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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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花燃ゆまとめその5 NHKの姿勢

『花燃ゆ』まとめの最後です。今回の大河は制作現場の企画ミスと思われるところが多分にありますが、その制作現場に口を挟めない経営委員会もどうかと思います。恐らく制作の方で、上から口出しされるのを嫌う部分もあるのでしょうが、今回のように数字が取れず、テコ入れしてもぱっとしない場合は、経営サイドも再検討して、打ち切りなり、あるいは何らかの方法で代替策を考えるなりするべきでしょう。ここで一番気の毒なのは、プロデューサーや脚本家以外のスタッフと出演者です。特に出演者のみが矢面に立たされている一方で、プロデューサーはわれ関せずといった印象が強く残りました。現場に丸投げにすると、その時々のプロデューサーによっての出来不出来がかなりはっきりします。いい時はいいのですが、悪い時に何らかの対策を打ち出せず、そのまま現場に任せっぱなしにしないためにも、組織そのものの改善及び再編が必要でしょう。

NHKはかつてはお役所的でお堅いといわれながらも、それなりの作品を作っていましたが、ここのところ民放の劣化コピーのような番組が多いのも、残念ながら事実です。紅白にしてもそうです。そうしないと若い世代が観ないというのでしょうが、むしろ逆で、民放で観られるもの、しかもそちらの方が遥かに面白いものを、わざわざNHKで観る必要がないというのが、本当のところではないでしょうか。番組のレベルがすべてとはいわなくても、一部は明らかに落ちていて、なのに受信料を取るとなれば、スクランブル化やNHK解体の声が出て来て当然です。スクランブル化の場合は、ニュースと気象・災害情報だけノンスクランブルでやればいいだけの話です。むしろ自分の観たい番組にのみお金を払うぶん、ずっとわかりやすいといえるでしょう。

ところで『真田丸』のチーフディレクター、木村隆文氏のコメントにこうあります。「史実にない部分を想像して隙間を埋めて行くのが、大河ドラマを含めた歴史ドラマの醍醐味」。これは1977年の『花神』(『花燃ゆ』との比較で何度も引き合いに出させてもらいました)の、成島庸夫チーフプロデューサーの「私達は、史実を史実として描くのではありません。史実と史実の谷間にある多くの有りそうな話を綴って行くのです。いわゆる「歴史ドラマ」の楽しみとは、こういった「ドラマ」を史実の谷間に見出すことなのでしょう」(『花神』大河ドラマストーリーより)に近いものがあります。大河ドラマの制作担当とは、この感覚を共有できる人物に限られるでしょう。いわば、他のドラマは作れても、本来の大河を作れる人物というのは非常に少ないのかもしれません。NHKはそのことを今後念頭に置くべきでしょう。でないとまた『花燃ゆ』のような作品が出て来てしまいますので。しかし今年は大河も面白いとは感じられませんでしたが、紅白も面白くないですね…。

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[ 2015/12/31 20:50 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆまとめその4 時代考証続き

『花燃ゆ』時代考証関連でもう少し。美和(文)が久坂の死後、藩政をつかさどることになった椋梨藤太の屋敷に行って、夫の死について椋梨に問いただすシーンがありますが、あれもおかしなものです。何も椋梨が蛤御門の変を指揮したわけではありません。当方のあずかり知らぬことといわれるのが落ちでしょう。しかもきちんと筋道立てて述べるのならともかく、椋梨に取りすがって半狂乱になる有様です。あれでは、無礼討ちされても文句はいえないでしょう。身分の上下というのは、現在考えられているのよりも緩かったといわれていますが、それでも一応は存在しましたし、身分が異なる者が気安く立ち話というのもありませんでした。『天地人』で、直江兼続と家臣が廊下で立ち話をしていたのを思い出します。

しかも奥女中になるきっかけがまた、藩主に兄や夫の死について問いただすというもので、これでは私怨で奉公に上がったと思われても仕方ありません。もちろん、蛤御門に直接かかわったわけでもない藩主に問いただすのも筋違いです。しかもこの時の公式サイトやガイドブック(大河ドラマストーリー)には、緑の打掛をまとった美和の画像と共に、「志、曲げませぬ」とあります。この「志」とは、身内の死について問い詰めることだったのでしょうか。そもそも美和の「志」が何であったのか、ドラマが終わった今でもよくわからない状態です。このドラマには「志」や「至誠」が頻繁に登場するため、何かこういう言葉自体が安っぽい印象を与えている感があります。 本来、使うべきところで使うと非常に重みがある言葉であるだけに、もったいない話です。あと椋梨の酒に毒を盛るとか、その結果座敷牢に入れられて泣きわめくシーンなどは、本物の楫取美和子さんが見たら怒るのではないでしょうか。

本物の美和子さんは、久坂の死後は家で菩提を弔っていて、その後明治近くになって、要請されて守役になるわけです。そしてその後も、姉の寿が群馬に行って病気になったため、初めて群馬に行くのですが、とにかく美和が主人公である以上、空白の部分を作れないから、奉公も群馬行きも前倒しにしなければならない。それはわかるにしても、ドラマの作り方がどこか安易です。なお、群馬編の「学びの場」も実際にはなかったといわれています。この時期学制が交付されて、既に小学校は作られつつありました。ただ当初は月謝が必要で、しかも子供も労働力であったため、親がなかなか学校に行かせ無かったこともあり、その後義務教育は無償となっています。女子教育に重点を置く辺り、何か『あさが来た』を意識しているようにも見えます。もちろん広岡浅子さんは日本初の女子大学を作ったわけで、むしろこの人の方が、まだ大河にふさわしかったのかもしれません。
[ 2015/12/30 23:30 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆまとめその3 時代考証

この大河の人物設定に違和感があっても、時代考証が一応きちんとなされていればまだ観られるのですが、これがまたどう見ても現代的視点でした。玄関口で立ったまま話すのもおかしいですし、「ごはんですよ」なんて表現も果たしてその当時あったでしょうか。無論群馬編の「お手伝いさん」なんて言葉も第二次大戦後、女中さんの代わりとして出て来た表現と思われます。他にも 上士の妻である高杉雅と美和がぺらぺら喋ったり、久坂の妻なのに姉の夫の伊之助と2人で馬関まで行ったり、時代的背景を考えるとあまりにも不自然な光景が多いのです。

しかもNHKのPRがまたおかしい。幕末男子云々はいうにおよばず、公式サイトや萩城の奥(といっても、そもそも奥はなかったといわれています)を大奥呼ばわりしたり。大奥は本来江戸城のみに許された呼称でしょう。それから歴史用語が視聴者にわからないと思っているのか、やたらにサイトやガイドブックで簡易な表現にしてしまっていて、かえっておかしくなっているものもあり。実は『真田丸』のガイドブックでも、垂髪のことをロングヘアなんて書いていましたが、垂髪では何か不都合があるのでしょうか。ちなみにこの垂髪、「すべらかし」ですが、現在の女性皇族やかつての宮中の女性たちの、前髪を大きく張らせたものではありません。江戸時代初期ごろまでの女性が、髪を後ろで元結で束ねていますが、あの髪型のことです。文章がおかしかったり、あるいは変に簡易化したりするのは、NHKに限らず他のマスコミにも見られますが、それはまた改めて書く予定です。

閑話休題。そういうわけで、殊更に難しいとも思えない言葉や習慣を変にわかりやすくしてしまうから、何か話に奥行きが感じられなくなるのです。しかも小田村伊之助が長崎のグラバー邸に赴くところがありますが、画面で見る限り普通の民家で洋風建築には見えません。おまけに最終回の機関車のシーンですが、どう見ても一部架線が見えています。ああいうのの処理をきちんとやってほしいのですが。それから、高杉晋作の大田・絵堂の戦いは、冬のはずなのに青草が茂っています。またこの高杉は1867年4月14日、グレゴリオ暦の5月17日に亡くなりますが、あろうことか美和が夫人の雅を差し置いて看病し、しかもなぜか5月半ばに桜が咲いている設定になっています。まさかグレゴリオ暦の4月14日と間違えたわけではないでしょうが…加えて高杉を看取るのは美和と雅と長男の東一だけ。当時まだ両親も健在で、初代奇兵隊総督の高杉の臨終にこれはありえません。これも前に書いてはいますが、高杉は労咳だったから子供はそばに寄せ付けなかったはずです。無論、若君の守役の美和が看病に行くことなど考えられません。

また鳥羽伏見の戦いで、薩摩軍の将校が赤熊をかぶっていますが、あれは戊辰戦争になってからのものです。その戊辰戦争がまた描かれず、もちろん箱舘戦争もありませんでした。いつの間にか明治になって、明治政府が出来ていたことになっていますが、当時の吉田松陰の薫陶を受けた人物の活躍が、全くといっていいほど描かれないのも妙なものです。明治維新後の士族の反乱でも、なぜか必ず美和が出て来て例の如くお握りを作ったり、あるいは萩の乱も鳥羽伏見の戦い同様、突如起こったかのようになっています。もちろん萩の乱は、神風連の乱や佐賀の乱など、各地で起こっていた反乱に触発されてのものです。しかもそこに美和が駆けつけるという、無理やりな展開になっています。

それからこれもかなりおかしな話なのですが、萩の乱の責任を取って、松陰の叔父である玉木文之進が自刃します。しかし、介錯人が登場しません。これは西南戦争の西郷吉之助(隆盛)の自刃でも同様でした。普通切腹となれば、誰かが介錯するものなのです、でないと自刃した本人が相当苦しいらしいので。しかしそういった部分が無視されてしまっています。元々玉木文之進の介錯をしたのは、美和の長姉である千代といわれています。しかしこの大河では、この千代が始めからいなかったことになっています。ならば美和が介錯するということも考えられたのですが。とにかく、毎回観ていてあまりにもおかしな点が続出する大河であり、時代考証がいい加減であるのか、プロデューサーや脚本家が考証を無視していたかのどちらかであると考えられます。
[ 2015/12/30 00:16 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆまとめその2 人物設定

昨日に引き続き『花燃ゆ』のまとめですが、今回は人物設定についてです。主人公の美和(文)もそうですが、登場人物の多くが本来とは違った役割を持たされているのが、この大河の特徴です。美和を主人公にする以上、そうならざるをえません。登場人物の中で、本来の姿に近いと思われるのが吉田松陰、高杉晋作、杉家の人々や「そうせい侯」毛利敬親でしょう。後は美和と伊之助に合わせる形で、かなり改変されていると思わざるを得ないのです。そもそも長州大河なら準主役的存在であるべき伊藤利助や井上聞多、品川弥次郎などがどこか脇役的になっているのも、美和と伊之助が主役であるため、この2人に幕末維新の功績を担わせたことが大きいでしょう。

もちろん、美和を主人公にするには相当無理がありました。そもそも、なぜ彼女を主人公にしようとしたか、なぜその企画が通ったのかその理由を知りたいほどです。それに主人公にするといっても、何も出張らせる必要はないのです。彼女を語り手にして、幕末の長州の様々な場面を回想させるという展開でもよかったはずです。それならば、志士たちも前面に出て来ることができたわけですし、美和の存在もドラマで描くことができたのです。無論時系列を弄る必要もなかったでしょう。

主人公すなわち一番出番の多い人間にしてしまうから、脚本家が実際はありもしない美和の功績話を書くことになり、ひいては本来の主役である志士たちを脇に引っ込めてしまう結果になったのです。志士たちもそれぞれのやったことを描けばいいのに、殆どをもう一人の主役である小田村伊之助に任せてしまったため、彼が必要以上に顔をのぞかせることになってしまったのです。本物の小田村伊之助はそのような人物ではありません。結局美和の初恋の相手だったという前提で、終盤で再婚させるために延々この2人で引っ張って来たといえますが、これでは大河ではなくてメロドラマです。

また美和の描かれ方が、最初の夫の久坂とは仲が悪い、夫に死に別れたら養子である甥を家に帰して奥に上がる、群馬では病気の姉をほったらかしで(としか見えません)使用人も雇わない、何とも冷淡で自己中心的な女にしか見えません。しかもあれこれ意見したがる割に、口先ばかりでやり通すということもない。描かれ方が現代的であると書いたことがありますが、現代でもこういう女性は如何なものかと思われるかもしれません。

その一方で、美和の姉寿の描かれ方もひどいものです。夫の楫取素彦を支え続けたところはすべてカット、美味しい部分だけを美和がさらって行ったような感じになっています。また楫取が元老院の議官となって、内親王の教育に携わったのも、美和と防府に住んだこともすべてカットです。1億円かけて大河ドラマ館を作った防府市がこれでは浮かばれず、そのため最終回は井上真央さんを呼んでパブリックビューイングを行ったわけです。構成の仕方が如何にも乱暴です。しかも脚本家が変わるたび設定が変わるので、あったはずの伏線が後任者から無視され、まるで違った展開になったのも興を殺ぐ一因だったでしょう。人物のアレンジは多少は必要ですが、それは何らかの形で功績がある人物で、いくらか改変しても人物像がぶれない場合に限られます。
[ 2015/12/28 23:26 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆまとめその1 描かれなかった歴史上の事件

では、『花燃ゆ』に登場しなかった、あるいは詳しく描かれなかった歴史上の事件をまずリストアップしてみます。

  • 安政の大獄(水戸徳川家に加担した大名家への謹慎処分のシーン、まったくなし)
  • 桜田門外の変(襲撃の場面が描かれず、なぜか椿の花が出ておしまい)
  • 和宮降嫁
  • 寺田屋騒動
  • 長州五傑のイギリス留学
  • 蛤御門の変に真木和泉が登場しない(不可欠な人物なのですが)
  • 桂小五郎の逃亡生活(適当すぎ)
  • 四か国艦隊襲撃での講和(はしょりすぎ)
  • 高杉や伊藤の長崎行き
  • 第一次長州征伐
  • 将軍家茂薨去
  • 孝明天皇崩御
  • 大政奉還
  • 坂本龍馬暗殺
  • 北越・戊辰戦争
  • 上野戦争
  • 佐賀の乱
  • 秋月の乱

ざっと挙げただけでもこれだけあります。そもそも安政の大獄は大名家への謹慎が目的で、吉田松陰などは本来は末端の人物に過ぎなかったのですが、なぜか井伊が松陰だけを懲らしめるような描き方になっている。また特に長州を描いていながら、長州五傑の留学なし、桂小五郎がなかなか出て来ない、四か国艦隊襲撃後の講和での高杉の時間稼ぎ、高杉の逃亡中の生活が登場しないといった点でおかしいのですが、かてて加えてこれまた長州が関わった上野戦争すら出て来ない。しかも蛤御門の変も第二次長州征伐も、かなり適当な描かれ方でした。第二次長州征伐での、四境戦争の司令官である大村益次郎など一瞬しか出て来ません。
そして桂や他の志士たちの役目が、なぜか小田村伊之助(楫取素彦)に一任されている。この意味で、小田村と美和を主人公にするために、相当時系列も歴史的背景も弄ったドラマであり、果たしてこれを大河といえるかどうか疑問です。また桂をはじめとする長州の志士たちが登場しないのですから、他藩は推して知るべしです。西郷吉之助はかろうじて出て来るものの、大久保一蔵が出て来ない。坂本龍馬に至っては2回のみの登場。最早幕末の群像劇でもなんでもない、甘ったるい少女漫画にしか見えない「自称・大河」であったとやはり結論付けるべきでしょう。
しかし大政奉還を描いていないのは、私が知る限り幕末大河では初めてです。なのに鳥羽伏見の戦いが起こったことになっている。そもそも大政奉還がなければ、鳥羽伏見の戦いは無かったかもしれないのですが…視聴者を侮っていると見られても仕方ありませんね。
[ 2015/12/28 00:39 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆ番外編60-鹿鳴館外交

そろそろ番外編も終わりにしたいと思いますが、締めくくり(多分)は、最終回で登場した鹿鳴館です。元々この鹿鳴館は、日米和親条約による治外法権を撤廃するための、一つの策として設けられたものでした。 当時は、法体系の整備が不十分なのを補う意味で、様々な面で、欧米にひけを取らない国であることを示す必要があったことから、外務卿井上馨の提案により、欧化政策の一環として作られたものです。鹿鳴館の名は、詩経小雅にある「鹿鳴の宴」に由来しています。

様々な形での舞踏会や慈善活動が行われ、名士が夫人を伴って出席することになり、夫人たちが競ってドレスを仕立てました。この夫人同伴というのは、それまで日本にはあまり見られなかった習慣でした。ちなみに、いわゆる元勲と呼ばれる人たちの夫人には、伊藤博文夫人梅子、陸奥宗光夫人亮子のように、花柳界出身者もいます。しかし舞踏会の開催には経費が掛かるのがネックでした。しかも日本人がまだ洋風のマナーに慣れず、欧米人から見て如何にも奇妙な振る舞いをして失笑を買うこともありました。事実、風刺画家のビゴーは、鹿鳴館を皮肉って猿がダンスをしている絵を残しています。また条約の改正はならず、鹿鳴館の口火を切った井上馨が外務卿を辞任すると、急速にこの風潮も衰えて行きました。その後鹿鳴館は華族会館に払い下げられています。

無論この「欧化」により、様々な文物が日本に入って来たのを考えると、鹿鳴館という現象は、必ずしも負の部分だけではありませんでした。しかし極端な欧化政策をしないと、文明国と見られなかったところにこの当時の悲しさがあります。後年、この日本がその欧米中心の秩序を破るに至るわけですが、それはまた改めて。しかしドラマでは、散々鹿鳴館を謳っていた割には、この建物がなぜできて、どのような役割を持っていたかにはさほどに触れず、美和の演説と、群馬への鉄道建設誘致の場のようになってしまっていたのは残念でした。
飲み物-赤ワイン 
[ 2015/12/23 00:37 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆ番外編59-美和のドレスと鹿鳴館の描かれ方

番外編というより続きというべきかもしれません。最終回の美和のドレスについてですが、あれは銀姫(毛利安子)のお下がりか何かなのでしょうか。しかしその割には、随分体にフィットしているように見えます。銀姫と美和は、体型が瓜二つというわけでもなさそうなのですが、補正でもしてもらったのでしょうか。しかもいってはなんですが、画像で見た時は照明のせいかそうでもなかったのに、背中の刺繍とか、ウエストと裾の部分のフリンジのせいもあって、ドラマで見ると何だか緞帳のように見えてしまうのです、このドレス。録画では、「いざ、鹿鳴館へ」のサブタイトルの後に「ドレスで光の世界へ!未来に大手」などとあるのですが、「光の世界」とは鹿鳴館のことなのでしょうか。

しかも鹿鳴館で、銀姫の紹介でお歴々の夫人たちに紹介される美和ですが、彼女たちは美和から、ドレスの絹が群馬の生糸でできていると聞いて一斉に否定します。後でその場に居合わせたイギリス人男性に、生糸が海外で有名だと聞かされて納得するのですが、この時の通訳を、その場にいた津田梅子が務めます。しかしこういう意地悪な上流婦人たちというのも、何ともステレオタイプというか、少女漫画的ですね。ちなみに

  • 酒田伯爵夫人
  • 池谷伯爵夫人
  • 嵯峨野侯爵夫人

とありますが、恐らく以下の方々がモデルと思われます。

  • 酒井伯爵夫人
  • 池田侯爵夫人
  • 嵯峨侯爵夫人

それと津田梅子の登場の仕方がどこか唐突です。ならば新島八重や広岡浅子も登場してよかったのではと考えてしまいます。そして美和が、例によって女子教育がどうこうと演説を始めるのですが、最終回くらい違う展開にできなかったのかと思います。しかも凄まじいのが、前橋まで鉄道を延伸するに当たって、先ほどの、生糸の話に感激した華族夫人たちが、それぞれの夫に通すように懇願することです。いくらなんでも、こんなやり方で鉄道延伸が決まっていたわけではないでしょう。何だかコントみたいです。

あと、前出のイギリス人男性をはじめ、一部外国人男性の服装が当時の平服(フロックコート)なのですが、あの辺りのドレスコードはどうなっていたのでしょう。それとも外国人は例外的に平服でもよかったのでしょうか。

それから前橋は『風林火山』でも「厩橋」として登場しますが、これについてはまた改めて。
飲み物-ミルクティ
[ 2015/12/16 01:10 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆ45-続き 問われるべき制作現場の責任

『 花燃ゆ』の平均視聴率が『平清盛』とタイのワースト記録だそうです。

花燃ゆ」全50回の平均視聴率 12・0% 「平清盛」と並び歴代ワーストタイ (産経ニュース)

この記事によると、最終回の視聴率は12.4パーセントだったそうです。ドラマを観ていた時から大体予想はついていましたが、やはりこうなりましたね。無名の女性を主人公にして、創作ばかり持ってくるとこうなるという見本のようでもあります。しかし、最終回が45分枠とはいえ低すぎ。しかも昨日の防府でのパブリックビューイングには、チーフプロデューサーは行かなかったようで、責任放棄もいいところだなと思います。

そもそも初期設定(無名女性を主人公にする)が大河としてはふさわしくなかった、相当に無理があったのに、ちゃんとした修正を行わず、その割に視聴率だけにはこだわっていたといえます。視聴率にこだわるのなら、まず歴史をきちんと描ける脚本家を選ぶべきでしたし、どうしても我が道を行きたいのなら、視聴率は無視するべきでしたー流石にそれは難しかったでしょうが。結局視聴率低下を理由にあれこれ弄りまくった結果、何ら一貫性が感じられず、しかも史実は無視で、美和のやっていることのみが中心の、不思議な大河ドラマが出来上がってしまったわけです。土屋氏も『龍馬伝』でアシスタントプロデューサーだったのですが、その経験がどのくらい活かされたのでしょうか。ちなみに、『平清盛』の磯智明プロデューサーも、確か『風林火山』のスタッフだったはずです。

今後しばらく、この『花燃ゆ』はネガティブな形で言及されるでしょう。ドラマの質をここまで下げてしまったスタッフ、特にドラマの企画に携わるスタッフの責任は重いといえます。そのためにも、せめて土屋氏は防府に出向いて、皆様のご期待に沿えませんでしたと一言述べてしかるべきでした。しかし、無能というと何ですが、せっかくの長州大河をこんな安っぽいイメージにしてしまった土屋氏は、ひたすらこのドラマは面白いと言いつくろうことしかしていません。こういう、自分の責務と向き合おうとしない人には一定のパターンがあるようです。本当の話、日本ラグビーフットボール協会の首脳陣もしかりです。そして、数年前まで政権与党だった某野党にも、何か同じものを感じます。こういうメンタリティはどこから来るのでしょう。

一方14日には『真田丸』第一回の試写が行われています。

堺雅人「船出の時がようやく来た」大河ドラマ真田丸
 (日刊スポーツ)

主演の堺さんの、視聴率に関するコメントにはこうあります。

「真田幸村の言葉に『損得を考えない人間が一番怖い』というものがある。もちろんやるからには皆さんに楽しんでもらいたいですが、あまり損得を考えると縮こんだつまらないものになるんじゃないかと思うので、自分たちが面白いと思うものを一生懸命やるだけ」

うーむ、何やら視聴率に一喜一憂した『花燃ゆ』を意識した言葉と取れなくもありませんね。
[ 2015/12/15 00:54 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆ45-盛り上がりに欠けた最終回

『花燃ゆ』が終わりました。通常大河の最終回は、第1回同様1時間枠で放送されますが、今日の最終回は45分枠でした。この辺りに、このドラマがどのように評価されて来たかが垣間見える気がします。私見ではありますが、今回とその前の回は不要だったのではないでしょうか。2回前、11月最後の回で再び生糸が暴落して、何とか事態が収拾される、あれで終わった方がよかったかもしれません。

はっきりいってこの最終回は、やはり盛り上がりに欠ける印象がありました。番宣では鹿鳴館を盛んにPRしていましたが、実際の鹿鳴館のシーンは10分程度、しかも貴婦人たちが、絹が群馬の生糸でできているのを知らないとか、女子教育に無関心であるというのを、またもや美和が説き伏せるという展開です。しかもその後、楫取が県令を辞して山口へ戻るのですが、その送別会が延々と描かれる。その後帰りの列車の中で、美和が前回燃やそうとしていた久坂の手紙を、楫取が巻物にして美和に渡します。そしてせいがくれた種が、萩で芽を出すところでドラマは完結します。

最終回に求められる歴史イベントがないため、何か冗長な感じです。しかし何よりも不思議なのは、2人が老後を過ごした防府が一切出て来ないことです。これは如何なものでしょうか。このために防府に大河ドラマ館まで建てられているのに、ちょっと寂しいですね。しかも今日は、防府市で最終回のパブリックビューイングが行われて、井上真央さんが来ていたのですが。また楫取は、明治天皇の皇女である貞宮多喜子内親王の教育主任をも勤めていますが、その辺りの描写もなしです。

それにしても回想シーンでの少女時代の文は、本が好きな子だったのに、いつの間にかお握り担当になり、その後銀姫に使えるようになってからは椋梨藤太に毒を盛り、銀姫に座敷牢に入れられてしまいます。キャラ設定がばらばらで、とても同じ人物とは思えません。また最終回のみならず、この大河そのものがやはり盛り上がりが少なかったのも事実です。今後の大河制作の際には、この点はよくよく検討され、他山の石とされるべきでしょう。また特に今日は、スタッフを批判するツイートがかなり見られました。

ところでこの最終回を観たのは、実は『真田丸』の予告目当てでもあったのですが、45分枠のせいかほんのわずかで、赤い甲冑を付けた真田信繁(幸村)が馬で駆け抜けて行くシーンしかなかったのが、いささか残念ではありました。

飲み物-お洒落なランプとウイスキーグラス
[ 2015/12/13 23:55 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)

花燃ゆ番外編58-富岡製糸場と生糸商人

『花燃ゆ』に登場する富岡製糸場は、明治5年、1872年に官営工場として建てられ、その後一旦は民間への払い下げを免れたものの、後に三井家をはじめ何人かの経営者の傘下に入り、昭和末期にその役目を終わります。ちなみに鉄道が開通したのもこの年で、様々な意味で、日本の近代化が始まった年でもありました。この当時は清帝国の政情が不安になり、新たな生糸市場として日本がその役割を担ったわけですが、急ごしらえということでまだ品質が均一でなく、不良品も混じっており、生糸の値の暴落を引き起こすことになったのは、このドラマにも出て来る通りです。しかし第二次大戦中も操業を続け、1世紀以上稼働し続けた製糸場でもあるわけで、こういった歴史が、世界遺産に選ばれるその後押しとなったのも事実でしょう。また富岡の工女は、いわゆる女工哀史のようなこともなく、医療費なども製糸場が面倒を見ていました。ここで仕事をして技術を身につけた女性たちは、故郷に帰って生糸製造の指導者となりました。

しかしこの製糸場ができたいきさつやお雇い外国人、工女たちに関しては、どうもあまり詳しく描かれてはいないようです。もちろん、ここの出身者である和田英についても言及されていません。それから美和が学校を開いて、工女たちに文字を教えていますが、実は読み書きはすべて製糸場の方で、学校(工女余暇学校)を設けて行われていました。なぜかこういう事実を描かず、すべて美和がしたことになっていますね。『花燃ゆ』は製糸場を一応描いてはいますが、本当に描きたいのは阿久澤夫妻と楫取、美和の関係なのでしょう。だから製糸場そのものの描写が二番手になっているふしがあります。

群馬県の生糸産業に大きな役割を果たした人物に、やはり『花燃ゆ』に登場する星野長太郎がいます。大東駿介さんが演じていますが、この人は組合作りにも関与しています。また他にも著名な生糸商人がいますが、その中の一人に、幕末に一代で財を成した中居屋重兵衛という人物がいます。しかしこの人は、没落もまたはやいものでした。その理由として、豪奢を戒める幕府と対立したこと、違法行為を行ったことなどがあげられ、また井伊直弼とは敵対関係にあったといわれます。群馬編に持ち込むことが事前にわかっていたのであれば、こういう人物を伏線として描いておくと面白かったかもしれないのですが。またこの重兵衛は、火薬の知識もあったようです。

飲み物-ドリップコーヒー 
[ 2015/12/13 00:47 ] 大河ドラマ 花燃ゆ | TB(-) | CM(0)
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aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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