元治元年(1864年)8月、万二郎は長州征伐に赴くことになった。留守中綾のことを頼むとおとねに告げる万二郎。そして万二郎は西郷と再会する。一方歩兵組の兵たちは、万二郎が眞忠組の頭の妹を匿っているという噂を巡っていさかいを起こしていた。くだらないことはよせと諌める万二郎。一方おとねは、夫の仇の妹である綾の枕元で、散々激しい口調でせめよった挙句、今後は食事を作らぬ、飢えて死ぬがいいとまでいい出す始末だった。
良仙が往診に来て、少し弱っているようだというが、おとねは知らん顔を決め込む。その後もおとねの、綾への冷たい仕打ちは続き、綾の耳元で、万二郎が思う人、おせきのことを話して聞かせる。一方大坂では、西郷と再会した万二郎が、別れた後のことを話していた。幕府の改革を夢見ているという万二郎に、西郷は幕府はあと数年しか持たぬといい、その後は薩摩が天下を取るとまで口にする。
万二郎は西郷と会った帰り道、兵たちが騒ぎまわっているのを目にする。彼らの砲口は、明らかに自分に向けられていた。物陰に隠れた万二郎に話しかけたのは、土佐の脱藩浪人坂本龍馬だった。龍馬も羽織に穴をあけられていた。幕府軍を揶揄する龍馬。そんな中で、万二郎と他の兵たちの連携が功を奏し、規律に違反した兵を連れ出す。
兵の不始末を詫びる万二郎に、ならば酒をおごってくれと頼む龍馬。2人は遊郭へ行く。ご機嫌でよさこい節を歌う龍馬に、万二郎は良仙をだぶらせる。遊ぶ時に遊べという龍馬。さらに彼が構想する、議会を中心にした「新しい国」について聞かされる万二郎。幕府維持を目指す万二郎には不愉快だったが、龍馬はこれは勝海舟の受け売りだという。勝は幕臣であるが、幕府よりも日本国のことを考えていると話す龍馬。
万二郎は迷っていた。そんな時、大坂での部下の不始末と、坂本龍馬との接触の責を負わされ、歩兵組隊長を解任されて、江戸に戻り蟄居を命じられる。一方でおとねは、相変わらず綾に悪口雑言を浴びせており、夫の位牌に向かって、鬼のような女だが許してくれという。そこへ良仙がやって来る。以前よりもやつれた綾を見て、良仙は食事をとっているか聞き、水を飲ませてみて、何日も水や食事を与えられていないことに気付く。
すぐに医学所に連れて行くという良仙に、万二郎からいわれたのだから家で看病するというおとね。良仙は、自分も万二郎に頼まれて来ているといい、息子が惚れた女性に、何もしてやらないのが解せないと詰め寄る。おとねはその後、元通りに綾の世話をするようになる。そして万二郎は、江戸への帰り道、勝が軍艦奉行の任を解かれたことを耳にする。幕府は何をやっているのかと憤る万二郎。一方良仙は、蘭書を紐といては綾の病状について調べていた。
万二郎が帰宅した。詳細は西郷からの手紙で知ったというおとね。勝は、神戸の海軍塾に浪士を入れたのが気に入らなかったとかで、閣老に海軍塾をつぶされ、あの様子じゃ幕府どころか日本が危ないと口にする。不満を良仙にぶちまける万二郎。そんな万二郎に、この蟄居で綾さんの看病が出来るじゃないかという良仙。そして、綾と同じ病状の患者がオランダにもいたが、勝手に治ったといって励ます。
その後万二郎は道場に行き、その日の出来事を逐一綾に話して聞かせる。そしておとねに、良仙から聞いオランダの病人のこと、そして、綾は本当はすべてを理解しているのではないかといったことを話し、母が看病してくれたことに謝意を述べる。おとねはこらえきれなくなり、綾を亡き者にしようとしたと万二郎に打ち明ける。万二郎は驚くが、その後綾に、母は悔いていると話す。
そして良仙は、第二次長州征伐の軍医として赴いた。そこで彼が目にしたのは、新式兵器の前に総崩れになる幕府軍の姿だった。治療してもまた戻ってくる兵たち。一思いに死んだ方が楽になるとまで口にする良仙も、流れ弾に当たって右モモを負傷する。江戸に戻った良仙はおつねに、少し弾がずれていたら男じゃなくなっていたと減らず口を叩きつつ、自分が負傷したことで兵士の気持ちがわかり、その時に誰がいてやるべきかをおつねに話し、誰かがこの仕事をやらなければならないともいう。
万二郎は、小野から幕府軍惨敗を聞かされ、あることを決意して、その後綾の枕元で、看病を長く続けられなくなるかもしれないと話す。実は、閣老を斬ることを決めていたのだった。心配するおとね。しかしある夜、帰宅した万二郎に、おとねは綾が目を動かすようになったと言う。良仙にそのことを伝えに行った万二郎は、同時に「シロアリ退治」をすると告げる。「後のことを頼む」という万二郎に、良仙はいう。「お前は死ぬ気だな」