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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  2015年06月

『JIN -仁-』完結編第4話番外編 藩主夫人の手術

この第4話では、遠心分離器が登場します。もちろん仁の手作りで、手動で分離させるものですが、これによって血液を分離させ、血液型を特定することに成功します。もちろん実際は、この当時遠心分離器は存在しませんでしたが、開発は行われていたようです。そんな折、仁は川越藩の藩主夫人、恵姫の腫瘍の治療を行うために出発します。しかし、その途中に泊まった宿の娘おはつの存在が、仁のみに不思議な現象をもたらし、その先も大きく影響することになります。

その娘、おはつのために咲は折り紙を折って遊んでやります。先生もと誘われますが、仁は折り紙といえば、紙飛行機くらいしか折ったことがありません。そこで紙飛行機を折って飛ばそうとしたところ、咲とおはつは何とも怪訝な表情を浮かべます。それも当然の話で、この当時は飛行機が存在しないため、子供が紙でそれを折って飛ばすということもありません。仁は咲に飛行機のことを説明してやります。一方おはつはこの紙飛行機が気に入ったようですが、これが後に悲劇をもたらすことになります。

さて川越藩主夫人恵姫ですが、実は夫の川越藩主は婿養子で、恵姫に実子が生まれなければ、違う血筋の子が跡目を継ぐことになります。しかも、夫と側室の間に子が生まれたため、恵姫の心中には穏やかならざるものがありました。そこで咲の出番です。咲は和宮から拝領した櫛を取り出し、腫瘍隠しの頭巾を脱いだ恵姫に見せて、御髪をお直しくださいと勧めます。それによって、仁は和宮から認められるほどの名医であることを暗に示そうとしたわけです。元々恵姫は漢方医たちを嫌っており、すんなり仁の診察を受けました。

しかし恵姫には貧血の気があり、手術前に輸血の準備をしておく必要があったわけですが。この当時、献血や輸血などという発想はもちろんありません。しかも、この当時としては卓越した技術を持つものの、素性がよく知れない医者に、奥方を任せるわけには行かないと周囲は反対しますが、うち一部で了解が取れたこと、そして恵姫が、全快した暁には夫とよりを戻し、子を儲けたいといったことから、血縁者の賛同を得るに至ります。幸い良性であったこと、しかも、遠心分離器を持ち込んで輸血の準備をしたものの、その必要はなかったことなどで、万事が滞りなく終わり、恵姫は藩にペニシリンの製造所を設けたいと、仁と咲に話します。

江戸への帰途、仁と咲は例の宿にまた泊まります。将来について語り合ううちに、つい言い合いになる2人。しかしそこへ、おはつが重傷だとの知らせが入ります。紙飛行機を追っていて、腹部に灌木の枝が刺さり、大変な出血をしていました。手術を始めた仁と咲、しかし仁にあの頭痛が再び襲い掛かります。歴史を変えようとした時に必ず出てくる頭痛が、なぜこの時出て来たのか。おはつを助けることで、歴史に狂いが出てしまうのか。仁の姿が段々と消えて行き、おはつを助けることは困難になります。

その頃長州では、坂本龍馬が薩長同盟成立に奔走していました。この同盟が成立すれば、仲介役の土佐も名を上げるわけですが、薩摩が頑なに動こうとしません。長州の身にもなれという龍馬。その後龍馬は、寺田屋で賊に襲われ、楢崎龍の機転で何とか危機を脱します。そして江戸では、橘恭太郎の謹慎が解けました。しかしその後、この恭太郎と龍馬の間が険悪なものとなって行きます。

一応この回では、川越藩主夫人恵姫を治療するのがメインテーマですが、それ以外にも薩長同盟やおはつのことなど、今回もかなり伏線のある内容となっています。特におはつのことは、仁の身に直接降りかかってくるものとなりそうです。

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[ 2015/06/30 23:12 ] ドラマ JIN ー仁ー | TB(-) | CM(0)

花燃ゆ-22 続き OPはいいのですが…

せっかくの蛤御門の変、前半のクライマックスというべき回にもかかわらず、先日の放送が視聴率10パーセントを切ったようです。やはり、文の転居絡みでの場面がしょっちゅう入ることで、興をそがれた人も多いのでしょう。しかし、それと関連があるかどうかはともかく、最近、OPが流れるまでのアバンタイトルがかなり長めになっています。この部分で視聴者を惹きつけようという狙いもあるのかもしれませんが、正直いってドラマがあの構成では、かなり厳しいでしょう。ところでこのドラマのOPは、なかなか完成度が高いです。私はあまり好みではありませんが、CGの使い方もうまいですし、『留魂録』の最後の部分に登場する和歌をアレンジしたコーラスもいいです。
ちなみにこれですね。
「愚かなる 吾のことをも 友とめづ人は わがとも友と、吾をも 友とめづ人は わがとも友と めでよ人々、吾をも 友とめづ人は わがとも友と めでよ人々 燃ゆ」
しかしOPにこれだけこだわっているのに、ドラマそのものは…とやはりいいたくなるのも事実です。文のパート、もう少し効果的に入れることができると思うのですが。

それから、久坂が愛人である辰路と会うところも登場します。彼女は久坂の子を身ごもっているわけですが、ここがなかなかいいというか、大河らしいです。あと桂小五郎、そしてこちらも愛人の幾松が登場します。やっと来たかといった感じですが、この幾松、後の松子は、混乱の中桂の逃亡の手助けをした、かなり芯のある女性でもあります。こういう人たちがもっと出て来てほしいですね。やはり、杉家の囲炉裏端の描写だけでは、表現できないものもありますので。

ところで次回は蛤御門の変の後半ですが、長州と会津の戦闘はどのくらい描かれるのでしょうか。あまり省略してほしくないものです。この時久坂は鷹司政通に直訴するも聞き入れてもらえず、自決することになるわけですが、これも、池田屋の時のような手抜きなしで描いてもらいたいです。今後、俗論派と正義派の熾烈な争いも巻き起こるわけですし、それを奥女中の文のパートだけで潰してしまうことのないように、制作陣には再検討を促したいです。
飲み物-アイスコーヒー
[ 2015/06/30 00:18 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

容疑者Xの献身 4

『容疑者Xの献身』について4回目です。物語の大筋についてはあらかた書きましたので、部分的にピックアップして行きます。花岡母子に完璧なアリバイがあることに関して、湯川は、珍しく超常現象であるバイロケーションの話を持ち出します。『ガリレオ』では、それ以外にも、やはり超常現象であるテレポーテーションの話を湯川が研究室で持ち出しますが、もちろん最終的には、証明できないとして否定されてしまいます。しかしこのようなことが引き合いに出されるほど、このシリーズでは犯罪の完成度がきわめて高く、本人が現場から離れた地点で相手を殺害できるようなケースが多いのも事実です。

それから、石神が足がつかないように、近所の公衆電話から靖子に指示を出す方法ですが、これは他の刑事ドラマでもお目にかかるパターンです。『相棒』で、公衆電話からの通報を受け取って捜査を開始するエピソードがありますが、これももちろん犯人側が居場所をさとられないためです。公衆電話という、一見前時代的にも見えがちな設備というのも、使いようによっては相手の裏をかくこともできるわけです。しかし公衆電話というのは位置が決まっているものである以上、その位置から容疑者の行動を特定できることもあり、その意味では両刃の剣ともいえます。

草薙と内海が、協力要請で湯川の研究室を訪れた時、草薙が、容疑者の靖子がすごい美人だぞと口にして、湯川が関心を示す場面があります。確か『ガリレオΦ』でも、水着姿の若い女が多い海岸の近くと聞いて、捜査に協力することになります。湯川は意外と女性に関心があるのかと思いきや、その後のどこか冷めた口ぶりからすると、どうもその人物の特徴の一環として捉えている、『ガリレオΦ』の場合は、そういう女性たちがいるというのを、一つの現象として捉えている感が無きにしもあらずです。その後内海は城ノ内桜子にこのことを話すのですが、彼女はあっさり「顔が目当てで来る人だっているし」「うちにだって私目当てで来る人がいる」などといい出す始末です。

その靖子の弁当屋に、かつての靖子の馴染みの客である工藤が現れた時、ちょうど石神と湯川が店内にいて、湯川が弁当を買っているところでした。湯川はその時工藤に初めて会ったのですが、石神の不機嫌そうな態度から、あるものを感じたようです。しかし石神がそのような態度を取ったからといって、必ずしも工藤の存在がマイナスになったわけではありません。その後石神は雨の中、工藤が靖子をアパートの近くまで、車で送って来るのを目撃したわけですが、この時、ストーカー疑惑で警察の注意を逸らせると踏んだとも取れます。その他にも、アリバイを裏付けるために、美里の同級生と映画館の売店で会ったという証言も取り付けます。

いよいよ事件が大詰めに入って、内海が湯川の研究室を訪れようと帝都大に足を運んだ際、湯川が不要になったレポートをシュレッダーにかけず、焼却しているのを目にします。シュレッダーだと信用できないというのが彼の言い分ですが、実際ストレートカット式のシュレッダーは、かさばる上に情報が読み取られる可能性があります。そのせいもあって、今はクロスカット式が多いです。また被害者の富樫慎二が、バカラ賭博で借金を作っていたこと、そのせいもあって靖子の住所を、昔働いていた店で聞き出し、強引に訪れたことがわかります。このため、草薙や内海が他の刑事と共に、歌舞伎町のバカラ賭博を摘発しますが、ここのところは結構圧巻です。

そして湯川と草薙、そして内海の3人が四川料理を食べる場面が登場します。ちょうど石神の出勤表のコピーを見る場面ですが、この時も、辛さで脳は活性化しないと例によって一言述べます。しかしなぜ四川料理かと思うのですが、あるいは四色定理と掛け合わせている感もあります。余談ながら、四川料理といえば辛い調味料で煮込んだ、あるいは炒めた物というイメージがありますが、おこげ料理(鍋巴)も実は四川料理ですね。

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[ 2015/06/29 23:48 ] ドラマ ガリレオ | TB(-) | CM(0)

校長先生のラブレター/Headmaster's love letters

「本当に困った校長先生の冒険」で、オルムシュタイン校長はイザドラ・クラインに沢山のラブレターを書き、ウィルスン・ケンプに、2日以内に1万ポンドを渡すように脅されます。ケンプはまた、もし金を渡さなければ、校内の廊下にラブレターをすべて張り出すとも伝えています。下の画像をごらんください。なぜホームズが謹慎中であるにもかかわらず、校長先生がホームズにラブレターを取り戻すよう頼んだか、おわかりですね。

その一方で校長先生は、イザドラが子分の男子生徒を従えて肩で風を切るイザドラが、本当は寂しい子であることも見抜いています。校長先生はただお人よしだけでなく、生徒の本質も理解しているようです。

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メモリアルブックより/From Memorial Book

Headmaster Ormstein writes many love letters in "The Adventure of the Incorrigible Headmaster" and is blackmailed into paying 10.000 pounds within two days by Wilson Kemp. He also tells the headmaster that if not so, he will post all of his love letters at the corridor in the school. Please look at the image above. You may understand why he requests Holmes to take them back despite he is suspended from attending class.

On the other hand, the headmaster sees through internal loneliness of Isadora Klein who swaggers about with some male pupils who follow her. He is not only a good-nature man but seems to find out the nature of pupils also.


[ 2015/06/29 20:31 ] 三谷幸喜/Koki Mitani | TB(-) | CM(0)

容疑者Xの献身3

前回の続きです。この作品に登場する石神は、実年齢よりも老けてみられる感じの人物で、部屋にはインテリアらしきものは少なく、本と資料であふれています。しかし、流石に湯川が天才と太鼓判を押すだけあり、数学にかけては天才的な才能を示します。その才能が、マイナスの形で働いたのが、この富樫慎二殺人事件の隠蔽といえます。

実際石神は、完璧に隠蔽できると踏んでいたのでしょう。何よりも、靖子、そしてその娘の美里が、自分の指示通りに動いてくれていたからです。しかし湯川は、草薙や内海から事件の概要とを聞いており、ある結論を導き出します。それは、
*石神は殺人はやっていない
*ただし隠蔽はする
*隠蔽が難しい時は、警察の追求を何とか逃れようとする
この3つです。そして、事実はその通りでした。元々石神は大学時代、大学院に残って研究を続ける予定だったのですが、家庭の事情でそれがかなわず、高校の数学教師になりました。しかし大学2年の時、四色定理の証明方法を模索していて、既にそれは発表されているという湯川に、あの方法は美しくないと答えます。こと学問に関しては、かなりこだわりのある人物でもあり、そのこだわりがこの隠蔽工作でいかんなく発揮されたともいえます。後の方で石神が、「幾何の問題に見せかけた関数の問題」と口にするのは、正にこの殺人と隠蔽を意味していたはずです。

つまり、石神にとって犯罪の隠蔽は、花岡母子を庇うと同時に、自らが考え出した隠蔽方法の具現例でもあったわけです。それがうまく行くことで、自らがどのような刑を言い渡されようとも、その結末に何らかの形で満足できるはずでした。しかも靖子に、自分は彼女に命じる権利があるとまでいっているわけです。しかし、最後の最後になって、靖子が自首して来たのを石神は目にし、大声で泣きわめきます。靖子が自首して来たということは、それが失敗に終わったことを意味するものでもあったからです。こういう、隠蔽を如何に成功させるかがテーマである以上、やはりこの原作が物議を醸したのも無理からぬことではあります。面白い視点だなとは思いますが。

そんな石神は、一方で登山を趣味にしていて、湯川を雪山登山に誘います。その途中の山小屋で、石神はこのようにいいます。
「今登らないと一生機会がない」
既にこの時点で、石神は自首を覚悟していたとも取れます。また湯川が自分は君の友達だといっているにも関わらず、「僕には友達はいない」などと答えたりもします。なのに、途中で転んで斜面を滑り落ちてしまう湯川に手を貸し、ガスが晴れるまで少し待とうといい、登山をするうえでは好きパートナーであることを示したりもします。石神のこういう多面性もまた、隠蔽をするうえで起こりうる様々な障害を予測し、それへの対応策を練ることに大きく貢献したのかもしれません。

ところで、この雪山の山頂に着いた時、石神はこうもいいます。
「あの答えは美しくない」
これは事前に湯川から、「何も解けない問題を作るのと、それを解くのとではどちらが難しいか。ただし必ず答えはあるものとする」という宿題を出されており、それに答えたわけですが、恐らくこの時点で、湯川が自分の隠蔽にうすうす気づいているということはわかっていたでしょう。

最後の方で湯川は石神にいいます。「そんな素晴らしい才能を、こういうことに使うべきではなかった」

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[ 2015/06/29 00:20 ] ドラマ ガリレオ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆ-22 創作と史実のすり合わせ

いよいよ蛤御門の変の、その前編的な位置づけの放送のはず…なのですが、いつまで経ってもその気配が感じられません。それもそうで、文の転居がこの放送のメインになってしまっているからなのです。ですから、男性パートで盛り上がりかけたところに、文と杉家の場面が入る、志士たちのパートに戻ったかと思いきや、また文のパートに戻るといった感じで、せっかくの蛤御門の変に向けての挙兵が、杉家の描写で艶消しになっている感があります。

私以外にもこう考えている人は多いかと思いますが、文のパートをもっと削って、1回の放送につき2つか3つ、本当に必要な場面だけにすれば、もう少しドラマが引き締まるはずです。せっかく志士たちが気合を入れて、いざ出陣という場面になったら文が出て来て、なんら関係もなさそうな場面が延々と続く、これが問題なのですが。実は1度、安政の大獄の時でしたか、録画した分を文パートだけ早送りして観たことがあります。実際その方が流れがよくわかりますし。文を出すなとはいいませんが、歴史の流れを邪魔しない形で出してほしいものです。

それから小田村伊之助がやはり長崎にいるのですが、どうもこの辺作り過ぎな感じです。しかもこのドラマに顕著なことですが、史実でない部分、つまり脚本家が作った部分はどこか今一つで、史実の部分に馴染み切れていないところがあります。この辺も視聴者が違和感を覚える一因ではないでしょうか。イケメン大河で売りたければそれでもよし、ただし肝心なのは、如何に創作の部分と、史実の部分をうまくすり合わせるかです。『花神』の成島チーフプロデューサーの言にある「史実と史実の谷間にある多くの有りそうな話」を描き出すようにしないと、ドラマは面白くなくなります。

ところで、伊之助の手紙を皆が読む場面に、大沢たかおさんの声がナレーション的にかぶるわけで、当然ながらどうも仁先生を思い出してしまいます。大沢さんも本当はもうちょっとまともな、といっては何ですが、男性が主人公の大河で見たいものです。『真田丸』に引き続き出てほしいです。それから来島又兵衛役の山下真司さん、流石『スクール・ウォーズ』の泣き虫先生だけあって、兵たちへの気合の入れ方は並々ならぬものがあります。

最後になりましたが、周布政之助の野山獄での抜刀と、高杉への戒めである「3年間獄に居ろ」がこの回で登場します。今回周布を演じている石丸さんも、そこそこの演技力ではありますが、やはり見得の切り方、ドスの効かせ方は『花神』の田村さんでしょうか。ただしこの場に、高須久子が出てくるのはちょっと疑問です。この場は周布と高杉、そして牢役人だけでいいでしょう。

[ 2015/06/28 23:29 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

容疑者Xの献身 2

先日分の続きですが、まず当該記事に一部誤りというか思い違いがあったので、訂正しています。

この作品は本来の推理小説とは違い、謎解きではなく、犯罪の隠蔽という点に重きを置いています。そのため、ミステリ関係者の間でも物議を醸したといわれますが、作者の東野氏は、読者個人の判断にゆだねるというスタンスのようです。

隣室で起こった殺人に石神が気付いたこと、そして、花岡靖子に好意を持っていたが、この殺人隠蔽の発端ともいえます。かつての夫の富樫は大がかりな借金をこしらえ、しかも復縁を迫り、血のつながりのない娘に手を出そうとするような男で、ある意味正当防衛ともいえる殺人でしたが、しかし犯罪は犯罪です。警察の手からどうやって彼女たちを守るか、石神はまずアリバイ工作から始め、犯行日を1日ずらすことにします。

そして花岡家で殺人があった翌日、母子を映画に行かせ、自分は替え玉の死体を準備して、というかある男を自分で殺して、しかも身元がわからないようにし、警察にそれが被害者の富樫であると思い込ませます。それに加えて、警察の事情聴取の際の対応の仕方までを指示します。一見さえない中年男といった感じの富樫ですが、この指示をする時には何ともいえぬ凄味が感じられ、靖子も従ってしまいます。

しかも石神の周到さは、これにとどまりません。自転車を一台盗み、それに富樫の指紋をつけて、現場の近くに放置します。これで警察は、富樫がこの現場の近くまで自転車に乗って来て、何者かに殺害され、身元がわからないようにされたと考えます。しかもわざわざ新品の自転車を盗み、持ち主が必ず盗難届を出すように仕向けたわけです。これで現場の死体にみんな目を向けざるをえなくなります。

元々石神は、湯川が天才と呼ぶほどの男で、しかも久々に会った夜、ある理論の証明が正しいか否かの判定を依頼し、それを6時間ほどで解いてしまいます。こういう、筋の通った隠蔽方法を考えることなど、彼にとってはそう難しいことではなかったでしょう。しかも、盗聴の恐れがないように、わざわざ公衆電話から靖子の携帯にかけて指示を与えているのも、かなり確信犯的といえます。

また、替え玉を準備する時は、近所のホームレスの1人に声をかけ、仕事を紹介するといって連れ出しています。しかも富樫が持っていた簡易宿泊所の鍵を渡し、富樫のいた部屋に入れて、その男の毛髪と指紋を残させるようにします。この鍵は富樫が勝手に持って出たため、警察に届が出されていました。当然この部屋にも調査が入るとにらんだ石神は、被害者がその部屋から自転車で現場に行く、という一連の流れの裏付けを完全なものにしたのです。他にも、自転車といい簡易宿泊所といい、「届」を出させるように仕向ける方法もまた、高度なテクニックです。届が出されると、必ずそこに注目が集まるというのを見越してのことでしょう。

それから、ストーカー行為にしても、いくらかは靖子への想いもあったのかもしれませんが、これも警察の目を欺くためのトリックでした。わざわざレンタカーを借りて、かつて靖子が錦糸町でホステスをしていた頃の馴染みであり、靖子に恋心を抱いている工藤の車を追いかけ、ホテルでの2人を撮影して、それを工藤と靖子の家の郵便受けに入れるわけです。さらに靖子の部屋の郵便受けには、この先どのように振舞うべきかの指示も一緒に入れられていました。

この中では登山歴のある石神が、湯川と雪山登山をする場面もあります。ここには殺人隠蔽とは全く別の、2人の人間、友人としての繋がりが垣間見えます。しかし途中山小屋に一泊した時、湯川は石神にこういいます。
「君は思い込みの盲点を突く」

それ以外にも色々示唆的な描写が出てくるのですが、これはまた後ほど。しかし、この中で石神が学生時代に解いていた四色定理、これはグラフ理論と関連がありますが、グラフというものが繋がりを求めるものである以上、富樫慎一殺人事件の隠蔽もまた、繋がりを持たせる必要があったわけで、それに石神は最適の人物だったといえます。ただ惜しむらくは、理論上完璧なものが、実際の人間関係では必ずしも完璧ではなかったことでしょう。

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[ 2015/06/28 00:31 ] ドラマ ガリレオ | TB(-) | CM(0)

『JIN -仁-』完結編 第4話

龍馬は薩長同盟を実現させるべく、長州で中岡慎太郎と会うが、幕府からにらまれる身となっていた。また仁はその功績を評価され、恭太郎の謹慎も解けた。一方で仁は、ヒ素の件で和宮から紋所入りの刀を、咲は櫛を拝領していた。

仁は遠心分離機を手作りし、血液型判定、ひいては輸血を試みる。その後仁は、多紀元琰から、川越藩主夫人の恵姫の腫瘍の治療を依頼される。恵姫は、徳川家の縁戚に当たる人物で、夫が婿入りしたため、自分が子供を産まないと、血筋が絶えてしまうこともあるため、腫瘍のことで診察を依頼したのだった。

仁友堂の中で、仁と同行できるのは咲だけであった。大井宿に着いた仁は、旅籠の娘おはつが出した茶を受け取ろうとして、異常な熱さを覚える。その後仁と咲が通されたのは二人部屋であった。夫婦と間違えられたのである。やむを得ず、布団の間に衝立を置いて寝る2人。しかし咲は、おはつに折り紙を折ったりして遊んでやり、仁も紙飛行機を折ってやる。しかし飛行機のない時代であり、不思議そうな顔をされる。

やがて川越に着いた2人だが、恵姫は漢方医を当てにしていなかった。そんな折、側室に子供が生まれた知らせを受け、その場を去ってしまう。咲は姫を説得しようと、髪の乱れを例の拝領した櫛で直すように勧める。姫は仁に診察を依頼し、悪性の腫瘍でないことがわかる。

しかし、姫のスプーン状の爪を見た仁は、貧血であることを見抜き、万が一の時に備えて、輸血の準備をする。当然反対の声が上がるが、最終的に姫のとりなしにより、血縁者の血液型判定が行われた。幸い手術は無事に終わる。

そして龍馬は、薩長同盟に関して、長州の方から来るべきだと言う薩摩に「長州が哀れとは思わんか」と一喝する。龍馬は、久坂の最後の言葉を思い出していたのである。しかも西郷の腹には、虫垂炎の手術あとがあった。仁の気持ちを組むのであれば、長州の気持ちも汲めという龍馬。

その一方で仁は藩医たちに医学を教え、川越藩でペニシリンの製造を検討し始めた。姫は咲に「意地を張るとろくなことはない」と諭す。再び大井宿に戻った2人、咲は姫に「荻野式」を教えたとも言った。しかし仁は、咲の将来について口をすべらせ、咲に、自分の幸せを勝手に決めないでくれといわれてしまう。これに対して仁は、なぜ自分はかつて断られたのか、いつかいなくなる人間だからかとも返し、咲は返答に窮する。

そんな時、おはつが大けがをして運び込まれてくる。紙飛行機を追っていて土手を転がり落ち、枝が腹に刺さったのだった。手術を行う仁だが、自分の存在がそこから消えつつあり、手術を続行するのが不可能になる。同じ頃、京では寺田屋にいた龍馬が危険な目に遭っていた。

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[ 2015/06/27 23:05 ] ドラマ JIN ー仁ー | TB(-) | CM(0)

容疑者Xの献身 1

実は、『真夏の方程式』は映画館でも観て、その後DVDでも観たのですが、これを観るのは今回が初めてです。ざっとあらすじを書いておきます。


弁当屋を営む花岡靖子は、娘の美里とアパートで二人暮らしをしていた。その隣には、高校の数学の教師で、湯川学と同じ帝都大出身の石神哲哉が住んでいた。ある夜、泰子は別れた夫の富樫慎二がいきなり部屋に入って来たことで、衝動的に富樫を、美里と共にこたつの電気コードで絞殺する。物音を聞きつけた石神が2人の部屋に現れ、この殺人について隠蔽を企てることにし、花岡母子に指示を与える。

その後、顔をめちゃくちゃに潰され、指紋を焼かれて服を燃やされた男の死体が発見される。警察は捜査に入り、行方不明の富樫と断定して、靖子に事情聴取をするが、彼女には娘と映画を観に行ったというアリバイがあった。しかも、パンフレットにきちんとチケットがはさんであった。捜査に窮した警察は、湯川にこの件についての協力を依頼する。

湯川に会った石神は、久々に数学の話に花を咲かせる。元々大学時代の石神は、四色定理の解の出し方に熱中していて、それで湯川とうまが合ったのだった。遅くまで話し込んむ2人。その後石神は靖子の経営する弁当屋に湯川を誘い、弁当を買わせる。また容姿に構わない石神が、珍しく、湯川はいつまでも若々しくて羨ましいなどと口にしたことで、湯川は彼が靖子に恋心を抱いているのではないかと思う。

石神にとって、靖子は命の恩人でもあった。それというのも、やる気のない生徒たちを相手の生活に疲れ、自殺を考えていた時、引越しの挨拶に来たのが、靖子と美里の母子だったのだ。そのためにも石神は2人を守りたかった。しかし、靖子が工藤という男とホテルで会っているのを目撃し、ストーカー行為に及ぶようになる。

しかしこの行為も、実は石神の作戦だった。警察にストーカー被害に遭っていることを伝え、このように答えるようにといった指示が、すべて石神から出されていて、靖子はその通りに振舞ったのだった。他方で石神は湯川を雪山に誘う。山小屋で湯川は話を切り出そうとするものの、うまく行かなかった。

ついに石神は、富樫の殺人事件で警察に自首した。しかも部屋には証拠品がすべて揃っており、警察は彼を留置所から拘置所に送ろうとするが、その前に湯川が訪ねて来た。実は湯川は、草薙や内海が事情聴取で目にした、石神の出勤簿のコピーを見せてもらい、12月2日と3日、2日続けて午前中半休を取っていることを不審に思ったのだった。

つまり12月2日の午前中は、富樫の死体を処理し、翌日の未明は、警察に発見された男の死体を処理したのだった。つまり、発見された死体は富樫のものではなかった。近くのホームレスに声をかけ、富樫が持っていた簡易宿泊所のカギを与えてから、夜になって仕事を紹介すると嘘をついて迎えに行き、その後殺したのだった。

湯川はこうもいった、靖子は12月2日のアリバイばかり聞かれて不思議に思ったに違いない。確かに彼女は2日に娘と映画を観に行ったが、富樫が殺されたのは1日だったからだ。つまり石神は、富樫が死んだのは2日であるように偽装し、1日には何も起こっていないことにしたかったのである。

しかしいよいよ拘置所に送られることになった石神の前に、靖子があらわれる。私も同じ罰を受けるという靖子。殺人事件以来、彼の指示通りに動いて来た彼女が、初めて自分の意志で動いたのだった。


この作品の詳しいことに関しては、またアップします。

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[ 2015/06/27 00:58 ] ドラマ ガリレオ | TB(-) | CM(0)

『陽だまりの樹』番外編10 江戸幕府の崩壊

いよいよ『陽だまりの樹』も大詰めです。幕府軍の指揮官として大坂に行った万二郎は、そこで幕府のお尋ね者の坂本龍馬と偶然出会います。そもそもその時は、兵たちの一部が、敵の首領の妹を匿う指揮官にはついて行けないと、万二郎に反旗を翻し、小競り合いを起こしたためでした。何とか鎮圧したものの、銃弾で羽織に穴をあけた龍馬に謝罪するべく、遊郭に彼を誘う万二郎。しかしこれが仇となり、指揮官の任務を解かれて、単身江戸に帰って蟄居するはめとなります。

万二郎が龍馬についてどれだけ知っていたかはわかりませんが、幕府軍の指揮官が、お尋ね者と酒を飲むなどとは一大事であることに間違いありません。しかし恩を感じた相手には、礼をせずにはいられない、この辺が如何にも彼らしいところです。しかもこの時、龍馬から議会政治について聞かされ、しかもそれは勝海舟の受け売りということまで耳にします。『JIN -仁-』でもそうですが、結構幕末史において、この勝海舟-坂本龍馬の師弟関係は侮れません。本来龍馬が、徳川氏を一大名として、諸侯による合議政体を作りたいと願っていたようですが、これも勝の影響が大きいでしょう。しかしその後戊辰戦争となり、この考えは実現しませんでした。

一方で良仙は、第二次長州征伐、四境戦争に軍医として赴いていました。何度治療しても負傷して帰ってくる兵士たち、それに半ば苛立ちを覚えながらも、自分が負傷することで、かえって彼らの気持ちを理解し、彼らのそばには軍医たる自分がいなければならないと考えるようになります。この辺は、ポンペの「医者はよるべなき病人の友達」という言葉に当てはまるものがあります。

この良仙が、まだ良庵と名乗っていたころに、適塾に入ったものの、毎晩のように遊郭通いを繰り返し、罰として師の緒方洪庵から、フーフェラントの内科書を1か月で習得するようにいわれる場面があります。このフーフェラントの書物の巻末の部分を、洪庵が翻訳してまとめた『扶氏医戒之略』にも、このポンペの教えと似たような部分があります。(扶氏医戒之略で検索するとかなりヒットします)

ところで頭を強打して以来、体を動かせなくなった綾は、万二郎の家に世話になりますが、夫の仇の妹である綾におとねは辛く当たり、餓死させようとさえします。綾が痩せ細って行くのを不審に思った良仙は、おとねを問い詰めて事実を知り、結局おとねは万二郎にもすべてを打ち明けます。その後綾は眼球を動かすようになり、光にも反応するようになります。

この綾の症状がどのようなものであったのか、ドラマでは定かでありませんが、恐らく脳に何らかの障害を受けたものの、自然に治癒していったというところでしょうか。万二郎の言葉にある「実際は耳も聞こえているかもしれない」は、万二郎の性格からして、おとねから真意を聞き出すためのものとは考えにくいのですが、彼自身の希望であったのは事実かもしれません。

しかし綾が回復するのとは逆に、幕府は勢いを増した薩長の前に、手も足も出ない状態となっていました。ついに万二郎は、幕府に巣食うシロアリ、つまり無能な老中を斬ると立ち上がります。今更そんなことをしても意味もないし、家禄召し上げになるのではと思うのですが、万二郎にとっては、これが徳川幕府への、いわば最後の奉公だったのでしょう。しかし彼の奉公は、老中を斬ることではなく、次の最終回での上野戦争で終結する形になります。

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[ 2015/06/27 00:02 ] ドラマ 陽だまりの樹 | TB(-) | CM(0)
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Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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