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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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感謝祭そして七面鳥にまつわることをいくつか

11月23日は日本では勤労感謝の日ですが、アメリカでは感謝祭(サンクスギビング)です。アメリカの場合、特に日にちが決まっているわけではなく、11月の第4木曜日とされており、今年はたまたま同じ日となっています。

さて、クリスマスやハロウィンに比べて馴染みが薄い感謝祭ですが、これは北米大陸独自の行事とも言えそうです。ちなみにカナダでも行われていますが、こちらは10月です。

元々この感謝祭、アメリカンセンターのサイト(https://americancenterjapan.com/aboutusa/monthly-topics/2060/
によると、アメリカに渡ったピューリタン(分離派)が、その地で先住民のワンパノアグ族と出会い、彼らからこの地での生活を教えて貰うことになります。そのワンパノアグ族は1年を通じて、この地がもたらす多くの恵みに感謝する祭事を行っていました。

そして入植者たちも、本国で収穫祭を行っており、またこの新しい地で多くの恵みを得たことから、感謝の祝宴と祈りのための日を決め、ワンパノアグ族の首長マサソイトを招待し、マサソイトは他の90人の先住民と共に、彼らを訪れたとされています。

なお言い伝えによると、入植者の収穫物と共にあぶり焼きにするため、七面鳥と鹿肉を持って宴に参加しています。それ以外にも魚介類やコーンブレッド、スクワッシュ、ナッツ、クランベリーなどの食物が持参されました。入植者たちは先住民から、クランベリーや様々なトウモロコシ、スクワッシュの料理法を学んだと言われます。このスクワッシュは西洋カボチャで、ランタンを作るためのパンプキンは、ペポカボチャ(種が食用になる)と呼ばれます。

この最初の感謝祭には、先住民がポップコーンを持ってきたとも言われています。

先住民が七面鳥を持って来たことから、七面鳥は感謝祭のシンボル的存在となりました。しかしクリスマスも七面鳥とよく言われますし、この辺りどうバランスを取るかになりそうです。昔はもちろん野生の七面鳥ですが、今は食用のための改良が進んでいます。一般的に脂身そのものは少ないです。パサつくとよく言われますが、これは調理の仕方次第と言えるようです。

ところで七面鳥と言うと、この曲を思い出す人もいるでしょう。
以前も感謝祭関係でこれを取り上げたことがありましたが再度。


但し「オクラホマミキサー」は、この曲を使ったダンスのことであり、曲のタイトルではないようです。曲のタイトルは、あくまでも『藁の中の七面鳥(Turkey in the straw)』です。

NBCのドラマ『ザ・ホワイトハウス』では、「恩赦の七面鳥」のために広報官のCJ・クレッグが、農場から借りた2話の七面鳥を、人前でビビらず、フラッシュに驚かないように調教するシーンがありました。また、1990年にイラクのクウェート侵攻でアメリカ軍が派遣され、当時のジョージ・ブッシュ大統領が兵士の激励に現地を訪れた時、この七面鳥が振舞われたそうです。無論軍隊での食事ですから、あらかじめ切り分けた七面鳥のローストが振舞われたようです。感謝祭が選ばれたのは、イスラム教の国に配慮して、キリスト教色が薄いこの行事の日が選ばれたとのこと。

あと、以前『少女レベッカ』と言う小説について書いていますが、ここでも主人公のレベッカが親友のエンマと共に、石鹸を売ってランプを貰おうとしているシンプソン家の子供たちを手伝って、石鹸の行商に行く場面がありました。実際この行事は分かち合いの精神があり、ホームレスの人々などに伝統食を提供するならわしもあるとの由。

今は日本でもブラックフライデーが盛んになっていますが、元をただせばこのブラックフライデーは、感謝祭の翌日の金曜日で、感謝祭関連グッズが値引きされて大放出される日でした。アメリカ式感謝祭が一般的でなくても、ブラックフライデーは確実に広まりつつあります。

しかし祭日というのはある意味セットになってもいます。この感謝祭とブラックフライデーもそうですが、クリスマス前のアドベントや、復活祭前のレントなどは物忌み期間と神の降誕または復活という流れになっています。で、このレントの前にはご馳走を食べて大騒ぎし、節制の時期に備えるわけですね。

あとクリスマス、これはまた書ければと思いますが、元々土着の冬至の祭りと一緒になったこともあり、呪術的な要素がかなり感じられます。日本でも、かつて冬至の祭りというのが存在しましたが、それもまた歴史関連投稿で。


飲み物-冬のシードル
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[ 2023/11/21 05:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

イングランドとオランダと日本

『どうする家康』。ウィリアム・アダムスが登場し、それまでのスペイン・ポルトガルを中心とした「外国」が、イングランドやオランダを中心とした「外国」へと変化して行くようになります。そしてこのイングランドやオランダ(ネーデルラント)と、スペインやポルトガルは交戦中であり、宗教的対立が大きく絡んでいました。

特にヘンリー8世が政治的な理由で打ち立てた聖公会(アングリカンチャーチ)や、カルヴァンの唱えた、所謂改革派とカトリックの対立といった構図の英西戦争は、その後のヨーロッパに大きな影響をもたらすことになります。

一方でイングランドは、この戦争によって新大陸の植民地化が遅れます。スペインやフランスが、アメリカやカナダに植民地を作っていたのに比べると、イングランドは17世紀に入って植民地開拓に乗り出し、先行勢力と衝突しつつ、植民地を広げるに至ります。

ところで『どうする家康』ではわかりやすくするためでしょう、アダムスをイギリス人としていますが、正確にはイングランド人で、この当時イングランドとスコットランドは別々の国でした(ウェールズは併合していましたが)。ラグビーワールドカップもそうでしたが、今なお一部のスポーツでは、イングランドやスコットランドなど、独自の代表チームを編成しています。

その後イングランドはスコットランドと同君連合となり、18世紀にはこの両者によるグレートブリテン王国、さらにグレートブリテンとアイルランドが一緒になった連合王国ができあがるに至ります。

話が戻りますが、イングランドはこの後交易を行うものの、最終的に交易権を持ったのはオランダでした。以前長崎街道について書いたことがありますが、この街道が整備され、貿易港長崎の警備が福岡、佐賀両藩の藩士たちによって行われることになります。またこれによって蘭学が紹介され、オランダ流の外科が成立し、解体新書が出版されるもととなります。

実は以前『JIN-仁-』の戦国バージョンができないものかと思ったことがあります。戦国時代にペニシリンが存在すれば、大勢の兵の命が助かり、それを好機と見た織田信長が、南蛮人と組んでこれを売り出すなどいうプロットを勝手に想像したものですが、しかしあれは、やはり蘭学が普及していないと厳しいようです。ペニシリンのみならずカテキン消毒にしても、煎茶を日常的に飲むような状況でないと難しいですからね。


飲み物-紅茶とザッハトルテ
[ 2023/11/03 05:00 ] 大河ドラマ どうする家康 | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』第41回に関しての武将ジャパンの記事について-2

第41回に関する『武将ジャパン』大河コラムについてその2です。


大谷吉継が三成に会いにいく場面で干し柿が大きく映ります。
ここは密かに注目しています。
“三成の最期”を描くときに定番である「柿のエピソード」が、松本潤氏の意向により削られた、と文春砲の第一弾で報じられていたのです。
しかし、ここでは干し柿が出されていました。
果たして伏線になっているのか。
それとも、当初は伏線として配置したものの、記事にあった通りに、カットされてしまうのか。
楽しみですね。

武者さんてやはり「週刊文春」とタイアップしているのでしょうか。
と言うか、週刊文春の書くことが本当だと思っているのでしょうか。
以前この人は、茶々が秀吉に対して「(秀頼は)あなたの子だとお思い?」と予告で流れていた時、その次の回は答え合わせで観た人もいるでしょうなどと書いていましたが、今や自身が、週刊誌との答え合わせ目的で観ているようです。
かなり失礼だなとは思いますが。

七之助さんは扱いがマシだと確信できたのが、茶屋四郎次郎の二代目です。
あのひどい眉毛はなんなのか。
誰がどう見たって過剰すぎて、まさしくコントの世界でしょう。
そしてお笑いだとしたならば、絶望的につまらない。

ネット上では「バージョンアップ」だの「1人3役の予感」などという声も飛び交ったようですね。
とどのつまり、北川景子さんがお市との差別化を図るために、カツラやメークを違う印象にしているわけですが、こちらは先代四郎次郎のイメージを受け継ぎつつ、確かにいくらかバージョンアップした感はあります。

思えば初代は、気づいたらフェードアウトさせられてましたね。茶を商うことよりマラソンランナースキルが目立った。
そんな雑魚扱いでしかなかったキャラの息子を出されたところで、誰が喜ぶのでしょう……よくもここまで中村屋をおちょくれたものです。

「よくここまで中村屋をおちょくれたものです」
ひとつ前のページの武者さんのこの文章の方が、もっとひどいかと。中村屋をおちょくると言うより、ディスっているのではないでしょうか。

むろん三成は配慮されていると思います。主演俳優のお友達枠ですからね。
◆ 中村七之助、親友・松本潤との大河ドラマ共演に感慨「父親がこの姿を見たら喜ぶだろうな」『どうする家康』(→link)
好きな俳優にこんなことを書きたくないけれども、あえて言います。
「父親がこの姿を見たら喜ぶだろうな」なんて呑気におっしゃってますが、考えるべきはあなたのお父様ではなく、視聴者とあなた自身ではないでしょうか?

ウィリアム・アダムスが縛られて汚い格好のまま連れてこられます。
いくら捕まったとはいえ、髪や髭の手入れ、着替えぐらいさせたらいかがですか?
非現実的ですし、徳川は虐待を働く連中である、というように見えてきます。何をヘラヘラ笑っているんでしょう。

非現実的とありますが、例によってどういう部分が非現実なのか書かれていませんね。
そして罪人の場合、髪や髭の手入れはできなかったのではないでしょうか。
江戸時代の話ですが、罪人は月代を剃ることはできなかったので伸び放題だったようです。

英語もポルトガル語も大して変わらん、って正信に発言させるのもどうですかね。
中国と朝鮮、日本だけ見たって大いに違う。渡辺守綱あたりに言わせるならまだしも、家康の懐刀がこれでは頭が痛い。
こんな調子だから、カトリックとプロテスタントの区別もついていないのでしょう。

はっきり言って、その当時の日本人でヨーロッパの事情に詳しい人がどのくらいいたでしょうか。
そしてこれ、正信の発言ではないのです(この辺もちゃんと観ていないのでしょうね)

二代目茶屋四郎次郎
「はあ…しかし、私ポルトガルの言葉なら多少わかりますが」
「その男はエングランドなる国の者なれば、務まるかどうか…」
本多正信
「似たようなもんじゃろう」
四郎次郎
「え…」
こういうやり取りがあり、そこへアダムスが現れ、とにかくポルトガル語で話してみようとなるのですね。

そして
「中国と朝鮮、日本だけ見たって大いに違う」
儒教国家と武士が政権を取る国とでは、それは違いますね。

あと
「こんな調子だから、カトリックとプロテスタントの区別もついていないのでしょう」
ここのところ、ちょっとわからないのですけど。
今までの武者さんの文章、またはこの回の描写で
「カトリックとプロテスタントの区別がつかない」
ことを窺わせる記述、または描かれ方は全く出て来ないのですが。
この間も同じようなことを書いていましたが、一体何を言いたいのですが。

そしてこの場合大事なのは区別云々ではなく、カトリックとプロテスタント諸派の対立がヨーロッパでは起きており、それはどのようなものであるかということです。
そしてドラマでは四郎次郎が
「あ…エスパニア、ポルトガルとは戦をしており、バテレンどもの言うことに耳を貸してはなりませぬと」
と通訳しており、この当時のイングランドを巡る状況が垣間見えるようになっています。

歴史総合の時代なのに、なぜこんなに馬鹿げた描写ができるのか。三浦按針役村雨辰剛さんの無駄遣いにもほどがある。『大奥』との格差が際立ちますよ。
そもそも、なぜ彼を出しますか?
もっと他に出すべき人はいるでしょうよ。

「歴史総合の時代」
と言うなら、東洋(日本)と西洋(ヨーロッパ)が出会うこの描写は、正にそれにふさわしいのではないでしょうか。
そして武者さんにしてみれば「馬鹿げている」(どこがそうなのかよくわかりませんが)のでしょうが、ドラマでこういう描写があるのに、英西戦争にも、アングリカンチャーチも清教徒にも触れない武者さんの方がおかしいと思います。
そしてここでなぜ『大奥』と比較するのですか?
同じ人が出ていると言っても、大河と10時のドラマ、しかも時代背景も設定も全く別物ですよ。

世界地図がプリントアウトしたばかりのテカテカ感満載だとか。
字が崩字でなく楷書だとか。
直江状が和紙に思えないとか。
ツッコミどころがいろいろありますが、もう小道具さんは完全に力尽きたという認識でよろしいでしょうか。

こちらの地図、日本で言えば信長が勢力を伸ばしている時代に起こった、レパントの海戦に関する地図(紙本著色レパント戦闘図・世界地図〈/六曲屏風〉)です。かなり色鮮やかですね。
(文化遺産オンライン)

それと崩し字でなく楷書、どの文書のことですか?
直江状のはもう少し崩しているように見えますが、後ろの地図のことですか。
あと「和紙に思えない」の根拠は?
よく見たらふちが少しでこぼこで毛羽だっている感じですが。

そしてまた文春砲がどうこう。そんなに書きたいのなら、大河コラムでやらないでください。

無口で物静か。
それなのに威厳がある。
上杉景勝といえばそんな描き方になると思っていたら、眉毛ボーン!でキレ散らかすチンピラでした。
直江兼続もただのゲス男。
もう呆れ果てるしかない幼稚な連中です。

「キレ散らかすチンピラ」
「ゲス男」
自分の思い通りの描き方がされていないからと言って、こんなことを書く武者さんの方がキレ散らかしているようにも見えるのですが。

西笑承兌にああいう文をよこされて、しかも一部の説にあるように、神指城は軍事拠点でなく城下町建設であり、街造りとインフラ整備に忙しいのに、上洛しろと言われてもそれはできないとなるでしょう。もちろん、こっちの事情をきちんと書いてやれとも言いたくなるでしょうし、その気持ちもわからなくはありません。

まず阿茶局がわざとらしく一本調子の「私できる女!」口調の説明セリフでキレ散らかし。
本多正信がいつものクセのある切れ者口調で付け加える。
で、家康は顎に手をやって立っている。

阿茶局
「このような返事を寄越されるとは…殿への罵り嘲りにほかありませぬ!明らかに戦をけしかけております」
どこかキレ散らかしていますか?失礼だとは言っていますが。
(しかし武者さん『キレ散らかす』も好きですね)
そして正信の
「乱世を生きて来た武士の骨の髄までしみ込んだサガとしか言いようがござらん」
歴史系ライターであれば、こういうセリフにこそ注目してほしいですね。

阿茶局と正信は毎回不愉快で、声が耳に入るだけで頭を抱えたくなります。
口うるさい上杉景勝が出たかと思ったら、何もしゃべらず、ぬぼーっとした主役・家康ってどういうことですかね。

武者さん、「頭を抱える」これでもう何度目ですか?
そこまで我慢しなくていいですよ。
そして「何もしゃべらず、ぬぼーっとした主役・家康」
家康はこの2人の意見を聞いた後で、
「やるとなれば、わしが出陣せねばならぬであろう。
天下の大軍勢で取り囲み速やかに降伏させる…。戦を避けるにはそれしかない」
と言っていますね。


飲み物-ボトルとコルクとワイン
[ 2023/11/02 03:00 ] 大河ドラマ どうする家康 | TB(-) | CM(0)

ハロウィンそして宗教改革記念日

毎年この時期、同じようなネタで同じような投稿をしています。
ハロウィンですが、そもそもはドルイド教の祭り(サウィン祭)が起源とされています。11月1日が正月に当たり、その前夜は収穫祭となるのですが、その日には死者の霊や魔物などが現世に現れると信じられていました。ハロウィンにつきもののコスプレは、悪霊を追い出すためともされています。また魔女や幽霊のコスプレをした子供たちは、家々を回って
「トリック・オア・トリート」
を叫び、お菓子を貰う習慣ができあがりました。『ピーナツ』のカボチャ大王が現れるのもこの日です。

『きのう何食べた?』シーズン2の第3話では、シロさんとケンジがコスプレ?をして小日向さんとジルベールを訪れます。この時のご馳走がなかなか豪華なのですが(原作第18巻に登場)、小日向さんの警官スタイル、そしてジルベールの狼コスプレが如何にもといった感じです。
ところでこの『きのう何食べた?』11月3日深夜放送分に、及川光博さんが、シロさんの元カレの役で登場です。ミッチーファンの方には、見逃せないエピソードかも知れません。

ところでこのハロウィンの翌日は諸聖人の日(万聖節)です。その前日にマルティン・ルターが95ヶ条の論題を送付することになるのですが、これが1517年のことです。この日の讃美歌『神はわがやぐら』、今でも懐かしく思い出します。
その後カトリックと、新興勢力プロテスタント諸派が対立を深めることになり、先日の『どうする家康』のウィリアム・アダムスの言葉にあるように、宗教の違いが国家間の対立に発展し、結果的にイングランド王国が覇権を握るようになります。尚この頃はエリザベス1世の統治の末期で、その後スコットランドのスチュアート家の支配となり、この両国は同君連合となります。

ハロウィン3
[ 2023/11/01 00:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『葵 徳川三代』の関ケ原番外編-南蛮兜とベルトラン・デュ・ゲクラン

『葵 徳川三代』では、当世兜も多く出て来ますが、これらはもちろん南蛮兜をモデルにしたとされています。南蛮というか西洋の兜というのも様々ですが、その中でもモリオンとかカバセットと呼ばれる、16世紀頃の兜をもとに当世兜が作られたようです。

リオン(Wikimediaより)
モリオン

これは側面から見たもので、被った時前後に少し反り返った鍔の部分が来ます。

あとベルトラン・デュ・ゲクランについて。
この人物は貧乏貴族の出身であるとも言われ、『西洋騎士道事典』では醜男と書かれていますが、「鎧を着た豚」などという表現もあるようです。また一方で精悍であるとも言われています。
乱暴者という人物評もありますが、軍人としての才能はあったようで、百年戦争中に、イングランドに奪われたフランスの地域を取り返してもいます、焼き討ちや奇襲などの戦法を進んで採り入れる一方で、誓いを立てたり、自分に対して制約を課するなど中世の人らしいところもありました。

日本では『双頭の鷲』という作品に、彼のことが描かれています。
また英語圏だと"The White Company"という小説に出て来ます。実はこの"The White Company"、『白衣の軍団』というのは、かのサー・アーサー・コナン・ドイルが手掛けた歴史小説です。ドイルというととにかくシャーロック・ホームズとなりがちですが、こういう物も執筆していたのですね。

飲み物-ホットカフェオレ
[ 2023/10/23 00:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『葵 徳川三代』の関ケ原2(+西洋社会の騎士道と戦い)

金木犀が咲いて木々が色づいて来ました。
さて先日の分、体調があまりよくなかったこともあり、下書きに多少手を加えた形で投稿しておりました。
そのため石田三成のセリフの
「推参(差し出がましい)黒田、不忠者細川」は、正確には
「推参なり、黒田長政
不忠者、細川忠興」
ですね。極端に意味が違うというのではありませんが、正しい方も置いておきます。

その「不忠者」細川忠興公を演じていたのは、佐々木功(現・ささきいさお)さんでした。
ささきさんといえば音楽、特にアニソンのイメージが強いのですが、この大河では忠興公を堂々と演じています。
そのセリフがこちらです。

葵徳川三代細川忠興

他にも各将それぞれのセリフがありまして

葵徳川三代福島正則

これは如何にも福島正則公らしいと言いましょうか。
そして黒田長政公は、

葵徳川三代黒田長政

尚この後に「断じてひけをとるな。構え、前へ」と続きます。
あと藤堂高虎公は、

葵徳川三代藤堂高虎

シンプルですね。
(『葵 徳川三代』録画より)

尚忠興公以外の3名は、関ケ原に布陣する前に合言葉「山に山、麾に麾」を井上正就(徳川秀忠家臣)から伝えられるシーンがあります。この時先頭の福島隊は
井上正就「合言葉は山に山、麾に麾」
福島正則「山に山、麾に麾」

そして黒田隊。
井上正就「合言葉は山に山、麾に麾」
黒田長政「山に山、麾に麾」

しかし藤堂隊はと言えば、
井上正就「合言葉は山に山…」
藤堂高虎「麾に麾」

この高虎さん、ちょっとかっこいいなと思ったものです。

ところで関ケ原の場合はそうでもないのですが、少し前の長篠(設楽原)の戦いなどでは、他国にも類似した戦闘が見られることがあります。イングランドとフランスの間で行われたクレシーの戦いなどは、フランスの多くの兵が犠牲になっています。

そもそもフランス軍が、フィリップ王の考えを無視し、夕方ごろに始まったこの戦いは、まずジェノバ人騎兵隊によって火ぶたが切られたものの、イングランド兵は沈黙したままで、その後弓の射程圏に入った時に、長弓兵たちが矢を雨あられと浴びせかけ、夜半にようやく終わったものの、夜が明けると悲惨な光景が広がっていたということです。騎兵のプライドは傷つき、中世の戦いはここに来て変化せざるを得なかった由(西洋騎士道事典)。

但しこれは弓矢での戦いであり、火器を使う戦いの場合は、1503年のチェリニョーラの戦いが最初になります。

余談ながら上記の『西洋騎士道事典』で非常に面白いと思ったのが、
「ロマンス(騎士道物語)の騎士たちは、ほとんど常に、信じられないほどの美男ぞろいである。歴史上の騎士たちはふつうの男の体型、姿形でまにあうし、ホワイトのラーンスロットのように、また、歴史上のベルトラン・デュ・ゲクランのように醜男でもありえた。騎士たちと美しい容姿とはあまり関係がなかったのだ」
という記述です(P172)。

これも改訂版が出ていると思いますが、手持ちの1995年第4刷ではそうなっています。しかしロマンスとは創作であり、その意味では、美男と言う「萌え(燃え)要素」があっても、あるいはいいのかも知れません。

そう言えばこの第4刷が出たのと同じころ、ラグビーは「中世の騎士の堂々とした戦いを思わせる」とあるのを何かで読んだことがあります。我が国の侍たちの合戦にもそれは当てはまるでしょうか。


飲み物-スノーアンドテル
[ 2023/10/22 05:00 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『鎌倉殿の13人』第48回「報いの時」あらすじと感想-3

駆け足気味になりますが、第48回「報いの時」その3です。


義村はいきなり義時の肩に手を置き、こう言う。
「俺は全てにおいてお前に勝っている。子供の頃からだ」
頭が切れて見栄えがよくて、剣もうまかった。お前は何をやっても不器用でのろまで、そんなお前が執権で俺は一介の御家人に過ぎん、不公平だと義村はよろめきながら言い、呂律の回らない口調で、お前を超えてやるとも言う。

義村は口の中がしびれて来てうまく話せず、これだけ聞けば満足かと言って座り込んでしまう。よく打ち明けてくれたと義時。その礼に俺も打ち明ける、これはただの酒だと言い、それを聞いた義村は普通に喋れることに気づく。負けを認める義村に、これからも泰時を助けてやってくれと頼むが、まだ俺を信じるのかと義村。しかしお前は今一度死んだと言われ、これから先も北条は三浦が支えると断言する。

義村は酒を注ぎながら、いい機会だからもうひとつ教えてやると言い、かつて女子はきのこが好きだと言ったのは嘘、出まかせよと言う。早く言ってほしかったと義時。その後2人は酒を酌み交わす。そして泰時は時房と共に上洛し、西国へ目を光らせたいから父上を頼むと初に言う。時房も兄義時に無理はさせたくないことから、鎌倉のことを朝時に頼む。そして盛綱も行くことになる。宇治川に沈んだかと思われた盛綱だが生き延びていた。

死んだかと思ったと泰時。自分はいつも守られていると盛綱。そして時房は、もう朝廷を頼る世の中ではなく、武士を中心とした政の形を長く続かせると言い、その中心が我ら北条であると強調するが、呂律がおかしくなる。実は義時の部屋からこっそり持って来た酒を飲んでいたのだった。朝時がにおいを嗅いでみたところかなりくさく、時房は口をすすぎに立ってしまう。

トウは子供たちに武芸を教えていた。実衣はそれを見ていて、動きに殺気がありすぎると、トウに注意する。大分抑えたつもりなのですがとトウ。そして泰時は、武士が守るべき定めを、学のない御家人にもわかるような形で書き記そうと、下書きを初に見せる。例によって初は真面目と言い、悪いかと訊かれて偉いと言っていると答える。嬉しそうな泰時。これが御成敗式目となる。

政子は例の像を見て驚き、それから泰時を見舞う。仏像を見たと言う政子に、運慶に言わせればあれは自分であると義時。義時は像を燃やすつもりでいた。政子は、この先の人たちは自分たちのことをどう思うかたまに考える、義時は上皇を流罪にした大悪人で、私は身内を追いやって、尼将軍に上り詰めた稀代の悪女と言い、言い過ぎだと義時に言われても、それでいいと平然としていた。そして私たちは頼朝様から鎌倉を受け継ぎ、次へ繋いだ。これからは争いのない世がやってくる。だからどう思われようが気にしないと政子。

姉上は大したお人だと義時。そう思わないとやってられないからと政子。それにしても血が流れ過ぎた、頼朝様の死後何人が死んで行ったかと義時は数え始め、最後の時元で13人となった。そりゃ顔も悪くなると嘆息する義時だが、なぜその中に頼家がいるのかと政子は尋ねる。あの子は病で死んだとあなたは言っていたと政子。自分のついた嘘は覚えていないとと言う政子は、薄々は分かっていたが、でも怖くて聞けなかったと口にする。

本当はどうやって死んだのかと訊く姉に、昔の話だと義時は答える。しかし母親として知っておきたいと言われ、頼家が上皇と手を結んで、鎌倉を滅ぼすつもりだったと義時。そのため、善児に命じて討ち取った、頼家は自ら太刀を取って最後まで生き延びようとした、立派な最期であったと聞いていると答える。あの子はそういう子だと政子は言い、教えてくれたことに礼を述べる。

義時は今日は具合がよくないと言い、薬を取ってくれと政子に頼む。今度体が動かなくなったら、その薬を飲むようにと医者から言われていたのである。そして私にはまだやらねばならぬことがある、隠岐の上皇様の血を引く帝が返り咲こうとしている、何とかしなくてはと言い、まだ手を汚すつもりかと、政子は非難をこめた口調で尋ねる。この世の怒りと呪いをすべて抱えて、私は地獄へ持って行く、泰時のためにと答える義時。

私の名が汚れる分だけ、北条泰時の名が輝くと言う義時に政子は、そんなことをしなくても、泰時はきちんと新しい鎌倉を作ってくれると言い、薬を渡そうとしない。私たちは長く生き過ぎたのかもしれないと政子は言い、薬の容器の蓋を開けて、中身を床にこぼす。さみしい思いはさせません、そう遠くないうちにそちらに行くと政子は言うが、義時はまだ死ねないと、床に倒れながらも這いつくばってこぼれた薬をなめようとする。その液を袖で拭う政子。

政子は弟に、泰時は賢いから、頼朝や貴方ができなかったことを成し遂げてくれる、北条泰時を信じましょう、賢い八重さんの息子と言い、確かにあれを見ていると、八重を思い出すことがと義時も苦しみつつ言う。でももっと(泰時が)似ている人がいる、あなたよと涙をこぼしつつ語り掛ける政子。義時は例の観音像を指さし、あれを泰時にと言う。必ず渡すと言う政子に、義時は姉上といまわの言葉を残し、政子は声を掛ける。
「ご苦労様、小四郎」


まず私としては50分頃に義時が亡くなり、それからしばらく経って、泰時が父をしのびながら御成敗式目を起草する、そういうのを想像していました。実際あれはもう少し後に作られていますし。

それと最後の方のシーン、あるいは義時と義村のシーン、何やらミステリ風味ではあります。一番最後の義時の死にざまは、刑事ドラマ風でもありましたが。しかしミステリもシェークスピア的要素も、別に入れるなとは言いませんが、最初からそれが目的になってしまうとちょっとつらいものがあります。

それにしても簡単に義村が折れてしまいましたね。もうちょっとしぶといところを見せて欲しかったし、最後の最後で何らかの形で義時を出し抜くとか騙すようにしないと、俺はお前に勝っているなどというマウントは取れないと思うのですが…。そしてトウの武芸教室。これも『真田丸』で、小松姫を始めとする女性たちが、剣の稽古に励んでいたのを思い出します。

あと政子が頼家の本当の死因を知らなかった件ですが、誰かがこっそり打ち明けたとか、そういうことではなかったのでしょうか。この大河に言えることですが、貴人に対して信頼できる部下や侍女の存在、特に後者をあまり見かけることがありませんでした。

義時が言っていた「隠岐の上皇様の血を引く帝」が返り咲こうとしているのは、やはり仲恭天皇のことでしょうか。ちなみにこの帝のいとこにあたる、後嵯峨天皇の2人の皇子の代から両統迭立が始まります。南北朝時代と大いに関わりのあるこの2つの皇統ですが、実は西洋の中世に同じようなことが起きています。

以前『武将ジャパン』のコラムで、「キリスト教圏だと、破門されたら皇帝と言えども謝らなければならない」と、『カノッサの屈辱』を引き合いに出していましたが、逆に教皇が囚われになる事件も起きています。所謂アヴィニョン捕囚ですが、この後教皇が複数立つという状況(教会大分裂)となり、これは西欧社会に大きな影響を与えます。


飲み物ーホットワインとくるみ
[ 2022/12/20 01:45 ] 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 | TB(-) | CM(0)

『鎌倉殿の13人』に関しての武将ジャパンの記事について思うこと 3

先日投稿分のそのまた続きです。北条義時は劉邦タイプとしたうえで、西洋の英雄としてナポレオンを持ち出し、このように書いています。

押しが強くてなんでも俺がやってしまう。そういうカリスマ型。西洋列強と向き合う中、東洋はそういうナポレオンみたいな英雄がいない自国にがっかりしました。
俺たちの讃えていた英雄ってよかったの?
そこで槍玉にあがった典型例が、劉邦ではなく劉備や『水滸伝』の宋江あたりなんですね。
彼らは自らぐいぐい推すというよりは潤滑剤タイプ。苦手分野はその分野が得意な人に任せて、相手の力を引き出す。
実力者を繋ぎ止めるだけで本人は動かない。
いいからお前も動かんかい!
ナポレオンあたりに憧れたかつての東洋人はそうイライラしたわけですけれども、でも、こういう潤滑剤タイプって、実は有用じゃありませんか?

まず「西洋列強と向き合う中、東洋はそういうナポレオンみたいな英雄がいない自国にがっかりしました」の実例も挙げられておらず、「いいからお前も動かんかい!ナポレオンあたりに憧れたかつての東洋人はそうイライラした」の根拠も不明。川口雪篷はナポレオンに心酔していましたが、『西郷どん』の中で苛立ちを表すようなセリフは聞いたことはありません。

今週はワイワイガチャガチャしているようで、千鶴丸が水死させられているわけです。もしもそこを重く描いていたら、月曜日が辛くなるわけでして。それに残酷をコメディタッチで描くのって、実は一番ひどいことではないかと思います。
三谷さんが意識しなかったわけではないというか、1990年代に一世を風靡し、今は大御所扱いといえばタランティーノがおります。
彼の作風の特徴は、残酷な描写をコメディタッチにしたこと。
間違ってチンピラを自動車内で射殺したら掃除が大変だぜ、参ったなあ! そういうノリが斬新でした。
(中略)
そこを踏まえると、そんなもんタランティーノ流なんてむしろ定番だということになってもおかしくはない。確かに大河でとなると、斬新かもしれないけれど。
そしてこのタッチが、坂東武者に適用されることに対して、私は圧倒的な信頼感があるんですね。

残虐なシーンを重く描かないのがいいと言いたいのでしょうが、何よりかにより武者さん、あれこれ書きすぎだなとは思います。タランティーノが残酷さをコメディタッチで描くのと、今回のとどのような関係があるのでしょうか。そもそも千鶴丸を殺すシーンはなく、善児が途方に暮れたような顔で、水の中に突っ立っていただけですし、なぜこれがコメディタッチなのかまず疑問。ましてそのコメディタッチなるものが、「坂東武者に適用されるか」どうかは、いざ観てみないと何とも言えないわけでして。

だいだい(ママ)このドラマと同時代のイングランドで、トマス・ベケットという聖職者がヘンリー2世の王命により暗殺されました。しかもカンタベリー大聖堂で。
理由も手段も野蛮な事件です。
しかも、当時の技術ゆえ仕方ないのでしょうが、暗殺場面を描いた絵が牧歌的でシュールなのです。
(Wikipediaの引用)
勝手な思い込みではあるかもしれないけれど、12世紀の残虐性ってこういう明るさがあるのではないでしょうか。
もっと時代が降れば反省なり命の重みを感じるかもしれないけど、当時は「まあ死んじゃったし!」くらいのノリだったのかもしれないと。
このドラマの明るく生き生きとした殺しあいは、そんな思いに応えてくれるものです。

トマス・ベケットですが、簡単に言えばこの人は元々俗人で、その後聖職者(カンタベリー大司教)となり、教会の自由を巡って国王ヘンリー2世と対立し、最終的にはヘンリー2世から暗殺されるという人物です。ヘンリー2世の意を汲んだ騎士たちが、自分たちでベケットを殺害したという説もあります。しかしこの暗殺は後にベケットの殉死とみなされ、死後早々と列聖されて、ヨーロッパ各地で大きな反響を呼び、カンタベリーは一大巡礼地となります。さらにその血が奇跡を行うとされ、血を薄めて持って帰る巡礼者もいたといわれ、国王も自らの罪を認めることになりました。

この巡礼たちを題材にしたのが『カンタベリー物語』です。実際ベケットの殺戮は、剣で頭を突かれ、頭蓋骨が飛び散るという残忍なものですが、しかしここでひとつ。
同時代とはいえ、明らかに文化的背景が異なるイングランドの事件であるにも関わらず、殺戮とその残虐性という共通項のみで物事を論じる、しかも国王との対立の果ての残忍な殺され方を、明るく生き生きと定義づけるというのは、相当無理があるのではないでしょうか。なぜこのような発想になるのでしょう。
実際この大河の殺戮シーンだって「明るく生き生き」なのかどうかは不明ですし、見方を変えれば、人命はかなり軽かった時代とも取れます。まだ貞永(御成敗)式目もない時代ですし。

さらにその後

坂東武者と比較すれば、戦国武士は文明を知っている。それは人類進歩の証なのだ。
そう熱く主張したくなるドラマです。

ここでまた「文明」。それはそうと、結局何を言いたいのでしょうか。要は今年の大河と、『麒麟がくる』を何とか関連付けたがっているようにしか見えないのですが。

そしてお約束のように

日本史版のサーセイ・ラニスター(『ゲーム・オブ・スローンズ』)が誕生したことを祝いたいと思います。

そもそも『ゲーム・オブ・スローンズ』を観ていない(興味もない)ので、何のことやらわからないのですが、最終的にはここに持って来たいようです。毎度のように思うのですが、ならば『ゲーム・オブ・スローンズ』の話だけしてくれれば、それはそれでまだ納得できるのですが。

飲み物-コニャック


[ 2022/01/18 01:15 ] 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 | TB(-) | CM(0)

気づいたことあれこれ 10(9続き)

先日の皇位継承について、今少し。かつて日本史上には、推古天皇をはじめ8人の女帝(女性天皇)が存在していました。しかしそのすべてが、たとえば次の男性の継承者が年若いなどの理由での、ある意味ピンチヒッター的存在でもありました。奈良時代末期に君臨した孝謙(称徳)天皇のみが、他にふさわしい男性の継承者がいないということで、女性としては異例の皇太子となっていますが、一旦退位した後に重祚した後は、弓削道鏡が取り入ったり、次の継承者が決められなかったりで、やや不安定でもありました。またこの8人の女帝は、皇后出身で即位した人物を除けば生涯独身でした。

そのため日本史上は、所謂女系の天皇が存在しません。女系というのは内親王や女王などの女性皇族と、皇族でなく、皇位継承権のない男性との間に生まれた人物が即位することをさします。前出の女帝は、すべて男性皇族を父に持っていました。そのためいうなれば男系女性天皇、男性皇族の娘である天皇ということになります。最近では諸外国の王室でも、男女を問わず長子相続が増えてはいますが、日本とリヒテンシュタインでは、今も男系男子のみによる継承となっています。

男性のみの継承という点では、サリカ法というのがかつてありました。これは元々は土地相続に関する法でしたが、ヨーロッパ、とりわけフランスの王位継承に影響を与え、そのためフランスに女王が誕生しなかったともいわれています。但しかつてのフランク王国の場合、女系の男性の相続権はあったようです。またドイツもこのサリカ法の影響を受けており、そのため同君連合であったハノーファーとイギリスは、ヴィクトリア女王の即位によって連合を解消しています。

飲み物-赤ワイン
[ 2019/05/25 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

炎のランナー描写関連

この作品ですが、一種の群像劇であり、主な登場人物として
ユダヤ系の大学生エイブラムス
スコットランドの牧師リデル
イングランドの貴族で大学生のリンゼイ
この3人が挙げられます。
エイブラムスの、ユダヤの血を引くがゆえにイギリス人になりきり、祖国と家族のために走ろうとする精神が描かれる一方で、リデルの伝道師であるがゆえに、勝負と信仰を秤にかけざるをえず葛藤する姿、はたまた自分は楽しむためだけに走るというリンゼイなど、その走ることに対する姿勢は様々です。エイブラムスは言うまでもありませんが、リデルは後に王太子と話をした際に、ラグビーでは敵だが、今度は味方でよかったという言葉をかけられます。いうまでもなくラグビーはイングランドとスコットランドで別々ですが、オリンピックはイギリス代表で同じチームというわけです。

そしてケンブリッジブルー。淡いブルーに少しばかり緑を落としたような微妙な色合いです。エイブラムスたちはこのブルーで縁取りされたウエアを着て、濃紺の縁取りのオックスフォード勢を打ち負かします。なおブルーはスポーツ選手への称号でもあり、ラグビーやボート、クリケットなどのいくつかの種目で、オックスフォードとの対抗戦に出た場合は、このブルーの称号が与えられます。ちなみに日本人では、現在七人制強化に関わっている岩渕健輔氏がケンブリッジブルーです。ところで1980年代から90年代にイングランド代表で活躍したロブ・アンドリュー氏によると、このブルーのブレザーやタイを、すべて自腹で揃えなければならない由。

それからこの新入生勧誘で、フェビアン協会も登場します。そういえば昔習ったという人もいるでしょう。ウェッブ夫妻によるイギリス型社会主義で、ここのメンバーはケンブリッジブルーでなく赤のタイをしています。

パリ五輪のアメリカ代表団は、プロコーチの指導のもとトレーニングに励んでいます。彼らが着て居るのはスウェットの上下で、胸には流石というべきか、星条旗があしらわれています。

また王太子の来訪をヘンリー5世と関連付けていますが、このヘンリー5世はフランスに対して巧妙な外交を行い、最終的に百年戦争を再開した人物です。この場合の「外交」は、リデルの日曜日の予選出場をどうするかということですが。ただし実際のリデルは、かなり前にこのことを知っていたといわれています。確かに、船に乗る前にいきなり新聞記者から知らされるのは、いくら何でもフィクションでしょう。

そのリデル、酒も煙草もやらない、プロテスタントの典型的な牧師です。日曜日のスポーツも厳禁です。服装とか礼拝の様子などから、質素を旨とする長老派のようにも見えます。礼拝中『神はわがちから』と言う讃美歌を歌っていますが、この讃美歌は著名な讃美歌作者のアイザック・ウォッツによって作られたものです。彼は非国教徒であり、『もろびとこぞりて』(Joy to the World)の歌詞もこの人物によるものとされています。この非国教徒というのも、リデルと通じるものがあり、彼の礼拝の雰囲気は冒頭に登場する聖公会の聖堂での礼拝とはかなり異なります。一方でこのリデルは「フライング・スコッツマン」というニックネームがあり、作品中では同じ名前の列車でロンドン入りするシーンがあります。

パリのスコットランド教会(というべきでしょうか)で、このリデルが礼拝をするシーンもありますが、この時はイザヤ書第40章が登場します。苦しむイスラエルを慰める章です。何か暗示的なものを感じます。

[ 2019/03/01 01:30 ] 映画 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

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まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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