fc2ブログ

ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  映画

アルゼンチンよ泣かないで(Don'r cry for me, Argentina)

先日の「真田丸あれこれ」の付記に書いていた『アルゼンチンよ泣かないで』、マドンナのバージョンを置いておきます。実は彼女が主演した『エビータ』、映画館で観て、サントラも持っていたはずなのですが…いい加減CDを整理しないといけません。

ちなみにマドンナがエバ・ペロンを演じると決まった時、本国のアルゼンチンから猛反対の声があったようです。実際フラッパーのような恰好で、ロザリオをアクセサリー代わりにウエストの辺りにぶら下げていたことを考えると、それもやむなしとは思いますが、結構好演でした。尤も一番印象に残ったのは、アントニオ・バンデラス演じるチェだったのですが。



[ 2016/09/12 21:30 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

エヴェレスト 神々の山嶺

遅くなりましたが、『エヴェレスト 神々の山嶺』を観た感想です-ちなみに今まで「山麓」と書いていたようなので、すべて修正しています。まずあらすじから。

*************************
写真家の深町誠は、カトマンズの街を歩いていた。元々は登山家だが、今は山岳写真家として仕事をしていた深町は、出版社に写真集の出版を頼み、借金をしてまでしてネパールに来ていた。これは、付きあっていた彼女ともうまく行かず、40を間近にした深町に取っては、ある意味起死回生ともいえるものだった。

しかし出版の条件は、登頂が成功しない事には実現できないものであり、この登頂も結局は失敗に終わって、メンバーは帰国して行った。そんな深町は、路地の奥にある店(質屋?)にふらりと立ち寄った。そこは登山関係の品物も扱っていたが、店の主人は何やらやる気なさげだった。そんな主人を尻目に深町は、店の中で古いコダックのカメラを発見した。

深町はなぜこのようなものがあるのか、不審に思うものの、同時に何か予感するものがあった。それは、1924年に人類初のエヴェレスト制覇を目指し、遭難したジョージ・マロリーのものだったのである。何かの歴史的な手掛かりになるかもしれない、そう思った深町はそれを購入するが、盗難に遭ってしまう。そのカメラを探し歩いていた深町は、ある背の高い男と出会う。

その男は地元ではピカール・サン(毒蛇)と呼ばれていたが、実は著名な登山家である羽生丈二だった。羽生もそのカメラを購入したものの、盗難に遭って探していたのである。羽生は多くの実績を残していたが、一匹狼的なところがあり、思ったことをずけずけと口にし、かつてのザイルパートナーの岸文太郎を死なせてもいた。

羽生は第一陣のエヴェレスト登頂隊には結局選ばれず、スポンサーがついていて、しかも対人関係でそつのない印象の長谷渉が選ばれた。その後羽生も冬山を制覇し、その実力が認められて登頂隊に選ばれたが、1985年の登頂で第一アタック隊に選ばれず、しかもノーマルルートということで一人山を下りてしまう。今は車椅子生活となっている長谷からその話を聞く深町。しかもそんな羽生に会いたいという女性がいた。彼に兄を「殺された」岸涼子だった。

羽生はその後何度か単独での、エヴェレスト南西壁の冬季無酸素登頂を目指しては失敗していた。その後姿を暗ませ、ネパールで不法滞在をした後、シェルパのアン・ツェリンの娘と結婚して家庭を持っていた。恐らくもう年齢的にも無理だろうから、南西壁の無酸素単独を目指すという羽生。それを追いかけたいという深町。羽生は、互いに干渉しないという条件でそれを許す。

しかし冬場の、単独無酸素の南西壁登頂は過酷なものだった。気温がマイナス30度を下回る中、吹雪や落石と常に向き合う世界である。追う側の深町は遭難しかけ、羽生に命を救ってもらうことになる。結局羽生は力尽きて下山し、日本に帰って、写真集のためにと撮影した分をすべて燃やしてしまう。その後、岸の妹涼子を伴って、三度ネパールに赴いた深町。生きて帰ってくれと頼む涼子をベースキャンプに残し、単独で羽生の行方を追う。

しかし羽生は、変わり果てた姿になっていた。そこにはマロリーと思しき白人男性の遺体もあった。深町は、彼の荷物の中にフィルムがあるという羽生の幻を見るものの、最早それには目もくれず、涼子が以前、羽生に返そうとしたエメラルドのペンダントを彼の腕にかけ、喘ぎながら一人、涼子の待つベースキャンプを目指して行った。

***********************

まず、山のダイナミックさが感じられる映画です。そして羽生の狂気にも似た南西壁征服の思い、そしてその狂気の男を追い続けるカメラマンの深町。どちらも好演です。また、尾野真千子さんの涼子、風間俊介さんの岸文太郎、佐々木蔵之介さんの長谷渉もいいキャスティングでした。ただ強いていえば、山のシーン以外をもうちょっと詳しく描いてほしかったようにも思えます。ある意味ヒューマンドラマでもあるのですが、山のシーンが所々に入るため、キャラ設定とかドラマとしての展開が、多少わかりづからかった感があります。それと登山が趣味でない私にとっては、耳慣れない専門用語にいくらか違和感もありました。

それと、これは観た方の多くが感じているのかもしれませんが、『永遠の0』にちょっと似た物を感じます。たとえば居酒屋で、若者たちが「山で死にたくないよなー」などと話している時に、深町がブチ切れてつかみかかるシーンがありますが、『永遠の0』で、宮部久蔵の孫に当たる大石健太郎が、友人から特攻はテロだといわれて、やはり激昂するシーンを思い起こさせます。また、最後の方で涼子が「生きて帰って来て」というのもそうでしょう。これは『軍師官兵衛』でも見たような記憶があります。

そして岸文太郎が、登山服としてラガーシャツを着ていますが、実はラガーシャツやラガーパンツは、頑丈で吸湿性があるので、アウトドアにぴったりなのです。以前ラグビー関係の記事で書いていますが、ラグビーライターの大友信彦氏が、登山の際にジャージーを登山服として愛用していたというのを思い出します。

[ 2016/05/18 00:45 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』を観ました。この作品は引退して養蜂業にいそしむ93歳のホームズが、ある事件を回想する形で綴られて行き、日本も登場します。回想がメインということもあり、結構伏線の多い映画で、構成も複雑です。まだ観ていない方のために、ネタバレをやや抑えておきます。

*************************

1947年、93歳のシャーロック・ホームズは、日本から戻って来たばかりだった。広島を訪問したホームズは、山椒の入った風呂敷包みを手にしていた。自分の脳を衰えさせないため、それまでのローヤルゼリーに代わり、この山椒をペースト状にして食べることにしたのである。しかし日本に行った真の目的は、ウメザキに会うためだった。

ウメザキによれば、かつて英国に赴任していた父は自分と自分の母を捨て、シャーロック・ホームズと仕事をすると言ってそのまま日本に戻らなかったということだが、ホームズは身に覚えが無かった。ウメザキは、父親から『緋色の研究』をもらっており。また2人は、原爆投下後の傷が残る広島で、山椒を見つけ出す。

その30年前、第一次大戦が終わった後、ホームズはケルモットという男から妻の様子を探ってほしいと頼まれた。妻のアンは子供を2人流産し、ケルモットは傷心のアンにアルモニカを習うことを許したものの、徐々にアンの様子がおかしくなって行った。ホームズがアンを尾行したところ、彼女は夫のサインを真似て、銀行で夫名義の預金をおろし(これは夫のケルモットから禁じられていた)、更に薬品店で毒薬を購入し、また駅で列車の時刻を尋ねていた。

夫を殺して財産を奪いかねないと取られる行動だが、ホームズは彼女の流産した子2人と、彼女自身の墓があるのを突き止め、アンが自分で服毒自殺をする予定だったことを暴く。彼女は毒薬をその場で捨てた。ホームズはアンに家に帰るように勧めるが、結局列車に身を投げて自殺し、それがもとでホームズは引退する。

そして1947年、ホームズはサセックスの自宅で、家政婦のムンロ夫人と、その息子のロジャーと一緒に暮らしていた。既に高齢で、無理ができなくなっているホームズをロジャーが助け、ホームズはロジャーに養蜂を教え、彼の非凡な才能を見抜く。しかし母親のムンロ夫人は、ホテルに職を得て、ロジャーと共にホームズ宅を去る予定でいた。

その頃ホームズは、記憶に不安があるものの、ワトソンが書いていた作品〝The Adventure of the Dove Grey Glove″の続きを手がけようとして、最終的にあることに気付く。しかしそんな時、ロジャーがスズメバチに刺されて重態となる…。

*************************

様々なヒントが隠された作品です。ざっと見ただけでもこれだけあげられます。
  • 広島、山椒と来たら、やはり山椒魚→井伏鱒二→黒い雨つながりでしょうか。
  • アルモニカ(グラスハーモニカ)にはセラピムと称されたことがありますが。これは熾天使の意味です。『イザヤ書』や『ヨハネの黙示録』に登場します。火を象徴する天使が、繊細な音が売り物、しかも演奏に水を必要とするアルモニカに冠せられているわけですね。
  • ところでケルモットの妻のアン、子供を2人流産していますが、子供を何人も身ごもりながら流産を繰り返したアン女王が何となくだぶります。アン女王は子を亡くした悲しみを、ブランデーで紛らわせたと伝えられますが、そういえばブランデーのグラスは、アルモニカに近縁のグラス・ハープを連想させます。
  • そのアンが、ウィンドーショッピングと見せかけて、自分を尾行しているホームズを待ち受けていたのは剝製店の前です。これは『四つの署名』の、シャーマンの店を連想させます。
  • 作中にホームズ映画が上映されるシーンがありますが、そのホームズを演じているのは、『ヤング・シャーロック』主演のニコラス・ロウです。
  • 風景が『バスカヴィル家の犬』を模しているのかな?と思うようなところがありますね。
またホームズとウメザキが、とある料理店で山椒を使った料理を口にするところがありますが、あの料理は何だったのでしょう。しかしその店、和食の店とも中華料理店ともつかない雰囲気でした。イギリス人から見れば如何にも東洋風なのでしょう。またホームズがアンを公園まで尾行して近づき、植物の話を始めるところは、『相棒』の「ベラドンナの赤い罠」を思わせます。

ちなみに公式サイトで、「アナ雪さん」こと榎木孝明さんが感想を寄せています。ホームズお好きなのでしょうか。

[ 2016/04/06 23:45 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

残穢-住んではいけない部屋-

『残穢-住んではいけない部屋-』を観に行きました。既に前評判でかなり怖いとか、ホラーとかといわれていた作品ですが、実際に観ていてやはり怖かったです。単に怖いというより、怨念のようなものを感じるといった方が正しいかもしれません。

*************************

主人公の「私」は小説家で、雑誌に読者の実体験である怪談も執筆している。かつてMさんという人が、子供の頃泊まった遠い親戚の家の、河童のミイラの話を題材にしたこともあった。今回は都内の学生「久保さん」から、写真が同封された手紙をもらった。大学でミステリー系サークルに所属している久保さんは、寮を出て憧れの一人暮らしを始めたが、その部屋で何か物音がすると書いていて、同封されていた写真は、物音がする部屋のものだった。

久保さんと何度か会って、彼女が住むマンションの土地について、近所の人にも協力を得て調べたところ、そこにはかつてかなり大きな家があったことがわかった。しかも久保さんの部屋のみならず、隣室や上の階の方でも物音がしていた。物音は何か台がひっくり返るような音、そして布が地面を引きずるような音だった。調べて行くうちに、かつてその敷地にあった家で、和服を着た女性が自殺をしていたことがわかる。

台が引っくり返るような音はその時のものだった。また布が地面を引きずる音も、ほどけた帯が畳の上を引きずる音だった。しかも上の階の住人の子供が、いわゆる「見える」子で、首吊りの死体を目撃していた。調べて行くうちに、前に住んでいたいくつかの家族には問題があったこと、そしていたずら電話をしまくる子供がいたこともわかり、久保さんの隣室の人は、その正体不明のいたずら電話に悩まされていた。また久保さんの前に住んでいた人は、近所にはいないはずの赤ん坊の声に悩まされていた。

その人は、その後引っ越した後に自殺していた。その自殺した部屋には、今は別の人物が住んでいた。その物件の大家さんに話を聞くと、その人は自殺する前に大家さんにあいさつに来たが、深夜ということもあり、翌朝にしてくれと大家さんは言って、そのまま眠ってしまったらしい。夢だと思っていたのが、自殺していたことがわかってかなり驚いたようだった。

私はその後、やはり作家の夫と新居に移った。結局久保さんの隣室の家族は転居し、久保さんも別の部屋に引っ越した。そこは音もなく快適だと久保さんは言っていた。また作家仲間の協力を得て調べて行くうちに、かつてその家に住んでいた家族のこと、その家には精神を病む息子がいたことなど、一連の怪奇現象とのつながりが色々わかって来た。

中でも、その家に嫁入りした女性は、九州で炭鉱を営む家の出身だったが、その女性が嫁入りの際に持参した掛軸が、何らかの災厄をもたらしたようだった。福岡県出身でこの手の話題に詳しい会社員に話を聞くことになり、その人は話をするだけでも祟られる怖い話だと前置きしたうえで、話を進めた。

かつてその炭鉱で火事があり、何人かの炭鉱労働者が犠牲になっていた。実はMさんがかつて泊まった家は、その家の後に建てられたものであり、河童のミイラの正体はその労働者たちだった。結局私は、持病の肩こりが悪化していていたものの、作家仲間、そして久保さんと今はミステリースポットとなったその家に忍び込み、そこですべてのことを知った。その家の中は神棚や祭壇が多く見られ、またお札なども沢山貼られていて、また主人はいわくつきの怖いもの、持つ人が不幸になるといった物のコレクターでもあった。あるいはそれで、自分に起こる犠牲となった労働者の怨念を防ごうとしていたのかもしれない。

しかしこの、事故物件のマンションを探す旅はいつまでも終わりそうになかった。そんな折久保さんが、事故物件でないはずの自分の部屋でまた物音がするようになったこと、そして、そろそろこれを止めないかと提案して来た。そしてその後、かつて久保さんの隣に住んでいた家族が、無理心中したとテレビのニュースで報じられ、私や久保さんを始め、この話に関わった人たちにも、様々な異変が見られるようになって行った…。

*************************

ごくざっとしたあらすじですが、グロテスクな物があまりない代わりに、何か精神的に訴えかけてくるものがあり、かなり日本的なホラーともいえますし、いささかの後味の悪さも感じられます。また「私」が仲間とミステリースポットに出かけるシーンには、多少ミステリー的な雰囲気もあります。

「私」を演じたのは竹内結子さんですが、ご本人は撮影中かなり怖かったと語っています。また「久保さん」が橋本愛さんで、作家仲間の平岡夢明(平岡芳明氏がモデル)が佐々木蔵之介さんですが、この平岡の嵌りっぷりが妙にインパクトがあります。女性がメインの割には女性らしい絶叫系の怖がり方がなく、この手のことに興味を持ち、冷静に物事を進めて行く中で怖さが見えて行く展開になっています。

[ 2016/03/15 21:30 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

映画『Mr. ホームズ 名探偵最後の事件』

イアン・マッケラン主演の『Mr. ホームズ 名探偵最後の事件』が3月に公開されます。こちらは公式サイトです。日本人ウメザキの役で真田広之さんも出演です、日本絡みというのが結構興味を惹かれます。ホームズ最後の事件というのは、実はこれだったのですね。しかし上映館が少ないですね。北海道、東京、愛知、関西そして福岡の13館のみです。
『Mr. ホームズ 名探偵最後の事件』公式サイト

それからBBC版も映画が今度上映されるようで、いささか迷ったのですが、今回は行かないことにしました。理由はいくつかありますが、やはりこのBBC版は現代ドラマで観たいこと、そして、一昨年の第3シリーズが私としては今一つだったこともあるせいです。出演者もいい役者さんだとは思いますが、生憎何を置いても見たいほど熱烈なファンでもないし、無論他にも見たい俳優さんは国内外を問わずいますし、あと2月3月に、優先して観たい作品もあるのも理由といえばそうかもしれません。無論日頃お邪魔しているブログのブログ主さんたちの中には、観る予定の方もおられるようなので、その点ちょっと申し訳ないなと思っています。
[ 2016/01/23 01:05 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

海難1890

映画『海難1890』についてのあらすじと感想です。 

*************************

1889年(明治22年)、医師の田村は、和歌山県の紀伊大島樫野、現在の串本町で地元の漁民たちの診療を無料で請け負っていた。田村にはハルという助手がいたが、このハルは婚約者を海で亡くし、その後口が利けなくなっていた。一方、日本の遥か西にあるオスマン・トルコ帝国では、親善使節団が軍艦エルトゥールル号で、日本へと向かっていた。一行の目的は、明治天皇への表敬訪問だった。海軍将校のムスタファは、身重の妻と元提督の父に別れを告げて日本へ向かう。

エルトゥールル号は到着がかなり遅れたが、それでも無事公式行事をすませた。しかし折悪しくコレラ患者が出たため足止めを余儀なくされ、その間に水兵たちに甲板で気晴らしと鍛錬を兼ねてレスリングをさせ、兵曹のペギールと親しくなる。一行が帰国の途についたのは1890年(明治23年)9月のことだった。その頃接近していた台風のために、蒸気帆船であったエルトゥールル号はマストを折り、ついに石炭も焚けなくなって、樫野崎沖で座礁する。その大きな物音に、漁を早じまいして遊郭で遊んでいた漁師たち、遊女たちは何事かと驚く。

岸壁にたどり着いた男たちが見たものは、難破した船と流れ着いた大勢の乗員たちだった。皆は手分けして彼らを寺へと運び、田村は治療を施した。意識を失っていたムスタファも寺に搬送される。心停止状態にあったムスタファを前に戸惑う女たち。田村はハルに、心臓マッサージをするように命じ、ハルは一旦は躊躇したものの、ムスタファを蘇生させる。

その後救出された者たちに、村人は自分たちの乏しい食物を分け与える。しかし生き残った者は69人であるのに対し、死者や行方不明者は500人以上という大惨事だった。ムスタファは自分が生き残ったことに罪悪感を覚える。その後、田村の知己である海軍軍人藤本の働きもあり、生存者の多くはその後神戸の病院に移送されたが、ムスタファたち数名は遺留品のチェックのためにしばらく樫野にとどまった。その頃、金貨やサーベルが無くなっているという話を部下から聞き、ムスタファは村人が金目当てで持ち去ったのだと決めつける。

自分が生き残ったことに加え、村人がこのような行為をしたことに憤るムスタファ。しかし田村は、ムスタファをある場所へ連れて行った。そこでは女たちや子供たちが、金貨やサーベルを洗ってぴかぴかに磨き上げ、また破れた衣服を洗濯して繕っていた。そして男たちは、大事な漁を休んで船を出し、遺体や遺留品を探していた。その姿にムスタファは声もなかった。

その後ムスタファも樫野を去る日がやって来た。皆の見送りを受けながら、船に乗り込むムスタファ。その後帰国して、妻と2人で自分の子供を見守るムスタファに、こちらも村人に子供が生まれて祝賀気分に浸る樫野の様子がオーバーラップする。そしてこの事件は、過去のものとなって行った。

それから95年後の1985年、イラン・イラク戦争の最中のテヘランはロケット弾による空襲が激しくなり、在留日本人の帰国が始まっていたが、日本航空は安全が確保できないという理由で派遣を渋り、また当時は自衛隊機の海外派遣ができず、国会承認が下りなかった。テヘランの日本人学校の教師である春海は、ひょんなことからトルコ大使館員のムラトと知り合う。子供たちを日本に返そうとしている中、ムラトの車で日本大使館に行き、救援機をトルコに要請してくれと頼む春海。

トルコ側の許可は下りたが、問題は空港で自国の救援機を待っているテヘラン在留トルコ人に、このことをどう納得してもらうかだった。結局ムラトが彼らに呼びかけ、日本人を飛行機に乗せてあげてくれと頼み、このエルトゥールル号の話を持ち出した。当初は渋っていたトルコ人たちも、結局は日本人を優先し、高齢者や子供のみを救援機で帰国させて、政府が安全を保障している陸路で帰国することになった。

そして自分も飛行機に乗ろうとする春海に、ムラトは言う。
「どこかで君に会ったような気がする」
「私も」

************************

田村の役は内野聖陽さんです。そして、この最後の部分でおわかりかなと思いますが、春海とムラトは、ハルそしてムスタファと同じ俳優さんが演じています。春海とハルは怱那汐里さん、ムラトとムスタファは、トルコ人俳優のケナン・エジェさんです。この映画は日本とトルコの合作で、エルトゥールル号遭難から125年を経て制作に至りました。なお、映画の最後の部分で、トルコ大統領の挨拶が流れます。

この遭難事件はもちろん実話です。クレジットの終わりの方に、串本にある遭難記念碑の掃除をしている小学生が、何人か登場します。また、かつて柏崎市には、トルコ共和国の初代大統領のケマル・パシャの騎馬像がありましたが、その像も今はこちらに映されています。映画とは多少違いますが、この事件とその後のトルコをAAで表現したサイトがありますので、リンクを貼っておきます。(フォントはMSゴシック推奨)また、自衛隊機を飛ばせられなかったのは野党の猛反対があったためで、その後これへの反省から海外派遣法が施行されました。
http://tana.pekori.to/tear/log/0412.html
ところでこの映画の脚本は、『花燃ゆ』群馬編の担当でもある小松江里子さんですが、はっきり言ってこちらの方がずっといいです。特に紀伊大島樫野の描写はいい。ただ、1985年のテヘランで、日本人学校の教師の春海が、自分で大使館に行って便宜を図ろうとする姿にはちょっと違和感がありました。ハルとムスタファをだぶらせる意味もあったのでしょうが、あの場合はやはり彼女でなく、日本人学校の校長先生なりが頭を下げるべきだったでしょう。ちょっとその辺りが『花燃ゆ』的でしたね。

それから中東らしく、涙壺と思しきものが登場します。これは夫が不在の間、妻があなたを想ってこれだけ泣きましたと、涙をためておく容器のことで、クラシックなデザインのものもありますが、この映画では普通のガラス容器といった感じです。1982年の、古道具屋を舞台にした映画『時代屋の女房』には、アンティークな感じの涙壺が登場します。
[ 2016/01/10 22:46 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

KANO1931 ~海の向こうの甲子園~

第二次大戦中の台湾、とある野球グラウンドに向かう日本の軍服姿の男がいた。彼は錠者という大尉で、かつて甲子園で対決した嘉義農林高校のグラウンドにやって来たのだった…。

1931年、日本統治下の台湾の南部に位置する嘉義農林学校野球部は、弱小チームで試合に負け続けていた。そんな時、日本人である近藤が練習風景を目にしていた。この近藤はかつて松山商業を甲子園に何度も送り出していたが、選手とうまく意思疎通ができず退職していた。この苦い思い出から、一度は監督を断るも、結局引き受けることにする。

選手たちは漢人、蕃人(高砂族)に加えて日本人もいた。近藤は彼らを分け隔てなく鍛錬し、甲子園に通じるチームに育て上げる。やがてこのチームは、主将呉明捷のもと、甲子園への切符を手に入れる。その秘訣は、それぞれの民族がどれに向いているかを見極め、チーム作りをしたことにあった。漢人は攻撃、蕃人は走力、そして日本人は守備がいいというのが近藤の持論だった。

弱小チームが次々と勝ち上がって行く姿に地元は興奮した。また、トレーニングで嘉義市内を走る選手たちに声援も送られた。様々な軋轢をも乗り越えて、甲子園出場が決まった日、彼らは水路を船で行く技師の八田與市に向かって、甲子園行きを報告する。まるで自分の息子たちであるかのように喜ぶ八田。

また近藤は、パパイヤの根元の釘の話を聞かされる。パパイヤは根元に釘を打たれることによって危機感を覚え、成長を続けるという話に、近藤はあるものを感じ取る。そしてチームを引き連れて大阪へ向かうが、生憎の台風で船が遅れ、一行が到着したのは入場行進の最中だった。

甲子園でも次々と勝ち上がる嘉義農林、つまりKANOに、ラジオを通じての地元の声援は日々高まって行った。彼らに負け、茫然自失とする日本の選手たち。そして決勝を迎えるが、既にこの時呉の指は連投のためぼろぼろになっていて、とても投げられる状態ではなかった。それでも投げ続けるものの、相手に得点され、結局悲願の優勝はならなかった。しかし甲子園は、彼をたたえる声で包まれた。

選手たちは、勝っても負けても泣いてはいけないといわれていたが、結局は号泣してしまう。そして、彼らは誇らしげに準優勝の盾と甲子園の土を持って船に乗るのだった。

*************************

台湾映画ですが、日本人が多く登場すること、また当時は日本の統治下にあったことなどから、日本語がかなり頻繁に登場します。台湾ではかなりの観客動員があり、正に金字塔を打ち立てた作品でもあります。上映時間は3時間と長く、主に選手たちの描写や、甲子園に行ってからのシーンに結構時間が割かれています。
この映画を作るに当たって、台湾に甲子園球場が再現されています。(これは『バンクーバーの朝日』で、カナダの球場を日本に作ったというのとちょっと似ています)また甲子園の解説者には、日本の野球関係者が扮しています。ちなみに呉明捷を演じた曹佑寧さんは、かつてのユースの台湾代表です。

それから八田技師、この人物は台湾の水利事業に関与したことで有名ですが、選手の何名かの父親がやはり技師だったり、また農民が水汲みをいちいちせずともよくなり、そのため野球という娯楽に興味が持てるといった描写の仕方になっています。

最後に選手たちのその後が紹介されます。戦死した人もいれば、日本人でその後日本に戻った人もいます。また呉明捷はその後早稲田大学に進み、台湾人として日本で暮らしたといわれています。
[ 2016/01/03 21:08 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

超高速!参勤交代 その2

さてこの作品ですが、『一路』を観ていた方でまだ観ていない方にはお勧めです。あちらは正統的参勤交代ですが、こちらは何ともイレギュラーな参勤交代で、そのギャップがまた面白く感じられます。それにしても家臣の今村役が、『相棒』で鑑識官米沢守を演じている六角精児さんとは(笑)。しかし、いざという時の行列要員として、中間などのいわば「派遣」というのは現実に行われていたのでしょうか。ところで、この湯長谷藩は小藩であまりゆとりがないため、将軍家への献上品は大根の漬物という設定になっています。それを老中は鼻でせせら笑い、内藤政醇が国許で何かの如く味わう鯛にしても、うまいものではないという始末。まあ、何とも嫌な奴です。しかしこの政醇という殿様は、鯛の片身を食べるのにひっくり返すのですか…お行儀悪いなあ。尤も江戸ではできないから、せめて国許ではということなのでしょう。

作品を観ていて感じるのは、この殿様は何とも実直で領民思いの藩主であるということです。また家老の相馬に全幅の信頼を置いていて、何かあれば「相馬、知恵を出せ」となるわけで、この強行軍を如何に突破するかも、殆どが相馬の発案によるものです。またこの藩は会津に存在した実在の藩で、当然ながら言葉も会津弁になっています。「だけんじょ」(だけど)なんて聞くと、正に『八重の桜』の世界を連想します。またウィキ記事によれば、本家筋である磐城平藩はその後日向に転封されますが、この藩はその後もここで領地を保ち、幕末には奥羽越列藩同盟に加わって、新政府軍とも戦っています。内藤政醇は4代目藩主で、忠孝、倹約、扶助を旨とした藩法を定めています。

しかし佐々木蔵之介さんはこういう役が様になりますね。外連味が少ないというか。いつも思うのですが、この人は蔵元の息子さんらしく、品の良さが感じられます。上背もありますし、年齢にふさわしい落ち着きもありますから、結構トラッドぽい格好、たとえばネイビーのブレザーとかツイードの上着とか、チェスターフィールドのコートなども着こなせそうですね。そういう格好の佐々木さんも見てみたいものです。私にしては珍しいことですが、スコットランド紀行のフォトブックが出ているようなので、買ってみようかな…。

お洒落なランプとグラス 


[ 2015/11/13 00:45 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

超高速!参勤交代 その1

享保20年(1735年)のこと。磐城国湯長谷(ゆながや)藩の藩主、内藤政醇(まさあつ)と藩士達は、江戸への参勤から1年ぶりに帰国し、故郷を満喫する。藩は4年前の飢饉により財政困難状態であったが、政醇は近隣の藩へ米の援助を続けており、年貢を上げようとする藩家老の相馬兼嗣(かねつぐ)の意見には反対していた。そんな折、江戸屋敷詰めの家老が駆けつけ、老中松平信祝(のぶとき)からの至急参勤せよとの書を持参する。藩の金山の届出に不正があったとのことで、5日以内に参勤しないと藩は存亡の危機に陥る。江戸への道は最低8日間かかるのだが、政醇は江戸行きを決め、どう乗り切るか相馬に案を出させる。

相馬が政醇を含め7人で出発し、役人のいる宿場だけ人数を雇い、それ以外は山越えをするという案を打ち出したその時、政醇は槍を取り、天井の一隅を突く。そこには抜け忍(ぬけにん、忍者を辞めて帰農している者)の雲隠段蔵が忍んでいた。段蔵は100両出せば、山越えを手ほどきするという。参勤の費用で頭を悩ませていた政醇と相馬はこれに乗る。2日目の早朝、政醇、相馬、荒木源八郎、秋山平吾、鈴木吉之丞、今村清右衛門、増田弘忠は段蔵に率いられて江戸へ発つ。5日間の強行軍のため駕籠や毛槍などはなし、刀も竹光という出で立ちだった。

一行は高萩宿に到着するが、そこには行列要員が25人しかいなかった。本来はその倍の50人の人数が必要なため、宿役人の目の前を通り過ぎた後、回り道して戻って行列に加わり、人数をそれなりに見せるという苦肉の策を採る。また、水戸の徳川宗翰(むねもと)の行列がやってくるが、政醇は幼時のトラウマで閉所恐怖症となり、駕籠に乗れなかった。駕籠には猿の菊千代を乗せて自身は馬を使用しており、その場は腹話術で乗り切る。一行は山道を行き、野宿をするが、その彼らを隠密たちがつけ狙っていた。その後段蔵は礼金をもらい、次の牛久宿で落ち合った時に残りの謝礼をもらう約束だった。政醇は牛久宿までは馬を使うことにし、その前に段蔵に、「このような物しかないが」と家宝の脇差を与える。
 
3日目、政醇は牛久宿の鶴屋に到着するが、いさかいから木に縛られている遊女のお咲を見て、あの女をと所望し、寝る代わりに背中と腰をもませ、両腕の赤い部分(入れ墨の跡か)に傷薬を塗ってやる。相馬たち一行は廃寺に転がり込むが、段蔵は報酬を得て消えてしまい、夜半に目を覚まして水を飲んでいた相馬は、そのまま井戸に落ちてしまう。そこへ公儀の隠密たちがやって来る。一行は大見得を切るも竹光では太刀打ちできず、逃げ出してそのまま谷に落ち、流されてしまう。一方で政醇はおたずね者になり、お咲たちは政醇の紋章である、下がり藤の紋の客に気をつけろと、鶴屋の女将から言い渡される。その後役人が宿を改めに来たため、政醇は閉所が苦手ながらも、やむを得ずお咲と共に押し入れに逃れる。一方報酬が手に入った段蔵は芸者遊びをしていたが、実はその金は古銭ばかりだった。

4日目、谷に落ちた家臣たちは一行は岸にたどり着くも、相馬がいないことに気づいて水死したのだと決め込む。その場所は既に牛久宿よりも先の藤代宿であったため、彼らは先を急ぐことにして、吊り橋を渡る。高い所が苦手で吊り橋と格闘していた鈴木は、背後に何かがいることに気付いて恐怖におののくが、それは井戸に落ちた後、何とか追いついた相馬だった。一方政醇は、お咲と共に馬で牛久宿を発つものの、途中で隠密に出会い、お咲を人質に取られてしまう。政醇はお咲か藩かの苦渋の選択を迫られ、降参しようとしたところに、ある大身の武士がやって来て、信祝の命により、政醇を殺さずに江戸に連れて来るよう隠密に命じる。その武士は実は段蔵が化けたもので、段蔵はその場で隠密たちを斬り、政醇はおかげで何とか窮地を切り抜けた。
 
家臣たちは取手宿に着いたものの、行列のために雇った中間(ちゅうげん)達は、1日余計に待機した分の手当てを払えといい、しかも行列用の道具を持ち去ってしまう。そこへ本家筋である磐城平藩主・内藤政樹の行列がやって来て、相馬たちを自分の行列に入れさせてくれた。これは、飢饉時に政醇に米をもらった礼であった。その後格上の仙台藩の大名行列がやって来たため、一行は飛脚に変装して行列を追い越して行った。飛脚は大名行列であっても追い越すことができたためである。
 
5日目、一行は磐城藩江戸屋敷に着いた。政醇の妹である琴姫は飛脚姿の一行に驚きながらも、江戸屋敷の人間を総動員して体裁を整え、江戸城に向かう。しかし馬でやって来た政醇とお咲はお庭番に待ち伏せされてしまい。そこに家臣たちがやって来て、今度は真剣で堂々と勝負し、最終的に段蔵がこれに加勢する。そして江戸城大手門では老中の松平輝貞、松平信祝が一行を待っていた。刻限の暮れ六つの鐘が鳴り終わろうとした時、弓矢に長けた鈴木が鐘に矢を当てて再度鳴らし、刻限を延ばして何とか一行を江戸城に入れた。政醇は、湯長谷藩では金を産出しないことを述べ、その責任をどう取るおつもりかと信祝を問い詰める。信祝は信貞により謹慎を命じられた。後に徳川吉宗に拝謁した政醇は、吉宗から、信祝が隠密を使うことにより私腹を肥やしている旨を聞かされ、敢えて政醇を参勤させて、信祝の罪を暴こうとしたのだった。
 
そして江戸屋敷では、お庭番との戦いの際に重傷を負った秋山を琴姫が看病する。段蔵は報酬をすべて政醇に戻し、その政醇はお咲を側室に迎えて国許に置くことにした。しかし、今村が帰途突然「行きの分の費用しか予算を組んでいなかった」と言い出し、帰りの旅でも一行はまた経費節減のため、今度は湯長谷藩に向かって走り出す。
[ 2015/11/13 00:40 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

永遠の0 その3

第3弾です。この映画を観て感じることは様々ですが、やはり戦争というものを知るうえで、一度は観ておきたい作品です。できれば映画のみならず、原作を読んで、テレ東制作のドラマ(DVDが出ています) も一緒に観るのがお勧めです。太平洋戦争の一部を描いたと同時に、宮部久蔵という主人公の人となり、機体整備にうるさくて整備担当から煙たがられたり、密かに自分で体を鍛えたりする人物であること、そして、なぜあれだけ死ぬことを嫌がっていたのに、最終的に特攻を志願したのかの理由が徐々に見えて来ます。

特攻を志願した後、川の流れに足を突っ込んで、大石と一緒に将来について語る様子には、何か吹っ切れたようなものがありました。宮部は、本当は特攻に行きたかったのではないか?しかし生きて帰ると約束した以上、それはなかったと思います。恐らくは、この目的のために散って行った自分の教え子たち、仲間たちへの思いがあったからではないでしょうか。景浦の言葉によれば、この作戦は作戦とも呼べるものではなく、「九死一生ではなく十死ゼロ生」だったわけです。その代わりとして、大石を生き残らせようと努力したともとれます。

そして松乃が、ヤクザの囲い者にされそうになった時に、助けてくれた男がいますが、どうもこれは景浦のように思えます。実際景浦は、訪ねて来た健太郎が日本刀に目をやった際に、「その刀は人の血吸ってるぞ」と言っているわけですから、松乃を助けようとした時に何か刃傷沙汰があったと思われます。あと不思議なのは、なぜか井崎が、宮部が自宅に戻ったことを知っていることです。(実際、井崎の会話の中にこのシーンが登場しています)帰国は秘密だったわけですから、本来は知る由もなかったはずなのですが、井崎にはということでこっそり宮部が教えたのでしょうか。

それから、この作品は映画化ということもあり、原作の部分がかなりカットされています。桜花に関しての描写は省かれています。また、健太郎が友人達から、合コンの席で特攻を否定、あるいは揶揄されるシーンがありますが、これは原作では新聞記者がそう言ったことになっています。これは原作通りでよかったような気もしますが、あるいは難しかったのでしょうか。この点に関して、ちょっと興味深いことがありますので、それは後で書きたいと思います。 

戦争物というと、どこかしら反戦姿勢が強い作品も多いのですが、この映画にはあまりそういう雰囲気が感じられません。主人公が戦争中に軍人としてどのように生き、どの方法を選び取り、どのようにして死んで行ったか、そして遺族はその後どうなったかがむしろ淡々と描かれています。私が観た中で、このような描き方をされている戦争映画は、これと台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』 くらいのように思えます。確かに、戦争によって失われるもの、そして受けるダメージの大きさを考えると、反戦というのもわからなくはないのですが、しかしはじめに反戦ありきで、戦争そのものが客観的に描かれていないのは、どこか一方的な印象もあります。また、多分に戦後の物の見方が強く入っているようにも感じられます。

元々太平洋戦争というのは、ハルノートとABCD包囲網がなければなかったかもしれません。しかしこの2つを突き付けられたために、戦争に踏み切らざるを得なくなったのです。本来は中国との戦争だけで終わらせる予定だったのですが、中国とアメリカが協力関係となり、この両国を敵に回す結果となって、枢軸国側に回ることになりました。ちなみに中国とは現在の中華人民共和国でなく、中華民国のことです。この当時はまだ大陸の国家で、台湾は日本領でした。また空襲や核兵器により多くの人々が亡くなったのは、アメリカの戦時国際法違反によるものです。本来空襲は軍事施設を中心として行われるべきなのですが、大都市の空襲の多くは民間人が標的でした。これに関しては原作に、彼らは日本人を同じ人間と思わず、ハンティングを楽しむ気分だったのだろうという記述があります。

マスコミもこの戦争を強く鼓舞していました。しかしそのマスコミの多くは、敗戦となった途端に態度を変えました。そして、戦争における日本をすべて否定的に見るWGIPがGHQによって持ち込まれます。今のマスコミには、このWGIPの影響がまだ色濃く残っているのかもしれません。ここで前出の件ですが、この映画で佐伯慶子を演じた吹石一恵さんが、福山雅治さんと結婚した時、この『永遠の0』の出演について質問をしたマスコミはいなかったか、あるいは少数だったといわれています。この時の吹石さんの演技はなかなかのものでしたが、それを訊かないところに、今のマスコミの立ち位置が窺えるような気がします。

『永遠の0』同様に、百田尚樹氏が手掛けた『海賊とよばれた男』も、やはり山崎貴監督、そして岡田准一さんの主演で映像化予定で、こちらは来年冬の公開になります。こちらは舞台は終戦直後、出光佐三を主人公に据えた物語で、中村雅俊さん主演のオーディオドラマもあります。
[ 2015/11/09 00:51 ] 映画 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

TopNTagCloud