風林火山』の場合、周囲が如何にもといった戦国武将たちの中で、ああいう独自の雰囲気の謙信を配したのが、功を奏したと言うべきでしょうか。

しかし武田信玄は、武力も軍才も持ちながら、あと一歩のところで織田信長に及ばず、さらに嫡男勝頼の地位を危うくした人物でもあるのですが、上杉謙信は「義」を掲げたこと、関東管領の上杉家を継いだことなどの影響もあり、その意味で信玄とは一線を画しています。しかしこの人も後継者をはっきりさせないまま急死し、それが御館の乱のもととなったのですから、その意味では禍根を残したとも言えます。前出『天地人』で御館の乱が登場しますが、どうも今一つな感があるため、今度大河化するのであれば、もう少し非情なイメージで描いてくれないかと思います。

飲み物-ホーセズネック
[ 2020/09/19 00:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

2020年9月ラグビー情報その2

ラグビー関連情報をいくつか。記事はnikkei-com、またはNIKKEI Rugbyのツイートより。

まず新秩父宮ラグビー場の概要について。主なものとしては、

・「秩父宮」の名称は引き継ぐ
・ラグビー専用スタジアムとして整備
・多用途で利用可能な施設
・第1期工事は26年以降に完成。その後に現ラグビー場を解体
・収容人数は今とほぼ同程度の想定だがアリーナ型だと変更の可能性あり
・現在の神宮第二球場の場所に建設

アリーナ式というのは、2017年に日本が遠征したフランスのスタジアムを模しているかと思われます。尚この遠征ではフランスと引き分けています。

一方で、今年の代表活動は結局行われず、リーチ マイケル選手もかなり残念そうです。

ラグビー日本代表、20年の活動断念を発表
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO63838760U0A910C2UU8000/

ツイッターによれば、リーチ マイケル選手は代表活動がなくなったことに対して、
「すごい残念。トップリーグでいいスタートを切って、ジェイミーにいい印象を残していきたい」「詳しくは言えないが何個か手術をした」と説明し、W杯は60%くらいの力でやっていたので、直して100%にしたいと述べています。

しかしワールドカップでは60パーセント程度の力だったのであれば、彼が100パーセントの力を出し切れば、かなりのパフォーマンスを披露してくれそうです。そして18日はそのワールドカップから丸1年で、1周年記念イベントも行われるようです。

それから京都出身のラグビー記者、後藤正治氏関連の記事です。

スポーツ熱 伝統が支えに 後藤正治さん

飲み物-パブのビール2
[ 2020/09/18 00:15 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

大河ドラマ雑考-38

まず『八重の桜』や『相棒』に出演した芦名星さんが亡くなられました。そして、かつて日テレ系の『西遊記』で、沙悟浄を演じた岸部シローさんが、8月末に亡くなられていたことが報道されています。お二人のご冥福をお祈りします。

それと先日から書いている『元禄太平記』総集編でもう一つ、最後の方に政権批判の落首が登場します。これが皆同じような筆跡であるというのもちょっと妙なものです。これなら『真田丸』の聚楽第の落書の方が、リアリティがあったと思います。

しかしこうして見ると、昔の大河にも多少はおかしな点があり、その当時の大人の視聴者は、いくらか違和感を覚えながらも観ていたとも言えるでしょう。無論『江~姫たちの戦国~』で、江が明智光秀に説教するとか、『花燃ゆ』で、杉文(楫取美和子)がおにぎりばかり作っているといった描写に比べれば、それでもかなりまともではあるのですが。

大河は一度リセットしてはどうかと、少し前に書きましたが、大河にせよ昔のドラマにせよ、言うなればTVしかない時代の産物ではあると思います。この当時視聴者は、地上波の番組を観るしかありませんでした-と言うか、「しかありませんでした」という表現は、この場合ちょっと正しくはないかも知れません。その当時はそれが当然であったからです。

何事もそうですが、今までなかった物が新たに登場することにより、それ以前の時代には最早戻れなくなるわけですが、TVも同様のことが言えます。視聴者が地上波以外のコンテンツを選べる時代になると、かつてのTVのシステムというのは、ある程度勢いを失わざるを得なくなります。その中で生き残ったいくつかの地上波コンテンツが、その後も継続して視聴されて行くわけで、TVそのものよりも、地上波が徐々に衰退しつつあるというのが正しいのかも知れません。

実際私もスカパー!に加入して初めて、チャンネルにお金を払うとはこのようなことかと実感したわけで、専門チャンネルを持たないNHKでは味わえない満足感がありました。NHKもBSを1局にしようとしていますが、当然その分コンテンツ数は減ります。それなら経費のかかる大河をしばらく見合わせるという方法もありますし、そもそも、公共放送に本当に1年間の連続ドラマが必要なのか、考えてみる必要はあるでしょう。

いっそのこと『半沢直樹』を時代劇化して、スペシャルとして放送してはどうかと思います。元々時代劇的で、今回は歌舞伎の要素も多分にあるドラマなので、下手な大河より面白い物が作れそうです。時代劇も最近は専門チャンネルやBSのコンテンツとなっていますが、そのような状況中で、地上波で1年間放送できる大河は実に贅沢なものです。民放の場合、スポンサーがついてこそのドラマ制作ですが、NHKはそれを考えずとも済むというのもその一因でしょう。

しかしスポンサーの存在を考慮に入れなくていいというのは、その反面、緊張感を欠いたものとなりがちです。NHK大河がどこか自己満足的または独善的に見えるのには、こういうNHKならではの理由が挙げられるわけですが、正直金食い虫のそしりも免れないのではないでしょうか。大河というのは別に神聖不可侵なものでもなく、なのに視聴者のコンセンサスを得ているかどうかも定かではない作品もある以上、廃止するか、あるいは休止するか否かの議論は、もっと柔軟に行われてしかるべきかとは思います。

飲み物-アイスコーヒー
[ 2020/09/18 00:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る明智光秀 20

義昭は将軍になりたくて苛立ちますが、そのためには根回しが必要でした。織田家は戦国大名としては新興であり、そのため武田や上杉といった家に対し、次期将軍を引き取りたいと伝え、了解を得ておく必要があったのです。また信長の周囲の大名たちと交渉をしなければならず、北近江の浅井氏には妹のお市を嫁がせたためどうにかなったものの、南近江の六角氏は手ごわい相手でした。それやこれやで、義昭の岐阜への動座が決まったのは、永禄11(1568)年7月のことです。

光秀の立場は足利家への連絡官兼儀典係で、義昭に付き従う細川藤孝に、信長はすべて本気でやる人物であることを告げます。義昭を引き取るにしても、朝倉義景のように儀礼的ではなく、必死でそのための工作を行い、さらに上洛という、現時点では不可能と思えることも考えているようです。そのような目的に向かって無我夢中であるという信長の姿勢が、光秀にはすべて本気の人物と映り、例えば閨で女といる時も、本気でいると光秀は語ります。

常に謹直な光秀にしてみれば、このような例えは珍しいと言えました。光秀自身、尾籠な話であるとしながらも、信長は閨で戯れながらも子を生ませることを考えており、その子がもし女であった場合、どの方面の政略に用いるか、そのようなことまで考えていると藤孝に話します。藤孝はおかげで、信長がどのような人間であるか理解しますが、その一方で、信長が最近「天下布武」なる印を使っていることを持ち出します。

この当時、印で自分の理想を表現するというのは、多くの武将の間で流行っていました。しかし天下布武というこの印文は、信長の天下取りの理想をはっきり表しており、その意味で他の大名とはかなり違っていました。藤孝は、義昭を将軍の地位につけながらも、その実、自分がその地位を狙っているのではないかと懸念します。これに対して光秀はこう言います。
「男子とはそうあるべきものではないか」

これが藤孝には意外でした。しかし光秀は、寸尺の地に住んでいても海内を呑む気概がなければ男子とはいえぬと言い、藤孝は、足利家の武権を信長が奪おうとするのはよいことかと訊き返します。しかし光秀は、これはあくまでも気概の問題であると強調します。藤孝は幕臣という立場上、信長の今後の動向が気になるようです。光秀は信長が、現実に足利家の世を奪おうとするわけではないと藤孝を諭します。

一方で光秀は、気概というのは大事である、自分もこの世に生を受けた以上、天下布武の気概をひそかに持っていると言いますが、光秀がこのようなことを言うのが藤孝にはおかしかったのか、声を立てて笑います。光秀は笑いたければ笑えと思いますが、それを表情に出すことはしませんでした。そして岐阜では、義昭を迎える準備が整い、郊外にある立政寺が、義昭のための仮御所に当てられることになります。

いよいよ義昭が岐阜に向かいます。光秀もこの動座に関しては、重要な役割を与えられていました。そして旧知の藤孝に会った光秀は、信長が常に目的を持ち、それに向かって邁進する人物であることを知った藤孝は、信長が最近「天下布武」なる印を使っていることを話題にします。この当時、印で理想を表す大名は多いものの、信長のこの印文は天下取りを意味しており、幕臣である藤孝は、信長が将軍の地位を狙うのではないかと気になっていました。

光秀は、それはあくまでも気概の問題で、信長が将軍の地位を狙うことなどありえないと言いますが、この「信長の野望」は、それからほどなくして現実のものとなります。無論この時点ではまだ、将軍となるべき義昭を擁して上洛するべく、信長は自分の計画を実行に移しつつありました。また光秀の方は、この前に濃姫に目通りした際に「世に志のある者は穏和でない」と言い、今度は自分にも気概があると言い出し、徐々に変化が窺われるようになります。

飲み物-チューリップグラスのビール
[ 2020/09/17 00:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『河童』に関して思うこと-6

硝子会社社長ゲエルについての続きです。このゲエルもとある倶楽部の会員で、超人倶楽部よりも居心地はいいとあるので、一部のインテリが小難しい話を延々と繰り広げるような空間ではなかったのでしょう。調度も贅沢で、セセッション風と書かれていますが、これはウィーン分離派のことで、グスタフ・クリムトを中心とした、所謂アール・ヌーヴォーを意味しています。インテリアも如何にもお金がかかった感じで、ゲエルはそこでコーヒーを金のスプーンで混ぜながら、政治の話をします。

政党は政治家のもの、その政治家を支配しているものは新聞社と言うゲエルですが、彼自身はその新聞社の社長を支配しています。尚政党、新聞社とも奇妙な間投詞の名前がついています。主人公はここで、労働者の味方である新聞記者たちが、社長の支配、ひいてはゲエルの支配を受けていることに同情するわけですが、そのゲエルを支配しているのがその妻であると、ゲエルは得々と語ります。突き詰めて言えば、政治を支配しているのはゲエル夫人となり、しかもゲエルは、主人公が河童でないからこそ、あなたの前で妻が自分を支配していると口にします。

実際かつて、ある雌の河童のために戦争が始まったことがあるとゲエルは言います。河童の仮想敵は獺(かわうそ)であり、しかも勲章を持った獺がある河童の夫婦を訪問した際、妻が誤って夫に飲ませるはずの、青化加里(青酸カリ)を入れたココアを獺に飲ませてしまい、両国の間で戦争が勃発したというのです。この時ゲエルは石炭殻を食糧として戦地へ送っています。河童は空腹なら何でも食べるためです、主人公はそれは醜聞だと言いますが、ゲエルは自分が言う以上そうはならないと澄ましたものです。しかも多くの河童が戦死します。

そこへ給仕が入って来ます。こともあろうに、ゲエルの家の隣が火事だというのです。幸い火は消し止められましたが、うろたえるゲエルは最早資産家でも何でもない、ただの河童となっていました。主人公は花瓶の冬バラを抜き、ゲエルの妻に持って帰るように言います。しかしここで終わらないのがゲエルの強かさで、隣の家のオーナーであった彼は、火災保険の保険金だけは撮れるとほくそえみます。主人公は複雑な気持ちです。

金持ちのゲエルにふさわしい倶楽部と自慢話が続くものの、最後の部分で隣家が火事と聞いてうろたえる辺りは常人ならぬ常河童です。しかしこれで保険金が取れると言うところに、やはりこのゲエルのゲエルたるところでしょう。ところで文中に
(何しろ河童の強敵に獺のゐるなどと云ふことは「水虎考略」の著者は勿論、「山島民譚集」の著者柳田国男さんさへ知らずにゐたらしい新事実ですから。)
とありますが、それは芥川龍之介の脳内妄想かと…と言うか一部の民話では、河童は獺が変化したものだと言われてもいますので、この発想にはうなずけます。それにしても新聞社の社長を支配云々というのは、株主であるということなのでしょうか。

しかしこの当時、新聞を支配することは間違いなく権力であったと言えるでしょう。石炭殻という単語共々時代を感じさせます。

飲み物-カフェラテ2
[ 2020/09/16 23:00 ] | TB(-) | CM(0)

大河と忠臣蔵 6(元禄太平記)

引き続き元禄物、赤穂義士物の大河についてですが、1999年に『元禄繚乱』という作品が放送されています。しかし大石内蔵助夫妻の描写に関して、どうも朝ドラ的で疑問が残り、結局あまり観ませんでした。討ち入りの回は観た覚えがあります。あるいはこの時点では、既に大河に於いて元禄物の果たす役目は終わっていたのかも知れません。

この時代、あるいは源平物もそうですが、どうしても登場人物が限られてしまいます。そのため何回か大河化すると、持てる手札を出し尽くすような形になりかねません。それでも源平物は、ゴールの設定が奥州合戦とか承久の乱とか複数あるので、まだバリエーションがありますが、元禄物の場合は赤穂浪士討ち入りがゴールとなっているため、描ける時代が限られてしまいます。江戸時代の文治政治の黎明期から定着期という設定で、由井正雪辺りから赤穂事件までを描いた方がいいと思うのはそのためです。

今後は寧ろ南北朝とか、戦国時代の初期に題材を取ることが多くなるのではないでしょうか。南北朝は皇室に関わることもあって、過去一作品が制作されたのみなので、今後やろうと思えば題材はいくらでもあります。無論戦国期も、幕末もまだ多くの題材が手つかずの状態です。

それから『元禄太平記』の中でまだ気になった点があるので、もう少し挙げておきます。討ち入り時に吉良邸の関係者が数えるほどしかいないのですが、いくら何でもあれはないでしょう。史実では100人ほどいたとも言われています。浪士たちの動きをスムーズにする目的もあったでしょうし、吉良家が油断していたという表現をしたかったのかもしれませんが、あそこまで少ないというのはちょっと考えられません。

それと主人公の柳沢吉保や大石内蔵助を始め、武士が着ている裃ですが、この時代の物としては肩幅が広いのではないかと思います。あれは、もう少し後の時代の物ではないでしょうか。市井の人々や遊女の衣裳などは、ほぼこの時代の物であるとは思いますが。

いずれにしても、今度『峠の群像』を観てみようと考えています。この『元禄太平記』と、大石内蔵助を始めとする浪士たちや、大名の描き方がどのように違うのか、その部分を指摘できたらと思います。

飲み物-アイスココア
[ 2020/09/16 00:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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