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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  真田丸

『真田丸』とは何であったのか

今更こう書くのも何ですが、『真田丸』とはどういう大河だったのでしょうか。まず言えるのは三谷幸喜氏の脚本であることから、大河というより三谷ドラマであったということです。さらにSNS利用でPRをかなりやったため、多くのネットユーザーの間で情報が共有され、イベントも大々的に行われました。一方で、それに批判的な人もいたようです。そして私自身の感想としては、九度山までは昌幸の存在もあって、結構面白かったけど、大坂の陣でややトーンダウンしました。三谷さんはやはり戦闘シーンは苦手なのかなと思った所以です。

そして『真田丸』には『真田太平記』という先行作品があり、それと比較されがちだったともいえます。無論この両方は、それぞれ別作品ではあります。『真田丸』に三谷色がかなり出たのは、両者の違いをはっきりさせるためとも考えられます。そもそも真田信繁(幸村)という人物に関しては、大坂の陣関連の文献や周囲の人物による伝承、または後年の軍記物に依るところが大きいようです。実際秀吉に仕えていた時の信繁は、馬廻衆であったこと以外、殆どわかっていないともされており、そのため『真田丸』でも独自の描き方をしています。

また『真田丸』の少し前に、やはり三谷さんの脚本でパペットホームズが放送されています。この時三谷さんはこう言っています。

この人形劇は『シャーロック・ホームズ』を知らない方にも楽しんでいただけると思いますし、シャーロッキアンと呼ばれる人たちにも納得いただけるものになっていると思います。
もちろん原作ファンの方が見て、こんなのおかしいっておっしゃる方もいるかもしれないですが、「あ、こういうのもありなんだ」というような広い心で見てくださるんじゃないか(笑い)。僕はそう思っています。
(冒険ファンブックより)

番宣では、「これを楽しめない人はシャーロッキアンではない」となっていたと思います。要するに、どのような描き方でもあるじゃないかということです。ちなみにこのパペットホームズと『真田丸』には、やはりというか共通する点も多々あったので、こちらの真田丸とホームズというタグでまとめています。

しかし真田信繁(幸村)の一番の見せ場である戦闘シーンが物足りなかったこと、茶々とのロマンスといっていい描写に違和感があったこと、そして九度山編が短かったことはやはりマイナスに感じられました。九度山については、昌幸逝去や信之来訪のシーンはよかったのですが、佐助のスケッチとか、蕎麦を振舞うシーン、たかがやって来て真田紐を教えるシーンなどは、良くも悪くもかなり三谷さん的だったなとは思います。それと大坂へ行くかどうか悩むシーンについては、もうひとひねりあってよかったかもしれません。

この大河では、コーエーのマップも目玉の一つでした。しかしながら、そのマップ上で戦をさせるというのは奇妙に感じられました。たとえば名胡桃城襲撃などは、それでもよかったでしょう。しかし大坂の陣の場合は、それらしき描写を一応は出すか、それがどうしても無理なら、ナレで済ますという方法もあったはずです。あのマップはわかりやすかったのですが、あのような使われ方はいささか頂けませんでした。

無論、従来の大河の重さに苦手意識を覚えていたけれど、これなら観ることができたという人もいるでしょう。前年の『花燃ゆ』が今一つだったせいもありますが、私も三谷ドラマとしては楽しむことができ、実際こういう描き方もあるというのも納得できました。ただし、『真田丸』も数ある大河ドラマの一作品であるにも関わらず、これのみが持ち上げられるが如き風潮も感じられたため、それは如何なものかと思ったこともありました。

あと『真田丸』を評価している人で、同じ戦国大河である『軍師官兵衛』を評価しないというケースも目にしました。無論描き方、主人公の設定などの好みは様々なので、一概にどうとはいえませんが、私としては官兵衛も好きでしたし、先日も触れたように、場面によっては官兵衛の描写の方を評価したくなる時もあります。秀吉が何かにつけて「流石官兵衛じゃ」と言うのがやや鬱陶しくはありますが、しかしこれもまた一つの描き方ではあるのです。

しかし、この「一つの描き方」が通用しない例もあります。多くの女性主人公大河はやはりそれに該当します。これは、書き手によって解釈の異なる歴史的事実が少ないのが最大の原因ですが、それについてはまた改めて。

飲み物-カクテルとオイルランプ
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[ 2019/01/13 01:00 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

真田丸再考

久々に『真田丸』関連です。以前ちょっと触れていましたが、三谷さんが描きたかったのは、本当は真田信繁(幸村)ではなく、真田昌幸だった、あるいは昌幸・信繁父子だったのではなかったのかと思っています。どうも、信繁だけを主人公にしたのではなさそうです。これは大坂の陣の描写が比較的あっさりめというか、合戦につきまといがちな血生臭さ、緊張感のイメージがあまりなかったせいもあります。

そもそも三谷さん自身が、戦闘シーンではあまり定評がないといえばそれまでですが、どこか学園ドラマ風な乗りもあったこと、そして信繁の最期がはっきり描かれなかったことも、一因といえるでしょう。一方で昌幸は、お屋形様であった信玄に語り掛けるシーンあり、そして最期もしっかり描かれていたことを考えれば、信繁と豊臣方の関係もさることながら、実は昌幸と滅びた武田の関係を描きたかったのように取れます。

しかしこの『真田丸』は、キャストも結構注目を集めましたが、プロモーションにもかなりのお金をかけていたようです。最終回前の、上田での連日のイベント、あるいはそれ以外にも、ドラマの関連地で行われたトークショーなどはその典型でしょう。それもあって、大河ファンだけではなく、そのドラマの雰囲気をシェアしたい、イベントに参加したいというファンも、ネット上などで多く見られました。

映像作品で、プロモーションをあれこれ展開させることの是非は、また改めて書こうと考えていますが、ネット上で情報を共有させたという点では、今まであまりなかったタイプの大河ではあります。それまで、一般の視聴者がネットで情報を共有するというのはありましたが、制作側がそれを、しかもかなり大々的に仕掛けたというのは珍しいでしょう。

この意味でも『真田丸』は、ある意味異形の大河であったともいえそうです。ただ部分的に面白くない、あるいは描写がしょぼいということもありました。これは国衆という、大名から従属を強いられるがゆえに、自分たちの領地を守らざるを得ない立場であり、そのため国衆目線になったことが、従来の大名目線の作品とは違ったせいともいえます。

ただ男性が主人公ということもあり、いくらかは合戦もあり調略もありで、その部分は納得できました。今年の大河も一応は国衆目線なのですが、周囲の大名への警戒を張り巡らすという、一番緊張感のある描写を捨ててしまった結果、何やら井伊家繁盛記的な乗りになっています。直政が家康に臣従するまでは真田より知名度が低く、ゆえに大河化に無理があったとも取れますが、それでも遠州錯乱の描き方などは、もう一工夫できたはずなのですが。

飲み物-アイスコーヒー
[ 2017/06/16 01:00 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

真田丸に見るシャーロックホームズ番外編 サントラ聴き比べ

以前より書いておりました聴き比べ、ごくざっとですがここで触れておきます。まずそれぞれの収録曲のご紹介です。尚『真田丸』の方は、都合により第一巻のみとなっています。

<真田丸>
真田丸メインテーマ           偉大な背中
作戦決行                                                    絆
出港!真田丸              時代を作った男たち  
後に日本一の兵と呼ばれる男       祈り
四面楚歌                家康という男 
忍                   戦国狂想曲
ふたりでひとつ             激戦
行軍                  静心なく
作戦成功                軍略
落城                  動乱
栄枯盛衰                謀反
陽はまた昇る              首桶
岐路                  六文銭 
あこがれ                真田の郷
小国がゆえ               真田丸紀行

<シャーロックホームズ>
友情のテーマ              モリアーティのテーマ
ビートン校迷宮のテーマ         すれ違い
シャーロック・ホームズのテーマ     犯人の言葉
ハドソン夫人のテーマ          アブドラのテーマ
えぇぇ!?               恋のワルツ
事件発生!               最後の対決
ジョン・H・ワトソンのテーマ      解決!
お困り相談               Talking Wave
アイリーン・アドラーのテーマ                    ひやひや!
Talking Blocks              心の窓辺   
ラングデール・パイクのテーマ      ワトソンの憂愁
悪意はそこへ・・・           アガサのテーマ
華麗なる思考              Scarlet Story ~Orchestra Version~
そっと寄り添う心

やはり一方は戦国大河、一方はシャーロック・ホームズベースの人形劇であり、脚本こそ同じ人物であるものの、音楽担当は全く違う方ですので、必ずしも一致するわけではありません。人形劇の方は、学園ものということもあり、華麗な雰囲気や軽い乗りの曲もあるのですが、大河だとやはりその手の曲は少なくなりますから。ただ雰囲気としては、結構西洋楽器でない物も使われていたり、バイオリンが多用されていたり、『真田丸』では合戦で、パペットホームズでは捜査で、手に汗握るような音楽が登場したりという共通点はあります。
雰囲気が似通っているという点では、『真田丸』の「落城」と、パペットホームズの「ビートン校迷宮のテーマ」、「あこがれ」と「そっと寄り添う心」、そしてテンポはまるで違うのですが、ぞれぞれのテーマになる人物を表現しているという意味で「家康という男」と「モリアーティのテーマ」など。この「モリアーティのテーマ」は、「まだらの紐の冒険」で、ロイロット先生が動物になりきって走り回っている時にも流れていましたね。
それから「戦国狂想曲」と「華麗なる思考」、こちらはテンポの速さという点で多少似通ってはいます。この「華麗なる思考」は、ホームズの脳内思考で流れる音楽です。またパペットホームズの「悪意はそこへ・・・」「犯人の言葉」「最後の対決」などの暗くて重い雰囲気の曲は、『真田丸』の合戦メインの劇伴とやはり共通したところがあります。

ちなみに、タイトルだけ見ても何の曲だったっけ…と思う方もいるかもしれませんが、『真田丸』の「ふたりでひとつ」「小国がゆえ」などは、耳にすればすぐに思い出す曲です。「陽はまた昇る」は、動画の冒頭の部分で一部が流れます。
パペットホームズの方も、「友情のテーマ」は第一話の最初で、ビートン校が登場する時に流れますし、「Talking Blocks」は「ワトソンメモ」のBGM、そして「解決!」は「愉快な四人組の冒険」で、ハドソン夫人とジョナサン・スモールが歌っていたあれです。

今後『真田丸』の続きの分、そして『おんな城主 直虎』のも聴いてみたいと思います。

飲み物-カクテル
[ 2017/01/08 00:00 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

真田丸まとめ2 評価できない点

昨日の続きです。よくなかったと思われる点について。

  • 英語字幕と英語サイト
  • 終盤に押した感があること
  • 笑い
  • 真田家以外の人物の背景が乏しい
  • 新史実が悪目立ちしやすい
  • 女性陣の描かれ方
  • 合戦、特に夏の陣の描写
  • 一部伏線が未回収のまま
  • 創作部分にやや難あり
  • 視聴率の問題


まず英語字幕と英語サイト、動画は結局全部は観なかったので、目にした範囲内での感想ですが、サイト共々どこか直訳的な印象がありました。そして終盤が、時間がない中にあれこれ詰め込んだ印象もあり、また笑いの部分も、特に後の方の信之パートの落ちはやり過ぎだったと思います。
それと真田家以外の人物、たとえば徳川家康とか上杉景勝といった人物の背景が描写不足。これは真田家目線で描くというのとは、また別に捉えられるべきでしょう。上杉主従や政宗を最終回に登場させるなら、その分の尺で、慶長出羽合戦をさわりでもいいからやってほしかったです。それから史実関連も、悪目立ちと言っては何ですが、もう少しセリフに溶け込ませた方がいい部分(秀頼の馬印の件など)もありました。鉄火起請などはよかったのですが、新史実の発表会といった感もありました。
また女性陣キャラで、きりの描写などは反感を持たれたこと(私はさほど気にはなりませんでしたが)、そして合戦の描写にもう一工夫ほしかったと思います。それと未回収の伏線もありました。たとえば淀殿の「同じ日に死ぬの」などは回収してほしかったし、豊臣家の滅亡もきちんと描いてしかるべきだったかと思います。また創作部分に関しても、何か仕掛けがあるのだろうと思って観ていましたが、違和感を覚える部分もありました。そして視聴率、これに関してはまた改めて書きたいと思いますが、本放送は15パーセント前後をめどでいいかと思います。

それとは別に、一部漢字表記で「会津」とか「二条」などと書かれていましたが、当時の表記では「會津」「二條」でしょう。NHKに問い合わせたところ、「わかりやすくするためにこうした」との回答でしたが、やはりこういうのは当時の書き方に合わせるべきかと。
それと歴史関連雑誌だったと思いますが、堺雅人さんが、公務員と思って演じた旨のコメントをしていました。確かに大坂編での信繁(幸村)の立場は、多少官僚に近いものはありますが、しかしやはり両者は別物ですね。それと三谷さんが、「ダイナミックな題材をこじんまり描く」と言っていたのもやや疑問。ならばダイナミックに描いてほしかったです。信繁の、日ノ本一の兵ぶりがどうも物足りなかったので。
ある程度の改変は、三谷さんの脚本ならありがちだとは思いますが、やはり最後の方の改変はひねり過ぎの印象が強く、本来あのまま散っていい信繁が、無駄に時間稼ぎをしている感じでした。家康を二度攻めたというのも、史実なのかもしれませんが、そこまでこだわらなくてもよかったと思われます。やはり大河には、通説通りに描くシーンも必要なのかもしれませんし、多くの人が知っているであろう、西尾宗次が首を取るシーン、いっそああいうのを端折らず描いた方が、収まりはよかったかもしれません。
(2017年1月5日一部加筆修正)

植物-白い椿
[ 2017/01/04 23:30 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

真田丸まとめその1 評価できる点

まずよかった点について

  • OP
  • キャスティング
  • キャラクターの確立
  • 徳川家康の描かれ方
  • 真田昌幸の描かれ方
  • 豊臣秀吉の描かれ方
  • 笑い
  • 伏線回収
  • 戦国的な背景の採り入れ方
  • 謀略の面白さ

やはりOPはよかったです。オーケストラで盛り上げるのではなく、バイオリンのソロが続く展開で、大名ではなく信濃の国衆の物語であることが強調されていました。それからキャスティングも適材適所で、個性の強い俳優さんがうまくまとまった感はありましたし、特にこの3人は独立させていますが、秀吉、昌幸、家康は秀逸でした。秀吉も結構どす黒い一面がありましたし、昌幸のしれっとした雰囲気も表裏比興ぶりが際立っていました。また内野聖陽さんが、あそこまで年老いた家康になりきれるのは感嘆ものと言ってもいいでしょう。
そしてところどころに三谷さんらしい点、たとえばシリアスな状況の中でも笑いを呼び込むとか、伏線回収がかなり意識されている点も見受けられました。その一方で戦国的な背景、たとえば人質は当たり前だとか、謀略がものをいうといった部分もしっかり描けていたと思います。キャラが立っていたのも評価すべき点で、それが人物像のわかりやすさにつながっていたともいえますが、反面、設定によっては目立ち過ぎたかなと思われる部分もあります。

植物-さざんか
[ 2017/01/03 22:30 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

ラグビーワールドカップ1999と『真田丸』最終回

あまり関連性がないと思われるかもしれませんが、ちょっとこの両者に共通するものがありますので書いておきます。『真田丸』全体の感想は、多分年明けになると思いますが、よかった点とよくなかった点にまとめる予定です。

1999年ラグビーW杯は、故・平尾誠二氏が監督の頃で、1998年頃から代表資格のある外国人選手を多く入れ、ディフェンスもよくなり、勝ち星も多くなって行きました。その一方で、本来の日本らしさが薄れたという指摘もあり、また「型にはめない」のを旨とする強化方針のもと、選手たちがどうやってプレイしたらいいかを、つかみかねている部分もありました。
一方で、本番に向けて着々と好成績を積み上げていたため、ファンも期待するようになり、また協会サイドも、それを機にファンが増えるのを望んでいたふしがあります。しかし本大会では、さほどの見せ場もなく終わりました。
ウェールズ相手にかなりの失点はしたものの、大敗はしなかったのですが、日本らしいパス回しも、組織でトライを狙うプレイもなく、しかもリザーブの選手が十分とはいえませんでした。これには別の理由があるので後述(*)します。

今回、『真田丸』最終回を観ていて思ったのですが、三谷氏の脚本は賛否両論あったもの、最終回でどのように盛り上がるか期待していた人は多かったでしょう。恐らくはそれを盛り上げるために、連日のように上田でトークショーも行われたわけです。
しかし最終回、家康の逃げのシーン以外は、あまりこれといった見せ場のない回になったのは、やはり残念です。前にも書いてはいますが、戦闘エピソードらしい、荒々しさと緊迫感を持って終わってほしかった。それと豊臣方が、如何にも非力な印象だったのも今一つでした。
それと最終回放送前ですが、制作統括の吉川邦夫氏が、スポニチ記事でこのようなことを言っておられます。元々長めの脚本をスタッフが削って行くというくだりですが、

そうすると、人がAからCに変化する時、普通は変化するためのBというシーンがあるんですが、ポーンとなくなってしまうことがあります。一見すると感情が飛んでいるですが、飛ばすことによって、逆にその間にどういうふうに人が変わるのかというのを、視聴者の皆さんが想像することができる。ある意味、視聴者の皆さんを信じているとも言えますが、間を全部説明しようとしない。
「真田丸」三谷脚本はどう作られた?行間が深いワケ…“参謀”が明かす秘密
(スポニチアネックス)

これはちょっと曖昧模糊とした感があります。つまり過程を飛ばしたことで、ある人物やシーンが急に変化したのはなぜか、視聴者が自分で考えてほしいということなのでしょうが、これはやはりきちんと描いてしかるべきでしょう。でないと、視聴者がそれぞれ勝手に見方を投影するようになり、一定の方向性が生まれにくくなる印象があります。
こういう部分、あるいはその少し前の、人物を定型にはめたくないという辺りには、平尾監督時代のラグビー代表の「形の無さ」を何か連想させます。それぞれの状況判断がものを言うとは、平尾氏の言葉でしたが、やはりある程度の形を作り、どの場面でどう動くかを共有させないと、チームとしての連携ができにくくなるのも事実でしょう。
三谷氏も平尾氏もほぼ同年代であり、非凡であるといわれ、マスコミ露出も増えて、そのためどこかカリスマ的な存在になって行ったところがあります。そういう人は、どこか「形にはめない」という前提のもと、勇み足をしがちになるのでしょうか。

大坂の陣関係エピも、人間ドラマ、三谷ドラマとして観るのならそれなりに楽しめたと思います。しかしこれは合戦が中心で、しかも主人公の最大の見せ場であり、また大河ドラマである以上、やはりもう少し工夫がほしかったし、それぞれの人物の背景ももう少し掘り下げてよかったでしょう。
後藤又兵衛は、あれだとぽっと出の印象がありました。実際この人は黒田家に仕えて、朝鮮での戦役も経験しているわけですから、実際には唐入りはさほど描かれなかったものの、セリフなどにそれらしさを忍ばせることは可能だったかもしれません。
それと、これはあれこれに書くべきだったかもしれませんが、ナレ退場した片桐且元が、なぜかまた登場して高台院に会っているのはちょっと苦笑物でした。あれは片桐さんが、大坂の陣のことを話していたわけですが、大坂城が落ちるのは京からは見えなかったのでしょうか。

(*)この当時、所属チームは必ず代表チームに選手を送るという規定がなく、そのため代表に不可欠だったにもかかわらず、所属チームの都合で代表入りを見送らざるをえなかった選手もいました。ワールドカップ本大会のみならず、翌年の国際試合でもそれが表面化し、そのため日本協会も代表を優先させるようになって行きます。

飲み物-コーヒー
[ 2016/12/27 01:45 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

真田丸に見るシャーロックホームズ 45

これも今回でおしまいかと思っていたのですが、まだサントラの聴き比べをやっていませんでした。『おんな城主 直虎』が始まるまでにはアップ予定です。

さて今回は共通点というよりは、人形劇の最終回との比較になります。前回の「真田丸に見るシャーロックホームズ」で、『新・三銃士』と比較してこのように書いていました。

そしてこのシリーズの最終回、死罪になるはずのミレディーは馬で逃げ、最後は皿に書かれた"fin"(終わり)の文字が映し出されます。あるいは『真田丸』も、こんな感じで終わるのでしょうか。

こういう感じで終わってほしかったなとも思います。また『シャーロックホームズ』では、ビートン校乗っ取りを目論むモリアーティ教頭が、オルムシュタイン校長追い落としを企るために、校長がイザドラに宛てたラブレターを利用します。
そして、その事件に絡んだマイクロフト・ホームズとウィルスン・ケンプも退学させようとしますが、マイクロフトは、事件の解決に絡んで、しかも謹慎を破った弟のシャーロックを代わりに退学させる、つまり教頭に弟を売るような真似をしたわけです。無論、マイクロフトも弟に迷惑かけられっぱなしではあったのですが。

他にも生活委員が絡むシーン、それからアドラー先生に結局会えなかったシーン、ミルヴァートン先生からアドバイスを貰うシーンなどなど、結構わくわく物の展開でした。どうせ創作するのなら、大坂の陣をこれくらいサスペンスタッチでという手もあったと思うのですが、映画やスペシャルドラマはまだしも、流石にそれだと大河でやる意味がなくなりますね。ならばやはり、もう少し正統派で展開した方がよかったかも。

しかし信繁(幸村)と茶々の関係は、このパペットホームズの、ホームズとアドラー先生的な関係を想像していたのですが、あまりそうではなかったようです。ちょっと残念。

ところで『おんな城主 直虎』ではどうするべきかと考えています。恐らく『JIN-仁-』と共通する部分があったら、その都度アップして行くかもしれません。
それから大河の脚本家といえば、『相棒』の年内最後の放送の脚本担当が、『花燃ゆ』の宮村優子さんでした。彼女も今後経験を積んで行ってほしいです。宮村・大島コンビの脚本は、『花燃ゆ』の脚本ではまだよかった方だと思いますので。

飲み物-シャンパン
[ 2016/12/25 01:00 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

上杉景勝とハムレット 4

まずは「徳川家康とハムレット」の話題です。内野聖陽さんが来年、ジョン・ケアードの『ハムレット』に出演します。

ハムレット 東京芸術劇場
(公式サイト)

しかし映画『関ヶ原』で井伊直政役の北村さんがホレーショ、そしてオフィーリアには、『おんな城主 直虎』にも出演の貫地谷さんですか。というか内野さんと貫地谷さんて、『風林火山』の山本勘助とミツですね。

では景勝公。本来いなかったはずの大坂で、源次郎良くやったと言っているのはちょっと違和感ありでしたが、今までこのドラマの位置づけは

景勝=ハムレット
家康=クローディアス
正信=ボローニアス
兼続=ホレーショ
信繫=オフィーリア

こういう感じなのかなと思っていました。信繁即ちオフィーリアというのも何ですが、関係を見て行くとそうならざるをえないので。しかし一方で、このドラマの景勝という人物は、信繫が家康に立ち向かう部分にひどく感情移入したがるところがあるわけです。
いうなれば、己の義に沿う部分のみを見ているともいえます。あるいは、石田三成が挙兵しようとしたところに現れて、共感を覚えたりというのも、それと似通っているでしょう。

自己心理学という心理学があります。その中で、自分と似た存在を確認したいという欲求を、双子転移と呼ぶらしいのですが、この上杉景勝と真田信繁、あるいは石田三成の関係からは、いくらかそれと似たものを感じます。
しかし実際に景勝が、ここまで信繁に共感していたのかどうか。恐らくこれは三谷さんの創作と思われます。石田三成はともかく、真田信繁に対してそこまでの感情を抱いていたのかどうかは不明です。
また、この上杉景勝の描かれ方に関しては、いずれ『真田丸』のまとめ(来週もしくは年明けアップ予定)でも取り上げる予定です。

飲み物-マティーニ
[ 2016/12/24 01:45 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

真田丸あれこれ その68 (+ おんな城主 直虎)

いよいよあれこれも大詰めです。一応67以外で、最終回で気づいたことを書き出してみます。

  • 作兵衛が007並みに二度死ぬシーン。二度目のはなくてもよかったのでは?
  • 毛利勝永のシーンをもう少しやってほしかった。徳川勢を蹴散らして信繁(幸村)にチャンスを与えたはこの人物なので。
  • 佐助、この時55なら直江兼続と同年代。しかし最初出て来た時から全然変わっていない
  • 内記が死ぬシーンは、昌幸の忠臣といった感じでちょっとよかった
  • 茶々が死ぬのは怖くないと言いつつ、その実一番死ぬのを怖がっていたようにしか見えない
  • 秀頼が、何かやりたそうでいながら結局何もやらせてもらえなかった
  • きりが消息不明
  • 家康が逃げるシーンが正に伊賀越え(笑)。この家康で1年間やっても面白かったかも
  • 安井神社のシーンはなくてもよかったと思われる。むしろ敗走する信繁に大坂城がかぶる、そんなEDを期待していた
  • 正信と信之の相部屋シーンは面白かったが、終盤のエピで、信之のシーンにやけに落ちがつきまくるのがちょっと疑問
  • 家康が信繁を「戦でしか生きた証を立てられない」と言っていたが、信繫自身は、冬の陣を除けばそこまで戦で主導権を握った印象が無い


大坂の陣関連のエピについては、今までも何度か触れましたが、もっと荒々しさ、戦の中に日常生活がある緊張感があってもよかったかと思います。特に最終回には。別番組ということもあり、比較するのはできるだけ控えて来ましたが、『真田太平記』の夏の陣の回の、何か圧倒するような雰囲気が欲しかったなとは思います。三谷さんのやり方で、あれに伍するようなシーンは作れなかったものかと、そこが残念です。


それから『おんな城主 直虎』関連です。産経新聞出版のガイドブック(ニッコームック)を購入してページをめくっていたら、徳川家康と並んで石川数正も登場ですね。『真田丸』では、数正の裏切りは真田信尹が調略したことになっていますが、さて今度の描写はどのようになるのでしょう。無論これから先、『真田丸』に登場した、以下のような人物が再び出てくると考えられます。


武田信玄

武田勝頼

本多忠勝

本多正信

豊臣(羽柴)秀吉


誰が演じることになるのでしょうか。それから、このガイドブックでは、直虎を知る10のキーワードとして、最終的に関ヶ原辺りまで紹介されています。またかの伊賀越えには、実は井伊直政も随行していますが、この時直虎はまだ存命でした。こちらでもう一度伊賀越え、ひいては関ヶ原も描かれるのでしょうか。ちなみに『真田丸』の時も、もちろん大坂夏の陣まで紹介されています。


それと、この大河のナレは中村梅雀さんですが、インタビューで、今回の脚本はかなり速いペースで進んでいるとのこと。何やら三谷さんと対照的ではあります。無論、特に今回は創作が多いということもあるでしょう。ところで梅雀さんといえば、『葵 徳川三代』のナレでも有名です。この時はジェームス三木氏が脚本担当でしたが、これに至っては「放送がはじまる頃には50話全部出来上がっていた」のだそうです。


飲み物-パブのビール3杯

[ 2016/12/23 01:30 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

真田丸あれこれ その67

では、あれこれです。今回特に感じたことその1。

逃げるは恥だが役に立つ
同じことを考えた方も多いかもしれません。徳川父子の退きっぷりは、正に見事というべきでした。しかも逃げ出した後に機を窺う家康、流石に歴戦の将だけのことはあります。これができたからこそ、この人は生き延びて天下を取れたともいえるでしょう。できればナレーションでなく、セリフで表現してほしかったです。
そして秀忠。こちらは正に「逃恥」の人ですから、実に様になっていました。大坂の陣関連エピでは、豊臣より徳川方の描写の方が面白く感じられましたし、寧ろ、徳川がいたことで引き締まった感があります。

信繫のセリフ
このドラマの主人公は、やはり昌幸と家康、そして秀吉だったのだなと改めて感じます。信繁の主人公としての役割は、本当は大坂の陣絡みのみですから、これは無理からぬ話でもあります。父や兄の陰に隠れている印象もあり、そのため出番を多く作ろうという狙いがあったのも事実でしょう。
しかし、この回の家康と対峙している時のセリフ、あそこまで長くなくてよかったかと思います。普通に「お命頂戴つかまつる」程度でもよかったかと。やけに父がどうこう、愛する人がどうこうと言っていて、結局秀忠に狙われたわけです。家康が相手をしていたのは、あるいは秀忠が来るまでの時間稼ぎだったのでしょうか。

与左衛門
過去を持つ料理番の復讐といった感じですが、如何にも一癖ありそうな感じなのに、なぜ気が付かなかったのか不思議といえば不思議です。有楽斎より先に、この人を疑うべきだったでしょう。この、とかく牢人たちが後手に回る感があるのは、敢えてそうしているのかとも思われますが、これでは家康に裏をかかれても仕方がありませんでした。
5人もいたのですから、1人くらいあの親父に話が筒抜けなことをほのめかしてもよかったのですが。この点、結局牢人たちも、真の意味で戦慣れしていなかったのでしょう。

伊達政宗と上杉主従
信繫の奮戦ぶりを遠くから見る上杉景勝。しかし本当は、この人は京の警備を任されていたようですから、直江兼続共々、ここにはいないはずなのですが。まあ、京で大坂城落城を見て大坂に駆けつけ、井戸から千姫を救い出した『天地人』よりはまだましかとも思います。
一方上杉と敵対しているはずの伊達政宗も、なぜか同じ場所にいたのですね。恐らくこの後、伊達陣でずんだ餅でもご馳走になったのでしょう。しかし、伊達と直江の舌戦聞きたかったなあ…。

象山は討幕派か
そして最後のナレに突如登場した佐久間象山。恐らく、この徳川の世が終わる時、松代藩から英雄が出たという形に持って行きたいのでしょうが、ちょっと無理があるようです。この佐久間家と真田家がとりわけ縁が深いとか、あるいは来年の大河が幕末であるのなら、まだ説得力があったかもしれません。
それと佐久間象山が江戸幕府を倒したかどうかも微妙です。開国派、公武合体派で、いつも洋式の鞍を馬に置いていて、そのため攘夷浪士に暗殺されたのは事実ですが。

しかし登場人物のその後などは、やはりきちんと描いていただきたかったですね。三谷さんが敢えてそのようにしたという意見もあります。しかし『真田丸』はシリーズ物でもなく、これが正真正銘の最終回で、しかもスピンオフの制作がまだ決定しない段階では、敢えて伏線を残すというよりは、やはりきちんと終わらせてしかるべきだったでしょう。

飲み物-ドリップコーヒー
[ 2016/12/20 00:30 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)
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まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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