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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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『どうする家康』第33回に関しての武将ジャパンの記事について-2

第33回の『武将ジャパン』大河コラムその2です。
それから先日分、自分で読み返してみてちょっと説明不足かと思ったので、いくらか手直しをしています。

あと松本潤さん、8月30日がお誕生日との由。おめでとうございます。


『平清盛』の長所は捨てて、短所は引き継ぐ本作。
あのドラマはやたらとコーンスターチをばら撒きました。
その点を批判されると、制作サイドは「不当な指摘だ」というスタンスでしたが、やはりコーンスターチの使いすぎはよろしくないでしょう。
未舗装の道であれば、土埃は立ったかもしれませんが、もうもうと舞い散るコーンスターチは、日本の気候の大きな特徴である多湿を反映していないようにも見えてしまいます。

元々コーンスターチを使い始めたのは、幕末が舞台の『龍馬伝』で、あれもかなり土埃が立っていました。日本の場合多湿ではあっても、乾燥する季節もあり、一概に土埃が立たなかったとも言えないかと思いますし、それよりも700年ほど前の『平清盛』の時代では、はるかに整備されていない道は多かったかと考えられます。

コーンスターチだけでもありません。
あのドラマでは、登場人物の顔をやたらと汚していました。
しかし人間には、時代を超えて最低限の礼儀がある。
あんな汚い顔のまま、来客を迎えたり、重要人物と会うのか?
言わば、勘違いしたリアリティであり、作品としての評価を落としたものです。
本作でも、それと同様のことが繰り返されていて、例えば「大事な客の前で食べたものを吐き出す」のもその一つでしょう。

当時は今のように頻繁に入浴したり、顔を洗ったりという習慣はなかったはずです。女性の場合髪を洗うのに一日を要したりもしています。入浴する日も陰陽道で決められており、それを踏まえれば、多少汚れた顔のまま人に会うこともあったのではないでしょうか。何事も今の基準だけでは決められないかと思いますし、これはたとえば『鎌倉殿の13人』でもそうだったでしょう。
それと
「大事な客の前で食べたものを吐き出す」
スモモの種は「食べたもの」ではなく「食べられないもの」では?

『真田丸』の真田昌幸は表面的には礼儀正しく、会話の中身で家康をおちょくっていたんです。
家康が「武藤喜兵衛をご存知か?」と聞いてくると、昌幸はシラをきった。昌幸の家督相続前の名が「武藤喜兵衛」です。
だから、横にいる幸村は焦りを堪えるような顔をしていたと。
それと比べたら、この昌幸の底の浅さは何なのでしょうか。
『真田丸』が深淵ならば、こちらはビニールプール並。スイカを冷やすのにちょうどいい。

なぜここで『真田丸』を持ってくるのかよくわかりません。あちらは主人公としての真田家、こちらは脇役としての真田家ですから、描かれ方も当然違います。上記のは醍醐寺のシーンのことかと思われますが、第33回で昌幸と家康が会うシーンもないし、そもそも秀長の力を借りようとしているのに、会話の中身で相手をおちょくるでしょうか。
比較対象にもならないのに比較したがる、これも武者さんの悪い癖ですね。
尚この回の昌幸のセリフの「らしい」部分は、やはり
「秀吉、家康、北条に上杉、もめればもめるほど甘い果実が落ちて来る。乱世を泳ぐとは愉快なものよ」
でしょう。

秀吉が関白になる場面ですが、公卿が軽いですね。
口調がペラペラの薄さです。
それでもこの場面はLEDウォールを使っていないだけマシに見えます。

「どうする関白」とありますが、これがまた3行で1つのパラグラフです。
わざわざこれだけで独立させる必要もないかと思いますが。
あと「公卿が軽い」て何ですか、軽い公卿ですねと言いたいのでしょうか。
そしてここは室内だし、LEDウォールは必要ないでしょう。

戦国時代の女性は思った以上に権力や発言権があった。
とはいえ、秀吉の横からねねが出てきて説明セリフを吐くのはやりすぎでしょう。

結局どう描いてほしいんですか?
あの時彼女は、秀吉が「三河も遠江も焼け野原と考えよ」と言うのに対して、夫を諫めるようなことを言っているわけですが、ここでまた「説明セリフ」ですか。

このドラマはシン・大河の「シン・」を捨てた方がマシに見えるんですね。ワケのわからん衣装はどんどんやめてください。

少なくともNHKは「シン・大河」などという表現は使っていないと思います。
マスコミが勝手にこの言葉で騒ぎ、武者さんがそれに乗っかっているだけでは?

石川数正の説得場面はくだらなかった。
秀吉の顔芸。
秀長はビッグモーターの宣伝。
ねねはどこか目がうつろ。
廊下の照明はわざとらしい置き方。このころは慶長伏見地震の前夜であり、前震があっても不思議はない。あんな不安定な蝋燭が倒れたら火災になりかねない。
悪の組織に勧誘されるような演出でしたが、どうしてそんな発想になりますかね。

また
「秀長はビッグモーターの宣伝」
このコラムでの佐藤さんのCM関連の記述、これで4度目ですね。
あと廊下の照明関連で
「このころは慶長伏見地震の前夜であり、前震があっても不思議はない」
まず慶長伏見地震は文禄5(1596、これが一因となって慶長に改元)年、この年は天正13(1585)年で、これは天正地震のことですね。そして前震と思われる記録はあるようですが、その中に大坂は入っていません。
「悪の組織に勧誘されるような演出でしたが、どうしてそんな発想になりますかね」
武者さんがそう思っているだけではないでしょうか。

出てきた瞬間に、史上最弱だと思える真田一族でした。
キラキラした笑顔の幸村(信繁)。
「俺はクール系、優等生です」みたいなキメキメ感の兄・信幸。
三人が第一次上田合戦で一ヶ所に固まっているのはおかしいのでは?
しかし、それ以前の問題として、真田兄弟がコスプレ高校生にしか見えません。
大河ドラマの人物というより、観光地のおもてなし武将隊のようです。

まず一か所に固まっていませんね。信繁は外から入って来ていますし。
信幸は戸石城にいたとされていますが、この回では時系列に沿った戦いが描かれていないので何とも言えません。
そしてこの時の兄弟はまだ20歳にもなっていないほどです。若く見えても当然でしょう、

昌幸にしたって「皆殺しにせい」という発言があまりにも幼稚だ。
合戦で皆殺しという考え方はあまりなく、文字通り軍隊の損耗率が100ということはない。
数割でも損耗すれば組織として動かなくなるので、全滅を狙うようなことはまずありません。
海戦ならばまだしも、陸戦で「皆殺し」とか言わせてしまうからリアリティが無くなってしまう。まるで小中学生に考えさせた脚本のようです。
ましてや真田と徳川の戦力差からして、あり得ない話でしょう。

実際にこの戦いでは、地の利を熟知した昌幸が少数ながら兵をうまく動かし、大軍の徳川にダメージを食らわせています。
そして「皆殺し」にやけに突っ込んでいるようですが、少なくとも兵を奮い立たせるには、ある意味大言壮語しなければならないこともあります。負けてもいいなどという大将は、それがよほど計算ずくであるのならともかく、そういるものではないでしょう。これは、今のスポーツでもまず同じかと。

見るからに弱そうな真田でも勝てたのは、対戦相手がヤンキー漫画の高校生みたいな徳川家臣だったからでしょう。
あんなに脇の甘い連中は負けて当然。
誰が聞いているかわからないところで、思ったことを話すし、悪口までペラペラ大声でしゃべる。
どこまでレベルの低い乱世なのでしょうか。
井伊直政はもうちょっとイントネーションをつけてほしいと思う一方、わざとらしく「俺軍師です! 曲者です!」とでも言いたげに、扇で首を叩いている正信が気の毒でなりません。
とにかくやりすぎ、わざとらしすぎて、辛いのです。どんだけ厨二病なの……。

あの徳川家臣はヤンキー漫画の高校生なのですか?
「誰が聞いているかわからないところで、思ったことを話すし、悪口までペラペラ大声でしゃべる」
そんなシーンがこの回で出て来ましたか?
そしてこれまた武者さんが好きな表現ですが
「どこまでレベルの低い乱世なのでしょうか」
「どこまで」とか「どれだけ」と書くと、如何にも問題提起している印象を与えますが、武者さんが考えているほどレベルは低くないようです。このシーンの彦の、
「背後に助けておる者がおる」
これがかなり大事かと思いますが、その点については何も触れないのですね。

「秀吉に劣ると申すか!」
家康がそう言うだけで「まぁ、どっちもどっちだけど、劣るんじゃないですか」と冷たい気持ちになってしまって辛い……。
ピアノをBGMに数正との絆を説明セリフで語られても、何が何やらわかりません。

また「説明セリフ」。そして家康が怒るのは、大坂の様子を知らないのが最大の理由ですが、その大坂の様子は先ほど出て来ていましたね。数正は、これではかなわないと思った。
なのに武者さんが書いていることと言えば、

脳裏によぎるのは、初回で「いやじゃー」と逃げ出していた家康の姿。
一体このドラマは何をしてきたんですかね?
マザーセナのラリラリダンスだの、側室オーディションだの、サウナで迫られるだの。
そう言うことを描く暇があるなら、この君臣の関係を綿密に描いてくるべきだったのではありませんか?

「この君臣の関係を綿密に描いてくるべきだったのではありませんか」
描かれて来ているのですが、武者さんがちゃんと観ていない、あるいは理解していないかではないでしょうか。
逆に、ここまで何を観て来たのですかと言いたくなります。

この世を浄土にするというのも、唐突に思えます。
そんなこといつ考えていましたっけ……って、嗚呼、それもマザーセナの受け売りか。この時点でしらけます。
思いついたように「王道を以て覇道を制す!」と叫んだシーンも、その後に「だって先生が言ってたもん!」という小中学生に見えてしまい、とにかく心苦しくなりました。

あそこで家康が浄土と言った時点で、気づいた人もいたことでしょう。
彼が大樹寺で目にした
「厭離穢土 欣求浄土」
あれを踏まえているわけですね。ただこのコラムで大樹寺のシーンは登場していません。
そして「王道を以て覇道を制す!」ですが、秀吉の覇道による支配を、今川義元から教えられた王道によって押さえたいという意味も込められているかと思います。
しかし現実的には、まだそれは難しくはあるのですが。

あと「心苦しい」とは、相手の好意に対してすまなく思う気持ちのことでは?

数正が秀吉に会う場面がよくわかりません。
なぜ昼間から蝋燭を?
当時の蝋燭は高級品です。
それだけ秀吉が金を持ってんだと言いたいのかもしれませんが、それにしたってわざとらしい。
くどいようですが、あんな照明は地震が来たら火災発生待ったなしでしょう。

ある意味権力の象徴であり、またこの当時の大坂城そのものがそうでしょうが、南蛮的な雰囲気を醸し出そうとしているようにも見えます。それにお城とまで行かなくても、昔の建造物で窓があまりない場合は、昼間でも結構中は暗いものです。

それと地震云々、この少し前でも書かれていました。この演出を否定したいのでしょうね。

近年の大河ドラマでやったイベントはすっ飛ばす。
そんな方針があるような本作ですから、上田合戦も中身はすっ飛ばされました。
まぁ、どうせ描いたところで『真田丸』には遠く及ばず、仕方のないことでしょう。
そして予告で旭姫とラブコメをしているところで、これの何が戦国時代か?と絶望した方も多いと思います。

その代わり『真田丸』では描かれていない歴史上の事件、合戦は出て来ていますね。
また真田氏は前にも書いていますが脇役であり、主人公サイドにしてみれば、その後秀吉に臣従するか否か、そして数正の出奔の方がより大事なことだからでしょう。
大河に関してコラムを書くのであれば、そういう目を養ってほしいと思います。今更ではありますが。

「旭姫とラブコメ」
祝言の様子と旭姫がおどけている?様子、そして寝室で天正地震に見舞われるシーンはありますが、それのどこかラブコメでしょうか。
今までもそうですが、嫌いな大河の場合、仮に恋愛関係にない、場合によっては主従関係であるケースであっても、男女が一緒にいたらすべてラブコメで片付ける、その発想が如何なものかとは思いますが。

飲み物-スコッチウイスキー

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[ 2023/08/31 01:45 ] 大河ドラマ どうする家康 | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』第32回に関しての武将ジャパンの記事について-4

『武将ジャパン』大河コラムについてその4です。尚taketak39460607さんのnote関連は、次の次になることをお断りしておきます。


義元に学び、信長に鍛えられ、信玄の兵法を習得する――前半はそういう流れだったとドラマ内で歴史修正が行われました。
いつ、そんな学びや鍛錬があったでしょう?
側室オーディションをして、蒸し風呂で侍女に迫られ、ついにはマザーセナの妄想にラリラリトリップしていたではありませんか。
戦場では「いやじゃーいやじゃー」とピエピエ泣き叫ぶ。
何をもってして学びといい、鍛えられていたのか。
結局、本人の申告であれば、見ている方はそれを呑み込めということなのでしょう。
作り手があの情けない姿を「気弱なプリンス」だと認識しているあたりからして、まったくもって意味がわかりません。

「歴史修正が行われました」
歴史修正でも何でもなく、最初から観ていたらわかることです。

家康は王道を今川義元から学び、非情さを織田信長から学び、
「戦は勝ってから始めるもの」
を、武田信玄から学んでいます。
それを見逃しているのでしょうか。いやそもそもきちんと観ていないのでしょうか。
そして「戦は勝ってから」云々、『孫子』由来のはずですが、武者さんがそれに何も触れようとしないのはなぜなのか、知りたいところです。

しかし
「側室オーディションをして、蒸し風呂で侍女に迫られ、ついにはマザーセナの妄想にラリラリトリップしていたではありませんか」
今更ですが、すごい表現ですね。好きな大河では絶対に出て来ないでしょうね。

例えば主演の方はそろそろ40代に入ります。
いくら美形だろうと、不惑を過ぎたらシリアスか、ダークな演技ができなければ埋没するだけ。
『麒麟がくる』の長谷川博己さん、『鎌倉殿の13人』の小栗旬さんなどは、そのステップを大河で駆け上がってゆきました。よいドラマには背中を押す力があります。

まず「主演の方」、松本潤さんとちゃんと書きましょう。
で松本さんが
「不惑を過ぎたらシリアスか、ダークな演技ができなければ埋没するだけ」
なのだそうですが、この手の演技ができないと決めつけているのもどうかと思います。
そしてまた例によって、好きな大河の主役なら
「そのステップを大河で駆け上がってゆきました。よいドラマには背中を押す力があります」
なのだそうです。別に武者さんが好きな大河のみに限った話ではなく、座長として1年間大河の主役を任されたら、どんな俳優さんでも一応は成長するものだと思いますが。

真田昌幸は家康より4歳下。劇中では、まだ不惑前の壮年期です。
それなのにこの貫禄は何ごとか?
と、思ったら役者の親ネタですか。
◆真田昌幸役・佐藤浩市さんの扮装写真公開にオールドファンが涙する理由【どうする家康満喫リポート】秘話発信編(→link)

で、1981年に佐藤さんの父三國連太郎さんが、大型時代劇『関ケ原』で扮した本多正信にそっくりとあるのですが、

いやいやいや、1981年って、もはや40年以上も前のことですよ。
そんな古いことを覚えている層だけに取り入ってどうするつもりなのか。
って、まぁ、仕方ないですね……。
今年はもうドラマとして終わっている。だとすれば、こんな風に
「あれは佐藤浩市さんの父である三國連太郎に似せているんですよw 歴史ファンならそのくらい常識でしょw」
周囲にマウントするぐらいしか役割がないのでは?

実際より老けさせているのは、『真田丸』の昌幸でも同じでしょう。
また真田昌幸ではありませんが、『龍馬伝』の山内容堂公、近藤正臣さんが演じた白髪の殿様は、実際はあの時30代です。

そしてこの出典元のサライ、私も過去に引用したことがありますが、主に年配の人が対象なので、このような書き方にもなるでしょう。

毎回衣装にダメ出ししていて、我ながら疲れますが……。
秀吉の陣羽織が、どうしてもカーペットのように見えてしまう。
実は以前も似たようなことがありました。
『花燃ゆ』で、ヒロインの美和が鹿鳴館舞踏会にあわせて仕立てたドレスが、カーテンに見えたのです。
あのときは『八重の桜』で大山捨松が着用したドレスを着回した、津田梅子の方がよいとしみじみと思いました。

前にも書いていますが、秀吉の陣羽織は絨毯がもとになっています。
『花燃ゆ』の美和のドレスは確かにカーテン、私には緞帳のように見えましたが、私が気になったのはその点ではありません。
武者さんは「ヒロインの美和が鹿鳴館舞踏会にあわせて仕立てたドレス」と書いています。
しかしあれは美和が仕えていた銀姫のおさがりであり、美和自身がオーダーしたわけではありません。そしてあの手のドレスは、その人の体型に合わせて仕立てないと、なかなかフィットしないと思われますが、美和は特に直したようでもないのに、あのドレスがぴったりしていた。寧ろ不思議なのはその点でした。

そして津田梅子にしても、『八重の桜』のドレスを着ているからいいと褒めているのではないか、そのような気もして来ます。

まっとうな衣装デザイナーはいないのか……。
と、思ったらいました!大河ではおなじみの黒澤和子さんが映画『リボルバー・リリー』を手掛けております。
◆映画『リボルバー・リリー』綾瀬はるかが身にまとう衣裳は黒澤和子率いるデザインチームが担当(→link)
『八重の桜』の八重と尚之助を演じた綾瀬はるかさんと長谷川博己さんが出るなんて、これまた素晴らしい。

綾瀬さんと長谷川さんがそんなに好きなら、『いだてん』と『まんぷく』ももう少し評価してあげてはどうですか?
ちなみに黒澤さんは幕末物の衣装ならいいと思います。

『八重の桜』の評価点として、川崎尚之助の汚名を晴らしたこともあげられます。
(中略)
新説を無意味に取り入れればよいのではなく、そこまでしてこそ良い大河。
『どうする家康』では「森蘭丸でなくて森乱です!」なんて大仰にいうものだから、さぞかし暴れるのかと思ったら、気がつけば消えていましたからね。
アリバイとして新説を取り入れたなんて言われても意味がありません。

どの大河でも、新説を無意味に採り入れることなどそうないかと思います。
そして『森乱』は何度も書きますが、史料に準拠してのものです。
どこがアリバイなのでしょう。
平山優氏を敵視したいがために言っているようにしか見えませんが。そして名前が「乱」なのと、暴れるシーンが出て来るのはまた別でしょう。お兄さんの鬼武蔵の方が暴れています。

ムロツヨシさんは「自分は好かれない」と語っております。
◆「どうする家康」ムロツヨシ怪演がネット話題“大河史上最恐”秀吉の魅力は「野心」「好かれないピエロ」(→link)
あの秀吉なら仕方ない……とは思いますが、では、誰が好かれているのか?
去年の和田義盛や畠山重忠、あるいは上総広常なんて、主役を食う勢いで支持されていました。
他にも挙げたらキリがないですが、では今年は?
ムロツヨシさんが心配せずとも、誰も好かれていないように見受けます。
立ち位置的に石川数正の人気が高いようにも思えますが、どちらかというと「グルメの人だ♪」という印象から来ているようにも見えるし……。
もはやドラマに出番があることそのものが呪い。
「あの武将は出て欲しくない」というリストを私は脳内に作りました。

ここで注目されるべきは、ムロさん自身の発言です。
武者さんの書き方だと、如何にも周囲から嫌われて人気がないように見えますが、実はさにあらずです。
ここでムロさんは
「カッコいいですけど、その道化っぷりはあまり皆から好かれないピエロで…それがまた面白いなと思っています」
と話しており、つまるところ、本人がそれを楽しみながら演じているわけですね。なお、岡田准一さんも同じようなことを言っており、ドラマにおけるその特異なキャラが評価されているわけで、誉め言葉と受け取るべきでしょう。

「立ち位置的に石川数正の人気が高いようにも思えますが、どちらかというと「グルメの人だ♪」という印象から来ているようにも見えるし……」
その裏付けを見せてください。

「もはやドラマに出番があることそのものが呪い。
「あの武将は出て欲しくない」というリストを私は脳内に作りました」
武者さんがどのように考えようが自由ですが、自分の思い通りに行かなかったからと言って、このコラムでそれを愚痴るのはやめた方がいいと思います。

時間帯が近い民放ドラマの勢いと比べると一層際立つ。
◆ 【VIVANT】第5話視聴率14・2%で番組最高更新!「テント」のリーダー判明、前回から0・8P増(→link)
もはや絶望的な状況です。

それを言うなら、2013年の『半沢直樹』と『八重の桜』、2017年の『陸王』と『おんな城主 直虎』、いずれも日曜劇場の方が高視聴率でした。第一、同じ日に何度も放送があり、土曜日に再放送がある大河と、放送は1回のみの1クールの日曜劇場とを比較するべきなのでしょうか。

そして大河は駄目だと決めつけ、華流時代劇のPR。

イケメンとイケメン同士を描く時代劇――。
『どうする家康』がやろうとして全くできなかったことを達成した華流時代劇『陳情令』が、ついに地上波に登場です。

ということで、やけにこのシリーズのPRをしまくっています。このコラムへの報酬は、この華流時代劇のPRへの報酬ではないのか、そのように思われてしまいます。

それからこのデイリー新潮の記事ですが、

◆ 【どうする家康】存在感のない家康、所作も作法も軽んじられ…岩盤支持層に不人気な原因は多数あった(→link)

逆に今年の場合、大河の岩盤支持層以外の層に受け入れられているようです。これは鈴木祐司氏が分析しています。
あと所作作法というのは、家康が信雄を呼び捨てにしたシーンのことですね。
それとヤフコメの意見についても書かれていますが、あそこは、どの大河でも厳しいコメントが載るので有名です。実際見たことがありますが、今年に限った話ではありません。

今年の大河を庇う人は過去の大河とばかり比べています。
VOD全盛期のいま考えるべきことはそんな狭い視野ではなく、他国の歴史劇、特に東洋史とライバル関係になったと認識を改めねばなりません。

「過去の大河とどの点を、どのように比べているのか」
それがないから説得力に欠けてしまうのですが。

でまた『陳情令』関連の記述が続き、

大河ドラマは、なぜ特別なものとして存続してきたか?
今は19世紀を迎えた徳川幕府のようなものです。
破綻しつつあるし、満足しているわけでもない。しかし、それ以外にどんな支配者がいるのか、知識がないからわからない。
それが今までの、VODがない2010年あたりまでの大河でした。
状況は激変しました。
黒船来航後の世界です。
筆もまともに持てない役者の時代劇なんて、淘汰されて終わってしまう。

それまでも大河は、たとえば近代三部作や90年代前半の放送フォーマット変更などでうまく行かず、元に戻しており、その状態が今まで続いて来ています。今後しばらくはこのフォーマット、そして幕末までを重視する姿勢で行くでしょう。
そして何かとVODを強調していますが、そのVODで大河を観ている人もいるわけで、この両者は対立概念ではないと思います。

そして
「筆もまともに持てない役者の時代劇なんて、淘汰されて終わってしまう」
これを言いたくてたまらないのでしょうか。家康も秀吉も、筆の持ち方はおかしくありません。

もはや一刻の猶予もない状況を迎えています。
(中略)
国家昏乱して、忠臣有り。『老子』
ファンダムが乱れてくると、“信者”が悪目立ちようになる。

武者さんは一刻の猶予もない、だから早く今年のを終わらせろと考えていたいのでしょうか。私はそうは思いませんが。
「国家昏乱して、忠臣有り」
これは老子『大道廃有仁義』の一部ですが、国家が乱れてくると、忠臣の存在が目立つようになるという意味で、ファンダムの「信者」とは多少意味合いが異なるかと思います。

で、

今回の第32回放送は、秀吉の言葉「俺のアンチはゲスだ」と喚くところが出色の出来でした。
あのセリフは、ドラマに批判を繰り返す私のような不届き者へのメッセージにも思えました。
考えすぎでしょうか?

「俺のアンチはゲスだ」
とは凄まじい解釈ですね。ではもう一度挙げておきます。
「所詮、人の悪口書いて面白がっとるようなやつは、己の品性こそが下劣なんだと白状しとるようなもんだわ」
つまり、「俺のアンチ」ではなく、「誰にせよ人の悪口で面白がるやつ」のことです。
しかし不届き者という自覚があるなら、もう少し書き方を改めては如何でしょうか。

公式ガイドブックのあらすじには、まるでなかった意味合いの言葉が加えられたら、そう感じるほうが自然でしょう。
もしも意図的に加筆されたものだとしたら、残念でしかありません。
ドラマで本当に描きたいことはそこなのか。
一時的な感情に委ねて、そんな台詞を入れていたとしたら、視聴者に対して失礼ではないか。
と、じっくり考えていると、やはり私の邪推にも思えてきますが、現場の士気が低下して役者さんから覇気が奪われていたとしたら残念でしかありません。

これも最初の方で書いていますが、ガイドブックのあらすじはあくまでもあらすじであり、台本ではありません。従って、ドラマ本編で出て来たセリフが、逐一書かれているわけではないのです。
にもかかわらず
「まるでなかった意味合いの言葉が加えられたら」
「意図的に加筆されたら」
と、ガイドブックそのものが台本であり、しかも改悪されることをまるで期待しているかのようです。
しかも
「一時的な感情に委ねて、そんな台詞を入れていたとしたら、視聴者に対して失礼ではないか」
ドラマの制作は、果たして一時的な感情に委ねられているものでしょうか?

「と、じっくり考えていると、やはり私の邪推にも思えてきますが」
はっきり言います。
武者さんの邪推にしか受け取れません。

そしてまた心理がどうこう、『孫子』がどうこうとありますが、ここでは省きます。そんなに『孫子』に言及したいのなら、三方ヶ原での信玄公のセリフを、もう一度かみしめてみてください。

SNSで誰かを攻撃するよりも、本作を「支持する」「支持しない」旨をNHKに送ったほうが有用ではありませんか。
◆NHK みなさまの声(→link)

では今回も「支持する」メールを送らせていただきます。



飲み物-おしゃれなグラスのビール
[ 2023/08/27 01:00 ] 大河ドラマ どうする家康 | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』第26回に関しての武将ジャパンの記事について-5

『武将ジャパン』大河コラム関連その5です。というか、4ページ目と5ページ目て本当に必要なのでしょうか。武者さんの雑記帳と化している感もあるのですが。


私にとって、今年の大河は稀に見る駄作でよかったかもしれません。流石にこの流れの中、ギルティ・プレジャーを覚えつつ、絶賛するとなったら辛い。

「ギルティ・プレジャー」、背徳感のある楽しみとかやましい楽しみという意味ですが、そもそも武者さんの場合、「ジャニーズ=犯罪者」の前提でこれを書いているため当然こういう表現になるのでしょうね。勝手に犯罪者扱いしていいのかと思いますが。そしてその武者さんは、

はじめ(多分放送前)から叩くつもりでいる
その作品に関する批判やバッシング要素を探す
「稀に観る駄作」認定

あるいはその逆が毎年続いているわけなので、何とも今更感がありますね。ちなみに武者さんの場合、駄作と思っていたいがゆえに、無理やりバッシングしている感がかなりありますが、一般の視聴者で、特定の大河が駄作と思いつつも、ちゃんと客観的な観方をしている人もいるのですが。

あと必死と言えば、磯CPの瀬名の描き方に関して

悪女とする文書などは江戸時代以降に書かれたことが多いとして「事件までの展開を丁寧に考えてきた」と振り返った。
楊貴妃という日本でも有名な女性がいます。
彼女自身は天真爛漫とした性格であったものの、悪女枠に入る存在でもあります。
瀬名も楊貴妃も、呂雉や西太后のような枠ではないけれど、政治に影響を与え、家を傾けかけた。瀬名の場合、さらに嫡子まで殺す羽目になった。
これはもう悪女。傾城傾国の類なんですね。

なぜここで楊貴妃が出て来て、しかも比較対象となるのか無理やり感が半端ないのですが。
何でも
「政治に影響を与え、家を傾けかけた。瀬名の場合、さらに嫡子まで殺す羽目になった」
からなのだそうですが、そもそも楊貴妃は玄宗の後宮出身で、しかも玄宗は政を顧みず、宰相となった楊貴妃の身内の楊国忠が安禄山と対立し、その結果衝突し、楊貴妃と楊国忠は死刑となるわけです。今回の瀬名とかなり違っていると思いますが。

で、瀬名の最期に対してえらく批判的で、これも現代ビジネスではありますが、こういう記事のリンクが貼られています。
有村架純が演じた「瀬名」の最期に涙が止まらない…大河ドラマ『どうする家康』に秘められた「裏のテーマ」
https://news.yahoo.co.jp/articles/bdf50ff837d14e9fdbf0f65728267a6fe6ffb8fc?page=1

私は納得できません。
こんな話は大河の歴史を考えればすぐわかります。
第1作目は井伊直弼が主役の『花の生涯』。
原作が異例のヒットを飛ばしていました。というのも、明治維新礼賛論への見直し路線が画期的だったからです。
いちいち筆者祖母の言葉を引くまでもなく、一作目の主役を持ち出せば終わる問題です。

この記事中には「明治人の常識を覆す」とあり、かつては悪人とされていた人物が、大河で違う描かれ方をしており、その見方が覆されたという点に触れているわけです。だから、かつては悪女とされた瀬名も見直されたとあるわけですが、なぜそれを「明治維新礼賛論の見直し」にしてしまうのでしょうか。
しかも一作目『花の生涯』の主人公のみならず、記事中には原田甲斐も平将門も出て来ているのですが。

あの作品(私注・麒麟がくる)で描かれた明智光秀と足利義昭の像を、薄汚くしたのが『どうする家康』の人物像です。
それに瀬名こと築山殿の再評価はすでに『おんな城主 直虎』で済んでいました。

こういう部分が、武者さんがこの大河をきちんと読み取れていない一因なのだろうなと思います。
また『おんな城主 直虎』と『どうする家康』の瀬名像は別物であり、本来「歴史系ライター」であれば、それがどう違うのかを考察し、このコラムのスペースを埋めて行くものだろうと思うのですが、寧ろその逆を行くに等しいものとなっていませんか。
そして好きな大河と嫌いな大河の見方の違いが、如実に表れているのがここです。

『青天を衝け』は、悪質な歴史修正的をしてまで徳川慶喜像をクリーンアップしました。
演者にあわせて歴史人物像を更新するというのは禁じ手であり、私は全く評価しませんが、それでもドラマとしての出来は今年より上です。
『鎌倉殿の13人』でも、北条政子、梶原景時、源実朝といった人物像が、最新研究をもとに上方修正されています。
北条政子を演じるとなったとき、小池栄子さんは調べると悪女とばかり出てきて驚いたそうです。
その像を上書きすることに成功したのです。

今度は『青天を衝け』は『家康』より上だなどとしていますね。本放送時、散々に書いていたと思いますが。それはともかく、嫌いな大河なら、人物像を無理やりクリーンアップした、好きな大河なら人物像が見直された、このどちらかです。
それと『麒麟がくる』で、長谷川博己さんが光秀をアンチヒーローだと思っていたらしいと書いていますが、長谷川さんがどう思ったかはともかくとして、1973年の『国盗り物語』では、光秀は悪役のイメージではなくなっていました。

人は、自分の知らないことを長々と、肩書きの立派な相手からやられると、なんとなく「あ、そうかも……」と呑み込んでしまうものです。
さらにそれを読み解き、作者の結論を理解したのだと思うと、なんかスッキリする。
要は権威ですね。
大きな媒体で立派な肩書を持つ男性が小難しいことを言っていると、「じゃあその意見に合わせようか」となる人は一定数いるでしょう。

これも平山氏から注意されたことと関係あるのでしょうか。だとすれば、ちょっとしつこいなと思いますが、まあ武者さんもあのツイートに関しては、えっと驚くような「謝罪」をしていますね。屠腹するとか、内臓を引きずり出すとかなんとか。やはり武者さんて、ちょっと不思議な人のように思われます。

で、このような記事が量産されている、刷り込みだと決めつけています。

松本潤、『どうする家康』家康役で“憂い”の魅力発揮 思慮深さのある役で放つ輝きと説得力
https://news.mynavi.jp/article/20230708-ieyasu/

『真田丸』や『おんな城主 直虎』や『麒麟がくる』で挑戦して来たことが無視され、過剰に褒められていると武者さんは書いていますが、これは僻目ではありませんか。この3作品、特に真田丸などはかなり褒められていましたし、それ以外もちゃんと評価はされていたはずです。『家康』がちょっとでも褒められると、プライドを傷つけられたように思うのでしょうか。
そしてこちらですが。

あと『どうする家康』を褒めるとなると、やたらと『花より男子』が持ち出されますよね。

などとありますが、他にもこの記事では、『ぼくらの勇気 未満都市』や『となりのチカラ』にも言及しています、

そして

『花より男子』といえば、小栗旬さんも出ていましたが、『鎌倉殿の13人』ではしつこく取り上げられたりしてませんよね。
完全に過去の作品になっていて、そもそも知らない視聴者も大勢いたでしょう。
この一点でも、役者の相違が明らかになってむしろ残酷……。

とありますが、松本さんは俳優でもある一方で音楽畑の人でもあり、大河はこれが初出演です。小栗さんは子役からの俳優で、過去何度か大河にも出ていて登場回数が違い、『花より男子』が引き合いに出されるか否かは、それぞれの俳優としての活動履歴で決まります。それを言うなら、『直虎』の柴咲コウさんだってもとは音楽の方の人です。『龍馬伝』の福山雅治さんしかりでしょう。

あと古沢良太氏と『レジェンド&バタフライ』関連で、

しかし、脚本家のインタビューはむしろ逆で
◆脚本家・古沢良太が『レジェバタ』に込めた想い「歴史に残らず、人知れず消えていく蝶の羽ばたきこそを描きたい」(→link)
こんな受け答えが記載されています。
――信長の30年もの長い戦乱の歴史を入れていくうえで、どこを残してどこを省くか、選択が大変だったのではないかと思いますがいかがでしたか。
古沢「僕はそもそもいま残っている歴史はフィクションだと思っているところがあります。いま残っている歴史は、勝者が都合のいいように語り継いだものですから、どう解釈しても自由だと思っているんです。日々いろんなことが起きるなか、大きな事件や出来事は歴史として残っていくけれど、小さな出来事は誰も知らずに、歴史に残っていかない。それは仕方のないことかもしれませんが、小さな出来事の積み重ねで、大きな出来事も起こっているはずですよね。そういう現象を“バタフライ・エフェクト”と言います」
赤字にご注目ください。要はこれ、
「どうせ史料なんて嘘でしょw」
という態度なんですよね。

赤字といってもリンク先ではなく、武者さんのコラムのことです。ここでは
「いま残っている歴史はフィクションだと思っているところがあります」
「勝者が都合のいいように語り継いだ」
が赤文字となっていますが、なぜこんなことをしますかね。
そもそも「勝者が都合のいいように語り継いだ」とは、『八重の桜』の世界観に通じるものもあって、武者さんとしては寧ろ肯定すべきものかと思いますが、自分が嫌いな『レジェンド&バタフライ』でとにかく脚本家を叩きたいから、敢えてこうしているのでしょうか。ダブスタだと思いますね。
で、その後も

歴史に興味がないわけです。
歴史の授業は寝ていた。歴史なんて退屈な暗記科目でしょ。史跡巡りする奴とかウケるw その時間で酒飲んでかわいい女の子と遊んだ方がいいじゃんww

こういうところに武者さんの、おじさん的ともいえる女性観が窺えますね。
そしてちょっと驚いたのが

古沢「トルネードは歴史として残るけれど、蝶の羽ばたきは人知れず消えていきます。僕にはその蝶の羽ばたきのほうを描くことが重要で、トルネードという歴史は誰もが知っているのだからわざわざ描かなくていいと思ったんですよ」
「蝶の羽ばたき」って、綺麗な言葉遣いですけど、いくらでもどうとでも言える妄想の類ではありませんか。
あまりに曖昧としたあやふやな表現。

これの2つ前に引用した、古沢氏のコメントにも出て来るバタフライ・エフェクト(バタフライ効果)をご存知ないのでしょうか。
簡単に言えば、些細に見えることが、結果的に大きな出来事となって行くのをこのように言います。何よりも『JINー仁ー』を観たことがある人なら、この言葉はご存知でしょうね。
でまた『家康』は過去の大河の逆張りだなんだという文章がありますが、長くなるので割愛します。
そして今度は絵になる登場人物として

和田義盛を演じる横田栄司さんって、髭が似合うんですよ。
あの丸い目。はっきりした顔つき。太い眉。
ああいう顔の人には、大鎧と全身に矢を刺した死に方が似合う。絵になる。
武将がビジュアル的にイケてる殺され方をされて、矢がてんこもりになるのは、多色刷りの武者絵が出回るようになった江戸時代後期でしょう。
(中略)
そういう武者絵ぶりが素晴らしく、ドラマでやりたいという情熱が伝わってきました。
ドラマなのですから、上手に盛れるとなれば史実は二の次。歌川国芳と一門の弟子がみたら「俺が描きてぇ!」と喧嘩を始めそうな、そんな思いが感じられた。
動く武者絵が見られるのって、本当に素敵なことであり、これも歴史の楽しみ方でしょう。
今年は、そういう楽しみ方が奪われているから憤慨してしまう。
鳥居強右衛門といえば、有名な武者絵があります。
私としては月岡芳年を推しますが、今年は、あのニタニタした『どうする家康』の姿に汚されたと感じました。
史実云々以前に、歴史への思いにまで唾をぶっかけられるような描き方。

あの義盛は、横田さんがいわば「ガタイがいい」から様になったところもありますね。
で一方の強右衛門ですが、これは旗に残されている絵から岡崎体育さんのキャスティングとなったと思われます。確かに月岡芳年の絵もありますが、これはあくまでも江戸時代のものであり、旗指物が戦国時代を経験した落合佐平次のものであることを考えると、時代的に近い後者の方を選んだのでしょうか。
武者さん、以前も江戸時代の武者絵が好きだと書いていたことがありますが、戦国期の絵などはできるだけ同時代のものを見た方がいいと思います。というか、歴史系ライターならその辺り自覚しませんか?

そして好きな大河の時は「ドラマなのですから、上手に盛れるなら史実は二の次」
武者さんの盛り加減のうまいへたの基準は、どのようになっているのでしょう。

編集部に聞いたところ、最近は『どうする家康』のYahoo!ドラマ感想などが荒れてるようで、中には私の記事よりも手厳しい意見があるとも聞きました。
私としては妙な影響を受けたくないため目に入れないようにしていますが、とにかく批判的な投稿が増えているとのこと(→link)。
すべては皆さん大河ドラマが好きで、面白い作品が見たいからこそなのでしょう。
でしたら、NHK(→link)へ直接ご意見を送られてもよいかもしれません。
◆NHK みなさまの声(→link)
掲示板に書き込むより、確実に効果もあるはず。
大河ドラマを愛するからこその批判であれば、NHKとしてもありがたいことではないでしょうか。

「みん感」だったらそれは考えられますね。わざわざリンクまで貼ってあります。
そして「批判」であれば、武者さんのよりも手厳しいのがあるのもわかります。武者さんのは批判ではなく、単に好きな大河を叩き棒にして、叩いているだけのように見えるので。
そしてもうひとつ、
「NHK(→link)へ直接ご意見を送られてもよいかもしれません」
とあり、こちらもNHKサイトへのリンクが貼られていますので、私は本能寺の変が楽しみで、22日の土スタ(どうする家康SP)も楽しみであることを送ろうと考えています。


飲み物-スミスウィックのスタウト
[ 2023/07/16 01:45 ] 大河ドラマ どうする家康 | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』第26回に関しての武将ジャパンの記事について-4

『武将ジャパン』大河コラム関連その4です。毎度のことですが、後半部分は最早持説展開ですね。


殿は変わられた。豹変した。それはわかりました。
で、それを補うように、家臣がズラズラ全員でやってきて、説明セリフを語らせるのは何なのでしょう。
説明することでした表現できないと考えているようですし、このときの家臣たちのだらけきった所作も緊張感を削いでいる。
一糸乱れぬ有様でやってきて、一斉に座り、頭を下げるような気品があれば説得力がある。
でもこの家臣団は、居酒屋にやってきたチンピラ仲間にしか見えない。
すみませーん、生ビール持ってきて〜。とか言い出しても違和感がないんです。

最初このシーンがどこなのかと思っていたら、最後のお気持ちを伺いたいというあれですか。
しかし「説明セリフ」とは何でしょうね、「信長を殺す」と「天下を取る」と、信頼のおける彼らの前で打ち明けただけだと思いますが。それに
「一糸乱れぬ有様でやってきて、一斉に座り」
などとありますが、別にここは宮中でも、将軍の御所でもありませんが。しかもやって来たのは、万千代を除けば三河の頃からついて来てくれている者ばかりで、そこまで緊張を強いるような状況ではないはずです。ただ主君が織田の犬に成り下がっているようで、納得が行かないから説明を求めたのでしょう。
そして「生ビール」云々、嫌いな大河ではいささか低俗な比喩をしたがりますね。

本能寺まで46日――そんなカウントダウンが出ました。
サイコパス系家康と、本能寺黒幕説が組み合わさったかのような展開。
本能寺の黒幕説が流行した時代はとうに過ぎ去り、むしろ古臭いセンスになりつつあるのですが、まさかこのまま突き進むのですかね。

カウントダウン、『龍馬伝』の「暗殺まで〇〇日」を思い出します。それはともかく、
「サイコパス系家康」
昨年義経がサイコパスと呼ばれた時は嫌がっていたのに、嫌いな大河だと平気でこう呼びますね。そして本能寺黒幕説といより、彼もまた天下を狙っている1人であり、ゆえに信長は、この男から狙われるかも知れないという可能性でしかないのですが。寧ろこの大河では秀吉の方が、腹の底で何を考えているかわからないところがあります。

であとは、また「マザーセナ(救世主)」だのカルトだの。ともかく武者さんがカルトが好きだというのはわかりました。しかし本題ではないので省きます。
そしてその次にBBCとの比較があり、NHKはBBCから何を見習えばいいのかとしたうえで

BBCとNHKを比較すると、商業展開への厳密性が挙げられます。
BBC以外が販売しているものとのタイアップにはかなり厳しい。企業の宣伝にもルールがある。NHKはその点どうなのでしょうか。
前回の朝ドラ『舞いあがれ』は、脚本家が自作した短歌を、作中で天才歌人設定の人物が詠むという設定でした。
劇中の編集者は、その歌を褒めちぎる。自分の作品をこうも褒め、天才の歌は売れて売れて仕方ない、そう描くってすごいことだと思いました。
で、その歌集が今度発売されるとか。朝ドラ効果もあり、なかなか好調なんだそうですよ。
それはそれで結構なことと言ってもよいのでしょうか。
脚本家は、ドラマを使った自作自演方式で和歌を褒めるよりも、支離滅裂だった脚本をもっとまともにできなかったのかと言いたくもなりますが、話はそこでもなく。
これは宣伝に朝ドラを使っているのでは?
NHKの倫理観は?

まずNHKの番組関連タイアップですが、かつて『おんな城主 直虎』絡みで、「鶴の唄」という曲が発売されたと思います。武者さんはそれに批判らしきものをしたのでしょうか。
そして『舞いあがれ!』の「天才歌人」設定なる人物、主人公の舞の幼馴染で後に結婚する貴司ですが、この人物は自作の短歌が褒められはするものの、段々商業ベースに乗せられて自分の理想とかけ離れるようになり、ひどく悩むようになります。ところがそういった説明が、武者さんのコラムではすべて省かれていて、これは如何なものでしょうか。単に天才と呼ばれて喜ぶタイプの人物ではありません。
それと「支離滅裂だった脚本」とありますが、支離滅裂だったでしょうか。「かささぎ」の実用化までが、ちょっと駆け足だったとは思いますが。それを言うなら『ちむどんどん』の方が、私としては疑問に思えました。
あるいは『舞いあがれ!』のスピンオフが制作されるのが、面白くないのでしょうか。

ここ10年の朝ドラは企業宣伝のようなテーマも多く、なし崩し的になっているとは思いますが、それにしてもNHKは弛緩しきっているのでは?
もしもジャニーズへの追及を阻んでいるのは大河主演俳優への忖度ゆえにだとすれば、 NHKはいま地雷の上にいるわけです。本能寺よりこちらの方が気になります。
BBCは視聴者の目線も厳しく、時代考証で間違えようものならば、国の恥だと徹底的に叩かれます。
NHKはそういうところからして脇が甘い。そんな弛緩ぶりを許しているのは、視聴者やマスコミにも原因ありだと私は思います。

で結局武者さんは何を言いたいのでしょうか。
NHKの商業戦略がよくないのですか?
ジャニーズ問題をNHKが追求しないのは、大河主演俳優への忖度だから気に入らないのですか?
何だかNHK叩きついでに、ジャニーズを絡めているように見えて仕方ないのですが。

そしてBBCの歴史ドラマをいくつか挙げ、
「BBCは視聴者の目線も厳しく、時代考証で間違えようものならば、国の恥だと徹底的に叩かれます」
ならばその具体的根拠を挙げていただけないでしょうか。
そもそも「時代考証で間違える」とは何ですか?史料というのは著名人であるほどいくつもあり、どれを採用するかはその番組次第です。間違えているいないではなく、ベースにする史料次第で描き方が違ってくるとか、同じ史料でも主人公が誰であるかで描き方が違うというのはあるでしょうが。
言っては何ですが、平山優氏に注意されたこともあって、この大河の考証は間違っていると主張したいのかと、つい思ってしまいます。

あとジャニーズの例の問題を広めたのは、最初はBBCでしたね。武者さんがBBCに関して騒ぐのはその意味では理解できます。

天下の興亡は匹夫も責め有り。顧炎武『日知録』
今年の大河を手放しで褒めることは、どういう意味があるのか。

まずこの「天下の興亡は匹夫も責め有り」
国家の興亡は政治に携わる人物だけでなく、一般人にも責任があるという意味ですが、それとNHKとの結び付け方が、強引すぎるかと思います。

NHKを甘やかしていいのか?
と、私は考えてしまいます。
歴史知識よりも芸能界裏話が重視され、大河という国民的コンテンツをどう思っているのか。そんな報道姿勢は歴史に対する侮辱だと思ってしまいます。
公平性という点でもうひとつ疑問を。
NHKの大河ドラマと朝ドラはノベライズされることがしばしばあります。
そのノベライズ担当者が、自分が手がけたドラマを絶賛する連載を持っていることが多い。今年の大河もそうです。
ノベライズされない作品や、その担当者が連載で褒めない場合、酷評が増える傾向があります。
これは果たして公共放送としてあるべき姿なのか? 公正と言えるのか?
ステマどころかダイマ(ダイレクトマーケティング)ですよね。

「NHKを甘やかしていいのか?」
お言葉ですが、報酬を貰っているにもかかわらず、大河コラムで無関係なことを書き、あまつさえ、果たしてドラマ本編をきちんと観ているかどうか、疑問に感じられる記述があり、しかもあらすじの説明は「おじさん構文(もどき)」で済ませている武者さんの方が、よほど甘やかされていないでしょうか?
しかもここ、

「歴史知識よりも芸能界裏話が重視され、大河という国民的コンテンツをどう思っているのか。そんな報道姿勢は歴史に対する侮辱だと思ってしまいます」

何だかとにかく自分が書きたいことを詰め込んだ、そのように見えますし、大げさでわかりづらいです。
加えて
「NHKの大河ドラマと朝ドラはノベライズされることがしばしばあります。
そのノベライズ担当者が、自分が手がけたドラマを絶賛する連載を持っていることが多い。今年の大河もそうです。
ノベライズされない作品や、その担当者が連載で褒めない場合、酷評が増える傾向があります。これは果たして公共放送としてあるべき姿なのか? 公正と言えるのか?」
ではその例をきちんと挙げていただけないでしょうか。
「増える傾向がある」と書いているのであれば、数字もチェックしておられるのでしょうから。

そして
「ステマどころかダイマ」
武者さんがやけにBBCの番組を引っ張ってくるのも、ちょっとそんな感じがするのですが。

でこの後ですが、松本潤さんを評価する記事をけなし、
「私には、あれ(私注・BSのCM)は犯罪隠蔽と加担を平然とする公共放送の姿勢に見える」
とあるのは、さて如何なものでしょう。これでは松本さんが犯罪者で、NHKがそれを隠蔽しかつ加担していると見えますが、これは誹謗中傷に取られかねないのではないでしょうか。

さらにその後、今度は武者さんの「ジャニーズは犯罪者」説を支持する記事の紹介が並んでいますが、タイトルだけ挙げておきます。

「嵐が過ぎ去るのを待つ」でいいのか ジャニーズ問題とテレビ局(→link)
 資生堂 キムタク“資生堂CM起用案”が性加害問題で消えた

その一方で、

松潤主演NHK『どうする家康』は「シン・大河」になる? 大ヒット大河ドラマ“勝利の方程式”とは | 2023年の論点
【山下達郎全コメント】「私の姿勢を忖度と解釈するなら構わない。そういう方々に私の音楽は不要でしょう」

当然ながらこういう記事には批判的ですね。先ほど紹介しましたが、武者さんはNHK批判で
「歴史知識よりも芸能界裏話が重視され」
と書いていますが、寧ろ武者さんの方が歴史系ライターであるはずなのに、こういう芸能界裏話を重視しているように思います。ゆえに歴史知識がどうこうと言っても、付け足しのように見えてしまうのです。


飲み物-グラスに注がれたエール
[ 2023/07/15 01:45 ] 大河ドラマ どうする家康 | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』ナレ担当の決定、そして『鎌倉殿の13人』をちょっと振り返ってみます

まず『どうする家康』のナレが、寺島しのぶさんに決定したようです。

「どうする家康」語りは 寺島しのぶさんに決定!
(『どうする家康』公式サイト)

寺島さんと言えば、『龍馬伝』の龍馬の姉・乙女が懐かしいです。それにしても記事中にある「語りの“中の人”」とは何なのでしょうね。

さて『鎌倉殿の13人』はいよいよ承久の乱、後鳥羽上皇隠岐配流と義時の最期を残すのみとなりました。これがどのような描き方になるのかはともかくとして、今まで観て来て思ったのは、やはり良くも悪くも三谷さんの大河だなと言うことでした。(ちょっと批判的になります)

それも今までは敗者の物語であり、特に『真田丸』は、犬伏の別れで父親と次男、長男がそれぞれ別の人物に付き、敗北を経て九度山で再起を目指すことになるわけで、いくらかの飛躍(「幸村」の命名など)があっても納得できるものもありました。しかし今回は勝者の物語であり、敗北から再起することによる感動というのはやはり生まれにくくはありました。

そのせいもあって、義時をかなりダークな人物に仕立て、三浦義村を相棒的存在に持ってくる一方で、周囲の、たとえば政子や泰時などは、どちらかと言えば理想論を持ち出す人物として、いくらか中和させているかなという印象があります。ただこれまでも書いていますが、政子は実朝が死んだ時点で腹をくくり、義時と同盟してもよかったかと思います。

逆に、義経が追われる方が従来の三谷大河らしさを感じさせもしました。それからやはり敗者である木曾義高の逃亡にしても、『吾妻鏡』にある通り、馬で木曾に戻る途中で討ち取られる描写でよかったかと思います。これだと木曾に戻って、兵たちを集めて父の敵を討とうとしている様子が伝わってくるのですが、こちらでは義時不信のため自分から、しかも無防備なまま抜け出したため、そういったひたむきさに欠ける嫌いもありました。

それとやはり平家の出番があまりありませんでしたね。この平家もまた敗ける側であり、描き方によっては三谷大河らしい敗者の抵抗が出せたかと思うのですが。やはり三谷さん、今回は、勝者が己のしたことを悔いるストーリーにしたいのでしょうね。

ところで三谷さん、NHK出版の『鎌倉殿の13人』完結編で、
「シェイクスピアは日本の鎌倉時代を知っていたんじゃないかと思うくらいに、彼の作品とこの時代はぴったり合うことが分かりました」
とあり、確かに幾分似通ったところはあるかと思います。

それに続いて、和田義盛と源実朝は『ヘンリー5世』のフォルスタッフとハル王子、公暁は『ハムレット』、そして三浦義村は『オセロ』のイアゴーにそれぞれなぞらえられています。しかしフォルスタッフやイアゴーはともかく、私としては、公暁はどう見てもハムレットには見えないのですが…。

あとパペットホームズに出演した俳優さん、声優さんもいましたね。これについてはまた改めて。


飲み物-テーブル上のマグのビール
[ 2022/12/11 01:45 ] 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 | TB(-) | CM(0)

『鎌倉殿の13人』第18回「壇ノ浦で舞った男」あらすじと感想-1

第18回「壇ノ浦で舞った男」前半部分です。


義高の死後、大姫は気鬱になっていた。政子や実衣、そして全成は、義高が大姫の単なる遊び相手でなかったことを思い知る。実衣は、身内を失った子供たちを大勢世話している、八重の許へ大姫を連れて行く。しかし大姫は何事にも関心を示そうとはせず、八重が彼女を笑わせようと、自らの鼻の下に筆で髭を描いても無表情だった。八重は政子たちに、無理やり心の戸を開けようとすると余計閉じこもる、気長に行かなければと忠告する。

一ノ谷で敗戦を喫した平家は四国の屋島へ逃げる。頼朝はこれに対し、義経を四国へ、範頼を九州へやって平家の退路を断とうとする。しかし和田義盛や義時が加わった範頼軍は、九州へ向かうための船がなかなか集まらなかった。範頼軍の本陣周防国松崎天満宮では、兵糧が平家に奪われたという知らせが来ており、しかも義経が平家を抑えられず、義盛はうんざりしていた。

範頼も責任を感じていたが、そこへ三浦義村が現れる。義村は豊後の水軍を味方につけたのである。これで範頼軍は筑前に攻め込むことができた。その一方で摂津では、比企能員や畠山重忠がいる義経軍が、大しけで船を出せずにいた。そして梶原景時は船が逆進できるよう、舳先にも櫓をつけてはどうかと提案していた。しかし義経は、逃げるための道具などどうすると景時の案を一蹴し、あわや2人は対立しかける。

その義経は、今夜出陣という荒っぽい手段を考えていた。周囲は止めようとするが、坂東武者は腰抜けばかりと義経は取り合わない。そんな義経に景時が近づき、先ほどのことを謝って義経案に同意する。この風の中で船を出せば、3日かかる阿波まで半日で到着するのだった。自分のことをよくわかっているのはお前だけだと義経は言い、まず手勢のみを連れて船を出す。慎重を期す重忠は、あれだけの武人をここで失うのかと懸念するが、景時はこう答える。
「九郎義経が神に選ばれた男なら、必ず成し遂げる」

義経は5艘の船で奇襲をかけ、平家方は長門の彦島へと逃れて行った。その知らせを受けた頼朝は、義経が強すぎることを案じ、自分の後継者だと図に乗るのを恐れて、今後の総大将を景時に任せることにする。要は義経を本陣に控えさせるわけだが、義経はそれに応じようとしなかった。自分が戦のやり方を変えると主張する義経だが、景時は物の道理がわからぬ、大将の器ではないと言い、義経が景時につかみかかろうとするのを、三浦義澄が止める。

重忠と能員は義経を推す。結局義経が今まで通り軍を率いることになったが、これは義経を総大将の座に据えておくために、義経と景時が一芝居打ったのだった。この先どうするべきかとの問いに、幼い帝を救い、三種の神器を取り戻すことと景時は答える。戦に勝てば戻って来ると義経は考え、船の漕ぎ手を狙い、平家方の船を立ち往生させるという作戦に出る。そして元暦2年3月24日の朝を迎える。

源平の海戦が始まろうとしていた。範頼や義時らは船には乗らず、逃げて来る敵を捕らえる役目だった。敵軍を十分に引きつけた義経は、計画通りに漕ぎ手をまず射殺する作戦に出た。漕ぎ手は非戦闘員であると忠告されるも、自ら矢を放ち、矢を射ようとしない味方をも射殺しようとする。形勢は源氏に有利となり、義経は船を次々と飛び越えて、平家の兵から御座船の場所を聞き、近づこうとする。

しかしその船からは二位尼をはじめ、三種の神器を捧げた女性たちが登場し、やがて海中へと身を躍らせて行った。彼女たちに続いて、安徳天皇を抱いた按察局もいた。帝は局に抱かれて海中へと沈み、義経は声を上げる。
「嘘だろ…あ、やめろ~」
この様子に源氏の御家人たちは目を背けたり、あるいは手を合わせたりした。陸で見ていた義時も呆然とした表情を浮かべる。

その後義時は、平家の兵の死体や赤旗が打ち上げられた浜辺を歩いていた。そこへ義経が現れる。お見事にございましたと義時が声をかけると、策が当たったなと義経は答え、どことなく沈んだ表情の義時に、これは戦だ、勝たねば意味がない、討ち死にした者たちの命が無駄になると言い、戦死した宗時の命も無駄にならずに済んだぞと平然と言い放つ。

兄がこれを喜ぶかどうかわからないと答える義時に、義経は面白くなさそうだったが、やがて漕ぎ手は丁重に葬れと言い、義仲も平家も滅んでしまったと前置きしてこうも言った。
「この先私は誰と戦えばよいのか」


まず大姫関連のシーン、これは先日も書いていますが、せめて義高と一緒にいるシーンがもう少し紹介されていれば、彼女の喪失感を裏付けるものとして説得力が増したでしょう。それとやはり、八重の所に連れて行くのはちょっと唐突感がありますし、まして7歳なら手習いは既にやっているかと思いますので、なぜここで八重が字を書いてみせるのかということにもなりかねません。

一方範頼軍、義村が豊後の水軍緒方一族を味方につけ、やっと九州へ渡れることになりました。この緒方一族とは緒方惟栄(これよし)の一族と思われます。元々は平家方の宇佐氏と対立しており、そのため源氏軍に加わって、葦屋浦の戦いで平家軍を破っています。

一方で義経はしけの中船を出すという、暴挙とも取られかねない作戦に出るわけですが、これが功を奏して平家軍は屋島を離れ、彦島へ向かいます。しかし頼朝からは、今後は景時を総大将にとの文が届き、義経と景時は一芝居打って、結局義経は総大将のまま壇ノ浦へ乗り込むことになります。勝たなければならないこの戦で義経が提案したのは、兵ではない漕ぎ手を討つことで、源氏方有利に持ち込む作戦でした。

味方有利の中、帝と三種の神器を守るべく、平家の御座船に近づく義経ですが、三種の神器、そして安徳天皇も海中に没してしまいます。これは痛手でした。二位尼でなく、按察局が帝を抱いているのは『吾妻鏡』に基づいているためでしょう。しかし八艘飛びのシーンが出て来る割には、戦そのものの細かい描写はやはりなかったなと思います。尚同じ『吾妻鏡』によれば、平家は田之浦(今の北九州市門司区田野浦)に陣取ったとされています。田野浦といえば、『龍馬伝』の高杉晋作を思い出す方もいるでしょう。

さて義仲も討ち、平家も滅ぼした義経は、この先誰と戦えばよいのかと口にします。恐らく今後の敵は兄の頼朝であり、しかも勝ち目の見えない戦となりそうです。


飲み物-ボトルとコルクとワイン




[ 2022/05/10 00:30 ] 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』新キャスト第2弾発表

『どうする家康』新キャストの発表です。

【第2弾】2023年 大河ドラマ「どうする家康」新たな出演者発表!「チーム家康」──家康とともに“どうする?”と考え、困難を乗り越える!
(NHK ONLINE)

ベテランの俳優さんもいる一方で、家康の比較的若い時メイン(多分)のせいか、若手の俳優さん、大河が初めてという人もいます。今回発表のキャストは以下の通りです。(敬称略)

坂井忠次-大森南朋
本多忠勝-山田裕貴
榊原康政-杉野遥亮
井伊直政-板垣李光人
鳥居元忠-音尾琢真
大久保忠世-小手伸也
平岩親吉-岡部大
鳥居忠吉-イッセー尾形
於愛の方-広瀬アリス
服部半蔵/正成-山田孝之
石川数正-松重豊

井伊直政は「民部公子様」ですね。「女城主直虎によって大切に育てられた」とありますが、直虎はこの大河も登場するのでしょうか。それはいいのですが、もう草履投げのシーンはなくていいです。無論あれはあの大河の創作ですが、あのシーンのせいもあって、直政登場後は録画視聴になってしまったのですから。あと大森さんはやはり『龍馬伝』、松重さんは『八重の桜』のイメージが未だに強いです。松重さんの戦国大河出演は『毛利元就』以来ですね。

ところで若手中心というと、『花燃ゆ』とか『青天を衝け』のイメージがどうもダブります。ただ『青天を衝け』はいざ観てみるとそこそこ面白かったので、現時点では期待しています。こちらは主人公が家康なので、ナビゲーターとして徳川慶喜が登場するというのはありでしょうか。『葵 徳川三代』では、中村梅雀さんが扮する光圀公が狂言回し的な役どころでしたね。

ただあまり若い家康と家臣団メインだと、これは昨年もそうでしたが、老けメイクを工夫することになるでしょう。それと松平→徳川に絡んでくる他の大名家、側室たち、あるいは石田三成などのキャストはどうなるのでしょう。

あとやはり脚本が古沢氏なので、『ゴンゾウ 伝説の刑事』、『コンフィデンスマンJP』の出演者のキャスティングもありかも知れません。小手さんは、後者の方にレギュラーで出ていましたが。

飲み物-ロックグラスカクテル
[ 2022/04/17 00:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

武者さんのレビュー雑感と時代劇、そしてNHKのネット配信

『武将ジャパン』の大河コラム、今年は1度だけ休んだもののほぼ毎回見ています。しかしどうもこのコラム、または朝ドラ関連レビューにしても、武者さんが理想とする形にそぐわないものは悉く叩くようです。こういう好き嫌いベースで書かれた文章を、やはりレビューとは言わないでしょう。

これが個人サイトやブログなら、まだしもそれもありかと思います。しかし大河にしても朝ドラにしても、報酬を貰って書いているはすです。しかも往々にしてあるべきシーンを見逃していたり、実際にないシーンが登場したりで、本編をきちんと観ているのかと疑いたくもなります。

あとこれは今年の大河でとみに感じることですが、好きな作品だと言っても、どこか無理があるように見えます。本当に好きではないにせよ、自分の意に沿う描写、たとえば女性が活躍するなどのシーンが多ければ、好きだということにしておきたいのかも知れません-それもどうかなと思いますが。それと『八重の桜』後の、幕末明治大河がよくないと考えているようですが、私にしてみれば当の『八重の桜』も、それ以前の『龍馬伝』や『篤姫』も疑問に思う点はありました。

如何せん、ドラマをはじめとする映像作品、あるいはそれに出演する人たちへの評価はどうしても主観が入りがちです。だからこそ、個人レベルでないドラマ評は中立的な視点が必要なのですが、それどころか主観が入りまくりです。あと漢籍とか、全く本編と関係ない作品(ひところの大河コラムでの『ゲーム・オブ・スローンズ』、あるいは華流ドラマなど)を持ち込んだり、こういうことでマウントを取らない方がいいと思いますけどね。

そんなことをするくらいなら、せめて本放送を観た後録画をチェックして内容を把握し、中立的な視点から文章を書いてほしいものです。それから持論展開のために、大河や朝ドラをいわば出しにしている感もあります。大河コラムの最終ページなどは、正にその感があります。しかし何度も言いますが、個人のサイトやブログではないのですから、作品に無関係なことは控えるべきでしょう。

話が変わりますが、今BSプレミアムで『大岡越前』をやっているので観ています。個人的に『大岡越前』は好きでして、昔の作品をCSで観たこともあります。特に今の『大岡越前』は、中の人が同じということもあり、『刑事7人』の天樹悠を連想してしまいます。あと『鬼平犯科帳』や藤沢周平もの、あるいは『御宿かわせみ』なども好きな作品です。

如何にものメジャーな時代劇よりも、寧ろ私はこういうのが好みといえるかも知れません。ただし『鬼平』は。比較的メジャーと言えるでしょうし、あとこれもメジャー時代劇といえる必殺シリーズのうち、80年代に作られた『新・必殺仕事人』もいいなとは思います。三味線のお師匠さんが、糸で相手を絞め殺すシーンは印象的でした。ああいうのは一種の殺しの美学でしょう。

今時代劇をやらないのは、映画では時々作られてはいるものの、基本的にお金がかかるので、週一のドラマでは難しいのも一因であると言えそうです。それとTV全盛期に色々な時代劇が作られ、ネタが出尽くしたということもあるでしょうか。ただ今の刑事ドラマでもそうですが、捕物はやはり人気がありますし、それをベースにした作品は、今後も何らかの形で作られ続けるかと思われます。ところでこの『大岡越前』、5月から新シリーズが始まるようです。

それからNHK関連で1つ。4月22日から期間限定で、ネットで番組を配信する計画がありますが、それに関してこのような記事があります。

NHKのネット配信実証 テレビない世帯への受信料徴収は「現時点では考えていない」と金子総務相
これに関して受信料は、現時点では考えていないということですが、コメント欄には「そういう含んだ言い方するから勘ぐられる」「将来は(受信料徴収は)ありうるのか」などとあり、結局のところNHKが受信料欲しさに新手の策を打ち出した、そのように見られても仕方ないようです。配信を望まない世帯への送信打ち切りをますやり、職員の報酬を引き下げ、それでも足りない分は別の方法で補うのが、本来のやり方であるべきかとは思いますね。

飲み物-ミルクが注がれる紅茶
[ 2022/04/09 01:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

大河の続きそして『99.9-刑事専門弁護士-』

まず、大阪市のクリニックで起こった放火により、亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

先日から『黄金の日日』関連の投稿をしています。実はこの大河は、1度だけDVD完全版の一部を観た記憶があるのですが、当然ながら毎週連続して1話ずつという形ではなかったので、今回のようにコンスタントに視聴することで、色々見えて来た部分もあります。

この呂宋(納屋)助左衛門を主人公に持って来たのは新鮮ではありますが、やはり市井の人物である以上、半ばフィクション的な手法を採り入れざるを得ず、信長にしても秀吉にしても、彼らが天下人としてやって来たことをかなり端折ったところもあるわけで、その意味ではちょっと物足りなさを感じることもありました。無論、いつもいつも主人公が天下人というのも何なので、目先を変えてみたとも考えられます。

一方で、秀吉を権力欲に目がくらんだような描き方をしたのは、面白いと思います。助左衛門が敵対する相手ということもあり、ヒール的な印象があります、ただ秀吉をこれだけキャラが立つ人物としたのであれば、他の武将たちも、もうちょっと描きようがあるかとは思います。

石田三成の場合はどういう人物であるかが大体見えて来ますが、小西行長、高山右近などは、場合によっては助左衛門の引き立て役のようにも感じられます。元々行長は太田城の戦いで武勲を挙げていますし、彼自身も布教には熱心な人でした。また右近も、実は小田原征伐に参戦したといわれています。それとこれは先日書きましたが、助左衛門の周囲の女性たち、特に美緒や桔梗などの、助左衛門不在時の様子があまり描かれていないのはやはり残念です。

ところで未だ淀殿が出てこないのですが、そろそろ鶴松も生まれて、秀吉の野望がより一層鮮明になると思われます。前回でもちょっと出て来ましたが、唐入りもそろそろかと思われます。確かこれは、大坂の陣よりも前に最終回を迎えたはずなのですが、あと10回ちょっとですから、いくらかテンポを速める必要はあるでしょう。

大河といえば、やはり最近はバトンタッチがなくなりましたね。というか、あれは男女が交互に主人公となっていた、2010年代特有の物だったのでしょう。それ以前にも、それぞれの主役の顔合わせというのはあったようですが、舞台となった地の名産品を交換するのは、2010年代以降、『龍馬伝』の福山雅治さんと、『江~姫たちの戦国~』の上野樹里さんからだったと思います。

それから今日の『金スマ』、松本潤さんがゲストでした。普段この番組はあまり観ないのですが、今回は特別にということで、すべてとは行かないまでも、半分ちょっとほどは観られたのですが、この人は嵐のライブの演出にかなり関わっていたのですね。

あとかつて日曜劇場で放送された、映画『99.9-刑事専門弁護士-』が映画化され、もちろんそちらにも出演です。またその前夜、12月29日には映画公開前夜祭ということで、TBS系列でドラマが放送されます。詳しくは下記リンクをどうぞ。
(映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』公式サイト)
(TBSテレビ:『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』)

しかし、香川さんと西島さんといえば、あの『ダブルフェイス』を思い出します。あと西島さんは、最近は『きのう何食べた?』の、シロさんのイメージも強いです。それにしても香川さん、再来年の大河に出て貰えないものでしょうか。


飲み物-温かいカフェオレ
[ 2021/12/18 00:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

来年の大河は本当に期待できるのでしょうか?

毎年この時期になると、来年の大河はどうなるのだろうと考えてしまいます。元々私の場合、来年の大河が楽しみというのは意外に少なく、来年はちょっと不安だなとか、最初はあまり観たくないなということの方が、実は多かったのです。『龍馬伝』、『真田丸』あるいは『西郷どん』などはちょっと楽しみでしたが、寧ろこういうケースの方が例外であったと言ってもいいほどです。特に『いだてん』以降は、来年も何となく期待が持てないなという印象の方が強くなっています。

『麒麟がくる』の放送前は、それでもいくらか楽しみはありました。しかし帰蝶役の沢尻エリカさんが麻薬所持で逮捕、収録のやり直し、それによる放送開始の遅れなどから、やや出鼻をくじかれた感があります。そして始まってみると、衣装のあの色遣い、演出にどうも馴染めないなどで、結局コロナ禍での収録休止もあり、途中までで視聴をやめました。

今もその気持ちは変わりません。来年は三谷大河ではあるものの、『真田丸』の放送前のような高揚感がないのは、今年の『青天を衝け』が部分的とはいえ面白かったこと、さらには『真田丸』の終盤が今一つだったことがやはり挙げられます。無論時代設定も主人公も、出演者も違いますが、ああいう負のイメージはなかなか拭い切れないものです。

しかし数字が取れる大河となると、やはり戦国になるのでしょう。再来年、主人公が既に戦国物の常連である徳川家康で(幕末大河の今年でも家康公は登場しました)、主演が未だアイドルのイメージの松本潤さんであっても、戦国大河を準備しておくというのは、あるいは『鎌倉殿の13人』がうまく行かなかった時の保険の意味合いもあるのか、そう考えたくもなります。

また数字が取れた方がいいのか、取れなくても公共放送だから仕方ないと言い張るのか、その辺のNHKの曖昧さに関して過去何度も書いていますが、大河をやりたがる割に、大河に何を求めるべきなのかがはっきりしていません。思い切って、主人公をゲイ設定にするとか、今までやったことのない時代(近代を除く)を創作メインで持ってくるとか、方法はいくらでもあると思いますが。若いファンを取り込みたいけれど、結局高齢者の視聴が多く、中途半端に妥協せざるを得ないのでしょう。

ところで来年の主演の小栗旬さんが、味の素のほんだしのCMに出ていますが、この時の小栗さんの弟を神木隆之介さん、妹を杉咲花さんが演じています。小栗さんと神木さんといえば、どちらも子役の頃に大河である人物の少年時代、その後別の大河で、その人物が成長した姿を演じているという共通点があります。味の素はあるいはそれを意識したのでしょうか。


飲み物-ロックグラスカクテル
[ 2021/12/12 01:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)
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まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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