準決勝2試合です。
イングランド-ニュージーランド(19ー7、横浜国際総合競技場)
果敢に攻撃を仕掛けたのはイングランドの方でした。対するニュージーランドは、防戦一方でやりたいことをさせて貰えず、そのせいもあって前半は無得点と、いささかあるまじき展開になります。そして後半もイングランドが攻めの姿勢。ニュージーランドは相手のラインアウトの隙をついてトライを奪い、コンバージョンも決めて7点としますが、これが唯一の得点となりました。イングランドはディフェンスのよさと相手ミスを誘う姿勢で、さらにペナルティゴールでも点差を広げ、終わってみれば19ー7、ニュージーランドのV3の夢はついえました。
尚この試合のスタッツを見る限り、選手のランやアタックは、実はニュージーランドの方が上回っていました。しかしそれが得点に結びついていない。逆にイングランドはターンオーバーでニュージーランドを遥かに上回っており、しかもモールやラックの成功率も高い、結局こういう部分が勝利に結びついたと思われます。ニュージーランドのキアラン・リード主将、34歳の誕生日を白星で飾れず残念でした。
ところでNHKの実況で、前半序盤でニュージーランドにアドバンテージには触れていたものの、その前のイングランドのノックオンには何も言及していませんでした。こういう点にはもう少し注意してほしいですね。また同じ試合で、スタンドにかつてのニュージーランド代表だったタナ・ウマガ(ウマンガ)氏が来ていました。しかしNHKは、これにも言及しておらず何とも残念です。(JSPORTSでは解説がこのことに触れていました)
南アフリカ-ウェールズ(19ー16、横浜国際総合競技場)
続いて南アとウェールズ、がっぷり四つの展開とでも呼びたくなる試合。双方ディフェンスが強固で、特に前半はなかなかトライを取れる雰囲気ではなく、ペナルティゴールで得点を重ねて行きます。後半まず南アのハンドレ・ポラードのトライで均衡が破れますが、ウェールズも相手ゴール前のスクラムで押しまくり、ファフ・デクラークが密集に巻き込まれてタックルに行けなかったことから、ジョシュ・アダムズがトライを返します。
しかし双方とも得点パターンが同じ、スコアも同じということで、これはひょっとして延長戦ありかとも思いました。しかし後半終盤、ウェールズのペナルティでポラードがゴールキックを決め、これで3点リード。ウェールズは終盤になって、自陣ゴール前でミスを繰り返し、結局南アがボールを蹴り出して勝利。しかしイングランドといい南アといい、スコアが同じ19点だったというのは偶然でしょうか。
4大会ぶりの準決勝で、ウェールズがよく健闘した試合ではありました。しかし総合力では、やはり南アの方が上ではあったでしょうし、ピンチになっても、自分たちに有利な態勢に立て直せるだけの力はあったかなと思います。ターンオーバーはウェールズの方が多かったのですが、タックル数は南アがウェールズの2倍近くあり、このチームらしさが感じられました。尚イングランドのジョーンズHCは、今回は決勝の相手チームの偵察のため来場していました。
ところでこれも地上波に関してですが、NHKも日テレも最優秀選手の紹介はありません。要はJSPORTSでしかやっていないわけです。時間枠の問題、あるいはマスターカード提供なので、公共放送としてはそれを嫌うなど理由はいくつかあるでしょう。しかし地上波のみで試合を観ている人の場合、最優秀選手は公式サイトまたはSNSで見るしかないわけです。本当は、こういうのも放送したうえでのワールドカップ中継ではあるのですが。
それと地上波は国際試合の中継数が少ないせいもあり、有名選手を紹介する時はやはり通り一遍なところがあります。選手の実績を詳しく紹介するには、局側の放送実績もまた必要であると思われます。これは先日の「スポーツとメディアの関係-2」で書いていますが、今後ラグビーが数字が取れるという理由で、地上波のラグビー中継が増える可能性が無きにしもあらずで、それは期待したいところです。ただし、あまり中途半端な新規参入はしてほしくはありません。
さて3位決定戦は1日の18時から、NHKBS1とJSPORTSで放送予定です。第1試合のニュージーランドと第2試合のウェールズを見ていると、これはあるいはウェールズ3位かとも思います。もちろん、ニュージーランドが戦法を変えて来る可能性も大いにありますが。
それと、指先で楕円球をくるくる回すのが特技の南アのデクラーク選手、スクラムハーフなれどタックルが強く攻めにも転じるプレイスタイル、小柄で長髪である点などは、ワールドラグビー副会長のピショート氏の現役時代を思わせます。