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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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西郷どん復習編2-ハンディを背負う小吉

自分より小さい者、弱い者を助ける存在になろうと心に決めた小吉ですが、ある日川沿いを歩いていると、平之郷中の尾田栄作とその仲間が行く手を塞ぎます。栄作は妙円寺詣りで糸のいた下加治屋町郷中に負けたことで、仕返しをと企んでいました。栄作は刀を抜き、小吉は側にあった棒で応戦しますが、右肩を斬られてしまいます。郷中では抜刀は禁止されており、しかも目下の者を斬ったことから、栄作の父は息子と西郷家を訪れ、息子にその場での切腹を命じます。しかし吉兵衛と小吉は下級武士でもあり、あまり強く出ることもできず、喧嘩両成敗だとその場をとりなします。その時の栄作の勝ち誇ったような表情は、小吉の目に強く焼き付きました。

右肩の腱を斬られた小吉は、医者から刀を持つことはできないと言われます。刀を持てないということは、殿の側に仕える望みを絶たれたも同然でした。今度は自分が、いわばハンディを背負うことになった小吉は外へ出て、木の太い枝を握って振り下ろそうとしますが、それだけでも痛みを覚えるようになっていました。小吉は丘を上がって行き、斉彬と久光の兄弟がそこで狩りをしているところに遭遇します。小吉は斉彬の馬の前に這うようにして現れ、獲物かと思って鉄砲を向けた斉彬は、人間であったことに驚いてこう言います。
「あぶねえじゃねえか」

小吉は刀を持てなくなった自分に絶望して、生きていても仕方のない人間であると言い、目から涙をあふれさせます。そんな小吉に斉彬は言います。今までのように、侍が重い刀を2本も差して歩く時代は終わる、これからは弱き者の声を聞き、民のために尽くせる者こそが真の侍になるのだと言い、もし自分が生きていればまた薩摩に戻るから、真の強い男になっていたらまた会おうと言って去って行きます。無論この時期、斉彬が薩摩にいたという記録はありませんがそれはさておき。後に赤山靱負からCangoxinaの意味を知らされた小吉は、仲間と共にその名が外国の地図にあるのに驚き、その後城山に上ってこの字を石に刻み付けます。

リアルタイムで観た時、この城山の部分恐らく最終回の伏線であり、これで西南戦争まで描かれるなと思ったものです。しかし弱き者の味方になると決心した小吉が、自ら刀を持てなくなってしまい、また下級武士ゆえの不条理を味あわされることになります。これで殿の側に仕えるという夢も捨てざるを得なくなりました。恐らく右肩を斬られたシーンが登場したのは、この大河が初めてではないかと思われます。ちなみにこの時の医者を演じたのは、ご先祖が薩摩藩の医師であった山下洋輔さんです。

しかし斉彬と偶然出会ったことが、その後の自分の生き方を決定づけることになります。ちょっと偶然杉という感も無きにしも非ずですが、ともあれ斉彬の「弱き者の声を聞き」と「子供は国の宝」は、彼の一生を通しての信条となりました。また侍が重い刀を差す時代は終わると言ったのも、刀を持てない小吉の背中を押した感はあります。ともあれ、彼は農村を見て回る役に付くことになり、そして出会った「弱き者」を助けようと、死にもの狂いになるのですが…。

西郷どん1斉彬と小吉
小吉(渡辺蒼、手前)と馬上の斉彬(渡辺謙) 
『西郷どん』公式サイトより

[ 2019/03/08 23:00 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

西郷どん復習編1-岩山糸との出会い

では『西郷どん』復習に行きます。第1回「薩摩のやっせんぼ」では、小吉、後の吉之助→隆盛が、それまで未知であったものを学ぶシーンが描かれています。

加治屋町郷中と高麗町郷中の少年たちは、甲突川での鰻取り合戦から川の中での相撲となり、高麗町郷中の有村俊斎、後の海江田武次が磯御殿の菓子のことを話します。俊斎は茶坊主として御殿に上がっていたため、豪華で色鮮やかな菓子を目にしており、それを盗んだ方が勝ちということになります。何とも大それた話ではありますが、下加治屋町と高麗町の郷中の少年たちは舟で磯御殿へと向かいます。ところがそこには長い髪を束ねた少年がいて、自分のことを「いとう」と名乗ります。いとうも加えることになり、一同は磯御殿で門番に見つからないように忍び込みますが、村田新八が池に落ちたため後を追われます。小吉をはじめ、加治屋町の郷中の少年たちは丘へと登りますが、そこで天狗のような男が大砲をぶっ放しているのを目にします。

少年たちは慌てて逃げ出そうとしますが、新八が今度は着物が引っ掛かり、逃げられずに「天狗」につかまってしまいます。小吉は「天狗」をにらみ、自分は薩摩隼人だから死ぬ覚悟はできっちょと言いますが、逆に、一番小さい者を見捨てて逃げようとして、何が薩摩隼人だと睨まれます。「天狗」は側にあったカステラ何切れかを紙に包み、口止め料だとよこします。下加治屋町郷中の少年といとうは、カステラを美味しそうに食べますが、小吉はその紙に書かれた"Cangoxina"の文字に興味を惹かれます。

この時出会ったいとうは、その後行われた妙円寺詣りでも一緒になります。いとうは俊足であり、他の郷中の少年たちを追い抜いて行きます。最終的にいとうのおかげで、下加治屋町郷中は1位になり、餅をもらえることになります。しかしそこへやって来た平之郷中の少年たちが、いとうに、岩山家の娘ではないかと言い、女であることがばれてしまいます。いとうの本名は岩山糸でした。自分も郷中で勉強したい、剣術を学びたいと思っており、甲突川での相撲を見ていて、男装することを思いついたようです。よくそれまでばれなかったなと思いますが、それはさておき。あらすじと感想でも書いていますが、小吉は出て行けとも言わず、また糸の言葉にすんなり同意もできずにためらいます。結局糸は、女でない者に女の気持ちはわからんと言い捨てて去って行きます。

小吉に、弱い者や女性に対する意識が芽生えたといってもいいでしょう。その後女装して町へ出て、女であるというのがどんなものか体験してみます。実際そこで突き飛ばされたり、洗濯物を男女別に洗うのを見たりするのですが、当然というか父吉兵衛に叱られて連れ戻されます。戻る道すがら、小吉は殿様の側に仕えたいと父に言いますが、吉兵衛はそれは無理だと言い、下級武士はそろばんができなければならないと答えます。そこで小吉は剣術に打ち込むことになりますが、その後下級武士であることの辛さを痛感することになります。

ところで糸が登場するシーンですが、普通の女の子の格好をしている時は甲突川の橋(ここは実によく登場します)など、比較的小吉に近い所にいます。一方男装をしている時は、磯御殿や妙円寺詣りなど、いわば「非日常の」空間であることが多いです。小吉に近い場所では女の子の格好というのは、後の吉之助の妻となるその暗示と取れなくもありません。一方で非日常空間で男装というのは、小吉や少年たちの同志的意味合いが感じられます。男装ではありませんが、後に高千穂まで菊次郎を見舞いに行く、その布石のようにも思えます。

西郷どん1糸の正体 
糸(渡邊このみ、左)が女であるとわかり、驚く小吉(渡邊蒼、右)
(西郷どん公式サイトより)

[ 2019/03/05 01:00 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

みなさまの声と西郷どん

前から書こうと思っていたのですが、NHK「月刊みなさまの声」2018年12月号の、『西郷どん』のデータに関してざっと触れておきます。

NHKに寄せられた意見の中では、
好評意見 1,525
厳しい意見 2,261
問い合わせ 10,556
その他 1,589
となっています。

これでは直近5作品のデータが比較されています。総数は15,931件で、直近5年間では『真田丸』に次いで2位となっています。厳しい意見1に対し、好評意見は0.7ほどです。ちなみに5作品中一番好評意見が多いのが『真田丸』、次が『おんな城主 直虎』となっています。個人的に『直虎』の好評意見はどうかなと思いますが、この2作品はSNS、特にツイッターで盛り上がったこともあり、その結果好評意見が多く寄せられたかと思われます。

好評意見は俳優さんの演技、OPや脚本、演出に加えて、方言もわかりづらいけどよかったという声があります。一方で厳しい意見としては、薩摩言葉がわからない、セリフが聞き取りにくい、西南戦争をもっときちんと描いてほしいなどに加え、台風での番組放送中止の対応、それによるBSの放送のダブりなどが挙げられます。なお好評意見は女性に多く、年配の男性では好評意見もありますが、厳しい意見も多くなっています。

それからこのデータに特徴的なのは、問い合わせの多さです。全体の3分の2ほどが問い合わせとなっています。主に薩摩言葉、タイトルバックの映像などに加え、ここでもやはり台風で中止された時の問い合わせが多いようです。特に台風で中止となった「江戸無血開城」の回などは大部分が問い合わせで占められています。

最終回のツイートが14ページで紹介されています、興味のある方はどうぞ。
(NHK ONLINE 月刊みなさまの声2018年12月)

[ 2019/03/01 23:15 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

そろそろ西郷どんの復習を始めます

まず先日の海自東京音楽隊関連投稿ですが、村上さんの口上と『西郷どん』のOPはアンコールの時のものです。これは投稿分にも加筆しています。

そろそろ『西郷どん』の復習を始めようかなと思っています。復習といっても、今までの分の録画をもう一度観返して、文献や資料などと照らし合わせてみる程度のものですが、意外と今までに発見できなかったものが見つかるかもしれません。薩長同盟の際の薩摩琵琶に関して、確かめておきたいものもありますし、一応公式サイトが削除される前に、あれこれ参考になりそうなコンテンツをキャプしてもいます。昨年鹿児島に行きたくて行けなかったのですが、今年もまた秋にはワールドカップもありますし、どうなることやら。

しかし一口に幕末といっても、その舞台になる土地により受け止め方は様々です。無論薩長土肥も、それぞれの藩により事情は異なります。先駆者としては薩摩だとは思います。日本の南端にあって、東シナ海が近いことから、アジアに拠点を築こうとする西洋列強の存在も感じていたでしょう。長州との違いとしては、吉田松陰のような思想家がいなかったこと、一部藩士が血気にはやって攘夷を行った点がなかったことなどが挙げられます。過激な思想の持ち主は、寺田屋事件で処分されていますからね。

司馬遼太郎氏は、薩摩の気風として理屈を好まないこと、大親分的な人物(たとえば西郷隆盛のような)に従う傾向があるということを挙げています。考えてみれば、島津斉彬も若い頃の西郷の「親分」的な存在ではありました。こういう気風とはやや異なる存在であったことが、大久保利通が疎まれた一因となってもいるようですが、もちろんそれがすべての薩摩藩士に当てはまるかどうかはわかりません。一方長州は理屈好きであり、さらに親分的存在を好まない、桂小五郎でさえそうではなかったという点が挙げられています。

それにしても、男性が主人公の長州大河を観たいものです。

飲み物ーホットワイン 
[ 2019/02/12 01:15 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

西郷どんまとめ3

まとめもこれが最後になります。まず『西郷どん』エピ関連でも散々書いていますが、やはり史実が描かれていないとか、西南戦争をもっと描けという人は多かったようです。しかしこの大河のコンセプトは、それよりも西郷隆盛の家族、人との出会いが重視されているわけですから、必然的にその部分の比重を大きくすることになるでしょう。しかもどのようなコンセプトであるかは、事前にこう書きますと発表されているわけです。無論西郷が主人公だからと言っても、スタッフによって、あるいは社会情勢によって大きく異なっても来ます。糸は吉之助の幼馴染ではないとか、男装するのはおかしいという指摘もあったようですが、これはそもそもがそういう物語ですし、それを言うなら『翔ぶが如く』の糸も男装してはいたのですが。

また放送開始前に、「翔ぶが如くファン、篤姫ファン、八重の桜ファンと原作者、脚本家アンチの批判が予想される」といったツイを見たこともあります。個人的に『翔ぶが如く』との比較、原作者や脚本家が好きでない人の意見は目にしたことがあります。しかし『篤姫』ファンの意見はあまり見たことがなく、『八重の桜』関連の意見を一番多く目にしたのは、何と言っても『武将ジャパン』でです-とはいえ、武者氏がこの大河の真のファンなのかは疑問ですが。その意味では、この大河は最初から、かなり逆風に立ち向かっていたのだなとも思います。「西郷大河」の模範的存在である『翔ぶが如く』とは、また違った西郷像を描こうとしたわけですから。しかしやはり、他の大河と同一に論じる、そして原作者や脚本家の好き嫌いで論じるというのは、如何なものかなと思います。以前、あまり好きでない作家の本が原作の大河がありましたが、それ自体は好きで観ていました。

ところで前出武者氏が、『西郷どん』総評(後編)で、明治維新とフランス革命を重ね合わせたのはとんでもない話と書いています。実際この両者はかなり違いがありますが、それに関してはこういう記事があります。

西郷どんが「革命家」? 大河に違和感を抱く理由
https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20181022-OYT8T50018.html
(YOMIURI ONLINE)

「 大河に違和感を抱く理由」というよりは、なぜ『西郷どん』では明治維新が革命とされたかという内容で、西郷や他の志士がナポレオンに傾倒したかといった理由も書かれ、本のPRも兼ねています。特にこの中で、川口雪篷が「革命」と書かれた旗を振っているところから、革命家という見方をされたようですが、そもそもこの「革命」、私は易姓革命の意味も多分にあるかと思っています。もしこの当時「レボリューション」の訳語としての革命という用語が存在し、それがこの意味で使われていたとすれば、それは記事中にあるように、吉田松陰が唱えた草莽崛起という意味も含まれていたでしょうし、ナポレオンが在野の人々を軍としてまとめ上げ、旧体制の軍に打ち勝ったことに共感したとも考えられます。

それから、糸の除幕式での言葉です。
「うちの旦那さぁはこげな人じゃなか」
このシーンは総集編では最後の方に登場し、西田敏行さんの含みを持たせた言葉で終わりました。なぜ彼女はこう言ったのか、やはり浴衣姿で犬を連れてなどいないということでしょうか。これはその後のシーンがヒントになりそうです。鈴木亮平さん演じる吉之助が、着物を片肌脱いで犬と猟をするシーンで、この総集編は幕を閉じます。つまりこの大河では、西郷がいわばラフな格好で犬を連れているわけです。それを考えると、やはり銅像と言うのは正装であるべきであり、なぜこのような姿の像を作ったのかと抗議した、そのように考えられるかもしれません。

今回は主人公が、当初はやけに叱られたり怒鳴られたり、果ては蹴られたりするシーンが登場しました。こういうシーンに、こんなの西郷じゃないと思った人もいるかもしれません。しかし下級武士出身で、若くて未熟者という設定であれば、こういうシーンも出て来てもおかしくはないわけです。むしろ『真田丸』の大坂の陣の最中とか、『おんな城主 直虎』で、次郎法師が直親の遺志を継ぐというところなどで、主人公が衆目の中で自分の心情を吐露するようなシーンがありましたが、ああいうのがなかったのは評価できました。こういうシーンも使い方によっては効果的ですが、どこか学園ドラマ的で垢抜けない印象もありますので。

この大河になぜ惹かれたのか、理由は様々です。しかしこれは、第47回の感想で引用した記事にありますが、やはり「スーパーヒーローでない」西郷隆盛に惹かれたというのが、一番大きな理由です。

飲み物-グラスビール
[ 2019/01/07 00:30 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

西郷どんまとめその2

では視聴率に行きたいと思います。視聴率についてはあまりとやかく言いたくないのですが、参考までに。まず『西郷どん』の平均視聴率は12.7パーセントで、これは前年の『おんな城主 直虎』よりも0.1パーセント低い数字でした。無論これは関東地区での数字です。一般に幕末物、それも薩長土大河は、関東では数字が低く出がちです。そしてまた『直虎』の方も、戦国大河としてはかなり視聴率が低かったといえます。ちなみに幕末大河の平均視聴率で、過去の例を挙げてみると

竜馬がゆく(1968)14.5パーセント
花神(1977)19.0パーセント
翔ぶが如く(1990)23.2パーセント
篤姫(2008)24.5パーセント
龍馬伝(2010)18.7パーセント
花燃ゆ(2015)12.0パーセント

こうなっています。当該作品が放送された当時の、他の時代を舞台にした作品と比べると、概して低いのが特徴です。
また幕府方を主人公にした場合ですが、

三姉妹(1967)19.1パーセント
勝海舟(1974)24.2パーセント
徳川慶喜(1998)21.1パーセント
新選組!(2004)17.4パーセント
八重の桜(2013)14.6パーセント
さらにこの両方の人物が主人公となる『獅子の時代』(1981)は21.0パーセントです。幕府方だから必ずしも高いともいえないようです。

それにしても『竜馬がゆく』の数字ですが、今の基準で見ても決して高いとはいえません。『八重の桜』より低いのです。その一方で、『篤姫』の数字は驚くべきものがあります。しかし戦国時代を舞台にした作品ほど高くはありません。むしろ戦国時代の方が、長きに亘って戦いが続き、しかも現代に直結していない分、番組制作においてかなりのアレンジができるというメリットがあるからでしょう。

ここで最近3年間の数字をグラフ化したものを貼っておきます。
青-真田丸
オレンジ-おんな城主直虎
グレー-西郷どん
です。
直虎と西郷どんはほぼ重なっていますが、中盤は直虎、始めの何話かと最後の方は西郷どんがやや高くなっています。『真田丸』『直虎』は終盤の数字が低めでしたが、『西郷どん』は最終回が数字がそれまでよりも高めに出ています。

大河視聴率推移 

それから総合視聴率ですが、これは『西郷どん』が18パーセント、『直虎』が17.3パーセントで、こちらの方では前作を抜いています。実際ビデオリサーチのサイトを見ていて、かなり総合視聴率が高い時もありました。BSもしくは録画で観ている人が多いと見るべきでしょう。最近はテレビ離れもあり、またタイムシフト視聴もあるため、リアルタイムの数字だけでその大河を推し量ることも難しくなっているといえそうです。しかしそれを考えると、『花燃ゆ』『平清盛』の総合視聴率はどの位だったのでしょうか。

そして前にも書いてはいますが、もちろん地元では、リアルタイムの視聴率はかなり高く(30パーセント)出ています。

それから余談になりますが、昨日触れた「史実」絡みで。戦国関連になりますが、「直江状」というものがあります。これは『天地人』『真田丸』で登場しているのでご存知でしょう。『天地人』の時はやたらに長い書状となっていましたが、『真田丸』ではそれがいくらか抑えられ、直江兼続に書状を送った西笑承兌も出ていました。但しどうも「家康を怒らせた」というイメージは払拭できないようです。実際はこの直江状は、徳川家康が会津の様子に難色を示しているから、実情を知らせるようにと言う承兌の要請に応じて、兼続がしたためたものです。実際家康はこの件で、承兌に礼を述べています(『鹿苑日録』より)。直江状に関しては北の関ヶ原1にも書いています。せっかく直江状を出すのなら、この辺りも描いてほしいなと思ったものです。また会津攻めに向かった家康が、石田三成の挙兵を知って開いた小山評定、これもなかったとする説もあります。

私も以前から史実が大事という点については書いています。しかしこれは『花燃ゆ』絡みで書いてもいますが、『花神』を手掛けた成島庸夫氏の「史実と史実の谷間にある多くの有りそうな話を綴ってゆく」というのが、やはり大河の基本かなとも思います。その一方で、歴史上あったとされることは、必ずしも固定されたものではなく、後々の研究によって変化して行く可能性もまたあるわけです。さらに、その史実は本当に史実なのかということもあります。たとえば歴史小説などには、作者によるフィクションも混じっていますので、史実か否かは、やはり自分で文献を当たるのが一番いい方法だろうと思ってはいます。

飲み物-ランプと水とウイスキー 
[ 2019/01/06 00:00 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

西郷どんまとめその1

ではいよいよ、『西郷どん』まとめに行きます。と言っても今後しばらく関連した投稿を続けると思いますので、ざっとではありますが。その前に「印象深い3人」として、この人たちの名前を挙げておきます。

熊吉
幾島
西郷小吉

いささか年齢不詳気味の熊吉は、塚地さんが正に適役でしたし、幾島もあのお婆ちゃん然としたところが様になっていました。南野陽子さんの演技力に敬意を表したいところです。そして西郷小吉、つまり吉之助の少年時代を演じた渡辺蒼君、自顕流の稽古のシーン、右腕を斬られてひどく落ち込むシーン、そして島津斉彬と出会うシーン等々、かなり印象に残るものがありました。第1回だけの登場でしたが、また何かで出て来てほしいものです。

それからいい点とよくない点に関して。
この大河は私自身好きだったこともあり、その意味で「あばたもえくぼ」状態であったかとは思いますが、吉之助の成長物語と位置づけ、家族や人との出会いを中心に描いた点は評価できます。これもまた一つの描き方ではあるでしょう。特に島編は丁寧に描かれていました。この島編に関しては、長すぎるとか、これを削って京都編に回せと思った人もいたかとも知れません。しかしこの大河では、島編が大きな役割を果たすわけですから、むしろこの部分に尺を割いてよかったのではないかと思っています。
よくない点としては、やや粗削りな感があったことです。どうしても吉之助や、身近な人々との描写が中心になるため、お由羅騒動や薩英戦争が端折られたふしはあります。後の薩摩藩に影響してくるわけですから、多少それらしき描写があってもよかったかとは思います。但し、久光への直訴のため重富島津家へ向かうところとか、赤山靱負の切腹はきちんと描かれていました。西南戦争に関しては、真意がやや見えにくいところもありましたが、西郷隆盛自身が謎の人物というところがあるため、それはそれで納得できます。

それからこれは何度か書いていますが、そしてあるツイートから関連ツイを見て行ってわかったのですが、やはり『翔ぶが如く』と比べる人はいるようです。そのツイートをした方も、こういう比較には批判的なようでした。そもそも『西郷どん』は『翔ぶが如く』のリメイクではありません。同じ西郷を主人公にしてはいますが(『翔ぶが如く』は大久保利通も)、この2つは全く別の作品です。先行作品の無謬性にこだわるのも如何なものかと思います。『翔ぶが如く』もフィクションが入っていますし。

史実は大事なのですが、ドラマである以上当然フィクションは入ります。そのフィクションをどう受け止めるかは、最終的には個人の判断に委ねられます。それと史実と一口に言っても、複数の説があり、しかもそれぞれ微妙に違うこともあります。意外なものが史実だったというのもまたあるわけです。今後も鹿児島の歴史関連でまた投稿予定ですが、その中で、あるいは意外な発見があるでしょうか。

それと今回もこの方関連で申し訳ないのですが、武者氏の『西郷どん』関連記事で、第1回で子供たちが(有村)俊斎坊主の提案で、磯御殿に忍び込んで菓子を盗もうとしたのがけしからんという記述があります。確かにけしからん行為ではありますが、それを言うのであれば、『おんな城主 直虎』で、次郎法師は出家の身でありながら、畑の野菜を盗んでしまっているのですが、それは構わないのでしょうか。あれは本人の出家生活に対する考えが甘すぎたこともありますが、この時周囲は出家生活の厳しさを説くというより、娘のおかげで本領安堵になって、有難がるという描かれ方だったのもやや疑問です。

飲み物-キャンドルとワイングラス
[ 2019/01/05 00:45 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

『西郷どん』3人の注目すべき登場人物

本来ならば今年の大河について、あれこれ書くべき時期となっているのですが、今回は例外的に、年が改まってから『いだてん』が始まるまでの間に、2回ほど投稿予定です。

そしてこの投稿では多少雰囲気を変えて、まず注目した登場人物について挙げたいと思います。無論メインのキャストといい、脇役といい結構味があったと私は思いますが、この3人は特に注目したい人物です。

愛加那
今回は島編を重視したこともあり、この愛加那(とぅま)の存在が目を引きました。無論実際には、現代のドラマで描けないようなやり取りもあったでしょうが、その当時の薩摩藩と奄美大島との関係に関しての描写は、見るべきものがあったと思います。彼女の手の入れ墨であるとか、島唄なども如何にもそれらしさを感じさせました。二階堂ふみさん、これで3度目の大河ドラマ出演ですが、この役は彼女にふさわしかったかと思います。最終回の、西南戦争後に歌うシーンは何やら「挽歌」といったイメージでした。

小松帯刀
これまで幕末大河に欠かせなかった坂本龍馬ですが、この大河では、その龍馬とほぼ対等になったとも思われる存在です。『篤姫』で瑛太さんが演じたことで脚光を浴びた部分もありますが、この時はまだ若く書生臭さがありました。主人公の初恋の相手という設定もあってのことでしょう。しかし今回は、薩摩藩の家老として、吉之助の同志としての描かれ方がメインであり、そのためいくらか政治家的な部分が加わってもいます。また御花畑の小松邸での薩長同盟締結が描かれたのは、今回が初めてでした。

島津久光
かなり癖のある国父様です。元から兄の薫陶を受けた吉之助とは、折り合いが悪かったという描かれ方になっています。そのせいもあり、当初はヒール的な印象もあったのですが、徐々に悪役的な印象から、士族たちに自重を促す存在へと変化して来たようです。実際この人物は、維新後も髷を切らず、和服で通したので有名ですが、この大河では、急激に変化するのを戒めるという意味合いも持ち合わせていたと思います。一方で薩摩から出られない自分にあやかって、亀を飼ってみたり、また「迷悟もどき」の一節を口にするなどといったシーンもありました。

それから、鹿児島(あるいは薩摩藩)の歴史に関しての投稿を来年から始める予定ですので、それに絡めて書くという方法も考えています。いずれにしても結論が出るのは、年が改まってからになりそうです。

そして『いだてん』のガイドブック、買いました。大河といっても近代が舞台であるため、これまでとはいくらか違う雰囲気になっています。無論どのような作品になるのかは、観てみないことにはわかりませんが。

それと主人公の母親役で、宮崎良子さんが出演です。この人は熊本出身なので、熊本弁はかなり堪能であるかと思います。しかし宮崎さんといい大竹しのぶさんといい、主人公の母親を演じる年齢になったのですね。

  飲み物-赤いカクテル
[ 2018/12/30 00:45 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

西郷どん第47回感想続き-時代の変化と大河、そして後に残った人々

まずはこちらの2つの記事についてです。

最終回「西郷どん」暗殺された大久保のとこに「忘れもんをした」と死んだ西郷が戻って来たのかと思った 
(exciteニュース)

NHK放送総局長 終了の「西郷どん」に「素晴らしいドラマを作ってくれた」
(スポニチ)

最初のexciteニュース。このライター氏には、実はあまり共感したことはなかったのですが、『西郷どん』の一部の記事は同意できました。近代物を描くには、それでなくても考証などが難しいのに、記事中にあるようなポリティカル・コレクトネス、所謂ポリコレもあって、主人公の思想を強く出すのが難しくなっているのは確かでしょう。文中にあるような「その(ポリコレの)波に飲まれた悲劇の大河ドラマ」という印象はありませんでしたが、以前の幕末大河に比べると制作面での制約も多かったかと思われます。特にNHKはかなり自主規制しているようにも見えますし、それが女性主人公の幕末大河が制作された一因でもあるでしょう。

そういう中で西郷隆盛を描くとすれば、最初から大いなる思想を持ったリーダー的存在というよりも、自らも下級武士出身であり、庶民の味方としての主人公が、時代の変化に伴ってリーダー的存在に押し上げられて行く、その成長過程という形を取らざるを得なかったのかもしれません。記事中のこの部分に、それが表れているかと思います。
戦国ものならまだしも、幕末ものはまだ記憶が生々しい。戦ったあちらとこちらのどちらの視点で描くか、悩ましい。結果、西郷隆盛は、清濁併せ呑む、聖人のように、といって天の人ではなく、あくまで地に足をつけ、庶民のために行動した人として描かれた。鈴木亮平は、このスーパーヒーローではない西郷隆盛を立派に演じきった
この記事の最後に、来年の大河についても触れられています。来年は明治後期からのドラマであり、より今の時代に近づいているため、スポーツプロパーで、史実ベースのフィクションとして描かないと、さらに描きくいというのもあるでしょう。近代物だと、様々な面で現代につながる描写、それも史実ベースでと期待する声もあるかもしれません。しかし、それは結構難しいと思います。左右どちらからもクレームが来る可能性が高そうです。

そしてその次の、木田総局長によるコメントです。NHK関係者としてのコメントですが、私としては特にこれに対して異存はありません。とりわけ
時代が変われば、大河ドラマで一度取り上げたことある素材でも全然違う
にはかなり同意できます。前出の制作面での制約や、ヴィンテージ物の大河を、今そのままでは作れない点にも関連しています。木田氏のコメントにある視点の新しさ、あるいは視点を変えなければならない部分というのはどうしても出て来るでしょう。以前同じような薩摩大河でも、『翔ぶが如く』とこの『西郷どん』は別物だし、描かれ方も違うから比較は難しいといったことを書いたことがあります。

主人公が共通する以上、似たようなシーンも登場しますし、それがしばしば比較対象になることはあります。ただコンセプトは全然違うわけですから、どちらがいい悪いとはなりにくいでしょう。無論『翔ぶが如く』そのものも面白いのは事実ですが。あと主人公が男性か女性かでも描かれ方は違いますが、これについてはまた改めて。なお視聴率ですが、東京13.8パーセント、大阪15.8パーセント、鹿児島では30パーセント超えで、北部九州では18パーセント(373news.comより)となっていました。この数字で見る限り、やはり西へ行くほど視聴率が上がっています。『軍師官兵衛』も、北部九州で25パーセント近くあったようですから、地元、準地元の数字はやはり高いと見るべきでしょう。

第47回では、単に西南戦争だけではなく、後に残された人々の表情も色々登場しました。西郷家の人々は言うまでもありませんが、最後まで登場した国父様こと島津久光、亡兄斉彬の写真のそばで、碁石を片付け始めたのは、この戦いの正に「終局」を予感したからでしょうか。そしてヒー様こと徳川慶喜、なぜ俺みたいに逃げなかったと言うものの、隆盛は敢えて逃げなかったといえます。その慶喜を一喝した勝海舟は龍馬とよろしくやってくれと言いますが、龍馬もさることながら、彼のパートナーといえば、やはり大久保利通ではあるでしょう。それと全体的に鰻が多く出て来る大河でしたが、当時はやはり獣肉よりも、簡単に手に入る蛋白源ではあったと思われます。だから寺田屋事件の前に、鰻を取って食べたというのは、可能性としてはあったかもしれません。

なお『西郷どん』の総集編の放送ですが、

12月30日(総合テレビ)
〈第一章〉薩摩 午後1:05~2:05
〈第二章〉再生 午後2:05~2:55
〈第三章〉革命 午後3:05~4:25
〈第四章〉天命 午後4:25~5:35

1月2日(BSプレミアム)
午前8時から4本続けて放送

このようになっています。
(公式サイトより)

飲み物-コーヒーとキャンドル
[ 2018/12/26 00:45 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)

西郷どんの歴史的背景40-紀尾井坂の変と燕尾服と博覧会

大久保利通殺害(紀尾井坂の変)の主犯は、石川県士族の島田一郎であるといわれています。この人は西郷隆盛に共感していて、実際西南戦争では、実現しなかったものの挙兵計画も立てたことがありました。しかしその後方針を変更し、政府高官暗殺を計画するようになります。この標的になったのが内務卿大久保利通で、これに関しては川路利良の耳にも入っていましたが、ことを軽視したため、この暗殺に及んだものとされています。後世の人間からすれば、なぜ要人に護衛がつかなかったのか、かなり不思議なものではあるのですが…。なお島田らは後に自首し、この年の7月に処刑されています。また利通はこの時隆盛からの手紙(『西郷どん』ではCangoxinaの紙)を持っていたといわれています。この時の馬車は、後に遺族により倉敷市の五流尊龍院に奉納されました。

『西郷どん』では、隆盛が内国勧業博覧会で降伏しなかったという知らせを聞き、その後の演説で言葉に詰まってしまいます。恐らく心中密かに降伏を期待していたのでしょう。ところでこの時彼が着ているのが燕尾服、ホワイトタイです。フロックコート姿とは違い、タイもベスト(ウエストコート)も白で揃えて、ドレスグローブと呼ばれる手袋をはめています。ちなみにアメリカ合衆国大統領が、ホワイトハウスで晩餐会を行う場合に、ホワイトタイで出迎える人物が3名います。まずローマ法王(教皇)です。それからイギリス国王もしかりです。さらに我が国の天皇陛下となります。

ところでこの内国勧業博覧会、全部で5回行われています。最初の、明治10年の上野での博覧会では、まだ銘品などの出品に留まっていました。その後は徐々に大掛かりなものとなり、京都や大阪でも行われています。第2回博覧会で使用された建物は、その後上野博物館となりました。しかしそれ以前に、国際(万国)博覧会にも出品を行っていて、出品された浮世絵は後にジャポニズムとしてもてはやされました。万国博覧会には特別博と認定博(園芸など目的が限られている物)、一般博があり、1970年にアジアで初めて開かれた大阪万博は一般博で、このタイプの博覧会は登録博と改称され、今に至っています。

飲み物-カクテルとオイルランプ
[ 2018/12/24 00:30 ] 大河ドラマ 西郷どん | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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