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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  2020年08月

大河と忠臣蔵 2(元禄太平記)

先日忠臣蔵と大河について書きましたが、その続きです。この忠臣蔵を扱った作品の一つということで、『元禄太平記』を観てみました。尤も総集編の第1巻しか観ていませんので、まずそちらの方について書いておきます。

作品自体は、柳沢保明→吉保(ここでは吉保で統一)と大石内蔵助のダブル主人公ともいえます。まず柳沢吉保ですが、舘林藩士で小納戸役を務めていたものの、将軍徳川綱吉から異例の側用人に抜擢され、出世して大老格となる一方で、大石内蔵助は赤穂藩の家老となります。この2人は若い頃、たまたま江戸の火事場で顔を合わせており、その後互に忘れ得ぬ関係となっていました。その後吉保の出世、綱吉の側室である右衛門佐の覚えがめでたいことに加えて、側室である染子も登場します。この染子は元は綱吉の側室でした。要は側室を「下賜」されたわけです。

綱吉は隠居する水戸光圀から嫌味を言われるものの、吉保の出世は順風満帆でした。綱吉も柳沢屋敷を訪れ、染子の酌を受けますが、そこで染子は、自分の子がお世継ぎの徳松に似て来たと打ち明けます。さらに懐妊した右衛門佐ですが、綱吉に冷遇されていたお伝の方の陰謀で流産させられてしまいます。そして赤穂藩主浅野内匠頭が、勅使饗応役を任されますが、一方で高家である吉良上野介は、この浅野内匠頭に何かと辛く当たります。また上野介は赤穂領を吉保に譲り、浅野家を改易することまで考えます。

この仕打ちが内匠頭にはストレスとなり、ついに上野介に対して刃傷に及びます。これにより内匠頭は切腹となりますが、上野介はお咎めなしでした。当然赤穂城も引き渡され、内蔵助は京山科で浪人暮らしを始めると同時に、今後の策を練ります。一方江戸では、内匠頭の仇を討とうとする赤穂の若い浪士たちに対し、吉保が厳重に目を光らせていました。

その江戸の市井の人々の中に、柳沢兵庫という男がいました。この人物は吉保の甥で、世直しと称して浪人暮らしをしていたのですが、当然ながら叔父である吉保とは意見が対立していました。しかしこの兵庫が、かつては反対していた赤穂の浪士たちの監視の役目を、自ら買って出ます。欲しいのは金だと言うのですが、その裏に何かありそうです。

一方吉保ですが、綱吉の母桂昌院への官位を異例の従一位にするよう要請するなど、相変わらずのやり手ぶりで、松平姓を名乗ることを許されます。その吉保は自分の病気治療という建前のもと、綱吉から許可を貰って上洛し、内蔵助の動向を探りに行きます。門前で内蔵助と再会する吉保ですが、初対面の頃と比べ、この両名の立場はあまりにも違っていました。

ざっとこういう内容ですが、やはり乱世でないため戦関係がなく、そのため殆どが会話劇となっています。無論第2巻(後編)では、討ち入りが描かれてはいます。また大奥が多少描かれていますが、やはり大奥プロパーではないためか、あの如何にもきらびやかで、しかも伏魔殿的な大奥のイメージからはちょっと遠くなっています。その中で、草笛光子さん演じるお伝の方の悪女のイメージが際立ちます。加えて、これは作品の性格上そうならざるをえないのですが、吉良上野介が如何にも老獪なイメージです。この上野介を演じているのは小沢栄太郎さんですが、雰囲気が少しばかり今の柄本明さんに似ています。

それから大河には、異色ともいえる出演者も時々います。実はあの黒柳徹子さんがこれに出ており、見かけは今とかなり違いますが、話し方ですぐわかります。内蔵助役の江守徹さんは、『国盗り物語』『勝海舟』に続いて連続3年目の大河出演です。

しかし火事場で会ったとか、柳沢吉保がお忍びで内蔵助を訪ねて来たというのはもちろん創作でしょう。火事場といえば『麒麟がくる』でも登場しました。見知らぬ同士を引き合わせるには、ああいう様々な人物が集まる場所というのは功を奏するようです。ただ、吉保が京に1人で内蔵助に会いに来て、誰もいない中そこに立っているというのは、ちょっと如何なものかとは思うのですが…。

それと前出のように戦関係がないので、いくら「松の廊下」があるとはいえ、やや平坦な印象を受けるには受けます。これも先日書いていますが、いっそ由井正雪の乱辺りから引っ張って来て、最終的に赤穂義士の討ち入りという形に持ってくれば、また違うのではないかと思います。

飲み物-ロックグラスカクテル
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[ 2020/08/31 01:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

大河と忠臣蔵

以前、2020年はオリンピックイヤーでもあり、東京=江戸を舞台にした大河、特に赤穂義士を主人公にした所謂忠臣蔵物ではないかと、このブログにも書いたことがあります。無論実際は忠臣蔵物ではなく、またオリンピックもコロナウイルス感染拡大のため延期されていますが、最近とみに見なくなったのがこの忠臣蔵物です。今世紀に入ってからは全く作られていません。過去において
赤穂浪士(1964)
元禄太平記(1975)
峠の群像(1982)
元禄繚乱(1999)
の4作品が制作され、また1995年の『八代将軍吉宗』でも、吉良上野介や浅野内匠頭が出て来ます。

理由は色々あると思われますが、ワンパターンになりやすいというのが一因かと思います。要は赤穂藩VS幕府という描き方になりやすく(『峠の群像』のみが、やや異なった描き方)、乱世でないため合戦や内乱などの描写に乏しいというのもあるでしょう。赤穂藩側の描き方を変えるか、幕府側の描き方を変えるか位しか変化のつけようがないとも言えます。

また、これは今年の場合もそうですが、この手のは1年物でなく半年物で十分ではないかとも思われます。実際所謂忠臣蔵であれば、映画でも十分描き切ることができます。たとえば忠臣蔵をドラマの一部として、その前の時代、たとえば徳川家光の頃から描いて行くという方法はあるでしょう。このやり方だと、『葵 徳川三代』の続編とすることもできそうです。

飲み物-パブのビール1
[ 2020/08/30 00:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『半沢直樹』のざっとした感想 6

『半沢直樹』第6回のざっとしたあらすじと感想です。

債権放棄を巡って半沢とタスクフォースは真っ向から対立します。半沢はタスクフォースの法的根拠を示せと言い、債権放棄を申し入れるのなら銀行に頭を下げろと迫りますが、その一方で、半沢たちの再建案によるリストラ案に一部社員が反発しており、帝国航空の山久は頭を抱えます。しかも国土交通大臣の白井自ら東京中央銀行に乗り込み、半沢は例によって歯に衣着せぬ物言いをするものの、常務の紀本がその場を取り繕います。半沢は再就職先を探すため乗り込んだ開発投資銀行で、再就職先の有力候補であるLCCのスカイホープ航空の、東京セントラル証券の担当者に会いますが、それはかつての部下だった森山でした。

スカイホープ航空は業務拡大のためここから大型融資を受けており、半沢はここに帝国航空の社員を贈り込むことにします。そして金融庁による、帝国航空の与信判断が行われるものの、この裏には与党進政党の幹事長箕部が絡んでいました。やがて金融庁の与信判断チームが訪れるものの、先頭にいたのは、噂されていた落合ではなくあの黒崎でした。黒崎たちは金融庁提出案と発表された帝国航空再建案の数字が矛盾することを指摘し、最終的に帝国航空の山久のミスであったことがわかります。この場を取り仕切った、かつての帝国航空担当の曾根崎は一躍注目され、大和田や曾根崎による半沢外しが開始されるようになり、半沢と曾根崎は今後の帝国航空担当を巡って、中野渡頭取に呼び出されます。

曾根崎は半沢の度重なる来訪が山久にプレッシャーを掛けていると主張するものの、半沢は、山久のミスは事実無根であると言い、さらに山久と曾根崎の音声ファイルを証拠として持ち出します。山久は帝国航空側のミスにすれば、スカイホープが引取る506名を、帝国航空で働かせるという交換条件を持ち出したのでした。
半沢は言います。
「お前は東京中央銀行の、いや、日本中の全バンカーの恥さらしだ」
さらに曾根崎は過去に、恐らくは何者かによって命じられた不正があることがわかります。これが発覚すれば、かなり厳しい状態になるのは免れませんでした。しかもスカイホープの新規路線が急に取り消しになったが、これは半沢つぶしを狙う白井が関わっていました。東京中央銀行は業務改善命令という屈辱的な立場に立たされますが、半沢がこのまま黙っているわけはないでしょう。

銀行に戻ったら戻ったで、窮地に立たされる半沢ですが、それでも帝国航空の社員の転職先探しをこつこつやっていました。しかしそこへ、またも金融庁が与信判断で乗り込んで来ます。しかもその責任者は落合という人物ではなく、よりにもよってあの黒崎でした。しかもこの場でとんでもない矛盾が発覚し、その場を切り抜けた前帝国航空担当の曾根崎は大手柄だったものの、しかし不正があったことにより、半沢の怒りが爆発します。しかし今回も、音声ファイルが決め手になりましたか。あと花は半沢の敵とも知らず、東京中央銀行に国土交通大臣白井が来たのを激励と思っているようですが、半沢は脅かしであると答えます。

ところで帝国航空の社員の転職先として、
トキワ自動車
日本モータース
帝国重工
が登場します。『ノーサイド・ゲーム』のトキワ自動車、懐かしいです。

飲み物-カウンターとカクテル
[ 2020/08/29 23:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

2020年8月ラグビー情報3

ラグビー関連情報です。記事はnikkei.com及び日本協会サイトより。

安倍総理が辞任を表明との由。昨年、ラグビーワールドカップの開会式で、桜のジャージー姿で日本代表を応援していたのを思い出します。そのワールドカップのマスコットのレンジ-、今度は日本協会のマスコットに決定です。あの開会式では、市川右團次さんと右近さん父子が連獅子を演じ、海外ではレンジ―は父親と息子なのだと説明されたツイートが回っていました。

おかえり「レンジー」 W杯から協会マスコットへ

そしてこちらは日本協会サイトの記事です。

そしてフランスのプロ14、いよいよオープン戦開幕のはずでしたが、松島選手のいるクレルモンが、残念なことにのっけから試合中止です。尤もこれは、相手チームの事情によるものではありますが。

仏ラグビー、松島のチームが対戦中止 相手チームでコロナ感染

それからやはりと言いますか、6か国勢との試合はちょっと無理なようです。これは、ジョセフHCや外国人コーチなどの入国がスムーズに行かず、代表合宿を張れないことが原因と見られます。

ラグビー日本、欧州6カ国などとの大会に不参加へ 活動再検討

とはいえ下記ツイにあるように、強化のための代替試合も考えられているようで、エキシビションマッチでもいいのでやってほしいところです。やはり選手もファンも、ラグビーに飢えているのは事実でしょう。


ところでフランスではラグビーのオープン戦のみならず、明日からツール・ド・フランスも始まります。ちなみに明日の第1ステージはJSPORTSで無料配信です。

飲み物-注がれるビール
[ 2020/08/28 23:30 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

『国盗り物語』に見る明智光秀 18

織田家に仕えることを決めた光秀ですが、すぐに織田家に向かうことはしませんでした。まず一乗谷を引き払った後、かの称念寺に身を寄せます。この人物は決意に時間がかかるものの、一旦決意したとなると、その後の動きは実にスムーズでした。称念寺では猪子兵助に会い、いずれ支度が整い次第参ると言って、その時に道三の話題になります。この道三が、聖徳寺(作中では正徳寺)で信長に会見した時、この兵助も道三に随行していました。

この時の、寺へ向かう信長の服装に呆れた兵助は、彼をたわけと決めつけ、いずれは道三が尾張を攻めて我が物にすると思うわけですが、道三は違っていました。
「たわけなものか。いずれおれの子供たちはあのたわけの門に馬を繋ぎ、この美濃は、信長への婿引出物になるだろう」(原文では「たわけ」に傍点)
と言っており、そして実際信長は美濃を制して引出物になったと兵助は苦笑します。

この兵助はそのことを悔やみますが、光秀に言わせれば、それは人間が違うというだけの話でした。兵助が道三ほどの眼力を持たなかったとしても、そこまで悔やむことはないわけです。その後光秀は扶持を悉く金銀に換え、それらを荷駄に積んで越前を後にし、秋の暮、雪が本格的に降り始める前に一族郎党を率いて敦賀へ向かいます。光秀は客分であったため、扶養する家来が少なかったのはこの場合幸いでした。この頃義昭と名を改めた義秋に暇乞いをした光秀は、途中で土産物を買い求めます。

これには光秀の自負心の強さもありますが、何よりも濃姫と従兄妹であり、幕臣でもある以上、それなりの品物を買い求めて美濃へ向かうつもりでした。三国港で葡萄と鮭を買い、濃姫へは紙製品、硯や香炉などを買って、その後岐阜城下へ入ります。岐阜では常在寺に宿泊しますが、この常在寺は道三ゆかりの寺でもありました。かつての山崎屋庄九郎が、美濃で最初にわらじを脱いだのがここであり、光秀はここに「明智十兵衛光秀宿」という札をかけさせます。

ここの住持(住職)は、道三が初めて美濃に来て世話になった時の日護上人から三代目の日威でした。日威はかつて道三が、妙覚寺で日護上人と共に修行をしたこと、その後還俗し、奈良屋の入婿になったりもしたが、野望を果たさんと美濃に向かい、上人の実家の長井家に推挙したのが、そもそもの道三の武士としての生活の始まりでした。光秀は、もし道三がいなければ、恐らく美濃は今とは違っていたものになっていたと口にします。

日威は、土岐家がまだ続いていたという意味かと問いますが、光秀はそうではなく、既に美濃は先代信秀の時に、織田の手に落ちていたと答えます。ちなみにこの常在寺は、一度は衰えたものの、濃姫が父道三の供養料を納めるようになったことから、危地を脱しています。そして光秀は、宣教師が「宮殿」と表現した岐阜城で、信長に目通りすることになります。信長の第一印象は「頭髪(あたま)のうすい男だな」というものでした。

あの頭に触りたいという衝動は、流石に年齢も年齢であるということで抑えたものの、光秀にしてみればおよそ「常人の声ではない」声で、土産物の礼を述べ、近く寄るように勧めます。無論光秀としては室町風の作法に則り、上を恐れて、進むふりをして進みかねているという形を取ります。しかし信長にしてみれば、光秀のこの奇怪ともいうべき作法は大いに好奇心をそそり、お前は脚が悪いのかとまで言い出します。

光秀は、この作法をしていることが馬鹿馬鹿しくなり、そのまま膝を立てて進み、畳二枚ほど進んだあたりで平伏します。信長は面を上げよと命じ、光秀はその言に従って顔を上げます。それを見た信長は「奥(濃姫)に似ている」と思い、さらにその後会話を交わすことで、光秀の典雅さ、天下情勢に関する詳しさ、さらに軍楽に秀でていることなどから、これは思わぬ買い物をしたと口元をほころばせます。

いよいよ光秀が美濃に入り、信長に目通りします。その前に土産物を献上し、道三ゆかりの常在寺にも足を運ぶというそつのなさでした。そしていざ拝謁という時に、この両者の違いが現れます。光秀にしてみれば、たとえば将軍に拝謁する時と同様、室町風の作法は不可欠なものと考えていたものの、信長にはそれはわかりません。仕方なく光秀も、信長に合わせて行くことにするわけですが、これが後の両者の関係に大きく影響することになりそうです。

ところでこの信長の
「頭髪(あたま)のうすい男だな」
これは総集編にも出て来ますが、それほど光秀の頭髪は薄くはありませんでした。それはともかく、この作品では、信長は自分の感じたことを遠慮なく口にする人物として描かれており、光秀はいささか違和感を覚えます。ともあれ、二人の初めての会見は、最初からそれぞれの違いを浮き彫りにしたものとなったようです。

飲み物―アイスコーヒー5
[ 2020/08/28 01:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

ニッコームック『真田丸』完全読本のインタビューに関して その2

先日の続きです。ニッコームックの『真田丸』ガイドブック後編(真田丸 続》完全読本)のスタッフインタビューは、ヴァイオリニストの三浦文彰氏、ナレーションの有働由美子氏、そして再び制作統括の屋敷陽太郎氏となっています。

このうち、ドラマの意思決定に関わる屋敷氏のインタビューを採り上げてみます。この時点では既に放送が始まっていることもあり、トークショーの雰囲気は上々で、さらに時代考証の黒田基樹、丸島和洋そして平山優の三氏に加え、風俗考証の佐多芳彦氏のアイデアの影響も大きいと屋敷氏は語っています。実際越後での鉄火起請とか、それぞれを治部や刑部、左衛門佐といった官職名で呼ぶやり方などは、これらの人々が大きく関与しているようです。

他にも、第一次上田合戦の槍の使い方への指摘や、室賀正武の描き方が評価されていること、地元の盛り上がりに加え、主演の堺雅人さん自身もまた高評価されています。要はこのドラマの企画そのものが、うまく軌道に乗っているわけで、私もこの大河の、これらの評価には同意できます。堺さんへの高評価は、「相手をどう引き立たせようかというお芝居の感覚が鋭く、滑舌がいい」とのことですが、個人的には「滑舌がいい」のもさることながら、話し方に一種独特の雰囲気があるのが、信繁のキャラ設定に一役買ったのではないかと思っています。

無論この時点では、まだ最後の方の展開はわからないわけですが、これに関して屋敷氏いわく
「ただ、作家さんは書き進めるうちに、不思議と『これしかない!』という展開に帰結するものです。自分が手がけたキャラクターたちなので愛情がこもっていますし、演じる側もそこに大きなズレがあると違和感がありますから、きっとそういう行動しかしないだろうと、誰もが納得する展開になるはずです。みなさんも毎週欠かさず見て、ラストの描かれ方にハマってほしいなと思います」
というわけで、PRもばっちりなされています。元々『真田丸』は、PRにお金を使っているなと思われる所がありますが、これも制作サイドのプラン通りということでしょう。

その屋敷氏に加え、有働由美子氏のコメントも一部ご紹介しておきます。三谷氏は某紙のコラムで、有働氏のナレーションをと褒めつつも、元々は『国盗り物語』の中西龍氏の”語り”がイメージにあったとのこと。そこで有働氏も中西氏のアーカイブスを聞いてみたりしたものの、どうしてもそうはなれず、腹を括って声を出すようにしたところ、自分の声に色がつくようになって来たとのことでした。しかし実際有働氏の声と中西氏の声は、女性と男性という違いのみならず、かなりイメージが異なるかと思います。所謂「ナレ死」の時などは、あの独特の語り口が活かされたとは思いますし、あとこの大河はアバンがなく、OPの後に前回からの説明があるわけですが、その時の「有働節」は印象に残りました。

飲み物-パブのビール2
[ 2020/08/28 00:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

ニッコームック『真田丸』完全読本のインタビューに関して その1

前から折に触れて書いてはいますが、ニッコームックの大河ドラマガイドブック(完全読本)の比較に関して。まず『真田丸』からです。このニッコームックを初めて購入したのが、この2016年放送の『真田丸』からなのですが、理由としては、NHKのガイドブックとは趣の違った編集、構成に加えて、ストーリーの用語解説が豊富なのも挙げられるかとは思います。無論中には、そこまで説明しなくてもいいと思われるものもあるにはありますが。

このニッコームックの大河読本の構成ですが、大雑把に説明すると、まず松平定知氏のゆかりの地巡り、キャストのインタビュー、時系列ごとの大河を知る10のキーワード、ストーリーダイジェストと続き、その後が脚本家やプロデューサーのインタビューとなっています。さらに登場人物のおもしろエピソード、大河絡みの史跡に続いて地元の名物が紹介されていますが、今回主に書きたいのは、この脚本家やプロデューサーといった、意思決定に関わるスタッフのインタビューです。

まず脚本の三谷幸喜氏。信繁を主人公にした理由として、敗者に惹かれること、しかし滅びの美学にはしたくないことが述べられており、さらにきりがある意味狂言回し的な存在であることや、可能な限り史実に近づけたいと言ったことも語っています。この時に、通常の大河よりも軽妙でユーモラスなシーンが多くなっている点への言及がありますが、それについては後述します。
またこのインタビューでは、信繁の人生を描く以上、やはり講談の幸村でなく信繁でないといけない、また基本的に傍観者であるといったことにも触れています。この辺りが『大河・真田昌幸』のイメージを抱かせる一因であるように思えます。加えて、信繁の観ていないことは描かないというルールを適用しているともあり、それゆえの「超高速関ヶ原」であったわけです。
またこれは三谷氏自身の体験が大きいのですが、信繁に近い人々や出来事は丹念に描き、家族団らんツールとしたいとも話しています。無論今の時代、これは実現できそうでしかしできないことでもあるのですが、ご本人の希望としては復活してほしいとのこと。

そして制作統括の屋敷陽太郎氏。『新選組!』が取り持つ縁で今回も一緒であること、最近の学説を積極的に採り入れることなどに加えて、以前三谷氏のコメントとして取り上げた、「天下取り」とは実は後付け理論で、武将たちは参日を必死に生きていたということもここで語られています。また異分野、たとえば高木渉さんのような声優とか、栗原英雄さんのように舞台メインの人を参加させる意義があることとか、大河ドラマはその時々で斬新なことに挑戦して来たからこそ、50年以上も続いて来たことなども述べられていますが、ただ問題は「どのように」斬新であったかであり、中には残念ながら、斬新の意味をはき違えた作品もあったと言えます。

あとチーフディレクターの木村隆文氏のインタビューでは、氏族ごとのカラーを演出、コミカルなシーンの撮影、気持ちの変化に対する表現法の難しさなどが出て来ます。気持ちの変化というのは、三谷氏の場合会話に含まれてしまうことがあるため、誰がどのように気持ちを変化させたかを、しっかり表現しておかないと、辻褄が合わなくなる由。コミカルなシーンに関しては、三谷氏自身がこのように話しています。
「ドラマの雰囲気は、僕が書くこともあって、通常の大河ドラマよりも軽妙でユーモラスなシーンが多くなっているかもしれません。(中略)歴史上の人物も泣いたり怒ったり笑ったりするわけで、彼らを人間として描いた結果、ユーモラスな場面が増えるということなんです」
「ふだん喜劇を専門につくっているので、僕の作品だというと、どうしてもおふざけのイメージが先行するようで、『新選組!』も史実を捻じ曲げているというというご批判をいただきました。でも、僕はそのように書いたつもりはなく、できるだけ史実に近いかたちのなかで、自分の想像力をふくらませて1年間ドラマを描いたという記憶しかありません」
実際、如何にもな三谷カラーはありましたし、片桐且元のパワポ地図と思しきものも出て来たりするのですが、ただ『清須会議』とは一線を画していたとは思います。

その他にも音楽の服部隆之氏や、題字の狭土秀平氏のインタビューもありますが、意思決定とはまた異なるのでここでは割愛します。おしなべてこの『真田丸』スタッフのインタビューに関しては、三谷カラーをどう捉えるか、「斬新」とは何であるのかなどやや疑問と思われる点もありますが、その他は概ね同意できるものでした。尚、これは前編のインタビューであり、後編にも一部スタッフのインタビューがありますので、それはまた改めて。

飲み物-チューリップグラスのビール
[ 2020/08/27 00:25 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

ノブナガへのお仕置き

8月9日から23日まで、3回にわたって『麒麟がくる』の総集編が放送されていたようです。いたようですなどと書くのは観ていないからなのですが、今年はというか、今年もやけに総集編の放送が多いように感じられます。やはり特番を作るのは、昨今の状況下では難しいのでしょう。しかし44回すべてを放送するにしても、今からだとちょっとスケジュール的に厳しくないでしょうか。本来であれば、既に光秀が織田の家臣になっていてしかるべき頃ですから。

ところでこの総集編の、23日放送分では、恐らく桶狭間のシーンが流れ、今川義元が毛利新介に首を取られているはずです。その義元が、その後の『半沢直樹』で東京中央銀行に現れるのですから、両方の番組を観ていた人は、そのギャップを大いに楽しめたことでしょう。最早本能寺の変は、今川義元の霊の「ナオキ」ならぬ「ノブナガへのお仕置き」にして、死せる義元が生ける光秀を走らせたという設定では如何かと思います。

飲み物-アイスティー
[ 2020/08/26 00:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『河童』に関して思うこと-5

久々に『河童』関連です。(最近思うのですが、小説の解説関連投稿が増えている感あり)いよいよ硝子会社社長のゲエルの登場です。ガラス工業もまた、近代に入って躍進した産業であったわけですが、この人物、もとい河童はかなりの実力者です。ただし奥さんが荔枝のようで、子供たちが他ならぬ河童の鉱物である、胡瓜のようだという形容には笑ってしまいます。さて、このゲエルの友人たち絡みの工場を主人公は見学し、書籍製造工場の生産体制に驚きます。

この書籍製造工場は、機会に紙とインクと灰色の粉末を入れるだけで、年間七百万冊もの本が作られるわけですが、その灰色の粉末というのは、驢馬の脳髄を粉末化したものでした。こういう表現を見ると、かのエルキュール・ポワロの「灰色の脳細胞」を思い出すのですが、それはさておき。この他にも絵画関係や音楽関係でも同じような生産体制が採られており、また1か月に700から800もの機械が新案され、大量生産されていると主人公は説明を受けます。しかしそれはそれで、特許を付与するだけでも大変だと思うのですが…。

そして大量生産に伴い、多くの職工が解雇されます。実際には解雇されるなどという生易しいものではなく、彼らはすべて屠殺されて食用肉となってしまうのです。この世界には職工屠殺法なる法律があり、彼らはそのまま黙って殺されてしまうわけで、実際ゲエルが主人公に勧めたサンドイッチも、その職工の肉が挟まれていたのです。流石に主人公はそれを断り、反吐を吐きながら家へ向かうのでした。

この職工の食肉化、さらにそれを「あなたの国」、つまり日本の貧しい娘たちが売春婦となることになぞらえるのは、芥川一流のブラックジョークではあるでしょう-無論有無を言わせず食肉とするのと、売春婦とはまた意味合いが異なるには異なりますが。ブラックジョークと言えば、この1つ前のクラバックの演奏会で出て来る
「何、どの国の検閲よりも却つて進歩してゐる位ですよ。たとへば日本を御覧なさい。現につひ一月ばかり前にも、……」
と言う表現、さらにはこの章の日本の「あなたの国の」貧しい娘が売春婦になるというチャックの言葉は、この時点で比較対象が既にはっきりしているだけに、風刺というグレーゾーンの世界に立脚する表現方法とは、どこか違うのではないかとも考えられます。

実際これを書いた時、彼はかなり睡眠薬に頼るようになっており、その睡眠薬の麻薬的作用が、このような記述を可能にしたともいえます。しかしいつも思うのですが、河童独特の世界はこの職工の肉といい、驢馬の脳髄の粉末化といい、これでもかといった具合に相当グロテスクです。日本の文化を模倣したような河童の世界の、特にインテリ階級による文化とは、大いに異なるものが感じられます。

さてこの次の章では、政治や外交、戦争が登場します。

飲み物-アイスコーヒーブラック
[ 2020/08/26 00:30 ] | TB(-) | CM(0)

女性警官と看護師の服装の変化その2+時代が求めるもの

先日、『ありがとう』シリーズ絡みで、女性警官及び看護師の服装に関して投稿をしています。これと同じようなことが客室乗務員(CA)についても言えるかと思います。警官も元々は男性のアシスタント的な意味合いはあったでしょうが、看護師やCAは人と接することが特に多く、そのため、制服の与えるイメージが、その職業へのイメージと重なるのは否定できません。

ナースキャップとワンピース型白衣の看護師はかつて、「白衣の天使」とも呼ばれており、一種独特の、患者としてみれば心和むイメージを与えていました。私も子供の頃から、かなり看護師さんにお世話になって来ただけに、それは否定しません。しかし医療現場のシビアさ、治療や救命を旨とする職務ということもあり、いつまでも「天使」だけではいられなくなったともまた言えます。無論戴帽式などは今もあるでしょうし、伝統儀礼としてこういうのは残しておいていいかとも思います。

そしてCA(客室乗務員)、これも似たような印象があります。機内という限られたスペースの中で、スカートやワンピースの制服で仕事をするのは大変だろうと思わなくもありません-ただスターフライヤーは、初めから女性用の制服にパンツを採り入れていますし、外国ではパンツスタイルの女性CAも多いです。『半沢直樹』のエピソードに、帝国航空の乗務員の制服に関するシーンが出て来ますが、このデザインは男性のデザイナーに委ねられています。そのことがらみか否かはともかく、半沢はユニフォーム変更に関しては、社員の話も聞くべきと一喝するのですが、それで思い出すことがあります。

以前JALの制服が一般公募のスーツ式だった頃、CA、当時のスチュワーデスが動きにくいと洩らしていたのを、たまたまある空港で耳にしたことがあります。この制服そのものは、それまでとは違ったかなり新しいデザインで、確か初めて一般公募された制服でした。スーツ式のスカートのデザインが多少動きにくかったらしく、その後女性デザイナーである稲葉賀恵氏のデザインに変わったようです。

そしてこCAの制服も、かつてはミニスカートの時代がありました。ここでジェンダー論をぶつ気はありませんが、こういうのを見ると、その時代背景とか、恐らくはそのサーヴィスを受ける側の、男性の目もあったのだろうなと思います。特に女性の進出があまりなかった職場であるとか、女性の役割分担がはっきりしていて、男性にはない当たりの柔らかさを求められていた時代というのは、概ねそのようなものでしょう。無論その当時はそれが当たり前というか、さほど抵抗もなく世間が受け止めていたのでしょうし、もちろんこれまで何度も書いて来ているホームドラマの設定にも、そういった考えは反映されていると思われます。

しかしそれぞれいくらかの違いはあるにせよ、70年代のホームドラマ、あるいは恋愛をテーマとしたドラマは、今時のドラマに慣れた目からは供給過剰ではないかとも思えるほど多いのですが、恐らくそれでもニーズがあり、それによって一つの時代を作って来たのだと言えるでしょう。今のお笑い系バラエティも似たようなものかも知れません。それにしてもこういうホームドラマをリメイクして、刑事ドラマなり医療ドラマなり、別の形にアレンジすることはできないのかとも思うには思うのですが、設定を大幅に変えることになるため、やはり難しいでしょうか。

飲み物-アイスコーヒー
[ 2020/08/24 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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