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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  応天の門

『応天の門』源融、庭に古桜を欲す事二

反藤原勢力である源融が、とある桜の老木に目をつけ、別荘の庭に植え替えようとします。ところがその木は何やらいわくつきの木でした。実際にその木を見た道真は、どこか不自然な点があることに気づきます。

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業平は、その木が祟られていると見せかけることが、何の得になるのだと道真に尋ねる。道真は、この木をここから動かされて困る人間の仕業だろうと言うが、紀長谷雄はやはり何か秘密があるのだと、一人色めき立つ。最早他の木にした方がいいのではないかと道真。さらに、寄生している茸のせいで、病気になっていると言うのを耳にした、件の山菜売りの女が、彼らを引き止めようとし、長谷雄の手に触ったせいでかぶれてしまう。

道真は業平の仲介で、直に源融に合うことになった。確かに塩焼きの場にいた人物だったが、桜を植え替えても枯れてしまうという道真の言葉に、急に態度を変える。その時兄である信の文が届く。造園工事を中止せよとの内容に、融は、藤原に入れ知恵されたのだろうと怒りをあらわにする。

嵯峨天皇の子である融は、藤原一族に政権を握られていることを無念に思い、こきおろし、果ては自分が幸せであれば、世の中も落ち着くという、浮世離れしたことを口にする。最早これ以上の説得は無駄と道真は悟るが、帰りにもう一度古桜のある場所へ行くことにする。そこには例の山菜売りの女がいて、ひどくわけありげな感じだった。

実はこの女は、慕う男が東国に出兵することになり、花が3度咲いたら帰ってくることになっていた。しかし4度花が咲いても男は戻らず、切り倒されでもしたら一大事と、人々が近づかないように色々な細工をしていたのだった。

業平は東国への兵役が3年から5年に延びたため、それで遅れているのでないかと言う。また道真は、茸が生えている枝を切ればよくなると思うが、今掘り返したり植え替えたりするのはよくないと結論を下す。しかし融はこの桜の木で頑なになっており、実際にこの木に秘密があるところを、見てもらうしかないということで、業平と道真は一計を案じる。その後業平は自邸に融を招いて宴を開く。

その帰り、月を愛でながら牛車で業平は融を送ろうとするが、その途中牛がいうことを聞かないということで、例の桜のある場所に出てしまう。早う我が邸で桜を見たいものよと話す融だが、その桜の木の下に、奇妙な物があるのを見つける。

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桜の木に色々な仕掛けをし、人の足を遠ざけていたのはやはり山菜売りの女でした。しかもこの桜には茸が寄生しているわけで、下手に移すと枯れてしまうことにもなりかねません。しかし藤原一族に恨みを持つ源融は、何としてでも自分の別荘に桜を移すつもりのようです。仕方なく業平と道真は、その山菜売りの女にも協力してもらい、融が桜を移し替えるのを断念するように策を練ります。それにしてもこの時代は、坂上田村麻呂の東国平定の頃だったのですね。

[ 2018/02/25 23:15 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』源融、庭に古桜を欲す事一

寧(ニン)の件、島田忠臣の件と来て、今度は古い山桜の話となります。例によって奇妙な伝説のある木を、どうしても別荘へ移し変えたいという源融ですが、結局業平は、また道真に事件解決を依頼することになります。

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かつて桜の大木の下で、将来を誓った一組の男女がいた。男は坂上田村麻呂に従軍して、東国へと赴き、3年経てば帰って来ると約束した。

その後宮中では、在原業平が寧を逃がすため、意外な手を用いたことが評判になっていた。その時業平は、源信(まこと)が、融を探しているのを目にする。信は融が別荘に贅を尽くしているのを知り、戒めようとしていたが、その融は兄が去ったのを見計らうように、業平の前に姿を現し、自分の別荘へと連れて行った。

この別荘は四季折々の美を再現しており、確かに見事であったが、これでは信が怒るのも無理はないと、業平は内心つぶやく。しかし融は、これにもう一つ加えたい物があると言う。それは一本の山桜の木であった。しかし人足たちは、この木の側によるのは不吉だと言い、近づきたがらなかった。融は美しい物は呪われていても美しいと言い、業平にこうも言った。
「なびかぬ美女ほどそそるものはない。そなたにならわかるであろ業平」

しかし融に仕える童によれば、その木の周辺では不審なことが絶えなかった。結局業平は道真に頭を下げることになったが、その際寧を逃がしたことを散々恩に着せ、かつての塩焼きの宴のことで、道真の無礼(とみなされたこと)を取りなした件を持ち出しもした。道真はさほど気乗りではなかった。しかしその場にいた紀長谷雄は怖い物見たさということもあり、行く気満々で、ついに2人は業平の車で山桜を見に行くことにした。

その桜にはカラスが群れており、誰かが首を吊ったらしき縄も下がっていて、如何にも不気味な雰囲気だった。さらに木に近づこうとした長谷雄を道真は止める。その辺りにツタウルシがあり、踏むとかぶれる危険があるからだった。しかしツタウルシは普通は地面に生えず、木に巻き付くものだった。さらに下がっていた縄のうち、風雨にさらされない結び目の部分は、他の部分よりも新しいはずだったが、この縄はすべての部分が同じように古びていた。

道真は何者かが、この木を切り倒さないように、わざと近づかないための小細工をしているのではと疑う。しかもその少し前、木の側にいた山菜売りの女の存在も気になっていた。

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何やらいわくありげな桜の木で、どこか他の人物が細工をしたような、不自然な点が見られます。しかし長谷雄は怖がりなのに、一方で怖い物見たさで盛り上がるのは相変わらずです。無論業平もそれを見込んで、長谷雄を連れて来たようではあります。

[ 2018/02/18 00:00 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』島田忠臣、菅家廊下につとむる事二

宜来子の父である島田忠臣は、かつて道真の父是善に師事していました。優秀さと、娘を道真に嫁がせる予定であることから、嫌がらせを受けるものの、道真(阿呼)に助けられます。しかしその阿呼に、自分は及ばないと感じるようになります。

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ある朝、道真の父是善が講義に赴くと、写本が水浸しになっていた。水差しの始末をしていなかったことを、是善に詫びる忠臣。ならばこの写しを二巻作れと是善は言うが、今度は忠臣の筆がなくなっていた。その前にも忠臣は紙を紛失しており、他の門下生の中傷が飛び交う中、当時阿呼と呼ばれていた道真がその場に現れて犯人を言い当てる。

実は阿呼は、忠臣の部屋の戸口と敷居に柿の渋を塗っていたのだった。忠臣より先にその部屋に入った者には、その渋がついているはずだった。しかもその男の着物から、忠臣の持ち物が色々と出て来た。その後写本を仕上げた忠臣は書庫で阿呼を見つける。

阿呼はそこで板切れに詩を書きつけていたが、忠臣を見ると逃げ去って行った。その場に残された板切れを見て、その出来に忠臣は驚く。しかしそこへ是善が呼びに来たため、忠臣は板切れを懐に入れ、講義の手伝いをするが、ふとしたことでその板切れを落としてしまう。

そこに書かれていたのは、以前是善が講義をした漢詩を読み直したものだった。是善は忠臣の作だと思い込み、それを門下生たちに見せて、己の力で新しきことを切り開くことこそ大事と訓示する。しかし忠臣は、その場で阿呼の作だと言えなかった己を恥じる。

忠臣は是善の跡を継ぐ予定だったが、阿呼が元服するまでという条件をつけ、その後は見聞を広めたいと是善に話す。しかし是善は、阿呼と忠臣の娘、宜来子を結婚させるつもりでいた。その阿呼は、まだ幼い宜来子に論語を教えていた。

8年後に戻った忠臣は、宜来子がいつの間にか眠ってしまっているのに気づく。その時、藤原基経の屋敷より車が来ていた。忠臣は大納言暗殺が失敗に終わったことを詫び、極刑をも覚悟するが、基経は、薬の替えはあっても、そなたの替えはどこにもおらぬと言い、自分のために詩を読んでくれと言う。

再び8年前。忠臣は阿呼に礼を言う。忠臣は阿呼が是善の跡を継げると確信していた。しかし阿呼は、父のような文章博士になるのではなく、唐へ行きたいと言う。忠臣は内心驚きつつも、ならばまず大学寮に入るように言い、勉強をするように勧める。

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既にこの頃から、捜査の方の才能も芽生えていた道真ですが、ヒントは柿の木に登っていて、女官からかけられた言葉でした。一方で忠臣は優秀な門下生でしたが、道真(阿呼)の非凡な才能、唐へ行きたいという強い思いに、自分とは違ったものを感じます。

そして現在(8年後)の忠臣は、すっかり基経の手下のようになった感があります。大納言は伴善男のことと思われます(詳しくはこちらを)。しかし基経が言うように薬が効かなかったのではなく、道真の処理が正しかったと、この場合は見るべきなのでしょう。

[ 2018/01/17 00:45 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』島田忠臣、菅家廊下につとむる事一

唐から密航して来て、しかも殺人容疑をかけられた寧(ニン)を、協力してどうにか逃がした道真と昭姫は、談笑しながら歩いていました。しかしその二人を目にした宜来子は、道真が年上好みと思い込み、へそを曲げてしまいます。

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道真が昭姫と歩いているのを目にした島田宜来子は、ひどく腹を立てて戻り、夜具をかぶって拗ねてしまう。また戻って来た父忠臣にも悪態をつく。白梅は届けた干柿をそこに置いて、菅原家へ戻る。宜来子は、道真が年上の女性が好きである、しかも唐の女が好きであると思い込んでいた。

話はその八年前にさかのぼる。菅原家は私塾を開いており、寝殿の渡殿である、中門廊下に門下生を集めて授業を行っていた。阿呼とよばれていた道真は柿の木に登り、その様子を見ていた。するとそこへ、島田忠臣が現れて、木から降りて学問をするように命じる。

しかし阿呼は反発する。もう飽きた、一度聞いた話は二度と聞かずともよいと言い、それまでに覚えた詩をことごとくそらんじてみせる。忠臣はなすすべはなかった。道真の父是善もその点を案じており、忠臣は己の至らなさを恥じるが、是善は逆に、忠臣の娘の宜来子を阿呼の嫁にと言い出す。

東宮学士、つまり皇太子の師となった是善は、この塾を忠臣に任せるつもりでいたが、官位すらない忠臣は、貴族の出である他の門下生によく思われていなかった。そして忠臣は、学問をさぼる道真を机につかせようとし、硯が割れているのに気づく。

阿呼は忠臣が優秀なこと、そして宜来子の件で、誰かがわざとやったのだと言う。忠臣はことを穏便に収めようとするが、阿呼は反発し、さらに柿の汁がつくから木から降りるようにと言う、女官桂木の言葉にも耳を貸さなかった。そんな時、阿呼はある物を目にする。

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白梅が干柿を置いて行きますが、宜来子は道真と昭姫のことが腹にすえかねており、食べようとしません。一方忠臣は、菅原家の柿の木に思いを馳せます。その柿の木こそ、かつて年少の頃の道真が登って遊んでいた木で、忠臣はその家で学問を学んでいました。

宜来子の父でもある忠臣は、菅原是善の塾でも優秀な門下生でしたが、それが他の門下生の妬みを買い、嫌がらせをされるようになります。しかも、その後塾の後継を辞したことが、その後の彼の生き方を、大きく狂わせることになります。

[ 2017/12/07 23:45 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』長谷雄、唐美人に惑わさるる事三

昭姫の顔見知りである寧が、殺人容疑を着せられて京へ逃げ込んで来ます。長谷雄に助けられ、昭姫の店を訪れた寧は、かつて宮中に仕えた彼女との再会を喜びます。しかし、取り締まりは厳しくなり、道真はある手を打ちます。

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東の大門は取り調べが強化されていた。権少将である業平が直々に取り調べを行い、口さがない役人たちは、神泉苑での失態を埋め合わすためと噂していた。そこへ昭姫の荷を積んだ車がやって来た。実はこの車には、道真が計考えたある仕掛けが施されていた。それは、かなり大胆な仕掛けであった。

業平はその筋書きを知り、いささか難色を示すが、色好みの少将様はお好きでしょうと、道真は気にも留めなかった。その仕掛けとは、荷の中に女装した寧(ニン)を紛れ込ませたのである。東の大門では、昭姫たちの積み荷の検分が行われたが、荷台に誰か乗っているようだった。その人物は起き上がって荷台から降りた、女装をした背の高い人物で、片方の足を負傷していた。

寧の姿は、正に役人殺しの容疑者の、目撃情報そのままだった。そこで業平は、目撃者をそこへ呼ぶが、目撃者によれば、船で見かけたのは男だった。しかし、化粧と衣で女として逃げることもできると、業平は追及の手を緩めなかった。そこへ昭姫が、さる国司気に入りで、これより国元に届け出るのだと抗議する。しかし業平は、身の証を立てぬ以上通せぬと粘る。

仕方なく寧は衣服を脱ぎ、下着姿になる。下着姿ではどう見ても女であったが、同輩の仇であるといい、ある役人に手荒なことをさせる。つまり股間に頭を入れ、男性としての物があるかどうかを調べさせたのである。結局それは確認されず、寧は女である、つまり女装した男ではないということになり、容疑は晴れた。

不機嫌そうな顔をして見せる昭姫に、業平は、役人たちが不満を持つ故このようにしたと、彼らに責任をなすりつけてしまう。そして博多行きの船が手配された。あのような非礼をと詫びる昭姫を、よくやってくれたと労う寧。寧は昭姫と道真に礼を言い、手配してあった博多行きの船に乗って別れを告げる。

道真は、唐に戻る気はないのかと尋ねるが、寧は唐での自分の人生は終わったと言い、自分が捨てた都がどう映るかは知らぬが、才が曇らぬよう、成すべきことをなすようにと告げて去って行く。昭姫は、憧れの人物であった寧と再会できたことを喜んでいた。しかし寧を女だと思っている長谷雄には、寧は道真に黙っているように伝え、こう言った。
「夢は、夢のままのほうがいいこともあるんでございますよ」

しかし道真が昭姫といたことが、ちょっとした騒ぎになった。菅原家の使いで島田家を訪れた白梅に、宣来子が道真のことを聞き、白梅はうっかり外泊したと答えてしまう。しかも、昭姫の店を口にしたことから、宣来子はそこへ連れて行くように命じ、話している二人を目にする。しかし白梅の予想を裏切り、宣来子はそこで出て行くこともせず、屋敷へ戻って行った。

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何とかその場をやり過ごした昭姫たちですが、業平もなかなかの役者ではあります。無論筋書きを描いたのは道真で、敢えて疑わせてみせ、最終的にその証拠が得られなかったことで、晴れて釈放というわけですが、結構きわどい方法でもありました。ちなみに宦官は、体つきが徐々に女性的になって行くようです。

しかし道真が昭姫といたことが、宣来子にとんだ誤解を与えてしまいます。外泊ということがかなり気に障ったようで、いつもの宣来子なら、昭姫と二人きりでいる道真を見て、勇躍目の前に出て行くわけですが、今回はちょっと勝手が違い、そのまま引き下がってしまいます。宣来子は何を感じ取ったのでしょうか。

[ 2017/11/05 00:00 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』長谷雄、唐美人に惑わさるる事二

久々に『応天の門』です。紀長谷雄が、足を怪我した長身の女を見つけ、最終的に昭姫の許へ連れて行きますが、昭姫はその人物を見て驚きます。

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昭姫は、その背の高い女寧(ニン)に見覚えがあった。かつて昭君は唐の宮廷で、第三夫人の下女として仕えていたことがあったが、先帝崩御後、権力争いに巻き込まれないように夫人から暇を出され、日本へ行ったのである。その後女性たちは次々と宮廷を終われ、後継者争いで多くの血が流れ、寧は、最早この王朝は長くないと見て密航したのだった。

寧は夫人の形見と言って、昭姫に簪を渡した。しかし道真はその簪に血曇りがあることから、役人を殺した凶器ではないかと疑う。しかも背の高い唐人の女という点まで同じだった。道真は漢語で寧に尋ねたところ、あっさりそれを認めた。業平は役人殺しはやむを得ずとも、密航者とあれば放っておくわけには行かなかった。

しかし道真は、唐の文化をもっと知りたいと寧に食い下がる。業平は道真に、ああいうのが好みなのか、宜来子殿に言いつけるぞと言い、さらに「アレ」だと言う。道真にはしばらく考え、業平のいわんとすることを理解した。一方長谷雄もすっかり寧に夢中になり、漢語を頑張ろうと決意する。

昭姫は寧にいてもらえないかと頼む。しかし寧は、当初博多に行こうとしていたが、人を殺しており、このまま罰を受けてもやむを得ないと言う。長谷雄は寧を救おうと試み、昭姫も船を貸そうとするが、この事件の為東の大門の取り調べが厳しくなっていた。道真は、足を怪我した唐人で、背が高く、女装しているかもしれない男という情報を利用しようとする。

道真はその夜、縁先で寧と話していた。唐の文化に憧れ、科挙の制を実施するべきと言う道真に、寧は、自分にはそれらは権力を得るための手段や武器だったと話す。そして道真の前で寧は着物を脱いだ。寧は宦官だったのである。後宮に入って権力者に取り入ろうとした、そのなれの果てがこれだと道真に諭す寧だった。

そして道真は、車を押す人夫に変装し、寧共々東の大門を突っ切ることにした。長谷雄は寧との別れを惜しむ。やがて寧は車に積んだ荷物の間に身を隠し、昭姫率いる一行は、東の大門を目指して出発した。

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背の高い女と見えたのは、この寧が元々宦官であったからでした。唐を先に抜け出した寧を探し、日本まで来た寧でしたが、正当防衛とはいえ殺人を犯し、しかも密航者です。道真たちは、寧を安全に逃がそうとあることを企てます。

[ 2017/10/24 02:00 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』長谷雄、唐美人に惑わさるる事一

久々に『応天の門』です。供善男は結局体調が回復し、再び出仕しますが、祭で藤原良房を襲ったと思しき賊は、結局捕まらずじまいでした。そして今度は、京に密航者が現れます。

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ある港で荷改めが行われている時、唐人と思しき女の密航者が乗り込んでいるのに、調役の役人が気づく。役人は特権をかさに、その女に言い寄ろうとするが、女は衣をかぶってその場を逃げ出す。あまり時間がかかるのを不審に思った部下がのぞいてみると、その役人は殺されていた。

京では紀長谷雄が、道真に伴大納言との関係をしつこく訊いていた。そんな長谷雄に、自分は得業生になって、唐へ行きたいと話す道真。遣唐使船は危ないという長谷雄に、そんなことでは何にもなれないと言い返す道真。長谷雄は、遊ぶのは今のうちだけなのにと愚痴りながら歩いて行くうちに、不思議な香りがするのに気づいた。

香りの元を辿ってみると、足を負傷しているらしい大柄な女がいた。しかも話す言葉は漢語で、うまくやり取りできないまま、足を冷やすために小川まで背負って行く長谷雄。一方密航者の件は業平の許にも届き、業平はすぐに指示を出して、菅家に迎えをよこす。

港では役人の遺体を見た道真が、吐き気を懸命にこらえていた。その唐人が何者で、どこから荷物に紛れ込んだかもわからない有様で、一方で船乗りたちは、日ごろの素行が悪い役人だったから天罰だとも口にしていた。道真は「詳しい人」に訊くべきだといい、また遺体の傷に注目する。

長谷雄は自邸に女を連れ込み、他の者の入室を禁じた。菅三殿に相談するべきか迷うが、昭姫のことを思い出し、女の手を握ってこう言う。
「あなたのことは、私が守りますから」
しかし家に置いておくのも不安なため、二人で牛車で昭姫の店まで出かけることにする。

長谷雄は昭姫の店の前で、道真、そして業平と鉢合わせする。帰ろうとする長谷雄を道真は引き止めるが、そこへ昭姫がやって来て、役人が殺されたのを聞き、素行が悪かったから当然だと、むしろそれを喜ぶような物言いをする。しかし犯人を捜すにしても、唐人は朝廷に出入りする人物も多く、うかつに調べるわけにも行かなかった。そんな時、道真は昭姫の簪に目を止める。

遺体はこめかみの急所を刺されており、そういう心得のある者のしわざとも考えられた。一方長谷雄も用件を訊かれ、足を負傷している女の通訳をしてほしいと話す。ところが道真が、足を負傷した女の目撃者がいると言い、しかも業平も、ならば遠くへは行けないだろうと言い出したことから、長谷雄が連れて来たその女が怪しいということになる。

長谷雄は手荒なことをしないという条件付きで、その女を車から降ろして連れて来る。その顔を見た昭姫は叫んだ。
「寧(ニン)さま…?!」
どうも、かつて唐の宮廷で女官として仕えていた女のようだった。

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神泉苑で矢が射られた事件の次は、密航者が役人を殺した事件と、業平も色々と大変なようです。しかも長谷雄が、事件にかかわっていると思しき、唐人女性を連れて現れます。さらに昭姫の顔見知りでもあるこの人物は、何者なのでしょうか。

[ 2017/06/16 23:30 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』都にて、魂鎮めの祭の開かれる事四

久々に『応天の門』です。都の神泉苑で魂鎮めの祭が行われますが、その時帝めがけて矢が射込まれ、祭は一旦中止となります。しかしその矢は帝ではなく、藤原氏の長良房を狙っていたようです。一方で、祭になんら興味を示さない道真の許へ、伴大納言善男の息子である中庸(なかつね)が尋ねて来ます。中庸の様子を見て、ただことでないことが察せられ、道真は善男の屋敷へ向かいます。そこで彼が目にしたのは、血反吐を吐いて苦しむ善男でした。祭の宴で酒を振る舞われ、その酒に毒が盛られていたのです。

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道真が毒を吐かせている間、一人の女が追われていた。その女は誰かに命令されて、酒に毒を盛ったのだが、結局消されてしまう。一方善男の甥豊城(とよき)は、相変わらず飲み歩いていて、祭で何が起こったのかも知らんふりを決め込む。そして藤原常行は、帝から武装を禁じられているにもかかわらず、私兵を出して良房の屋敷の防備を固めさせるも、良房にいわれて兵を退かせる。その良房は、最近の基経の行動、特に自分の私兵を使ったり、怪しい者を重用していることを訝しんでいた。

その頃在原業平をはじめとする検非違使たちは、矢が射込まれた理由を探す。業平は道真を呼びにやるが、道真は友人の所へ出掛けて留守だという。業平は、てっきり道真も祭に興味を示し、紀長谷雄の所へ出掛けて、祭りを楽しんでいるのだろと考える。しかしその道真は、伴家の屋敷で善男の治療に当たり、不眠不休の日々を送っていた。眠気覚ましに顔を洗う道真に、母屋の方から声が聞こえる。善男が意識を取り戻したのである。

善男は何とかして立ち上がろうとする。毒はかなり抜けたようだったが、しばらく安静にと言い、道真もその場に転がってしまう。善男は道真に、是善の所の阿呼(幼名)かと話しかけるが、道真はこう答える。
「もう阿呼じゃありません。今は道真です」
やがて祭りも終わり、再び公家たちが参内して来た。常行は業平にその後の様子を訊くが、業平は一向に下手人の手掛かりがつかめないと言う。しかも矢が放たれた場所からは、帝の高御座は見えないということだった。常行は、これでは藤原の自作自演と思われるかもと危ぶむ。

むやみやたらに対抗勢力を疑うこともしたくない、しかも当主が狙われたとあっては外聞が悪いということで、常行は証拠がはっきりするまで、帝には適当に取り繕うことにした。もし証拠が上がればとの業平の問いに、常行はこう答える。
「そのときは本当に根絶やしにできる」
業平は藤原の何たるかを見る思いで、背筋がぞっとした。しかし参内した貴族たちの中に、大納言である伴善男の姿は見えなかった。

一同があれこれ噂をしている所へ、当の伴善男が現れる。帝の顔色が悪いようだがとの問いに、善男は平然と、少々酒を過ごしたと答える。当てが外れた藤原基経。そして良房は如才なくこう言う。
「大納言殿はまず御酒を控えられよ」
その白々しい様子を目にする業平。帝は基経と常行の労をねぎらう。
そして都大路では、道真が長谷雄から祭の様子を聞かされていたが、道真は、自分も忙しかったのだと言う。事情を知らない長谷雄は、書を読むのに忙しかったのかと不思議がるが、その時一台の牛車が二人に近づいて来た。

車から顔を出したのは、他ならぬ伴善男だった。思いもかけない大納言に長谷雄は驚くが、善男は、道真に乗って行けと勧める。自分は歩くからと道真が答えると、車は遠ざかっていった。長谷雄は、なぜ道真が大納言と親しくなっているのか、祭の間に一体何があったのか、その理由を訊きたがる。色々あったのだと答える道真。長谷雄は納得しない様子で、色々あったとは何かとなおも訊きたがるのだった。

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伴善男に毒を盛ったのは、やはり基経でした。しかしその善男が、平気な顔で参内して来たため、肩透かしを食わされてしまいます。尤も、このまま引き下がるような人物ではないのは事実ですが、次はどのような手を打ってくるのでしょう。

[ 2017/04/07 20:30 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』都にて、魂鎮めの祭の開かれる事三

少々間が開いてしまいました。都で魂鎮めの祭が催され、一般人も会場である神泉苑に立ち入りが許可されて、大変な賑わいとなります。しかし帝の側にいた、藤原北家の長である良房が何者かに狙われ、祭りは中止となり、会場は騒然となりました。また、酒肴のもてなしを受けた伴善男は、帰宅早々嘔吐して倒れてしまいます。

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倒れた善男は他言を禁じるものの、容態は悪化し、息子の中庸(なかつね)は菅原邸に車を走らせる。当主の是善も祭から戻ったばかりだったが、中庸のうろたえた姿に驚く。中庸は道真の学識にすがろうとしていた。当の道真は、大納言である善男の息子で、しかも礼装である束帯を、着替えもせずに駆け込んで来たことから、緊急の事態に置かれているであろうことを察するが、その中庸と関わりを持つことに、何か危険な物を感じていた。

しかし是善が承諾したことにより、道真も伴邸に向かうことになる。道真は中庸に指示を出した。まず、祭りの後の混雑のため、二人で行くことによる遅れを避け、先に中庸が一人で戻ること。特に、家紋のない網代車を中庸が使っている以上、人目につかない方がいい事態であるから、よけいそうした方がいいこと。白梅は道真を案じるが、別々に行くことを中庸が承諾した以上、心配はないと答える。

道真は徒歩で伴善男の屋敷へ向かった。中では香が焚かれ、祈祷が行われていた。善男が血反吐を吐いて倒れたこと、神泉苑で毒を盛られた疑いがあることを話す中庸。道真は、ここで善男を助ければ、大納言方に与したことになり、見捨てれば藤原方に与したことになるため、なおも決心が鈍っていたが、結局引き受ける。しかし何の毒を飲まされたのが、それを特定できず、ともかく塩水を飲ませて吐かせることにした。

善男の喉が動かないのを見て、無理やり吐かせる道真。更に湯を沸かさせ、火鉢を用意させて、治療のためにその辺りの祈祷の道具をなぎ倒してしまう。周囲は驚くが、道真に取っては、善男の冷えた体を温めるのが先決だった。その頃神泉苑では、警備の物の遺体が発見され、犯人の物と思われる衣と、凶器と思われる弓矢が見つかっていた。弓は折れており、かなりの剛力の者のしわざのようだったが、目撃情報はなく、しかし単なるいたずらとも思えず、業平は悩む。

道真の方は、善男の体内の毒を出すのに懸命だった。粥を食べても戻してしまう善男だったが、とにかく体内の毒を外に出すには、それもやむなしと道真は考える。善男の体はほてり、汗まみれの衣には、毒が付着している可能性もあるので、焼くように指示する道真。しかし体は冷たく爪は紫で、しかも何の毒であるかはまだ特定できず、この治療でいいのかと悩む道真。当の善男は道真に、お前は是善の息子の吉祥丸かと、とぎれとぎれに尋ねる。

そして藤原基房は、島田忠臣と密談していた。やはり善男暗殺の張本人は基房であり、善男が急病で死んだように見せかけるように、念を入れて二の膳にも毒を仕込んでいたが、例の矢が射込まれた件で、二の膳の方には手をつけていなかった。実はその毒こそ、例の百鬼夜行騒ぎに紛れて、こっそり忠臣が運ばせた毒だった。基房の無謀な行動を忠臣は懸念するものの、自分たちもいつ疫病で死ぬかわからぬではないかと答える基房。

基房は、中庸が菅原家に赴いたものの、単身帰宅したこと、その後文章生らしき人物が、伴善男の屋敷を訪れたことを知る。基房は、中庸が是善に追い返されたことを喜ぶが、忠臣は、かつての師である是善の許へ、なぜ中庸が行ったのか、その文章生は誰かと考えているうちに、あることに気づく。基房は、是善が逃げたことに対して忠臣をからかい、毒を傍らの魚の桶に入れて殺してしまう。一方道真は、まだ善男の治療に追われていた。

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伴善男毒殺計画は、やはり藤原基房の差し金であり、例の百鬼夜行騒ぎは、毒薬を持ち込むためのものでした。今後善男はどうなるのでしょうか。そして何よりも、当の弓を引いた下手人である善男の甥の豊城は、裁かれることになるのでしょうか。

しかし、中庸が駆け込んで来た時の道真の分析が如何にも彼らしい。『まだらの紐』で、依頼人のヘレン・ストーナーがどのような状況で、どのような馬車で来たかを言い当てていたホームズを連想します。

[ 2017/02/24 00:45 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』都にて、魂鎮めの祭の開かれる事二

『応天の門』続きです。都で帝の意向により、魂鎮めの祭りが開かれることになって、大内裏に庶民が入れることになります。しかし警備のために検非違使が動員され、さらに、伴善男の品行不正な甥、豊城がこの隙に乗じて、悪さを企んでいるようです。

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祭りが始まったが、道真は一向に興味を示さず、むしろ音楽がうるさいと言う始末だった。紀長谷雄は白梅を連れて出かける。彼女に「長谷雄様は他の姫君とお約束が…」と言われて、ないと答える長谷雄。その白梅は群衆の中で、うっかり他の男とぶつかってしまう。見るからに恐ろしげなその男は、実は伴豊城だった。

一方業平は他の検非違使たちと警固に当たり、女たちの注目を集めていた。しかし検非違使の数が足りておらず、業平は警備の手薄さを不安がる。様々な踊りや見せ物が披露され、一般人のみならず。帝や公家たちも大いに楽しんでいた。しかし藤原良房には、それとは別の目的があった。姪の高子を連れて来ていたのである。

良房はさりげなく帝に高子のことを教え、後ほどお目通りをと願うが、まだ少年である帝は、高子は高子なりに楽しめばいいと良房に話しかける。それを聞いて、祭りは楽しむのが一番と、良房を嘲るかのように哄笑する善男。しかし善男は、良房の企みに感づいていた。高子は後で帝より菓子を賜ることとなり、また善男の嫡男中庸は帝の御前に召し出される。

中庸は、豊城が行方不明になったこと、藤原一門を豊城が狙おうものなら、伴家も危ないと聞かされており、震えながら帝に挨拶をする。その場を善男がとりなし、帝も温かい言葉をかけるが、善男も内心は落ち着かなかった。そこへ膳が運ばれる。かつて佐渡にいた善男にちなみ、佐渡の塩を使った料理が並んでいた。

女官が酒を注ごうとするが、何か落ち着かない表情を見せていた。善男は酒をあおり、続いて中庸も飲もうとするが、酔った自分を連れて帰る役目ゆえ、飲むなと父に言われる。一方帝から目通りを許されなかった高子だが、さらし者になるよりはよほどましと妙に落ち着いたものだった。その頃、警備の隙を突いて豊城が忍び寄る。

豊城は弓に矢をつがえ、良房を狙うものの外してしまう。このことで場は騒然となり、帝が狙われたとの言が飛び交うが、藤原常行だけは、伯父の良房が狙われたのではないかと口にする。良房は動じなかったが、これにより公家はすべてその場を退き、検非違使たちが矢を入れる胡簶(やなぐい)が調べられる。

外にいた群衆が、急に人々が出て来たのを見て、何か異変にあったことに気付く。餅を食べていた長谷雄と白梅も、ただならぬ様子に気づき、急ぎ戻ることにした。都大路も、帰宅を急ぐ人々であふれていた。帝からは祭りは続行、武装はしないようにと公家たちに達しが行った。

善男は中庸に、このことは戻るまで口をつぐむように命じて牛車に乗り込む。その後二人は無事屋敷に戻った。中庸は、父から酒を飲むなと言われた件で、毒でも入っているのかと思ったと口にするが、その矢先、善男が激しく吐瀉し、そのまま倒れてしまう。

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やはりというか、この祭りに乗じて豊城がやらかしてくれました。しかも酒にはやはり何か仕込まれていたようで、善男は帰宅早々倒れてしまいます。伴家の一大騒動に、いささか頼りない嫡男の中庸はどのような手を打つのでしょうか。

[ 2017/01/18 23:45 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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