『武将ジャパン』大河コラムの総評というものがあります。これは毎年行われているようで、昨年は「褒める事しかありません」でした。無論私としては、今年の方が結構「受け入れられる」大河ではありましたが、それはともかく。はっきり言ってこの総評なるもの、なぜ武者氏が『西郷どん』を嫌いなのかの再確認でしかありません。この大河に関する予想が的中したとありますが、自分で悪いと予想していて、放送開始後も悪いと書いているのだから当然だと思います。その中からいくつか。
例によって、海外作品動画のリンクがやけに貼られ、そして「黒船来航」などと書かれています。日本のテレビはオワコンだと言いたいのでしょうが、武者氏が紹介する海外作品にはそう興味を惹かれないこともあり、それがどうしたのだと言いたくもなります。そして例によって、『真田丸』と『おんな城主 直虎』しか引き合いに出しません。朝ドラは『半分、青い』のみです。
しかもこの朝ドラで、「視聴率には必ずしも反映されない、新規ファンの開拓」などとありますが、具体的にどのようなことだろうと思います。嫌いな作品には散々言う割に、好きな作品に対しては激甘なのだなと思います。一般のファンならそれでもいいでしょうが、武者氏はレビュアーなのです、一応。そういう人がこういう物の見方でいいのでしょうか。歴史を知らない人間は歴史ドラマの制作から退けと言う割に、ご本人はどの位歴史に通じているのかと思います。史実であることをそれと指摘できていないし。
これには前後編がありますが、どう考えてもそこまで分ける必要もなかったと思います。後編記事などリンクだらけです。しかも、『西郷どん』のどういう部分がよかったのか、適切な感想と分析をコメント欄に残して行くようにとまであり、それが皆無なのは、説得できる材料がないのだろうとまで書いています。理由はひとつ、どう考えても削除されてしまう確率の方が高いからです。実際このコラムで、批判的な意見をしたところ削除されてしまったのを目にしたこともあります。このコラムにいつも目を通しているのであれば、敢えてそういうリスクを冒す真似はしないでしょう。
それとふきがよほどお気に召さないようで、本当は新門辰五郎の娘なのに、ああいうキャラにしたというのが許せないようです。しかしこのふきは、あくまでも薩摩の農民の娘の設定です。新門辰五郎の娘がモデルであるかもしれませんが、この中ではそういう設定にはなっていません。それを言うなら『真田丸』のきりだって同じでしょう。高梨内記の娘は信繁の側室ですが、果たしてああいうキャラだったのでしょうか。女性キャラが最低ともありますが、男性に従う女性という設定が嫌なのでしょう。糸なんて毅然としていたと思いますが。
そして『八重の桜』との比較がまた出て来ます。しかし何もここでやらなくていいでしょう。そもそも最初から『八重の桜』が正しいという、いわば出来レースと言っていいわけで、双方の主人公の視点で見ていないのが明らかです。ゆえに、およそ真面目に見る気になれないというのが正直なところです。
しかもその中に「敵対者をカッコよく描いたのか」なるものまであり、松平容保公にウナギを食わせてけしからんなどとあります。しかし吉之助の敵対者はこの場合むしろヒー様、徳川慶喜です。容保公ではありません。ヒー様はそこそこ格好よく描かれてはいましたね。それよりも松平容保がウナギを食べるシーンがあったかと思いましたが、慶喜たちが大坂から江戸に戻った後、ウナギが出されていたあの時ですね。
どうも武者氏は、薩摩と会津を対立させたいと思っているのかもしれません。しかしそれは『八重の桜』の見方です。そして前出のように、この大河で吉之助が敵視したのは慶喜です。武者氏はちゃんと『西郷どん』を観ていたのでしょうか。そしてその後幕府方のフランス関連から転じてフランス革命、そして例の、クリスマス商戦に大打撃を与えたシャンゼリゼのデモ騒動。
「革命を経て国民の声こそ政治を動かすという、フランスの源流」云々とありますが、革命時ならともかく、議会政治があるのに直接的に政治を動かすというのも、腑に落ちないものです。中国ならまだわかりますが。フランスは割と政府が大きな権限を持ち、日本から見れば所謂国家権力が強いです。民営化した企業を再び国有化したりもしています。かのデモもそういう政治の延長線上に生じたものであり、その意味でみだりに理想化するべきではないとも思いますが。
それと考証の磯田道史氏のこと、何気に貶めているようですね。キャバクラの名前にも登場しなどと書いています。本当に妓楼をキャバクラと呼ぶの好きですね。そしてご本人も出演したとありますが、京都前市長の役で何分間か登場したのみです。この「総評」では、俳優さんもこんな大河に出るな、集めた方が悪いなどともありますが、私としてはこのキャスティングはかなりよかったです。何よりもメインとなる3人がそれぞれの役に合っていましたので。
あとイベント関連でも『八重の桜』と比較していますが、「鹿児島おはら祭り」に出演者が登場していたのを、まさかご存知ないわけはないと思うのですが…。それとこのコラム、以前も書きましたが、言葉遣いがやはりどうかと思います。
それと先日の中尾氏関連でも触れましたが、先日の「
対抗意識と優越感」で登場したAさん、Bさん、そしてCさんですが、それぞれ『おんな城主 直虎』、『花燃ゆ』、『西郷どん』です。またAさんの友人は武者氏であることを付け加えておきます。