昨年の4月からアンコール放送が始まった『風林火山』は、3月半ばで最終回を迎えました。この大河は、本放送時は軍師になるまでが面白いけど、後はつまらない、特に由布姫の爺やのようになってしまって面白くないといった声もあったようです。しかしこの場合、勘助という中年から初老の軍師が、諏訪家の姫に密かな恋心を抱き、彼女に身を賭して仕えるというのが原作のコンセプトなのですから、これは変えようがありません。その点が『武田信玄』とは異なる点です。
あちらの勘助は今川の間者のようなもので、しかも妻子持ちでした。あるいは本当はそのような人物だったのかもしれませんが、どうも勘助というとこの『風林火山』のキャラで上書きされてしまいます。ちなみに私の場合、上杉謙信もこの大河のキャラで上書きされています。また武田家に仕官した後も、川越夜戦だの上田原の戦いだのは、結構楽しめました。時々中だるみかなと思う部分もありましたが、1年50回やるからには、こういうエピもまたありでしょう。戦国物で、あまり戦に縁遠くなってしまってはちょっと困りますが。
キャストも結構よかったし、また「コッペパンの歌」の異名をとる(笑)OPテーマ、そして騎馬武者と旗と風景のタイトルバックもよかったです。私もこの大河は観ていないエピもあり、3年前に『真田丸』の予習を兼ねて全部DVDで観たのですが、こんなに面白かったのだなと改めて思いました。さらに、『真田丸』が始まってから、キャストが結構ダブっているのにも驚きでした。あの村上新悟さんが、春原惣佐衛門の役で出ていたのですね。他にも諏訪頼重役の小日向文世さんが、内野聖陽さんの勘助に「寅王丸を頼む」と懇願するシーンに、『真田丸』の「秀頼を頼む」がだぶりました。
ただクライマックスの第四次川中島の戦い、あれだけの戦いの割に人数が少ない印象があったのが残念でした。実はこれは『真田丸』も同じだったのですが。戦のシーンというのは、人数が多いほど迫力があるわけなので、それが『葵 徳川三代』の関ヶ原映像が、その後も使われた所以でもあると思われます。ただもうあの大河から20年近くになりますので、そろそろまた新しい映像をと思わずにはいられません。
それから勘助が甲斐に来て知り合った伝助(伝兵衛)、太助、平蔵との絡みがよかったです。平蔵もいい加減勘助と共に武田に仕えれば、また別の道が開けたのでしょうが、それができないのが平蔵の平蔵たるところでしょう。矢崎父娘共々オリジナルキャラですが、彼らの存在がまた、武田の家臣と違って、運命に翻弄されて行くイメージがあってよかったです。また笠原清繁夫人から、小山田信有の側室となった美瑠姫しかりでしょう。一方で今川トリオ、北条主従も見ごたえがありました。
この『風林火山』の後は『軍師官兵衛』が放送されています。こちらも観られる時は観ています。ただ4年前のものなので、あらすじの説明などは今回はアップしていません。その代わりと言っては何ですが、この「徒然」の官兵衛バージョンを今後アップして行こうかと考えています。この大河は最初は姫路中心で、秀吉に仕えたころから段々世界が開けてくるので、『風林火山』に比べると現段階ではまだ地味ですが、その代わり向こうにない世界が楽しめるかと思います。
スポンサーサイト