『はたらく細胞フレンド』第6巻(最終巻)です。
<贈り物>
クリスマス間近の時期。カビを退治すべく樹状細胞が免疫細胞に連絡を取るが、なかなかつながらない。そこへやって来たのが好酸球だった。手伝いを呼ぼうかと言う樹状細胞に、彼女は例によって例の如く、思ったことを伝えられずにいて、面倒くさいと言われ、エトーシスを起こしてしまう。そんな好酸球は、白血球が感謝の贈り物を貰っているのを目にして、自分も樹状細胞に贈り物をすることで、謝意を伝えようとする。
パイエルにやって来た好酸球は、M細胞から、樹状細胞がプロ用のミシンをほしがっていることを聞かされる。ぬいぐるみに嵌っている樹状細胞は、さらに上を目指しているのだったが、プロ用のミシンはかなり高額で、好酸球はファミレスでウエイトレスのバイトを始める。そこへキラーT細胞の班長が客としてやって来て、彼女がここにいるのをいぶかる。好酸球はお金がないのでバイトをして贈り物をしたいと言うべきところを、うまく伝えられず、ただあげたい物があると言う。班長は後ろの席のがプレゼントの話を耳にし、2人が交際していると勘違いしてしまう。
班長からそのことを聞かされたM細胞も驚く。結局2人を祝福するため、早めのクリスマス会を開くことになり、獲得免疫細胞である班長は「経験のないことゆえ」とても戸惑い、あれこれ迷った挙句本人に聞くことにする。樹状細胞は一言
「プロ用のミシンですね~」
と言い、これがあれば立派なドレスが作れると言う。実はぬい酸菌用のドレスなのだが、班長はウエディングドレスだと勘違いする。クリスマス会当日、ミシンを持って現れた好酸球は、M細胞から樹状細胞とのことを聞かれてひどく驚く。そこに班長もミシンを持って現れ、末永くお幸せになどと言い、さらに乳酸菌柄のアグリーセーター(所謂ダサセーター)を着た樹状細胞も、ボーナスでミシンを買ったと言い、それぞれの勘違いと誤解で頭が混乱した好酸球は、またもエトーシスを起こしてしまう。
<体内めぐり>
普段忙しいキラーT細胞の班長も、お家時間はリラックスできていた。しかし最近家の近所がやたらにうるさく、契約更新の時期も迫っており、転居を考える。腸に引っ越した彼は、飲食店も多いと喜んでいたが、反面寄生虫や免疫細胞も多く、家の中をめちゃくちゃにされ、今度は網膜に引っ越す。景色のいい場所だが、いつの間にか、家の中にやたらに緑膿菌が上がり込んで来ていた。コンタクトレンズによる傷から入り込んだようで、班長は表皮に引っ越すことにする。
しかし夏場は快適なはずの表皮は、冬は砂漠と化しており、家もゲルでラクダ付きだった。おまけに皮膚トラブルの影響でヒスタミンが出され、ゲルが流されてしまう。班長は仕方なく、最近が少なくヒスタミンが放出されない心臓の近くに映る。ここは場所柄赤血球が多くにぎやかだが、スイーツの店が多かった。
しかし隣に住んでいたいたのが例の赤血球であり、タコパしましょうよなどと誘われたため、班長は結局元の所に戻る。相変わらずうるさい音が聞こえ、おまけに煙まで流れて来たため、隣に注意しようとするが、実は音と煙の正体は、NK細胞と白血球がベランダで刀を打っていたためだった。班長は起こるべきか否かで戸惑い、色々と気を付けろとかなり曖昧な注意の仕方をする。
<カウントダウン>
体内の殺し屋であるキラーT細胞は、他の細胞から誘って貰えるチャンスが少なかった。そして迎えた12月31日、B細胞がカウントダウンパーティーをやるから、他のT細胞、特に片思いしてい入る制御性T細胞を、誘って来てくれと班長に頼む。強面の班長だが、実は誘って貰えてうれしかった。手土産を物色していたところ、赤血球と血小板に、網膜で初日の出を観ようと誘われる。班長は何気ない風を装っていたが、これもまた嬉しかった。しかしヘルパーT細胞から連絡が入る。抗原侵入ではなく、大掃除の手伝いをしてくれと言うのである。
リンパ球は老廃物が溜まりやすいんだよと、班長は掃除を始めるが、その時制御性T細胞が卒業文集を出してくる。しかもかつての自分が、友達はできましたか 今は幸せですかなどと書いているのを目にする。ヘルパー司令はこの子どうしたのだろうななどといたって呑気に言うが、かつての自分であることを悟られそうになった班長は、彼を倒してしまう。一方制御性T細胞からは、今は幸せですかなどと訊かれ、2時間後班長は何とか掃除を終わらせる。しかし今度は、年越しそばを始めたパイエルのそば打ちを手伝うはめになり、B細胞の家に着いた時には、パーティーに参加していた白血球や一般細胞共々皆寝入ってしまっていた。
班長は彼等に布団を敷いてやり。外に出たところ、小さな子供が夜中に出歩くなと注意されているのを見かける。その子は、整体に行って若返ったマスト細胞だった。結局班長は、「保護者」としてマスト細胞を片腕に抱き、アニソンカウントダウンコンサートに付き合うことになる。眠気をこらえながら、やっと網膜へ行こうとした班長の前に今度は記憶細胞が現れる。エレベーターが使用できず、何とか彼は記憶細胞をおぶって展望台までたどり着く。一方赤血球は、血小板からどのような目標があるかと訊かれ、班長さんみたいに誰かのために頑張れる人になりたいと答えていた。
<バレンタイン>
B細胞は抗体のオーダーが入るたびにフル稼働である、そんな彼を支えるのは記憶細胞、両名はまさに名バディーだった。そしてバレンタインデー、B細胞は逆チョコで制御性T細胞を口説こうとするが、頭皮のキラーT細胞に先を越されてしまう。しかし制御性は至って冷静にそれを受け取った。実は彼女は血糖値が上がって眠くなるため、チョコが食べられなかったのである。代わりにそれを貰ったのはB細胞だった。
チョコをあげる夢が断たれた彼は、班長と2人で買い物に行くが、そこへ記憶細胞が現れ、自分の経験から、相手の視点に立てとアドバイスを受け、班長はデスクワークの多い彼女のために、クッションやひざ掛け、フットマッサージャーなどの提案をする。いざ乗り込まんとしたB細胞だが、口内でミュータンス菌の存在を確認したと、のり煎餅をぱくついているヘルパーT細胞から連絡が入る。これから仕事となったB細胞に記憶細胞は、自分は秘密兵器があるからと、B細胞を司令室の制御性T細胞のもとに行かせる。
口内では白血球たちが、この季節になると増えるミュータンス・レンサ球菌と格闘していたが、その時菌めがけて銃弾が飛んでくる。銃を放ったのは記憶細胞だった。そして制御性T細胞のもとへやって来たB細胞だが、普段のノリの軽さはどこへやら、うまく思いを伝えることができず’、プレゼントの入ったバッグを制御性T細胞に渡して出て行ってしまう。中に入っていたのはドーナツ型のクッションだった。あとで班長から事情を聞かれたB細胞は、俺はじっくり関係を築くタイプだからと、この時の自分の自己採点を120点と評価していた。
さてクリスマスからお正月、バレンタインと行事が続きますが、今年ももうすぐクリスマスですね。それはさておき、樹状細胞に世話になりながら、うまくお礼を言えない好酸球は、贈り物をすることに決めます。バルパイエルでM細胞から聞いた限りでは、プロ用のミシンを欲しがっているようで、これが高価であることから、ファミレスでバイトを始めることになり、そこで班長と出会うのですが、この出会いがいわばその後の混乱を招くもとになり、挙句の果てに好酸球と樹状細胞が交際しているなどという誤解が生まれることになります。
一方樹状細胞は、相変わらず乳酸菌にご執心です。プロ用のミシンだと、立派なドレスができるんですよと、ぬい酸菌にドレスを着せた姿を連想してみたり、
クリスマス会に着て来たセーターは、ニットも縫えるミシンで作った物、しかもこちらも愛する乳酸菌がサンタ帽をかぶった姿が編み込まれていたり
はてさて、どれだけ乳酸菌愛をこじらせているのでしょうか。
そして班長の転居、年末のこの時期に転居かというのはさておき、体内のあちこちを巡るものの一長一短、結局元の所に戻って来たのですが、そもそもの転居のきっかけになったうるさい音と煙は、実はNK細胞が白血球に手伝わせて、刀を打っていたためでした。
そして大晦日。お誘いを受けた班長は大喜びですが、なぜか途中からあれこれ用ができて、B細胞の家についた時は、既に宴はお開き状態でした。しかも赤血球、血小板と約束した展望台まで行くのに、幼児化したマスト細胞の保護者代わりとなり、展望台まで記憶細胞をおぶってあげてと、いつかのお正月もこんな感じでしたね。でも赤血球は、そんな班長を密かに思っているようです。ところでこの時血小板が、今年は「戸建てを買いたい」などと言っていますが、どう考えても血小板の中の人は大人ですね。あと司令室の掃除、以前も卒アルが出て来て、過去の自分を知られたくない班長がうろたえていました。
お正月が終わると今度はバレンタイン。制御性T細胞に手作りチョコをあげようと張り切るB細胞ですが、制御性T細胞はチョコレートが食べられず、B細胞は記憶細胞のアドバイスも受けて、彼女が本当に必要な物をあげようとします。あれこれ迷ってやっとプレゼントを選んだB細胞ですが、口の中にミュータンス・レンサ菌(虫歯の原因となる菌)が侵入します。しかし記憶細胞はB細胞を司令室に行かせ、自分が菌を狙い撃ちにするという、今回はちょっとカッコいい役回りですが、ひとの名前を間違えるのは相変わらずです。