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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  2016年05月

真田丸-21

第21回「戦端」です。いよいよ北条攻めかと思いましたが、そうすんなり小田原征伐に向かうわけではありません。惣無事令もあることですし(諸説ありますが)、沼田の統治権も絡んでいるので、まずはそれぞれの代表者に直談判させてからとなります。

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秀吉は聚楽第で、家康に北条を如何にすべきか話し合う。討ち滅ぼすべきかと秀吉。しかし石田三成は、今は力を蓄える時と反論する。しかし秀吉は、捨のためにも一日も早い天下統一をと考えていた。実際信繁も、茶室の側で控えていた際に、今は波に乗っている時だからと、北条征伐を勧める利休の声を耳にしていた。そのことを信繁は三成と大谷吉継に話し、三成は、準備のための時間稼ぎに、上洛を促すための文をもう一度送ることを決める。

一方で寧と茶々、そして阿茶局はまたも談笑していた。赤ん坊に滋養を取られてしまったと口にする茶々。また、赤ん坊の顔は日ごとに変わるという茶々に、寧は、二代続けて猿になるから、関白殿下に似なくてよかったと口を滑らせてしまい、例の落首のこともあって気まずい空気が流れる。阿茶局は家康に、茶々様は出産後自信を着けて来ていると話し、家康はこれを機に、あちこちで火種が出て来ると漏らす。その一人が、秀吉の後継者の秀次だった。

秀次は捨のために風車を作ってやり、きりに、自分は後継者の器ではなく、捨が生まれてほっとしたと語る。それを見ていた信繁が、相変わらずあの方とは仲がいいときりに話し、きりはなぜそう素直になれないのかと腹を立てて去って行く。その信繁の娘、すえも五歳になり、叔父の作兵衛からこちらも風車を作ってもらっていた。そして上田城では、信幸が妻の稲が食事に馴染まないこと、そして舅の本多忠勝がしょっちゅう上田に来ることに気をもんでいた。

そんな折、とりが風邪で倒れる。その世話を甲斐甲斐しく焼くこうは、以前よりも生き生きして見え、薫(山手殿)もそれを指摘する。その頃小田原では、伊豆滞在中で狩から戻った北条氏政に、板部岡江雪斎が、本多正信が来ていることを告げる。家康なら会うがと漏らす氏政に、江雪斎は意味ありげな表情を見せ、ことの次第を悟った氏政はある部屋へと向かう。そこには、家康が氏政の来るのを待っていた。

家康は秀吉になど従わぬと言う氏政に、今秀吉は天下統一に大手をかけている、自分も上杉も真田も上洛したのだから、上洛して形だけでも頭を下げられよと諭す。また、自分もいつまでも秀吉の下にいるつもりはないが、今合戦を起こしても勝ち目はないと口にし、更にこうも言った。
「長いものに巻かれろとは卑怯者の方便ではなく。生きるための知恵」
なぜ自分をそこまで説得するのか不思議がる氏政に、北条殿には健在であってほしい、もし上洛しなければ同盟を破棄せざるをえず、嫁にやった娘も返してもらうとまで言い切る。

正信はその後、嘘偽りはござらぬかと家康に問い、家康は、自分に取っても北条は滅んだ方が得であったが、時には得にならないこともしなければならぬものと答える。正信は「それでこそわが殿」と不敵な笑みを漏らす。そして秀吉は、沼田を真田から取り戻すために上洛するとの書状を北条から受け取り、昌幸を京に呼ぶ。昌幸は出浦昌相を伴って京に向かう。信幸は、城中のしがらみから解放されたくて同行を願い出るが、昌幸に拒否される。

その前に昌幸は、京の真田屋敷に隠し扉を付けるよう信繁に指示していた。また薫に、京に住まわせると持ちかけ、薫も喜ぶものの、体のいい人質とわかった途端に拒否する。そして京に着いた昌幸は、屋敷に隠し扉がないことに立腹し、上田へ戻ろうとする。しかし出浦が助け舟を出し、信繁が直談判に連れ出そうとするが、北条も徳川も代理人を出したことに不機嫌になり、三成から父を説得するように、できなければお前が出ろといわれてしまう。乱世に戻さないためにも、合戦は避けたい三成はこうも言った。「もし合戦になれば未曽有のものになる」

家康は氏政がおとなしく上洛しないことに呆れ、また紛争の種となる沼田城を、「喉にささった小骨」と形容する。そして談判の当日、別室に隠れていた父昌幸から、徳川を味方につけるように指示された信繁は、江雪斎と正信に挨拶した後、正信と雑談を始める。そして、三人が揃ったことを三成から知らされた秀吉は、テーブルとイスが置かれた談判の会場に向かう。議事録作成担当は、片桐且元であった。

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今回は小田原征伐前の談判で幕を閉じました。しかし洋の東西を問わず、ある時代まで狩は最大の軍事教練であったことを思えば、氏政の狩装束は既に合戦を意識していたとも取れます。そして、氏政に上洛を促す家康も、その実北条さえいなければと願ってもいました。直談判にそれぞれ代理人を送り込んだ当主たちは、恐らくこの時点で合戦を予感していたと思われます。しかし寧は意図的になのかそうでないのかはともかく、茶々が答えに窮するような会話を織り込んで来ますね。そして上田城、夫に心を開かない稲と、侍女となって別人のように輝いているこう、そしてすえ、彼女たちの現在もまた今後の伏線となるのかもしれません。
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[ 2016/05/31 01:30 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

真田丸と天地人では秀吉の描かれ方はどう違う?

以前から、ほぼ同じ時代を背景にしている『真田丸』と『天地人』について、何度か比較しています。今回は秀吉の描かれ方についてです。『真田丸』では、第20回「前兆」から、聚楽第の落書きが端緒となって、秀吉のダークな部分が徐々に現れてくるようになりました。この人は、もとから過酷な部分があったといわれてはいますが、立身出世街道を歩む中では、その部分が描かれた作品はあまりないようです。ただし、『黄金の日日』には、そういった冷酷な部分が描かれた場面があるようですが。

さらに第21回「戦端」では、利休が北条を潰せと秀吉に直言します。どうも利休が後で切腹させられるのは、豊臣政権のブレーキ役の秀長の逝去に加え、このような事情もあったのではないかと思っています。一方で子煩悩な父親の顔を見せる秀吉が、その子を守りたいがゆえに鬼畜の表情をも見せるようになる、それが今後ますます描かれて行くようになるのでしょう。

そして『天地人』の方ですが、こちらの秀吉は始めから好々爺といった雰囲気が漂います。無論上杉に上洛を迫るところなど、人たらしの部分はあるのですが、狂気の部分があまり描かれていない。上杉家は、信繁のように人質として赴いているわけではないので、多少の違いはあって当然なのですが、それでも上杉主従が聚楽第を訪れたりしているのですから、多少はそれらしきものが描かれていてもいいはずなのですが…こちらは落書きも登場していません。

小田原征伐の時も、諸大名を懐柔する格好の外交の場なのに、何か茶々と新婚旅行に来ているような感じです。秀吉のキャラをもう少し際立たせておけば、家康や上杉主従のキャラ設定ももう少しはっきりして来たと思われるだけに残念です。また秀吉が聚楽第で、平安時代のお公家さんのような格好をしているのもちょっと変でした。それからこの中で出て来る馬のおもちゃは、「前兆」にも出て来ましたね。

ところでこの『天地人』、真田幸村の異母姉の初音が登場します。彼女は結構三成とも昵懇でした。私見ですが、島左近を主人公にした、司馬遼太郎氏の『関ヶ原』で、三成を密かに慕う初芽という女性が、モデルになっているふしもあります。島左近も三成の側近として重要な役割を果たす人物で、「ひこにゃん切手」に「しまさこにゃん」というキャラまでありますが、『真田丸』には登場しないのでしょうか。どうも今観ている限りでは、島左近と黒田官兵衛は出てこないようです。

飲み物-お洒落なランプとウイスキーグラス
[ 2016/05/30 01:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

算木とそろばんと和算

第20回に登場した「算木」(さんぎ)ですが、元々は古代中国で使われていたもので、日本でも平安時代ごろには使われていました。『平清盛』でも確か算木が登場します。いわゆる直方体、長方形の小型の積み木のような物で、並べ方を変えることによって、桁がわかる仕組みになっていました。この算木を使うことで、方程式をはじめ、結構複雑な数式を解くこともできるようになりましたし、平方根や立方根にも対応しており、もちろん加減乗除もできました。またこれは特筆すべきことと思いますが、ゼロの概念もありました。

そしてこの算木は、所謂和算の発達にも関与することになります。ただ積み木状の物を並べるため、一定のスペースを確保しなければならなかったり、落としたりすると、最初からやり直さなければならず、その点では不便でもありました。その後そろばんが計算道具として優勢になりますが、日本ではそろばんと同時に算木も使ったため、これが和算の発達に貢献し、和算そのものが微積分の概念を持つ、かなり高度なレベルの数学として完成した一因となっています。

その和算のレベルアップは関孝和によるところが大きいのですが、彼の死後も実に様々な人々がこれを継承し、発展させ、またいくつかの流派ができています。また久留米藩主有馬頼徸(よりゆき)も、和算関連の書を発表しています。詳しくはこちらを参照してください。しかしこの大河は、これ以外にも鉄火起請とか天正カルタとか、その時代を感じさせる物が色々登場して、その意味でもかなり楽しめるといえます。

飲み物-ドリップコーヒー
[ 2016/05/29 01:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

UESUGI Kagekatsu

UESUGI Kagekatsu is a nephew of Uesugi Kenshin (Nagao Kagetora).  Kenshin is one of famous samurais and remained faithful to his principle "gi" (義, justice). He inculcated it in his nephew and heir Kagekatsu who became to believe "gi" and decided not to do anything against it.

His "gi" and "ai" (愛) of Naoe Kanetsugu, his senior vassal - though the word means "love" in Japanese, Naoe's does not come from "love" in fact - are famous principles not only in the histroy of his first fief Echigo(current Niigata)but Japanese history also. The lord and his vassal ruled Echigo well though it got into financial trouble after the death of Kenshin. After the Siege of Odawara in 1590, Kagekatsu was granted Aizu (eastern part of current Fukushima) as a reward. But after the Battle of Sekigahara, his fief was diminished and he moved to Yonezawa (southern part of current Yamagata) for he took the side of Ishida Mitsunari.
 
In this drama, he is described as a mild mannered man and understands Nobushige well. However he has to deny his principle when he serves Toyotomi Hideyoshi for he was told not to support the Sanadas. He becomes very confused but is persuaded by Naoe Kanetsugu.

The image shows Kenichi Endo as Uesugi Kagekatsu.
(From the guidbook published by Sankei Shimbun)
真田丸上杉景勝
[ 2016/05/28 20:30 ] Taiga Drama Sanada Maru | TB(-) | CM(0)

真田丸に見るシャーロックホームズ 16

第20回「前兆」、大坂編の大部分がこれに相当するかと思います。無論三谷さんの脚本である以上、『古畑任三郎』的でもあり、また『相棒』的でもある。平野長泰が「なんでこんなことしなきゃならないんだ」と不満そうに口にするのには、神戸君が相棒だった頃、証拠品を山間の町まで返しに行って「特命てこんなことまでやるんですか?」と言っているのにそっくりです。捜一のイタミンも時々こんなこと言っていますね。それに対して信繁が、これはこうだからああでこうで…と、現場に残された証拠品を示しながら説明して行く辺りは、正に古畑任三郎であり、杉下右京であり、シャーロック・ホームズであるかと思われます。

しかし馬廻衆黄幌隊は、いつ見てもこの二人しかいないように見えますが、あれじゃ本当に特命であり、ベイカー街221B(パペットホームズはベイカー寮221B)です。そして、これは先日も指摘していますが、両名の服装の色使いが、パペットホームズのホームズとワトソンの服装を連想させます。偶然かもしれませんが…あるいは、偶然でないのかもしれません。信繁のテーマカラーが青または紺であることから、何かしらホームズにダブるものがありました。こちらがドラマの信繁(向かって左)と平野、そして三成ですが
キャプチャ3  
(公式サイトより)

何となく色使いがこの両名に似ています。

Holmes and Watson 2

さて肝心の事件ですが、その晩見回りをしていた門番たちのうち、一人が体の調子がよくなくて帰ってしまいます。この男道休は元々乱暴者で、実は自分の番の時に酒を飲んでいたのでした。その隙に誰かが落書きしたものと思われますが、あるいは道休本人が書いた可能性もあります。信繁と平野は、道休が庇護を求めて駆け込んだ本願寺に行きますが、当然門前払いになります。仕方なく三成が病気の秀長に頼み込んで一筆書いてもらい、やっと事情聴取が可能になりますが、道休は「自分はやっていない」でした。しかも彼は字が書けなかったのです。

この辺はパペットホームズ「愉快な四人組の冒険」で、「俺は楽譜が書けねえ!」と言ったジョナサン・スモールを思わせます。それぞれの立場や環境は全然違いますが、平穏な世の中になって刀も取り上げられ、行き場を失って門番となったものの、かつての生活が忘れられない道休と、トレジャーズのメンバーを外されたうえに自分の曲を取り上げられ、仕返しとして寮の部屋からその曲の楽譜を盗み、楽譜なんていくらでも書けるよというワトソンに、そうなれば俺は何度でも盗むと言うジョナサン・スモールには、どこか共通するものがあります。道休の不幸な点は、スモールにとってのホームズやワトソン、さらにメアリーのような理解者がいなかった点でした。

結局門番たちは道休を除いて磔刑となり、道休も酒のせいで?体を壊して同じ頃に亡くなります。こればかりは信繁はおろか、三成にもどうすることもできませんでした。取り返すべき肖像画をミルヴァートン先生に破かれたホームズのような心境ともいえますが、無論こちらの方がずっと重いです。結局、信繁が道休に罪をかぶってもらうことを決め、死人に口なしというか、終わりよければすべてよしというか、生きていても役に立たないと言った道休が、思わぬことで死んでから役立つことになるのです。

そしてこの結末は『緋色の研究』(パペットホームズでは「最初の冒険」)の結末にもちょっと似ています。元々『緋色の研究』では、ドレッバーとスタンガスンを殺した容疑者のホープが獄中で亡くなり、迷宮入りとなるかに見えるのですが、ホームズの尽力もあって事件の本筋が分かり、レストレードが表彰されることになります。パペットホームズでは、ホープは退学になるものの、後にホームズたちは、彼に思いがけない恩恵を受けることになり、そして『真田丸』では、道休の首によって円満解決を図り、秀吉は一度は縁者まで洗い出せというものの、寧にたしなめられて、何とか事態が収まることになります。

この道休の首を獲る時にためらう信繁を見て、代わってやる大谷吉継がまたいい。如何にも手慣れた振る舞いで、『真田丸』の準主役、脇役の男性には、セクシーというよりは「色気」を漂わせる人が多いなと改めて感じます。しかしここまで推理ドラマ仕立てにしたのであれば、落首を、『踊る人形』的な暗号仕立てにしてもよかったかと思わなくもないのですが、流石にそれだと大河ではなくなりますね。
飲み物-アイスミルクティ
[ 2016/05/28 01:30 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

パペットホームズ@倫敦

パペットホームズの美術監修担当で、パペットたちの産みの親でもある井上文太氏が、ロンドンを訪れているようです。こちらは井上氏のツイートより、『ストランドマガジン』と『ビートンのクリスマス年鑑』を手にするホームズ。

キャプチャ4
[ 2016/05/27 21:00 ] パペットホームズ | TB(-) | CM(0)

真田丸あれこれ その20(大坂編)

それでは大坂編あれこれです。まず聚楽第行幸、大名は束帯姿です。『功名が辻』では、多くの大名が直垂姿で、外で待機する描写の仕方になっていましたし、儀式関連もかなり時間をかけていました。こちらの秀吉は、儀式部分はカットされていて、いやー疲れたと冠を外して脚を投げ出し、こちらも無冠の家康と談笑するというリラックスモードです。三成が慣れないギャグを飛ばすのもちょっと笑えます。

その家康は、秀吉に子供がないのが最大の懸念だろうと本多正信に漏らします。実際、秀吉にはあれだけ側室がいながら一人の子もなく、ゆえに、茶々の子二人も、他の男の子供ではないかという説が成り立つわけです。実際子ができないことを見込んで、甥の秀次を関白の後継者にする予定だったのですが、子供が生まれたことで、多くの人がそれに翻弄されます。また、弟の秀長が早世したのも、本人の暴走に拍車をかけたといわれています。

これだけ身内の生死が、本人のみならず、時の政権にまで影響した人物というのも珍しいと思われます。譜代がいないため、身内を側近にしたことに端を発するわけなのですが、そういう人物が天下の実権を握ったということもまた、あまり例がないでしょう。ナポレオンがそれに多少近いとは思いますが。そういえば『花燃ゆ』で、秀吉の軍とナポレオン軍が正面からぶつかったら、どちらが強いかと松下村塾生が話していたことがありました。無論、装備が全く同じという条件付きですが。

そして茶々。寧、阿茶局と菓子を食べていた時に、うっかり「殿下がそう仰った」と口にしてしまいます。どうもこの人には、大事なことは話せないようです。しかし妊娠を知った秀吉は有頂天で、生まれてくる子のために玩具を買いまくります。一方で、聚楽第の壁に書かれた落首が秀吉の勘に触り、結局門番たちが処罰されてしまいます。門番の中で、一人その場を離れていたならず者の道休が、自分は字が書けないと言ったものの、その死後に犯人と認定することで、信繁や三成たちはことを丸く収めようとします。

ところが秀吉は、今度は親類縁者を処罰しろと言い放ちます。犯人が特定されない時も、町人たちにくじを引かせて罪を被せろといったことまで命じていました。何とも無謀ではありますが、これは十分の一刑を模しているように見えます。しかし犯人がわかったうえで、それ以上の殺生は無用と抗議する三成の姿は、かつて直江兼続が「堅苦しいけど熱い男」と言った、その伏線回収なのでしょうか。三成はその前にも、大谷吉継が「たかがいたずら書きではないか」と言った際にそれを制しています。

そして、秀吉が三成に切腹を言い渡した時、寧がやって来て「耄碌したか」と叱ります。寧にいわせれば、秀吉は怖い人物であり、だからこそ天下を取れたというわけです。この元々あったであろう「怖さ」は、権力や冨を失うことへの恐怖、そして子を守りたいという気持ちから、自らの周囲に壁を築くことでさらに増強されたともいえそうです。しかも壁の中にいた人たちでさえも、逆鱗に触れると直ちに追い出されるリスクをはらんでいました。やはり豊臣政権というのは、その後の徳川体制に比べると、土台の盤石さにおいてかなり差があったといえます。

落首に関していえば、大谷吉継ではありませんが、たかがいたずら書きというのは納得できます。ましてその当時は選挙もなく、民の声を届けるのには落首のような方法しかなかったわけです。しかし秀吉は、そういうことにさえ敏感にならざるをえませんでした。あまりこの手のことに神経をとがらせるのは、むしろ逆効果にもなりかねないのですが。また自分のことを公家の落胤と言うようになるのもこの頃だったと思います。『軍師官兵衛』にそれが出て来ますが、やはり何かで自分を大きく見せたいという思いがあったのでしょうか。

この「怖い秀吉」のイメージは、三谷氏が絶賛する『黄金の日日』の影響もあるのかと思います。これも秀吉が権力を握るに従って、悪の帝王のようになって行き、最後は多くの人が、彼の死を待ち望むような描かれ方になっていました。特に堺の商人たちにとっては、利休の切腹後はその思いが強くなっていたのかもしれませんし、これはそういう、秀吉のダークな面を持ち込んだ初めての大河なのかもしれません。一方『天地人』はそれが全く描かれていませんでした。

飲み物-コーヒー
[ 2016/05/27 02:00 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』京に妖の夜行する事二

都に百鬼夜行が現れるという噂が立ちます。検非違使たちも恐れをなして警備に付きたがらない中、責任者の在原業平は、道真の影響もあってなのか、百鬼夜行そのものの存在を疑います。そして、最近業平との交際が途絶えている道真はその存在を否定し、自邸で紀長谷雄と漢詩の暗誦をやっていたのですが、その道真の家の屋根に鬼が現れます。

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藤原常行(ときつら)の下僕が見た鬼の正体は道真だった。物の怪の行列が近づいてくるから邸内に入れてくれ、怪しい身分の者ではないと頼まれ、道真は仕方なく玄関先に、常行と気を失っている供の梵丸を入れる。しかし当の道真は、隠れようとはせず、かなたから聞こえてくる百鬼夜行の証拠を取ろうと地面に水を撒く。常行に諭されて門のうちに入るものの、道真の目は行列の様子を観察していた。総勢十名ほどで、黒い服装で顔を隠しているものの、正体は人間であった。

しかし言葉は異国のもののようだった。行列が行き過ぎて後、常行は礼を言って梵丸と菅原家を後にする。翌朝紀長谷雄は行列のことを道真から聞き、見なかったことを嘆く。そんな長谷雄に道真は、あれは物の怪ではなくきちんと証拠を取ったといい、水を撒いてできたぬかるみについた足跡、あるいは牛の糞などを長谷雄に見せる。また臭いからして、鬼火も何かの演出だとも言う。そんな長谷雄は足跡がやけに大きいことに気づいていた。

そして常行が帰宅すると、乳母がひどく心配していた。良房のもとに出向いて、異国の剛力の者の力を借り、物の怪を鎮めようと考えていたと言う。常行は、基経から物の怪が出るため自重せよと言われたのを思い出していた。その場を取り繕った常行は、基経の言葉は讒言かと思っていたが、本当にその者たちを使っていて、その結果自分は殺されたかもしれないと思いを巡らす。

そんな折、昭姫のもとを業平が訪れた。昭姫も例の噂のせいで、自分の商売に影響が出ていると言う。また、港の荷受け場に、迂回して離れたところに船をつける怪しげな集団がいるとも言い、恐らくは検非違使が警備に付きたがらず、守りが手薄になっている状態を狙っているとも思われた。そして昭姫は、数日前に道真が来て強い酒と銅を所望したことを告げ、困ったことがあれば、道真様に知恵を借りてはどうかと促す。

次の子の日、また屋根の上で待機する道真に常行が話しかける。前は童形で来ていた常行だが、道真は簡単に見破り、童子姿で一流の木曽馬に乗って許されるのは、余程の地位があるか、あるいは余程の馬鹿だといい、さらにこう加える。
「あなたはどっちにも当てはまりそうですけど」

さらに常行から、自分が手にしている青白い炎の正体を訊かれた道真は答える。
「これは鬼火の正体ですよ。強い酒に銅を混ぜた物に火をつけると、青い炎になる」
常行は、夜行の正体を明かそうとしているのなら止めに来たと言うが、道真はあれは物の怪でなく人間だと主張する。常行はこう返す。
「相手が人間なら、安全だとは思っていまいな」

そこへ男の悲鳴が聞こえた、夜行に行き当たって、集団の者から命を狙われそうになっていたのを、常行が自分の馬で逃がす。そして彼らは、この集団が皆体が大きく、異国の言葉を話していることがわかる、常行は道真に言う。
「お前は頭がいい。だが夜目が利きすぎると、余計なものまで見てしまうぞ」
そうしてその場を後にするが、常行も道真も、自分に何の害も及ばなかったのは、相手に原因があるのかと考えていた。

夜行の列は基経の屋敷にたどり着いていた。基経はこう口にする。
「目立つことが目くらましとは考えたものよ、都大路を走っても目を背ければ、誰も見ていないのと同じ」
基経が車で運ばせたものは、「後々大事を成すもの」であり、それを運んだのは、何と宣来子の父である島田忠臣だった。

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都を騒がす怪しげな夜行の正体は、どうやら藤原基経が仕掛けたもののようでした。しかもそれに島田忠臣が噛んでいたことで、道真にも影響が及んできそうです。この先どのような事件が起き、そして道真、業平、そして常行はどのようにそれに絡んで行くのでしょうか。また、昭姫が口にしていた怪しげな集団の正体は何なのでしょうか。彼らもあるいは、この基経の仕掛けに関与しているのでしょうか。
[ 2016/05/26 02:00 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

Sanada Maru Episodes 7-9

Episodes of Sanada Maru

Episode 7 "Dakkai"(Recapture)
 
On the 10th of June 1582, Hojo Ujinao beat Takigawa Kazumasu. During the battle, Masayuki recaptures Numata Castle and Iwabitsu Castle, both occupied by Kazumasu. After that, he is called by Kazumasu who is unaware of the recapture and tells him that he will return the two castles to him. But he learns what Masayuki did immdiately after this.

Kazumasu takes his hostages includes Tori, mother of Masayuki and heads for Komoro. Nobushige and Yazawa Sanjuro try to save Tori and Kiri who serves her as maid. Though  Nobushige resorts to tricks to save them, they are penetrated their disguise and taken to Kiso with other hostages. On the way, Tori tells her grandson that one's wish will be realized unless he/she abandons it.

At Fukushima Castle in Kiso, Tori asks Kiso Yoshimasa, lord of the castle to let Nobushige go home. She has known him since his childhood and has something on him. Unlike other local lords, Masayuki promises Uesugi Kagekatsu not to serve the Hojos. And he orders his second son who is discouraged by repeated failures to deceive Kasuga Nobutatsu with his younger brother Nobutada.

Episode 8 "Choryaku" (Ploy)

Nobushige is sent to Echigo and meets his uncle Nobutada, who currently serves Uesugi Kagekatsu and makes his nephew pretend to be his son Nobuharu. Nobushige admires his uncle who is entrusted by his father but he tells him not to so. They approach Kasuga Nobutatsu who now serves Kagekatsu and keeps Kaizu Castle that is controlled by the Uesugis now.

Nobushige tries to persuade him into forming an alliance with the Hojos but it ends in failure. Then Nobutada prevails on him to do so. On the other hand, Masayuki betrays Kagekatu and serve the Hojos with other local lords of Shinano but it's one of his manuevers, needless to say. Then he asks Hojo Ujinao who leads the Hojos to write to Kasuga that he will hand over him Kaizu Castle if he betrays Kagekatsu. Both Nobutada and Nobushige apologize their master for the treachery but they know the truth behind it.

It's time now. After reading Hojo Ujinao's letter, Kasuga is murdered by Nobutada. He explaines Kagekatsu and his vassal Naoe Kanetsugu that he killed him who keeps company with some strange men and slashes at him. Kasuga's "betrayal" becomes clear and Kagekatsu crucifies his body and shows it yo the Hojo army to discourage them.

Episode 9 "Kakehiki" (Maneuvering)

This episode is described from the viewpoint of a hawk kept by Hojo Ujimasa, father of Ujinao. It flies up to the sky from Odawara Castle and heads for Echigo. There Naoe Kanetsugu suspects Nobutada though he already has left Echigo and returns Shinano at that time. And it flies to Shinano where Nobushige is shocked by the manuever of Masayuki and Nobutada but encouraged by Ideura Masasuke. In addition, he pulls himself together when Ume tells him that no battle saves farmers.

Masayuki ignores the request of Hojo Ujinao that orders him to cooperate to attack Tokugawa Ieyasu. he sends Nobutada to Shinpu Castle, the headquarters of Tokugawa Ieyasu to make him propose conditions of exchange. The hawk then flies to the castle. Nobutada requires Ieyasu to guarantee the Sanadas' fief in return for the cooperation. Honda Tadakatsu, vassal of Ieyasu opposes but Ieyasu accepts it.

Masayuki and other local lords join the Tokugawa army and Nobushige makes a suggestion that it's the best way to block the supply route of the Hojo army. This encourages Tokugawa Ieyasu and forced Hojo Ujinao to work out his strategy again. However the Tokugawas allied themselves with the Hojos immedidately after the battle and it casts a shadow on Masayuki's plan. And the hawk returns to Odawara Castle again.

Masato Sakai as Nobushige (left) and Yasuyuki Maekawa as Kasuga Nobutstau in the Episode 8. (From the official website of Sanada Maru)

キャプチャ2 


[ 2016/05/26 01:05 ] Taiga Drama Sanada Maru | TB(-) | CM(0)

スーパーラグビー第13節結果と第14節

ではスーパーラグビーです。第13節、実はサンウルブズとレッズの試合を、録画でなくリアルタイムで観ていて、かなり締まったゲームだったので期待していたのですが…結果は35-25で黒星でした。土曜日には優勝経験もあるブランビーズとアウェイゲーム、この説が終われば6月のウィンドウマンスで、しばらくリーグ戦はお休みです。いい形でテストマッチ(キャップ対象の国際試合)に臨めますように。

しかしそのテストマッチ、リーチ、五郎丸両選手が戦線離脱のようです。2人のポジションには誰が入るのでしょう。ホームでのスコットランド戦はきっちり勝ってほしいものです。村上氏のブログ記事のリンクを貼っておきます。

五郎丸に続いてリーチも負傷
(ラグビー愛好日記)

それから他の日本代表選手在籍チームの結果です。チーフスはレベルズに36-15で勝利、ブルーズはフォースに17-13で勝利、ハイランダーズは試合がありませんでした。次節はハイランダーズがハリケーンズ、チーフスがワラターズ、ブルーズがクルセイダーズ、そしてレベルズがフォースとそれぞれ対戦です。

[ 2016/05/25 23:30 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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