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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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鳴門秘帖第10回「秘帖の行方」

蜂須賀重喜に鳴門秘帖を差し出し、孫兵衛と周馬は褒美を受け取ります。しかしその後忍びの者が、天井裏から入り込み、それを盗み出してしまいます。これで城中は大騒ぎになり、弦之丞たちも、その異変に気付きます。

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徳島城から鳴門秘帖を盗み出したのは旅川周馬だった。その場に駆けつけた家来たちを手裏剣で倒し、周馬は行方をくらます。その後竹屋三位卿藤原有村たちが駆け付けるが、周馬も秘帖も共に姿を消していた。城の外にいた弦之丞たちに太鼓の音が聞こえ、一同は何事かあったのかと怪しむ。その頃周馬は杖を頼りに城下へ戻ったが、お十夜孫兵衛と出くわす。お前のことは勘で気づいたという孫兵衛に、周馬は自分の正体を明かす。秘帖を奪って京都所司代の松平左京之介に渡すつもりであった。彼もまた公儀隠密で、周馬は周馬、弦之丞は弦之丞と別々に雇われていたのである。

どっちが転んだとしても、左京之介には痛くもかゆくもなかった。懐の褒美金を孫兵衛に向って投げ、それで夢を買えと言う周馬。孫兵衛には、一生暮らせるほどの金が入ったが、何かすっきりしないものを抱えていた。その孫兵衛は城下で、偶然万吉とお綱に出会い、周馬の正体を告げて去って行く。そして弦之丞は周馬を追うことにする。たまたま船大工の勘助が、土佐泊から船に乗ることを話していたことをお綱は覚えていた。源之丞は恐らく、周馬も同じことをするとにらんで土佐泊へ向かう。

土佐泊では周馬が手下と地図を広げていた。どこをどう行けば、渦をかいくぐれるかがその地図には示されていたが、そこに弦之丞たちが現れる。周馬は手下に相手をさせ、自分は逃げ出そうとするが、そこでお綱と千絵と出くわす。千絵は、利用された者たちのためにも周馬を斬ろうとするが、周馬は爆薬を使う。そのため千絵は手裏剣を使うが、これもかわされ、最終的にはお綱の短筒の銃弾に周馬は倒れる。「七代先まで祟ってやる」がいまわの際の言葉だった。そして徳島城では、またも鳴門秘帖が盗まれたことに対し、有村が重喜に怒りをあらわにする。

二人は城の庭先に、高木龍耳軒が控えているのに気づく。有村は龍耳軒にも言葉を荒げるが、龍耳軒はこれは蜂須賀家に取って吉兆、鳴門秘帖のことはなかったのですと進言する。有村はまたも怒るが、実は龍耳軒は蔭腹(予め腹を切ってからの諫言)を切っており、その場で果てる。土佐泊での騒ぎが治まった後、弦之丞たちは高木家へ向かう、高木家の家来原田は、すべては弦之丞のするとおりにせよという主の言葉を伝え、弦之丞は龍耳軒が牢で話したことを思い出す。その後弦之丞、お綱、千絵、万吉の4人はある行動に出るが、お綱の心にはもう一人別の男がいた。

源之丞たちは徳島城へと急ぐが、その後ろを横切るぼろぼろの衣服をまとった男がいた。それは森祐之助であった。どこかをさまよっていた風だが、お米の位牌を大事そうに持っていた。そして弦之丞たちは鳴門秘帖を手に、龍耳軒の縁筋の男のつてで城へ入るが、有村に見とがめられてしまう。そこで出て来た重喜の前で、弦之丞は懐から鳴門秘帖の箱を出し、これはたった今消えてしまう、それが龍耳軒殿のご遺志と言って、箱を篝火の中に入れてしまう。

あわてふためく有村はそれを取り出し、大事そうに抱えて徳島を出ようとするが、そこへ江戸からの文が来た。山県大弐が死んだというのである。挙兵計画が水の泡となることを恐れた有村は、西国のどこかを頼ろうとするが、そこへやって来た祐之助の太刀を受ける。そして祐之助もまた同じ太刀を有村から受け、2人は共に絶命する。その場へ来た四人の前に、お米の幻が現れた。お米は祐之助の身を借りて、自分を殺した有村を討ち、弦之丞を守ったのだった。その後四人は再び剣山の洞窟へ行き、世阿弥の墓に参る。

その後孫兵衛はお綱の前で弦之丞と斬り合いをし、弦之丞は笠、孫兵衛は頭巾を斬られる。しかし命を奪われたのは、孫兵衛の方だった。弦之丞は京へ上り、常木鴻山と共に、松平左京之介に焼け焦げた鳴門秘帖を差し出した。もはやそれは、蜂須賀家の陰謀の証拠にすらならなかった。左京之介は大儀であったとだけ声をかける。蜂須賀家の徳島藩は改易を免れたが、重喜は32歳の若さで隠居を命じられる。そして大坂の四国屋では、お綱と千絵が、お久良と睦まじく話していた。そこへ鴻山や源之丞が戻って来る。

今日は源之丞と千絵との祝宴とお久良は言うが、源之丞はもはや江戸へ戻る気はなかった。お綱は千絵のためにも江戸へ戻るように頼み込む。父も江戸で彼を待っているものの、これだけのことをしたなら父も喜んでくれると言い、千絵もまた甲賀家再興のめどが立ったにも関わらず、2人でその夜姿を消してしまう。その後お綱は江戸へ戻って堅気の商売につき、平賀源内もまた戻って、みよしやで万吉とお吉にエレキテルを紹介していた。そして武者修行時代は太刀で戦い、その後脇差で戦うようになった弦之丞は両刀を捨て、今は千絵と遍路の旅に出ていた。

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今回がいよいよ最終回です。全体を振り返ってみて、江戸から中山道くらいまでは結構面白いと思いました。正直な話主人公より、悪役サイドの方にそれを感じました。篠井英介さんの「麿」ぶりも様になっていましたし。ちなみに今回魅力的だなと思った人物は以下の3名です。

万吉
関谷孫兵衛
高木龍耳軒

ただ物語が終盤になるにつれて、やや駆け足になった感もあります。もっと孫兵衛と周馬の同床異夢、すれ違いぶりも見せてほしかったです。それと周馬が公儀隠密の割には、それらしき雰囲気があまりにもなかったのもいささか気になっています。また公儀隠密であることを明かすシーンは、脚本が尾西兼一氏ということもあってか、捕物帳または刑事ドラマ的な印象がありました。

主人公に関しては、やはり個人的には山本耕史さんより、もう少し陰のある人物の方がよかったと思います。無論今回は10回シリーズであり、主人公の公儀隠密としての、いわばダークサイドを描くには時間がなかったのも事実でしょう。恐らく77年の作品を観ていた人には、軽めの乗りだったかもしれません。ロードムービー風な仕立てにするのもありですが、ならば『一路』とか、あるいは映画ですが『超高速!参勤交代』の方がそれらしかったようにも思います。それとお綱はよかったのですが、やはり千絵が今一つでした。早見さん、端役でもいいから大河にでも出ていた方が、もう少し時代劇の雰囲気を出せたかも。あとお米の幻などもそうですが、女性大河的な演出があったのも残念。

それと事あるごとに弦之丞の「人でなし」が登場しますが、これはどうかなとも思います。そんなに刀を持つのがいやなら、公儀隠密などにならず、刀を捨てて蕎麦屋でも始めろと言いたくなるのですが…。この言葉により、公儀隠密として帯びている使命に、弦之丞本人がネガティブになっている感もあり、それが隠密としての陰の部分を楽しめなかった所以かとも思います。また蜂須賀家食客の、竹屋三位卿藤原有村の倒幕構想が、やや存在感が薄いようにも取れました。有村が筑後柳川に言及しているのであれば、涌井道太郎は少しだけでも出してほしかったし、山県大弐の訃報も唐突な感じでした。

ところで原作の最後に、このような一節があります。
「一国の大名として稀有なかれの不幸が、なんとなく、剣山の終身牢を思わせるような生涯だったのは奇であるが、死後二十年の後には、かれの理想どおり、尊王の声が国内にみちていた」
(注・かれ=蜂須賀重喜)
蜂須賀重喜は文化14(1817)年に亡くなっています。その20年後というのは1830年代で、この場合の国内とは阿波国内のことでしょうか。事実この時期に志摩利右衛門という藍玉の商人がいて、藩政改革に貢献の後、頼山陽らと交友関係にありました。そして日本国内で尊王の声が高まるのは、桜田門外の変の後となります。尚蛇足ながら、原作終わり近くの、孫兵衛と周馬のやり取りの章の小見出しが「踊らぬ人影」となっていますが、これがどうも『踊る人形』を連想させてしまいます。

それからセリフの説明についてです。蔭腹については説明がありましたが、その割に「サンピン」などの台詞には説明がないのですね。これは三一侍(さんぴんざむらい)の略で、下級武士を見下して言う表現です。元々は一年に三両一分の報酬しかもらえなかったため、このように呼ばれています。他にも道者船などの説明もなかったし、NHKは説明するしないの基準をどうやって決めているのでしょうか。

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[ 2018/06/29 00:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

おんな城主直虎あれこれ24-補足

個人的に思うのですが、この『おんな城主 直虎』は、『江ー姫たちの戦国ー』と表裏一体の関係にあります。『直虎』が歴史上の著名人物を、あまり出さない設定であるのに比べ、『江』の方は、むしろ著名な人物と絡ませることに重点が置かれています(『花燃ゆ』もそうだといえます)。ただし、どちらもやりすぎのように思えます。『篤姫』とか『八重の桜』はその点、あるいは男女それぞれのシーンなども、ほどほどにバランスが取れていたともいえます。

第24回の放送では、三英傑である信長や家康の登場が、何やらアイコン的です。これは人物のみならず、今川仮名目録や孫子の兵法、綿の栽培などにも似たような傾向があります。戦国時代だから、取り敢えず入れました感があるわけで、歴史を見る楽しみが殺がれてしまうのは、やはりこの辺りに原因ありのようです。だからこそ、信長があの時点であの恰好であっても、特に構わないとなるのでしょう。前にも書きましたが、これが他の時代劇枠であれば、まだ楽しめなくもないのですが。

ドラマの展開に関していえば、キャラやストーリーの細かい設定が今一つ見えにくいところがあります。直虎もあれこれやってはいるものの、本質が今一つわかりにくい。そして前振りとか、それとなく窺わせるものがなく、突如としてあるシーンが登場する。たけが耳が遠くなったから里下がりするなどというのは、その前からそれらしさを出せたはずです。また人質で急に佐名を思い出すのも、何か唐突な感じですし、後見しているはずの虎松とか、情報をもたらす松下常慶ががなかなか出てこない。各エピのテーマの消化で精一杯なのでしょうか。

それから直虎を演じる柴咲コウさんの声についても、色々指摘されています。割と一本調子になりがちな感じの物言いなので、シーンに合わせた変化に乏しいと思う人もいるでしょう。『ガリレオ』の内海薫であれば、これでもよかったかもしれません。それとやはり気になるのが彼女の打掛です。あれはどう見ても桃山期の物のように見えます。それと中野直之を「之の字」と呼ぶのも、何か江戸時代の遊び人や、巾着切りを思い出してしまいます。

そもそもこのドラマが、戦国というよりは、江戸時代の領民思いの殿様の、女性バージョンのような感じです。以前ご紹介しましたが、『超高速!参勤交代』の内藤政醇、この人は民思いのいい殿様なのですが、あれは一方で参勤交代、しかもお金がなくて、ぎりぎりで要員をかき集めてやっている参勤交代という、対比関係の面白さがあるわけです。単に日常生活だけを見ていても、しかもそれなりに丁寧に作っていても、実はあまり面白くないわけです。

森下佳子さんの「史実の縛りから解放する」も、度を越せば単なる史実無視、史実軽視であり、逆に「史実を描かない」という方法で、ドラマを縛っているように取れてしまいます。これはかつてラグビー代表強化で、型を作らないという方針を取った挙句、才能ある選手たちをうまく使えなかったのとだぶります。1年かけての大河ですから、もう少し本腰を入れてほしい。本腰を入れているのかもしれませんが、その方向性に疑問があります。女性より先に、大河にするべき男性は沢山いるのですが。

しかし結局、木材を盗んで行った盗賊を井伊で伐採に使い、その木材を売るというのも、近藤家に取っては納得が行きかねるものでしょう。そして政次も、井伊家では一番客観的な見方をするものの、やはり最後まで直虎を警戒させるキャラであってほしかったです。ただその場合、直虎がひそかに政次の裏を読む、互いに腹の探り合いをするようなキャラでないと、面白くないとは思いますが。それから今後、直虎関係の投稿を多少変更し、エピソードと感想を一緒にしようかなと考えています。

飲み物-コーヒー
[ 2017/06/21 01:15 ] 大河ドラマ おんな城主 直虎 | TB(-) | CM(0)

超高速!参勤交代 リターンズ

前作が参勤=往路、そして今回は交代=復路を描いていますが、この復路が前回以上にハプニング続きで、はらはらどきどきの連続でした。キャストは前回のメンバーに加え、柳生家や湯長谷藩関係で何名かプラスされています。湯長谷藩については、前作の感想記事で触れています。しかし松平信祝、懲りませんねこの人は。

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江戸を発って帰路についた内藤政醇一行、今度は牛久の宿で身請けをしたお咲も一緒だった。しかし、江戸で家臣たちが小金を稼いでいたとはいえ、予算が足りないことに気付いた一行は、またしても走ることになる。その後牛久に到着し、政醇とお咲の祝言が挙げられたが、そこへ国許で一揆が起こったという知らせが入る。実はこれは、蟄居を解かれた信祝の陰謀だった。

しかも幕府の目付が二日後に着くことになっており、家老の相馬兼嗣の案で、政醇と側近は飲まず食わずで走り抜ける方法を選ぶ。一方お咲は早駕籠を使うことにした。政醇一行は、底に穴の開いた舟で苦心惨憺しながら那珂川を渡るが、その時相馬が溺れてしまう。泳げない相馬を助けようと鈴木吉之亟が飛びこむが、今度は鈴木が丸太に当たって流されてしまう。しかし、それでもなお一行は湯長谷を目指して走り出す。

大沼宿で何とか大名行列の体裁を整えようとするものの、中間の数も少なく、人間に見せかけた案山子に頼らなければならない有様だった。何とか役人の目をごまかして切り抜けるが、次の高萩宿の先の関所では、一行の人相書まで出回っていた。八方塞がりの政醇たちだったが、目の前を棺桶を積んだ車が通りかかり、政醇らは死体に化けて棺桶の中に潜り込み、苦心の末、その場を切り抜けるのに成功した。

さらに一行の行く手に困難が立ちはだかる。山中で尾張柳生家の刺客に出くわしたのだった。しかもそこには、かつて政醇が担当を与えた段蔵もいた。段蔵は家族を人質に取られ、彼らに加担していたのだった。しかも、この一行を邪魔し続けていたのも松平信祝だった。政醇のおかげで蟄居をさせられた信祝は、柳生家を抱き込み、さらに湯長谷で一揆まで起こさせるという、用意周到な策を練っていたのだった。

その頃江戸では、その信祝を怪しいとにらむ秋山平吾が、思いを寄せる政醇の妹琴姫に脱藩届を出し、大岡忠相と組んで信祝を追い詰めることを決意する。2人が追い詰めたのは、柳生家の当主幻道の手下の森極蔵だった。さらに秋山は、柳生の忍びが持っていた書状から、信祝は日光社参をしていた将軍吉宗をも、暗殺しようとしていたことがわかる。大岡は秋山同席のもと、森の裁きを始め、誘導尋問で森、ひいては信祝の悪だくみを暴き出す。

柳生の刺客をかわし、湯長谷にたどり着いた一行が目にしたものは、跡形もなく荒らされた田畑と、既に柳生家の幟が翻っている湯長谷城だった。そこへ留守居役の次席家老、福田弥之助が現れ、共に信祝と戦うために立ち上がる。しかし家臣の妻子たちも人質に取られており、果てはお咲も村人たちの身代わりになって拉致される。しかも柳生家のみならず、江戸から信祝も軍勢を率いて湯長谷を目指していた。

政醇たちは総勢7名、片や大軍を従えた信祝の軍は1,000名で、その差は歴然としていた。当初政醇は一人で出向こうとするが、家臣たちが次々につき従い、信祝たちを出迎えることになる。しかしいざ対決というその時、政醇たちの味方に戻った段蔵が煙幕を張り、その隙に政醇をはじめ、剣に自信のある荒木源八郎や増田弘忠、槍の名手の今村清右衛門や、何とか湯長谷に戻った鈴木吉之丞らが攻め込む。

しかもそこに信祝の叔父の輝貞、そして日光社参をしていた徳川吉宗がやって来る。また信祝の兵たちも見切りをつけて去って行き、今度は信祝が窮地に陥る。さらにその後、柳生家の諸坂三太夫はこの様を見て、あっさり湯長谷藩を政醇に戻してしまう。こうしてやっと元に戻った湯長谷藩に、再び村人たちの笑顔が戻って来た。お咲の村の女性たちと共に働き、政醇は満足そうに田畑の様子に目をやるのだった。

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この作品、実は様々な過去の作品へのオマージュで彩られています。まず、松平信祝の軍勢に7人で立ち向かうところは、もちろん『七人の侍』がベースになっているといえるでしょう。猿の「菊千代」もそれにちなんだものかと。また『水戸黄門』や『大岡越前』など、かつてのテレビ時代劇を感じさせる部分もあります。そのうちDVDが出たら、どれだけの仕掛けが隠されているのか、チェックできたらと思います。

今回は柳生に占領された城に、藩士の家族が人質となっているわけですが、家老の相馬の娘が、眼鏡っ娘という設定なのが面白い。奥さんは簪で喉を突こうとし、荒木源八郎の妻の富江に止められます。また段蔵も妻子と会うなど、家族の描写も結構丁寧になされています。しかし相馬さん、どうも室賀さんのイメージがつきまとって仕方ありません。流石にこちらでは「黙れ小童」はありませんでしたが…しかしエンタメ性や家族を描くことなどなど、今の大河とも共通するものもあるようで。
(画像はアマゾンより)

超高速参勤交代リターンズ
[ 2016/10/15 02:00 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

超高速!参勤交代 その2

さてこの作品ですが、『一路』を観ていた方でまだ観ていない方にはお勧めです。あちらは正統的参勤交代ですが、こちらは何ともイレギュラーな参勤交代で、そのギャップがまた面白く感じられます。それにしても家臣の今村役が、『相棒』で鑑識官米沢守を演じている六角精児さんとは(笑)。しかし、いざという時の行列要員として、中間などのいわば「派遣」というのは現実に行われていたのでしょうか。ところで、この湯長谷藩は小藩であまりゆとりがないため、将軍家への献上品は大根の漬物という設定になっています。それを老中は鼻でせせら笑い、内藤政醇が国許で何かの如く味わう鯛にしても、うまいものではないという始末。まあ、何とも嫌な奴です。しかしこの政醇という殿様は、鯛の片身を食べるのにひっくり返すのですか…お行儀悪いなあ。尤も江戸ではできないから、せめて国許ではということなのでしょう。

作品を観ていて感じるのは、この殿様は何とも実直で領民思いの藩主であるということです。また家老の相馬に全幅の信頼を置いていて、何かあれば「相馬、知恵を出せ」となるわけで、この強行軍を如何に突破するかも、殆どが相馬の発案によるものです。またこの藩は会津に存在した実在の藩で、当然ながら言葉も会津弁になっています。「だけんじょ」(だけど)なんて聞くと、正に『八重の桜』の世界を連想します。またウィキ記事によれば、本家筋である磐城平藩はその後日向に転封されますが、この藩はその後もここで領地を保ち、幕末には奥羽越列藩同盟に加わって、新政府軍とも戦っています。内藤政醇は4代目藩主で、忠孝、倹約、扶助を旨とした藩法を定めています。

しかし佐々木蔵之介さんはこういう役が様になりますね。外連味が少ないというか。いつも思うのですが、この人は蔵元の息子さんらしく、品の良さが感じられます。上背もありますし、年齢にふさわしい落ち着きもありますから、結構トラッドぽい格好、たとえばネイビーのブレザーとかツイードの上着とか、チェスターフィールドのコートなども着こなせそうですね。そういう格好の佐々木さんも見てみたいものです。私にしては珍しいことですが、スコットランド紀行のフォトブックが出ているようなので、買ってみようかな…。

お洒落なランプとグラス 


[ 2015/11/13 00:45 ] 映画 | TB(-) | CM(0)

超高速!参勤交代 その1

享保20年(1735年)のこと。磐城国湯長谷(ゆながや)藩の藩主、内藤政醇(まさあつ)と藩士達は、江戸への参勤から1年ぶりに帰国し、故郷を満喫する。藩は4年前の飢饉により財政困難状態であったが、政醇は近隣の藩へ米の援助を続けており、年貢を上げようとする藩家老の相馬兼嗣(かねつぐ)の意見には反対していた。そんな折、江戸屋敷詰めの家老が駆けつけ、老中松平信祝(のぶとき)からの至急参勤せよとの書を持参する。藩の金山の届出に不正があったとのことで、5日以内に参勤しないと藩は存亡の危機に陥る。江戸への道は最低8日間かかるのだが、政醇は江戸行きを決め、どう乗り切るか相馬に案を出させる。

相馬が政醇を含め7人で出発し、役人のいる宿場だけ人数を雇い、それ以外は山越えをするという案を打ち出したその時、政醇は槍を取り、天井の一隅を突く。そこには抜け忍(ぬけにん、忍者を辞めて帰農している者)の雲隠段蔵が忍んでいた。段蔵は100両出せば、山越えを手ほどきするという。参勤の費用で頭を悩ませていた政醇と相馬はこれに乗る。2日目の早朝、政醇、相馬、荒木源八郎、秋山平吾、鈴木吉之丞、今村清右衛門、増田弘忠は段蔵に率いられて江戸へ発つ。5日間の強行軍のため駕籠や毛槍などはなし、刀も竹光という出で立ちだった。

一行は高萩宿に到着するが、そこには行列要員が25人しかいなかった。本来はその倍の50人の人数が必要なため、宿役人の目の前を通り過ぎた後、回り道して戻って行列に加わり、人数をそれなりに見せるという苦肉の策を採る。また、水戸の徳川宗翰(むねもと)の行列がやってくるが、政醇は幼時のトラウマで閉所恐怖症となり、駕籠に乗れなかった。駕籠には猿の菊千代を乗せて自身は馬を使用しており、その場は腹話術で乗り切る。一行は山道を行き、野宿をするが、その彼らを隠密たちがつけ狙っていた。その後段蔵は礼金をもらい、次の牛久宿で落ち合った時に残りの謝礼をもらう約束だった。政醇は牛久宿までは馬を使うことにし、その前に段蔵に、「このような物しかないが」と家宝の脇差を与える。
 
3日目、政醇は牛久宿の鶴屋に到着するが、いさかいから木に縛られている遊女のお咲を見て、あの女をと所望し、寝る代わりに背中と腰をもませ、両腕の赤い部分(入れ墨の跡か)に傷薬を塗ってやる。相馬たち一行は廃寺に転がり込むが、段蔵は報酬を得て消えてしまい、夜半に目を覚まして水を飲んでいた相馬は、そのまま井戸に落ちてしまう。そこへ公儀の隠密たちがやって来る。一行は大見得を切るも竹光では太刀打ちできず、逃げ出してそのまま谷に落ち、流されてしまう。一方で政醇はおたずね者になり、お咲たちは政醇の紋章である、下がり藤の紋の客に気をつけろと、鶴屋の女将から言い渡される。その後役人が宿を改めに来たため、政醇は閉所が苦手ながらも、やむを得ずお咲と共に押し入れに逃れる。一方報酬が手に入った段蔵は芸者遊びをしていたが、実はその金は古銭ばかりだった。

4日目、谷に落ちた家臣たちは一行は岸にたどり着くも、相馬がいないことに気づいて水死したのだと決め込む。その場所は既に牛久宿よりも先の藤代宿であったため、彼らは先を急ぐことにして、吊り橋を渡る。高い所が苦手で吊り橋と格闘していた鈴木は、背後に何かがいることに気付いて恐怖におののくが、それは井戸に落ちた後、何とか追いついた相馬だった。一方政醇は、お咲と共に馬で牛久宿を発つものの、途中で隠密に出会い、お咲を人質に取られてしまう。政醇はお咲か藩かの苦渋の選択を迫られ、降参しようとしたところに、ある大身の武士がやって来て、信祝の命により、政醇を殺さずに江戸に連れて来るよう隠密に命じる。その武士は実は段蔵が化けたもので、段蔵はその場で隠密たちを斬り、政醇はおかげで何とか窮地を切り抜けた。
 
家臣たちは取手宿に着いたものの、行列のために雇った中間(ちゅうげん)達は、1日余計に待機した分の手当てを払えといい、しかも行列用の道具を持ち去ってしまう。そこへ本家筋である磐城平藩主・内藤政樹の行列がやって来て、相馬たちを自分の行列に入れさせてくれた。これは、飢饉時に政醇に米をもらった礼であった。その後格上の仙台藩の大名行列がやって来たため、一行は飛脚に変装して行列を追い越して行った。飛脚は大名行列であっても追い越すことができたためである。
 
5日目、一行は磐城藩江戸屋敷に着いた。政醇の妹である琴姫は飛脚姿の一行に驚きながらも、江戸屋敷の人間を総動員して体裁を整え、江戸城に向かう。しかし馬でやって来た政醇とお咲はお庭番に待ち伏せされてしまい。そこに家臣たちがやって来て、今度は真剣で堂々と勝負し、最終的に段蔵がこれに加勢する。そして江戸城大手門では老中の松平輝貞、松平信祝が一行を待っていた。刻限の暮れ六つの鐘が鳴り終わろうとした時、弓矢に長けた鈴木が鐘に矢を当てて再度鳴らし、刻限を延ばして何とか一行を江戸城に入れた。政醇は、湯長谷藩では金を産出しないことを述べ、その責任をどう取るおつもりかと信祝を問い詰める。信祝は信貞により謹慎を命じられた。後に徳川吉宗に拝謁した政醇は、吉宗から、信祝が隠密を使うことにより私腹を肥やしている旨を聞かされ、敢えて政醇を参勤させて、信祝の罪を暴こうとしたのだった。
 
そして江戸屋敷では、お庭番との戦いの際に重傷を負った秋山を琴姫が看病する。段蔵は報酬をすべて政醇に戻し、その政醇はお咲を側室に迎えて国許に置くことにした。しかし、今村が帰途突然「行きの分の費用しか予算を組んでいなかった」と言い出し、帰りの旅でも一行はまた経費節減のため、今度は湯長谷藩に向かって走り出す。
[ 2015/11/13 00:40 ] 映画 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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